JOHA研究実践交流会 シリーズ「つながるオーラル・ヒストリー」 第1回 聞き取りプロジェクトの実践とその残し方/使い方  ―図書館・資料館とつながる―

 近年、「まちづくり」をはじめ様々な目的で 、研究者や市民など多様な主体によって聞き取りプロジェクトが取り組まれています。日本オーラル・ヒストリー学会は、聞き取りに取り組む皆さんの交流を促進するとともに、より充実した活動が実現できるよう貢献することを目指して、「つながる」をテーマに企画を準備しています。
 現在各地での聞き取りをつうじて生みだされている作品や展示、記録集は大変意義深いものです。しかし、その素材となった貴重な口述資料は、プロジェクトやイベントが終わったあとどうなっているでしょうか。地域にある資料保存にかかわる機関とつながり、シンプルな手順を踏むことで、保存し、将来的に活用できる可能性があります。
 今回の研究実践交流会では、聞き取りプロジェクトの実践をどのように「残し/使う」につなげるかに光をあてます。二部構成の第一部では実例として、沖縄県中城村で大学と社会教育施設が協力して取り組んだ、戦後引揚に関する聞き取りプロジェクトについて主催者から解説をいただき、その資料の保存と活用可能性について研究者・図書館員・学芸員が共同で報告します。
 第二部では、参加者の皆さんが実際に取り組んでいるプロジェクトや研究について、情報交換と課題の掘り起こしをおこないます。自分たちの取組を伝え、また他の地域の取組を知り、聞き取りを未来に残すための課題を掘り起こしていきましょう。かけがえのない語りを残していくために、今、何ができるかを共に考え、理解を深めていきたいと思います。
 研究者だけでなく、聞き取りに関心を持つさまざまな立場の方の参加を歓迎します。

2022年3月19日(土曜日)14:00-17:00  オンライン

※要事前登録(下記リンクより)
https://zoom.us/meeting/register/tJItdumqqTgsHN22YriPNQPApg1Ut-7zfK9w

第一部 実例・話題提供
久場崎の戦後引揚プロジェクトとその語りを残し、使うために
中村春菜(琉球大学)
安岡健一(大阪大学)
福山樹里(国立国会図書館)
澤岻大佑(中城村護佐丸歴史資料図書館)

第二部 参加者自身の実践と残し方
自己紹介と、意見交換

お問い合わせ
研究活動委員会・安岡健一 kyasuoka[a]let.osaka-u.ac.jp

日本オーラル・ヒストリー学会第19回大会のご案内

日本オーラル・ヒストリー学会第19回大会(JOHA19)を下記の要領で開催いたします。
今大会は、昨年度に引き続き新型コロナウィルスの感染拡大にともない、オンラインでの開催となります。至らない点も多々あるかと思いますが、ご理解をいただければ幸いです。

日本オーラル・ヒストリー学会 第19回大会
Japan Oral History Association 19th Annual Conference

開催日:2021年9月5日(日)
開催方法:Zoomミーティング(要事前申し込み)
下記URLから事前登録をお願いします。登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZIud-qvqjIvH9TqDiXxTwvVIEuueLbERpra

別途、会員宛にZoomミーティングアドレスをお伝えします。また、総会などの確定情報についても、随時、会員メーリングリストならびにJOHAホームページで更新していきます。

参加費:無料

大会に関してご不明な点がございましたら、下記までお問い合わせください。
問合せ先:joha19(at)ml.rikkyo.ac.jp

1.大会プログラム
2021年9月5日(日) 9時20分~16時40分 オンライン開催(Zoomミーティング)

9:20 開会 開催校挨拶

9:30〜11:30 自由報告部会 (Zoom上で2つのセッションが同時進行)
第1分科会 「震災・難民」 司会:滝田 祥子(横浜市立大学) 報告要旨
・王 石諾「福島原発事故経験者としての在日中国人の女性のライフヒストリー」
・佐久川 恵美「『徹底的に絶望する』ところから福島原発事故を捉える-福島県会津若松市における不安を語り合える場づくりを通して-」
・林 貴哉「在日ベトナム系移住者の生活の中でのことばをめぐる経験」
・沼田 彩誉子「神戸生まれタタール移民2世と1950~1960年代イスタンブル―『理想の国民像』の相対化を目指して」
第2分科会 「戦争・植民」 司会:人見 佐知子(近畿大学) 報告要旨
・伊吹 唯「地域社会によるオーラル・ヒストリーの継承の可能性と限界―『下伊那のなかの満洲』の事例から」
・木川 剛志「戦後混乱期横須賀に生まれた混血児のライフストーリーを描いたドキュメンタリー映画の学術的意味について」
・山本 唯人「戦争体験の継承とフィクション物語―『余白』の文脈形成機能に注目して」
・橋場 紀子「韓国人被爆者の語りから、多様な『被爆者像』を考える」

12:00〜13:00 総会

13:30〜16:30  シンポジウム兼研究実践交流会「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」概要

16:30〜16:40 閉会 会長挨拶、開催校より

JOHA19 シンポジウム兼研究実践交流会「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」

JOHA19 シンポジウム兼研究実践交流会
「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」

◎プログラム
司会:小林多寿子(研究活動委員)
●趣旨説明とスピーカー紹介 橋本みゆき(研究活動委員)
●語りの現場からの報告(各20分)
1.青木淑子 「語り人活動の意義と活動を通して描く富岡の未来」
2.坂口奈央 「復興の中の葛藤、苦悩──地域の語りと生活者の論理」
3.小林 孝 「伝承館が語り伝えたいこと」
●コメント(各20分)
・関根慎一:報道の立場から。福島の被災地域の複合的な全体状況を見渡して。
・大門正克:研究者として。東日本大震災被災地でのフォ―ラム開催の経験をふまえて。
●報告者およびコメンテーターとフロアの質疑応答(15分)
●休憩
●研究実践交流会(45分)
・手順の説明・グループ分け(グループは主催者が割り振ります)
・ブレークアウトセッション
・全体で発表
●閉会

◎趣旨
東日本大震災から10年。被災各地において、複合的な被害や防災にかんする学術調査研究、復興まちづくり実践が重ねられてきた。しかし地域社会としての自律性回復や住民の生活再建は、むしろこれからが本番である。とりわけ、原発事故によって長期にわたる住民避難を余儀なくされた地域は、今なお段階的帰還の過程にある。そうした地域で、地域に思いを寄せて住民の語りを聴き、調査研究や実践に関わってきた人びとがいる。その「語り」は、当該地域に対する外部からの内在的理解を助け、また地元の復興に資することができるだろうか。
本企画は、被災地における語ること・聴くことへの関心から立ち上げた。しかし震災に話題を限定することなく、さまざまなフィールドで研究・実践するJOHA会員・参加者が、経験したことを共有し意見交換することを通じて、互いに学び合う機会としたい。
そこでまず、福島県富岡町・双葉町、岩手県大槌町で、住民(避難者や地域外参加者を含む)に語ってもらう活動に取り組んできた3つの実践報告をうかがう。そしてこれを受けて2人のコメンテーターに、震災をめぐって語ること・伝えることの現状についての話題提供と、それぞれの視点からの示唆をいただく。これらを触媒として、大会参加者は、各自のインタビューや発信活動の経験や思いをもちより、小グループに分かれて語らう。たとえば、現地の人々やその語りにどう関わろうとしているか。現地で聴くおもしろさあるいは逆に難しさを感じた経験。生活史をもとに発信することにより地域に還元したい/懸念されるのはどんなことか。そのケースに特有なのか、それとも語りに広くみられる事柄なのか。実践・研究交流するなかで、参加者それぞれの出発点・現在地・向かう先が少し明るく照らされる機会になれば、幸いである。

問合せ先:研究活動委員会(橋本みゆき、5522825(at)rikkyo.ac.jp)

◎スピーカーのプロフィール
・青木淑子さん
NPO富岡町3.11を語る会 代表
もと福島県立富岡高校校長。語る会で多彩な活動を展開するほか、さまざまな団体と連携。
・坂口奈央さん
JOHA会員、日本学術振興会PD(国立民族学博物館)
論文に、「漁業集落に生きる婦人会メンバーによる行動力とその源泉 : 遠洋漁業に規定された世代のライフヒストリー」東北社会学研究会『社会学研究』105: 33-60 (2021)など。
・小林孝さん
東日本大震災・原子力災害伝承館副館長。県職員としてさまざまな部署を歴任。
・関根慎一さん
朝日新聞記者。大震災後、特別報道部や政治部等で原発関連の取材に携わる。2019年から福島総局員。
・大門正克さん
JOHA会員、早稲田大学教育・総合科学学術院特任教授(歴史学)。著書に『語る歴史、聞く歴史 : オーラル・ヒストリーの現場から』(2017、岩波書店)、共著に『「生存」の東北史: 歴史から問う3・11』(2013、大月書店)、『「生存」の歴史と復興の現在 : 3・11分断をつなぎ直す』(2019、大月書店)ほか。9月下旬に陸前高田フォーラムを開催予定。

【第2分科会】「戦争・植民」報告要旨

【第2分科会】「戦争・植民」
司会:人見 佐知子

「地域社会によるオーラル・ヒストリーの継承の可能性と限界―『下伊那のなかの満洲』の事例から」
伊吹 唯(熊本保健科学大学保健科学部共通教育センター/医学検査学科助教)
本研究では、長野県飯田市において市民が発足させた「満蒙開拓を語りつぐ会」(以下、「語りつぐ会」)によって行われた中国帰国者への聞き取り活動を再評価することを目的とする。「語りつぐ会」の活動とその成果として刊行された全10集の聞き取り集は、地域社会における歴史実践、市民による歴史の継承の取り組みとして評価されてきた。本報告では、「語りつぐ会」の活動終了からおよそ10年が経過したこともふまえつつ、「語りつぐ会」以外の中国帰国者への聞き取り活動(例えば、中国帰国者支援・交流センターによるものなど)を参照しながら、「語りつぐ会」による活動とその成果の特徴や意義を再検討し、残された課題についても検討することを目指す。

「戦後混乱期横須賀に生まれた混血児のライフストーリーを描いたドキュメンタリー映画の学術的意味について」
木川 剛志(和歌山大学観光学部教授)
発表者(木川剛志)のもとにFacebookを通じてメッセージが届いた。「木川信子を知っていますか?」。送り手はアメリカに住む女性で、彼女の母は1947年横須賀に混血児として生まれ、1953年に養子縁組で渡米した。日本名は木川洋子、その実母の名前が信子だった。同じ名字のKigawaであれば何か知っているのではと、実際には無関係の木川剛志にメッセージは送られてきた。発表者はこの縁から木川信子の消息を探すために横須賀を調査し、住民から話を聞き、洋子が養子縁組に至った当時の歴史背景を聞く。そして、洋子の66年ぶりの帰国を支援し、その模様をドキュメンタリー映画に収めた。このドキュメンタリー映画の学術的意味を探る。

「戦争体験の継承とフィクション物語―『余白』の文脈形成機能に注目して」
山本 唯人(法政大学大原社会問題研究所)
本報告では、東京大空襲体験者の半生を描いた演劇作品『魚の目に水は映らず』(2019年3月上演、作・演出きたむらけんじ)を題材に、戦争体験の継承に、フィクションとして創作された物語作品が果たす役割について検討する。リクール=小林多寿子の議論をもとに、体験の継承を、「語り」に媒介された世代間の学習的な解釈の過程と捉えると共に、フィクション物語における「余白」の文脈形成機能に注目したイーザーの読書行為論を参照し、フィクション物語が提示する仮説的文脈を、適切な批評や関連資料の収集と結び合わせることで、戦争体験理解の充実につながる可能性を指摘する。

「韓国人被爆者の語りから、多様な『被爆者像』を考える」
橋場 紀子(長崎大学多文化社会学研究科博士課程)
植民地下の広島・長崎で被爆し、戦後、朝鮮半島に帰国したものの60年余り被爆者援護の枠外に置かれた韓国人被爆者に関する先行研究は少ないが、本報告では、最晩年まで被爆体験を語らず、韓国南部に暮らし100歳で亡くなった姜正守さんご夫婦の証言に焦点をあてる。市民活動の記録やジャーナリストらの報道などでは、韓国人被爆者は「恨(ハン)」の思いを一生、持ち続けたとされてきた。しかし、本報告ではその通説とは異なる韓国人被爆者像が存在することを明らかにする。具体的には2人がこれまで沈黙を守った経緯やその理由に関する「語り」、他の韓国人被爆者との語りの相違点に注目する。姜さん夫妻の被爆体験は、他の韓国人被爆者と異なり植民地政策への批判はなく、広島における生活への思い出などが多く含まれる。一方で、被爆者が語っていないこと、あるいは聞き手に伝わっていないことの存在を改めて示し、被爆体験や植民地下での朝鮮半島出身者の生活の多様性を表そうとするものである。

【第1分科会】「震災・難民」報告要旨

【第1分科会】「震災・難民」
司会:滝田 祥子

「福島原発事故経験者としての在日中国人の女性のライフヒストリー」
王 石諾(大阪大学人間科学研究科・博士後期課程)
東日本大震災及びそれに起因する福島原発事故は、特に現地に住む人々に甚大な被害もたらし、10年経った現在においてもそれに関する議論は盛んである。報告者は福島県に現地調査を行った際、現地の在日中国人の中で、国際結婚で移住してくる中国東北地方出身の女性が圧倒的に多いことに気づいた。彼女らの語りに耳を傾けることを通じて、故郷に留まらない理由、日本語を話せず移住してくる記憶から、福島原発事故の経験、日中の境界にさまよう内面的な動きまで、戦争歴史の残響及び予測不可能な災害事故のリスクを織りなすライフヒストリーを感じ取った。本報告は、こうしたマクロな歴史描写で見逃されがちな移住者女性の視点から、個々人から捉える災害リスクを描写する試みである。

「『徹底的に絶望する』ところから福島原発事故を捉える-福島県会津若松市における不安を語り合える場づくりを通して-」
佐久川 恵美(同志社大学大学院 博士後期課程)
東京電力福島第一原子力発電所の事故は10年目を迎え、避難、健康影響、廃炉といった課題が山積するなか、復興政策がすすめられている。復興政策において、原発事故や放射線被ばくによる健康影響への不安は払しょくする対象であり、人々を苦しめているのは放射線そのものではなく、知識不足から生まれる偏見・差別だと説明されている。不安を語ることすら憚れる状況下で、福島県会津若松市に暮らしているAさんは「徹底的に絶望するところから、この局面に立ち向かわないと」と語った。本報告では、「徹底的に絶望する」という言葉に込められたものを考察し、不安を語り合うことのできる場づくりをとおして、福島原発事故に遭っている自分たちにとっての「現実」を捉えようとする営みを明らかにする。

「在日ベトナム系移住者の生活の中でのことばをめぐる経験」
林 貴哉(立命館大学授業担当講師)
本発表では、難民として来日したベトナム系移住者を対象に、当事者の視点からことばをめぐる経験を明らかにする。定住開始前に実施される日本語教育が短期間であることに加え、定住開始後に日本語を学ぶ機会も限られていた。そのため、学齢期を過ぎてから定住生活を開始したベトナム系移住者に関しては、日本語習得の不十分さが問題点として指摘されてきたが、これは、暗黙裡に日本語母語話者が規範とされている等、ホスト社会からの視点にとどまっていた。本発表では、ベトナム人集住地域での参与観察や半構造化インタビューの結果をもとに、ベトナム系移住者の経験を分析することで、移住者にとっての生活の中における言語の意味づけを理解することを試みる。

「神戸生まれタタール移民2世と1950~1960年代イスタンブル―「理想の国民像」の相対化を目指して」
沼田 彩誉子(東洋大学アジア文化研究所客員研究員)
1917年ロシア革命を機に、ヴォルガ・ウラル地域から旧満洲、朝鮮半島、日本へ避難したテュルク系ムスリムがいた。彼ら「タタール移民」は、戦前日本の大陸政策における「イスラーム工作」に取り込まれたことで知られる。本発表ではまず、従来の研究で看過されがちだった第二次世界大戦後の時期について、トルコや北米へと移住した彼らが、複数の「故郷」を創出したことを示す。次に、神戸出身の女性に焦点を当て、幼少期にイスタンブルへと渡った彼女が、移動によって生じた経験を参照軸に、移住先社会を相対化する姿を描きだす。ただ一つの場所との結びつきを想定しない/できない極東生まれの2世は、「理想の国民像」を拠り所に移民の善悪を判断する社会的多数派とどう向き合うのか。歴史のうねりと交差しながら揺らぐ国民概念を、2 世の視点から位置づけることを目指す。

JOHA第19回大会 開催日程・形態の変更について

新型コロナウイルス感染拡大による影響について今後の見通しが立たないことを受け、9月4日・5日に青森公立大学を会場にハイブリッドでの開催を予定していたJOHA第19回大会開催の可否を理事会で慎重に協議した結果、日程を9月5日(日)の1日のみとし、開催形態をオンラインとすることを決定いたしましたことをご報告申し上げます。
大会プログラムや参加方法などについての詳細は、確定次第、会員メーリングリストならびにホームページでご連絡いたします。
末尾になりましたが、みなさまのご健康をお祈り申し上げます。

JOHA会長 赤嶺淳
大会開催校理事 佐々木てる
研究活動委員長 橋本みゆき

JOHAシンポジウム「戦争体験に関わる「二次証言」の可能性」のご案内

6月27日(日)に、「戦争体験に関わる「二次証言」の可能性-福井県の歩兵第三六聯隊に所属した一農民の体験を事例に考える-」というテーマでシンポジウムを、オンライン研究会方式で開催します(歴史学研究会現代史部会・同時代史学会と共催)。参加申し込みの方法と企画内容の詳細は以下をご確認ください。

日本オーラル・ヒストリー学会シンポジウム
戦争体験に関わる「二次証言」の可能性
-福井県の歩兵第三六聯隊に所属した一農民の体験を事例に考える-
(共催:歴史学研究会現代史部会、同時代史学会)

◆企画の趣旨
日本オーラルヒストリー学会では、このたび戦争体験に関わる「二次証言」の可能性をめぐるシンポジウムを企画しました。
その趣旨は、タイトルに明記してありますように、戦争体験に関する「二次証言」の可能性を考えたい、というところにあります。ただし、ここでいう「二次証言」という表現は、当事者ではない人が当事者から聞いたことを伝える証言という意味で、あくまで仮称として用いるものであり、証言としての価値の軽重を意識して用いるものではありません。戦争体験者(特に出征経験者)が自らの体験を直接語ることが次第に困難になりつつある昨今、その近親者などによる戦争体験を語り継ぐ活動が注目されつつあります。そのような活動の意義と可能性について、基調講演とシンポジウム形式の討論という二部構成の企画で考えたいというものです。
具体的には、福井県の鯖江に衛戍していた歩兵第三六聯隊に所属して、中国に出征した山本武さん(1913~1984)の戦争体験を取り上げます。山本武さんの戦争体験と、武さんが書き残された陣中日記と回顧録は、吉見義明さんのご著作『草の根のファシズム』(東京大学出版会、1985年)や、2000年に放映されたNHKの番組「ETV2000 シリーズ太平洋戦争と日本人 第5回 一兵士の従軍日記 -祖父の戦争を知る-」で取り上げられました。そして現在は、武さんのご子息である山本富士夫さんと山本敏雄さんによって、武さんの体験を語り継ぐ活動がなされています。
今回のシンポジウムでは、山本富士夫さんと敏雄さんをお招きして、実際に武さんの戦争体験を語り継ぐ基調講演をしていただきます。そして、その語り継ぐ活動の意義と可能性について、現代史やオーラルヒストリーに詳しい研究者(吉見義明さん、中村江里さん)にコメントしていただき、さらに企画担当者である能川泰治委員からのコメントも加え、全体討論を通じて理解を深めていきたいと思います。どうぞ奮ってご参加ください。

日時:2021年6月27日(日)13:00~17:00
【注記】
このシンポジウムは昨年6月に開催する予定でしたが、新型コロナウィルス感染拡大のために延期することにしたものです。今度はオンライン研究会方式で開催することになりしました。参加希望者には事前登録をお願いします。

会員・非会員を問わず参加費無料

参加登録方法
参加を希望される方は、下記申し込みフォームから事前登録をお願いします。申し込みフォームには、①お名前、②メールアドレス、③ご所属、④参加のきっかけ(シンポジウムのことを何でご存知になったか)を登録していただきます。登録しないと当日は参加許可されません。また、シンポジウムの前日に関係資料をお届けする予定ですので、なるべく6月25日(金)の17時までに申し込み手続きを完了させてください。
事前参加申し込みフォーム ←ここをクリック

Zoomの使用方法については、zoomの利用について案内をご確認ください。

問い合わせ先
日本オーラル・ヒストリー学会の研究活動委員会・能川泰治 (ysnogawa[at]staff.kanazawa-u.ac.jp)
※ [at]を@に変えて送信してください。

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JOHA19(第19回学会大会)報告エントリー募集

 2021年度のJOHA第19回大会の自由報告部会(個人報告/共同報告/テーマセッション)の報告者募集のご案内です。

 JOHA第19回大会は、9月4日・5日に青森公立大学で、現在のところ対面・オンライン併用のハイブリッド開催を予定しております。
 大会の詳細は、大会プログラムが確定する7月頃に決定次第、メーリングリストで会員のみなさまにお知らせするとともに、ウェブサイトに掲載します。
 ただし今後の新型コロナウィルス感染拡大の状況によっては、再調整の可能性があります。
 開催方法について検討していた関係で報告募集の開始が例年よりも遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。ふるってのご応募お待ちします。

◎第19回日本オーラル・ヒストリー学会大会
・日時:2021年9月4日(土)〜5日(日)
・会場:青森公立大学
 〒030-0196 青森市大字合子沢字山崎153番地4
・自由報告部会は9月4日(土)午後前半と5日(日)午前の見込み。ほかに総会・シンポジウム・研究実践交流会など。

◎自由報告(個人報告/共同報告/テーマセッション)報告者募集
〇個人報告および共同報告は、報告20分・質疑応答10分(合計30分)で構成されます。
〇テーマセッションは、150分間(上限)の時間枠で設定できます。1人あたり報告時間は20分を目安とします。全体の時間配分・報告者人数・報告順・コメンテーターは、コーディネーターが調整してください。
・募集期間:2021年4月16日〜6月1日
・報告を希望する会員は申込用紙に各項目を記入のうえ、下記の応募要項に従ってお申し込みください。
・オンライン報告/現地報告の選択肢があります。お申し込み時に選んでください。詳しくは後日打ち合わせます。

【応募要項】
◆申し込み資格
申込時点でJOHAの会員であること、および2021年度会費納入済みであること。
(会費納入のご案内、振り込み用紙は4月中に郵送いたします)

◆申し込み手続き
1.申込用紙に記入し、メール添付で、必ず下記2アドレス両方宛にお送りください。
申込用紙(個人報告・共同報告テーマセッション
−JOHA事務局・矢吹康夫(joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp)
−研究活動委員会委員長・橋本みゆき(5522825[at]rikkyo.ac.jp)
※迷惑メール防止のため[at]としております。実際のメール送信では[at]の部分は@を入力してください。
※折り返し、事務局より受付の返信をします。返信がない場合は、ご面倒でもお問い合わせください。

2.メールで連絡できない方は、申込用紙をJOHA事務局へ郵送してください。受領連絡が必要な場合は返信用ハガキを同封してください。
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
立教大学社会学部 矢吹康夫宛
日本オーラル・ヒストリー学会事務局

◆申込締め切り
6月1日(火)(必着)

◆問い合わせ先:日本オーラル・ヒストリー学会事務局
JOHA事務局・矢吹康夫 (joha.secretariat[at] ml.rikkyo.ac.jp)

対面&オンライン参加 オーラル・ヒストリー複合ワークショップ2021「作品と現地をオンラインでつなぐ」『語り継ぐ いいおか津波』の現場を訪ねて

昨年3月にコロナ禍の中で延期にしていた企画です。今回はオンライン参加の選択肢もあります。
東日本大震災から10年。千葉・飯岡は、震災の際に関東でも特に津波被害が集中した地域です。
飯岡地域で『語り継ぐいいおか津波──被災者聞き取り調査記録集』や「復興かわら版」を発行してきたNPO光と風のみなさんに、現在の飯岡、聞き書き・発信活動について話をうかがいます。
現地訪問(Aプラン)・オンライン参加(Bプラン)のどちらかを選び、ふるってご参加ください。

【日時】2021年3月14日(日)
A)飯岡駅集合11:45~16:00
B)13:40~16:00
【場所】千葉県旭市飯岡地域(ワークショップ会場:飯岡刑部岬展望館)
【対象】オーラルヒストリーの作品化や災害・地域づくりに関心ある方
A)先着7名、B)オンライン参加最大90名
【参加費】会員・非会員とも、両プランともに無料。
【参加申込・問合せ】参加希望者は3/12までに申し込んでください。各プランの申込方法は:
A)JOHA研究活動委員・橋本(5522825[at]rikkyo.ac.jp →[at]を@に替えて送信)へ
①名前、②所属、③当日の緊急連絡先、④昼食参加希望の有無、をE-mailでお知らせください。
B)申込ページで自動受付します。①名前、②メールアドレス(当日使用するZoomアカウント)を登録すると、参加方法の案内があります。登録しないと当日は参加許可されません。
問い合わせ:前日までは橋本へ、当日は山本(eyamamoto_nufs[at]yahoo.co.jp)にお願いします。

《日程》
A:現地訪問 =11:45 JR飯岡駅集合→現地見学・写真撮影(1時間15分)→昼食休憩→13:40~16:00ワークショップに対面参加
B:オンライン参加 =13:40~16:00オンライン会議システムZoomによるミーティング参加

◎現地見学先:九十九里海岸に出て避難タワー、慰霊碑(飯岡ユートピアセンター内)、防災資料館、津波最高記録碑、タイムカプセル、仮設住宅(現物保存)、我らの波止、かさ上げ防潮堤/遡上防止水門、元禄津波記録(津波標識・浅間神社・波切不動)、飯岡小学校(当時の避難所)、玉崎神社(天の石笛、飯岡助五郎など石碑)、海津見神社、津波避難道(銚子海道の一部) →会場そばのレストラン海辺里。

◎ワークショップのプログラム:13:40 Zoomミーティング開始
・刑部岬展望館へ移動(散歩10分)
・開会、Aプラン参加者による現地歩き写真報告(15分)
・展示中の復興かわら版を閲覧(15分)
・語り部、聞き書き集の聞き手のお話(30分)
・双方向的実践交流会(質疑応答、実践事例紹介など積極的にご発言ください)

◎Aプラン参加者へ
・現地までの交通手段:JR東京駅から向かう場合、特急しおさい3号銚子行10:11発に乗車すると集合時間にちょうど到着します(片道3,340円)。
・現地での移動:NPO光と風の方が車を出してくださいます。
・会場で、NPO光と風の企画展示「いいおか津波10年の歩み」を開催中。
・昼食をご一緒する場合、予約しておくのでお知らせください。食事代は1500円です。
・体調を整えマスク着用・アルコール消毒等、新型コロナウィルス感染症防止にご協力願います。

《協力》NPO法人光と風キャンペーン実行委員会 NPO法人光と風(hikaritokaze.org
被災者聞き取り調査記録編集委員会『語り継ぐいいおか津波──被災者聞き取り調査記録集』*(2013年、改訂版、本体1429円+税)や「復興かわら版」の発行のほか、復興まちづくり、防災教室等の活動を展開中。
*『語り継ぐいいおか津波』は一般書店の取り扱いなし。当日購入可、またはNPOに問合せ。

《企画担当:研究活動委員会・橋本みゆき》

JOHA編集委員会主催実践ワークショップ「『良い論文』を書く」のご案内

JOHAでは、編集委員会の主催で論文執筆について学ぶワークショップをオンラインで開催します(全3回。zoom使用)。
未公刊の論⽂(たとえば、すでに投稿したが査読は通らなかったもの)を題材として提供していただき、参加者全員で検討します。提供者にはワークショップでの議論を踏まえて原稿を修正していただき、完成させたものを次号の『日本オーラル・ヒストリー研究』に原則掲載します。また、検討者として参加する方々には、他の人の書いた原稿を詳細に検討することで論⽂を批判する視点を⾝につけ、ご自身の論⽂に還元していただきたいと思います。

JOHA編集委員会主催実践ワークショップ「『良い論文』を書く」

【日時】
第1回 2020年11月8日(日) 13:00~16:00
(第2・3回は2020年12月、2021年2月を予定)

【定員】
会員限定。題材提供者2~3名/検討者7~8名。
-若手会員(大学院生・PD)を優先します。
-題材提供者には10月末に投稿できる程度に仕上がっている原稿を提出していただきます。未完成原稿は検討できません。

【申込み方法】
申込み期限:10月15日(金)
申込み・問い合わせ先:joha_journal[at]ml.rikkyo.ac.jp ※[at]を@に変えてください。

必要事項:①~④は申込み者全員(メール本文に記入)、⑤⑥は題材提供者のみ(添付ファイルで送付)です。

①氏名と所属(大学院生は学年も)
②参加希望枠(題材提供者/検討者)
③専攻(歴史学・社会学・人類学など)
④研究テーマ
⑤応募の動機・論文の概要(1000字程度)
⑥現段階での原稿

※詳細は添付ファイルをご覧ください。