JOHA12 プログラム概要

日本オーラル・ヒストリー学会 第12回大会 プログラム概要(簡略版)
Japan Oral History Association 12th Annual Conference

開 催 日:2014年9月6日(土)~7日(日)
開催場所:日本大学文理学部3号館(東京都世田谷区)
アクセス:京王線下高井戸駅・桜上水駅徒歩8分 http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/
参 加 費:会員1,000円、非会員・一般2,000円、非会員・学生他1,000円
大会実行委員会 開催校担当・会長:好井裕明、開催校担当:中村英代、山北輝裕
       学会事務局:川又俊則、研究活動委員会委員長:和田悠、会計:八木良広

第1日目 9月6日(土)
12:00      受付開始 
13:00~15:30 自由報告(第1分科会、第2分科会)
※報告20分+質疑応答10分(合計30分)

第1分科会 (3308教室)
1.聞き書きによる文化継承の過程―「聞き書き甲子園」の事例検討を通して―
  石村華代(九州ルーテル学院大学)
2.ボランティアと仕事のあいだ―被災地で支援活動をした保育者たちの経験―
  岩崎美智子(東京家政大学)
3.東北からの声(Voices from Tohoku: A 3.11 video archive from 10 different communities)
  David H. Slater、デビット H. スレイター(上智大学国際教養学部)
4.オーラルヒストリーとオーラルトラディション―東日本大震災後の語り部の記録―
(Oral history and oral tradition: Documenting post-3.11 kataribe storytelling)
  マヤ ヴェセリッチMaja VESELIČ(上智大学比較文化研究所)
5.東北からの声―福島の母親たちのアクティビズム―
(Voices from Tohoku: Activism among mothers in Fukushima)
  彈塚 晴香(東京大学大学院)
   ■ 第1分科会の3~5の報告は、3つの報告を連続して行い、その後、質疑応答をまとめて30分
行う形にします。この3つの報告はすべて英語で行われます。

第2分科会(3310教室)
1.将校になる―ある「学徒兵」のライフヒストリー―
  渡辺祐介(立命館大学大学院)
2.証言映像を捉え直す―「東京大空襲証言映像マップ」を通して―
  山本唯人(東京大空襲・戦災資料センター)
3.長崎県生月島のかくれキリシタン信者のライフ・ヒストリー
  小泉優莉菜(神奈川大学大学院)
4.開拓が生みだすもの―戦後入植のフォークロア―
  藤井和子(関西学院大学大学院)
5.アーカイブズとオーラルヒストリー―文書等と聞き取り調査―
  嶋田典人(香川県立文書館)

15:40~17:40 研究実践交流会「オーラル・ヒストリーを用いた大学の教育実践」3307教室
 報告者     梅崎修(法政大学キャリアデザイン学部)
 コメンテイター 塚田守(椙山女学園大学)
 司会      和田悠(立教大学)

18:00~20:00  懇親会(日本大学文理学部キャンパス内:カフェテリア・チェリー)

第2日目 9月7日(日)
9:00      受付開始  
9:30~12:00 自由報告(第3分科会、第4分科会) 
※報告20分+質疑応答10分(合計30分)

第3分科会(3308教室)
1.統合失調症の娘を抱える両親の語り
  青木秀光(立命館大学大学院、日本学術振興会特別研究員)
2.四国遍路のライフストーリー―流動化する社会と自己アイデンティティ―
  後藤一樹(慶應義塾大学大学院)
3.被差別部落の人間形成と義務教育―神戸市内の夜間中学に学んだ男性の語りに焦点を当てて―
  江口怜(東京大学大学院)
4.「女らしい文化」を生きる―髪を喪失した女性たちのライフストーリー―
  吉村さやか(聖心女子大学大学院)
5.在韓結婚移住女性のライフストーリー―結婚移住のプロセスと意味―
  具美善(一橋大学大学院)

第4分科会(3310教室)
1.妄想と現実の交差点にみる女性オタクのセクシュアリティ―一人の台湾人女性オタクのライフストーリーから―
  張瑋容(お茶の水女子大学大学院)
2.マンガ家のライフストーリーに見る戦後マンガ史
  池上賢(立教大学兼任講師)
3.もてなし文化の民俗学的研究―京都北野上七軒の舞妓の聞き取りを中心に―
  中原逸郎(京都楓錦会)
4.1960~90年代の舞踏グループのオーラル・ヒストリー―舞踏を生み出した日々の実践―
  ケイトリン・コーカー(京都大学大学院)
5.別子銅山社宅街(東平社宅)における昭和の生活史
  竹原信也(奈良工業高等専門学校)

12:15~13:00  総会  (3306教室)
13:00~13:20  昼食休憩(3303教室、他) 

13:20~16:00  シンポジウム「オーラルヒストリーで編み直す放送史」(3307教室)

【企画趣旨】
 日本で放送が始まってから来年(2015年3月)で90年の節目を迎える。
日本の現代史にほぼ重なる放送の歴史的展開を辿るうえで、オーラルヒストリーの可能性が注目されるようになっている。放送史研究においては、これまで放送番組(映像・音声)のアーカイブや、関連する文書・書籍が資料として用いられてきた。しかしそれらだけで、放送の歴史的展開とその社会的、文化的意味を探ることには限界がある。 
放送史に関わってきた多様な立場の人々の証言を収集・分析することによって、①文書資料に記録されていない事実関係を埋める、②放送番組が制作された社会的文化的背景に光を当てる、③多様な職種によって担われてきた制作現場の実相に迫る、といったことが可能になる。また、オーディエンス(受け手)研究においてもオーラルヒストリーは大きな可能性を持つ。
 本シンポジウムでは、放送史研究におけるオーラルヒストリーの可能性について、幾つかの研究事例や証言のデジタル・アーカイブ化に関する報告を踏まえながら、テレビ文化を研究する社会学者、オーラルヒストリー研究の専門家も交えて議論を深め、今後に向けての研究の方向性や課題、隣接諸分野との連携の可能性などについて考えたい。

【報告内容】
1.放送史研究における資料の現状とオーラルヒストリーの可能性
  米倉律(日本大学法学部)
2.オーラルヒストリーを用いた初期テレビドラマ研究の試み~『私は貝になりたい』(TBS,1958年)の事例  を中心に~
  廣谷鏡子(NHK放送文化研究所主任研究員)
3.日本初の民間放送、新日本放送スタッフへのヒアリング
  西村秀樹(近畿大学客員教授) 

 討論者 太田省一(社会学者)
 八木良広(立教大学兼任講師)
 司 会 好井裕明(日本大学)

【自由報告者へのお願い】
1)当日配布資料がある場合、レジュメ形式・フルペーパー形式等自由です。ただし、開催校では資料を印刷いたしません。報告者ご自身で当日持参いただき、会場担当者へお渡しください。その際、50部ほどご準備ください。
2)パワーポイント等をご利用の場合、各会場でパソコンを準備しておりますので、USBメモリ等にプレゼンテーション資料をお持ちください。ご自身のものをご利用される場合、RGBケーブルでおつなぎいたします。USBなどの接続方式には対応しておりませんので、ご自身で変換アダプター等をご準備ください。なお、動作確認等は各分科会の開始以前にお願いいたします。会場担当者にご相談ください。念のため資料を保存したUSBメモリ等もご持参ください。

JOHA12(第12回学会大会)自由報告エントリー募集

JOHA学会第12回大会の自由報告のエントリーを募集いたします。

会員の皆様、ぜひ、ふるってお申し込みください。

申込締切は、2014年5月15日(水)(必着)です。

エントリーの詳細は以下の通りです。

JOHA12 自由論題報告者募集/Call for Papers

JOHA第12回大会の自由報告の報告者(英語報告部会を含む)を募集します。

報告を希望する会員は、氏名・所属(あるいは職業)・住所・電話番号等・

報告種別(個人・共同)・報告タイトル(日本語および英語)、報告要旨(300字、日本語)、

情報機器利用の有無を添えて、以下の手続きでお申し込みください。

大会12申込み用紙

なお、申込資格は、申込時点でJOHAの会員であること、および2013年度

会費納入済みであることです。

締切は5月15日(木)(必着)です。

 第12回日本オーラル・ヒストリー学会大会 

日時:2014年9月6日(土)~7日(日)

   6日(土)午後:自由報告・研究実践交流会・懇親会

   7日(日)午前:自由報告、午後:総会・シンポジウム

自由報告部会:6日(土)13:00~15:00 (予定)

       7日(日)9:00~12:00  (予定)

会場:日本大学文理学部

〒156-0045 東京都世田谷区桜上水3-25-40

問い合わせ先:日本オーラル・ヒストリー学会事務局(下記参照)

 自由報告申し込み手続き

1.申込用紙に必要事項を記入し、メール添付の上、

JOHA事務局 川又俊則(joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp)と

研究活動委員会委員長 和田悠(yuwada[at]rikkyo.ac.jp)宛の

両方に必ずお送りください。折り返し、事務局より受付の返信をします。

返信がない場合は、ご面倒でもお問い合わせください。

2.メールで連絡できない方は、申込用紙をJOHA事務局へ郵送してください。

受領連絡が必要な場合は返信用ハガキを同封してください。

〒510-0298 三重県鈴鹿市郡山町663-222 鈴鹿短期大学 川又俊則研究室

日本オーラル・ヒストリー学会事務局

JOHA12について

JOHA12は2014年9月上旬の2日間、東京にて開催予定です。

内容は、初日(土曜日)に自由報告と研究実践交流会、懇親会

2日目(日曜日)に自由報告と総会、シンポジウムを予定しております。

自由報告は後日募集をいたします。

JOHA11@立教新座キャンパス参加費と講演会参加について

参加費;一般の非会員の方は、一日千円です。非会員で学生・その他に当たる方は、半額の一日五百円になります。

大会2日目28日のアーサー・フランク博士講演会だけの参加は無料です。講演会だけ参加されたい方は、午後からおいでください。

大会事務局

 

JOHA11大会プログラム案内

7月27日~28日立教大学新座キャンパスでのJOHA11大会プログラムをアップしました。

日本オーラル・ヒストリー学会10周年記念大会プログラム
Japan Oral History Association 11th Annual Conference

JOHA11が、2013年7月27日(土),28日(日)の二日間にわたり、立教大学新座キャンパスにおいて開催されます。今回は、例年の自由報告部会のほかに、記念テーマセッションと記念講演の特別プログラムになっております。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。

大会第1日目 7月27日(土)
受付開始  10:00 新座キャンパス6号館2階N623前
自由報告  10:30~12:30
第1分科会N623・第2分科会N636

設立10周年記念大会テーマセッション  13:30~17:30 N623
「JOHA10年 いまオーラル・ヒストリーを問いなおす――ヒストリーとストーリーのはざまで」
報告者
石川良子・小薗崇明
コメンテーター
桜井厚・大門正克

懇親会  18:00~20:00
場所:食堂 こかげ

大会第2日 7月28日(日)
自由報告  9:00~12:00
第3分科会N623・第4分科会N636

総会  12:15~13:00 N623
昼食休憩及び新理事会  13:00~13:50

記念講演会  14:00~16:00 N623
「語りがたきを語る(仮)」アーサー・フランク博士(『傷ついた物語の語り手』著者)
通訳 有馬斉

1.大会実行委員会
日本オーラル・ヒストリー学会事務局 山田富秋
研究活動委員会委員長 小倉康嗣
大会本部連絡先 JOHA事務局までメールにてお願いします。
joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp
2.大会会場とアクセス
立教大学新座キャンパス 6号館(N623スタジオ・N636シアター)及び2号館(225,226,227,228)
アクセス:
https://www.rikkyo.ac.jp/access/niiza/direction/
○東武東上線(地下鉄有楽町線相互乗り入れ)利用/「志木駅」下車 スクールバス約7分(運行時間12:30~19:00、運賃無料)、徒歩約15分 または、南口西武バス利用 (清瀬駅北口行 または 所沢駅東口行 ・「立教前」下車) 約10分
○JR武蔵野線利用/「新座駅」下車 スクールバス利用約10分(運行時間7:30~20:00、運賃無料)、徒歩約25分 または、南口西武バス利用(志木駅南口行き・北野入り口経由 ・「立教前」下車)約10分
○スクールバスは土日は本数が少なくなります。次のサイトで運行情報等ご確認ください。
http://www.rikkyo.ac.jp/access/niiza/schoolbus/
3.大会参加費
学会員 1,000円(両日合わせて)
学会員以外 一日参加 1,000円 両日参加 2,000円
4.懇親会 18:00~20:00
7月27日(土) 食堂 こかげ
一般=4,000円、大学院生,その他=2,000円
5.クローク 学会本部の225教室に荷物をお預けください。
6.会員控え室 両日とも 226教室です。自動販売機は6号館北隣学生食堂にございます。
7.トイレ・洗面所は6号館エレベーターフロア、喫煙所は6号館南隣5号館1階、2階外にございます。
8.昼食 土曜日はキャンパス内の食堂がオープンしています。日曜日は正門右手方向にインド料理、手打ち蕎麦、正門左手に「いなげや」等ございます。
9.宿泊 東武トラベル東京が7月27日(土)の学会会場近くの宿泊について、本学会会員専用の予約を取り扱っています。下記にアクセスしてご予約ください。他の都内の宿泊先については、各自でお取りください。
http://www.tobutravel.co.jp/fixed_page/oral_history
10.自由報告にてレジュメを用意される方は、50部程度ご用意ください。万一不足の場合、大会本部ではコピー等致しかねますので、ご了承ください。
11.書店スペースに会員の催物のチラシを置くコーナーを設けますので、希望者はご利用ください。

○大会プログラム

前日 7月26日(金) 17:30~ 旧理事会 新座キャンパス太刀川記念会館

第1日目 7月27日(土) 受付開始
10:00  場所 6号館2階N623前
自由報告  10:30~12:30
※自由報告は、1報告につき30分を予定しています。内訳は報告20分+質疑応答10分ですが、司会の指示にしたがってください。

第1分科会 N623教室
司会 好井裕明

1.技術者教育におけるオーラル・ヒストリーの可能性 事例報告:授業の一環として学生が青函連絡船:羊蹄丸のオーラル・ヒストリーに取り組んだ事例(Learning Oral History of “Seikan” Train Ferries, Yotei Maru: An Application of the Method of Oral History in Engineering Education)竹原信也(奈良工業高等専門学校)

2.岐阜県飛騨市「数河獅子」のオーラル・ヒストリー(An oral history of “Sugou-shishi” in Gifu prefecture Hida city)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)

3.オーラル・ヒストリーとアーカイブズ-記憶と証拠資料の事例から(Oral history and archives; based on the case of memory and documentary  evidence)
嶋田典人(香川県文書館)

第2分科会 N636教室
司会:倉石一郎

1.父親の家庭回帰の難しさについて?不登校の親の会に参加する父親の語りを中心に(A Study on the difficulties of father in his home: interviews for fathers who attend the association of parents suffering from their child being “Futoko”)
加藤敦也(武蔵大学非常勤)

2.統合失調症の娘を抱える父親のライフ・ストーリー(A Life Story of a Father Who Has a Daughter with Schizophrenia)
青木秀光(立命館大学大学院)

3.移住労働者の語りからみた言語習得:韓国のあるインドネシア人コミュニティにおける事例(Language acquisition as seen throughout narrative of migrant workers:An example of a certain Indonesian community in Korea)
吹原豊(福岡女子大学)

昼食休憩 12:30~13:20

午後の部
設立10周年記念大会テーマセッション 13:30~17:30
JOHA10周年 いまオーラル・ヒストリーを問いなおす ―ヒストリーとストーリーのはざまで―
場所 N623教室
司会:小倉康嗣(立教大学)、山本唯人(政治経済研究所)
報告者:石川良子(松山大学)「ライフストーリー研究に何ができるか」(仮題)
小薗崇明(専修大学大学院)「オーラル・ヒストリーによる『生きた』歴史の再構築――関東大震災の朝鮮人虐殺における聞き取り調査の聞き取りを通じて」
コメンテーター:桜井厚(元JOHA会長)、大門正克(横浜国立大学)
タイムテーブル
13:30~13:40 趣旨説明
13:40~14:40 報告:石川さん(30分)、小薗さん(30分)
14:40~15:10 コメント:桜井さん(15分)、大門さん(15分)
15:10~15:15 フロア参加者の即席グループを構成
15:15~15:30 休憩(客席収納のためいったん会場の外に出ていただきます)、客席収納、グループになる
15:30~15:40 桜井さん・大門さんのコメントに対して、石川さん・小薗さんから一言リプライ(グループでの議論の口火として)
15:40~16:30 車座になってグループで議論(床に座っても大丈夫な服装でおいでください)
16:30~17:30 各グループでの議論の踏まえての全体討論、各登壇者からのコメント、全体総括

開催趣旨
日本オーラル・ヒストリー学会は、今大会で設立10周年を迎えます。この節目を迎えるにあたり、今期研究活動委員会では「足場論」をおこなうべく、昨年度より大会セッションやワークショップを企画してきました。ここにいう足場論とは、日本のオーラル・ヒストリー研究は何をやってきた/やっていくのかという学問としての足場論であり、同時に、それを可能にする場としてJOHAが何をやってきた/やっていくのかという学会としての足場論でもあります。
それを実践するために立てた柱が、①オーラル・ヒストリー研究/実践の源流・潮流をたどる、②社会のなかのオーラル・ヒストリー研究/実践について考える、③この10年の動きがなんだったのかを確かめつつ、そのさきに何をやっていくべきなのか展望と構想につながる議論に架橋していく、という3つの柱でした。①は、前大会において、女性史発祥の地である名古屋で大会が開催されることにちなんで、「日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる――地域女性史の歩みから」と題する記念セッションをおこない、実践的学知としてのオーラル・ヒストリーがどのように始まったのか、その原点に含まれていた課題や豊かな可能性を再認識し、そこから得られる示唆について議論しました。②は、郷土博物館が、地域住民を巻き込んだ聞き書き実践(浦安・聞き書き隊)をとおして人の心を動かし、地域社会を動かしていった取り組みを事例に、「歴史を書き綴る住民たち――地域にとってのオーラル・ヒストリー/オーラル・ヒストリーにとっての地域」と題するワークショップをおこない、オーラル・ヒストリーの社会性について考えました。
そして今大会では、③をおこないます。JOHAが設立されて10周年を迎えるなかで、この10年の到達点はなんなのか。それは何をもたらしたのか。そしてそこからさきに何をやっていくのか。それらを参加者相互でざっくばらんに対話・議論できるような時間にしたいと考えています。
この10年の動きとして特徴的なことのひとつは、歴史においても複数の現実やストーリーがあり、オーラル・ヒストリーが語り手と聞き手との相互の対話によって共同構築されたものだという見方が定着してきたことだといえるでしょう。それはひとつの学問運動であったともいえます。では、それはいったい何をもたらしたのでしょうか。そして、そこから見えてくる課題としてどういうことがあり、そのさきに私たちは何をしていけばよいのでしょうか。それらを考えるときに大きな論点として挙がってくるのが、あえて端的に表現すれば、ヒストリーかストーリーか、誰が歴史や現実をつくるのか、といった問題でしょう。
本セッションではこれらの論点とその周辺をめぐり、まず前半で、この10年の動きの影響を一身に受けてきた若手研究者のお二人(石川良子さん、小薗崇明さん)に、ご自身のフィールド経験と絡めてご報告していただきます。そしてそれに対して、この10年の動きを牽引してきたベテラン研究者のお二人(桜井厚さん、大門正克さん)にコメントをしていただきます。ですが、これらはあくまで議論の口火であり、むしろメインは後半です。後半では、上記4人の対話を触媒として、フロア参加者全員で相互に議論をおこないます。即席の少人数グループをつくり、各グループに分かれてそれぞれに対話・意見交換をおこない、それを全体での議論に反映させていきます。
つまり、登壇者の報告とコメントをじっくり聞くというよりは、議論の前提となる現場・研究を踏まえながら、参加者相互に問題や論点を提示し、JOHAの今後の方向性・課題を浮き彫りにしていくセッションにできればと考えています(上掲タイムテーブル参照)。
議論の口火を切っていただく登壇者は、歴史学と社会学の研究者を中心に構成されていますが、オーラル・ヒストリーへの関わりが歴史学と社会学だけではないことはいうまでもありません。なによりJOHAは、大学の研究者だけではない多様多彩な在野の研究者・実践者が多く参加しているところが大きな特徴であり、強みでもありましょう。グループワークと全体での議論で、さまざま立場の方々のご経験・お考えを、おおいに出し合っていただき、交差させていくことができければと思います。(文責:小倉康嗣)

報告者の報告概要
■石川良子「ライフストーリー研究に何ができるか」(仮題)
ライフストーリー研究では、語り手の語ったことを聞き手とのやりとりを通して構成されるストーリーと捉え、事実や体験の表象そのものとしては受け入れない。したがって、従来の社会調査が主目的としてきた仮説検証や実態把握は、その目指すところから外れることになる。しかしながら、ライフストーリー研究は何をしようとしているのか、一体何ができるのかということは、いまだ十分に論じられていない。本報告では、報告者が継続している「ひきこもり」の調査に根ざして、インタビューでの会話の脈絡や聞き手自身の経験を記述すること、また語りを史資料によって裏付ける所謂「脇固め」の作業はライフストーリー研究でどう位置づけられるのか、といった点について考察を加える。これを通して上述の問いに対する一定の見解を提示したい。

■小薗崇明「オーラル・ヒストリーによる『生きた』歴史の再構築――関東大震災の朝鮮人虐殺における聞き取り調査の聞き取りを通じて」
私の研究テーマは関東大震災下の虐殺であるが、この分野での聞き取り調査の貢献は大きい。震災から60年経た頃、各地域の人たち(中学・高校の教員や主婦など)による聞き取り調査で「実態」解明が進んだからである。特に千葉県は軍隊が近くの村民に朝鮮人を渡して殺害させた事例を明らかにした。しかし90周年を迎え、当時の体験者からの聞き取り調査が困難になった。この状況下、私は地域(千葉)の聞き取り調査者たちに聞き取り調査をおこなった(『地域に学ぶ関東大震災』2012年)。そこで感じたのは、豊富で多様な語りが研究報告や文書化される際にこぼれ落ちる点が多いことである。聞き手や書き手からこぼれた語りは、すでに歴史学的な手法によって構築された「実態」が大いに関係しており、朝鮮人虐殺研究の場合、当時、どこで、何がおきたかに関心が寄せられた。この関心では、体験者がいなくなると聞き取りは不可能になってしまう。しかし、直接の体験者以外も朝鮮人虐殺の記憶を受け継いでいる人たち(加害地域の人、在日朝鮮人、調査者など)はいて、各自のなかで歴史的な問題は生きている。私の関心はそれぞれの歴史を遡って虐殺は何だったかを考えることであり、そのためのオーラル・ヒストリーの手法について検討したい。

コメンテーターのプロフィール(ご本人からのメッセージ)
■桜井厚
十年一昔というならJOHAに設立準備会からかかわってきた古参である。一貫して歴史的経験への関心をもっており、現在も戦争体験の語りつぎなどの調査研究をおこなっている。JOHAの場を離れると自分の専門ではほとんどライフストーリーの名称を使っているのは、歴史表象もライフの経験から捉えられるという観点からだが、ライフストーリーにはとくにインタビューの場における相互行為と語りの共同制作の意味が込められていると思っているからでもある。相互行為は対話に通じ私も「対話」を使うが、ときに対話の強調は、語り手と聞き手の立場性や非対称性を無化して調査行為に過剰な期待をもたせる危惧をもつ。リアリティとストーリーの対比を越えた次元も含め、報告者や参加者との議論を楽しみたい。

■大門正克
私はJOHAの会員ではあるが、この10年の活動へのかかわりは薄い。それでも、今回コメントを引き受けたのは、オーラル・ヒストリーをめぐる対話の必要性と機運を感じていたからである。1970年代末の大学院生以来、私は人に話を聞きながら歴史研究を続けてきた。聞き取り(オーラル・ヒストリー)は紆余曲折をたどり、人に話を聞くということはどういうことなのかを考えるようになった。今では、「対話」「往還」「双方向」「応答」という言葉を手がかりに語り手と聞き手の関係を考えている。本セッションは、報告とコメントの対話に始まり、参加者相互の対話、全体での対話というように、対話をくりかえしてオーラル・ヒストリーを問いなおす場である。聞き取りで私が感じている対話や往還は、本セッションのなかでどのように位置づくのか、今から楽しみにしている。

懇親会 18:00~20:00  懇親会費 一般 4000円 学生その他 2000円
場所:食堂 こかげ

第2日目 7月28日(日)受付開始 8:40
自由報告:9:00~12:00

第3分科会 N623教室
司会 滝田祥子

1.移動・帰還・「再統合」:インドネシア東南スラウェシ州の元研修生の経験の語りから(Migration, Return, and ‘Reintegration’: Investigated through Narratives on Experiences of Ex-trainees from Southeast Sulawesi Province, Indonesia)
山口裕子(一橋大学)

2.女たちの月明会-植民地女学校出身者のネットワークと人生-(Women’s  Getsumeikai-Lives and networks of colonial girls’ school graduates)
藤井和子(関西学院大学大学院)

3.「普通の人として生きる」ことの意味-海外養子として海を渡ったある日本語学習者の語りから-(Meaning of “living as an ordinary person”:From the story of a Japanese learner who crossed the ocean as an adopted child.)
鄭 京姫(早稲田大学)

4.「表現の自由」対「人権」-ハンセン病を患った元日本兵捕虜をめぐる最近の事例(“Freedom of Expression” Versus “Human Rights”: Recent Incidents Against a Former Japanese POW with Hansen’s Disease)
山田真美(お茶の水女子大学大学院)

第4分科会 N636教室
司会 八木良広

1.元教師インタビューによる戦後初期コア・カリキュラムの再把握(Re-designing Core Curriculum of the Early Postwar by the Interviews with Former Teachers)
金馬国晴(横浜国立大学)

2.長崎県外海地域のかくれキリシタン-信者が語る信仰と非信者の語る信仰-(The Kakure Kirishitan in Sotome area (Nagasaki):Faith according to the believers and the non beliebers)
小泉優莉菜(神奈川大学大学院)

3.東京大空襲被災者のライフヒストリーと死者に対する罪意識(Survivor’s Guilt and life history of the Tokyo Air Raid survivor)
木村 豊(慶應義塾大学大学院)

4.アメリカに住む原爆被爆者のオーラル・ヒストリー(Oral histories of atomic bomb survivors living in the U.S.)
根本雅也(一橋大学)

総会  12:15~13:00(選挙結果報告あり) 場所:N623教室
昼食休憩  13:00~13:50

記念講演会   14:00~16:00  場所:N623教室
「語りがたきを語る(仮)」アーサー・フランク博士(『傷ついた物語の語り手』著者)
司会 塚田 守(本学会会長) 通訳 有馬斉(横浜市立大学)

第10回のシンポジム「語りから『いのち』について考えるー聞き難いものを聞き、語り、書くー 」では、身近な人、深くかかわった人を失う経験を持ち、人は死と向かい合い、初めて「いのち」について考えるのではないか、残された者の「失われたいのち」との関わる時、人は「いのち」について語り始め、生きていく意味について考え、いまの自分を再考するのではないかとして、残された者の「いのちについての語り」について議論するというテーマ設定で行われ、心理学、社会学、そして、看護の現場の視点から、「いのち」について語ることについて議論された。
昨年のシンポジウムを展開するかたちで、学会創設10周年を記念するシンポジウムでは、病いの語りに関する研究の第1人者であるアーサー・フランク教授を招聘し「語りがたきを語る」がテーマとして記念講演していただく。フランク教授は、1991年にご自身の癌の体験に基づいたAt The Will of the Body(『からだの知恵に聴くー人間尊重の医療を求めて』)を出版し、その後、病いの体験を社会学的に研究した著書『傷ついた物語の語り手』で、日本でも知られるようになった。2010年には、Letting Stories Breathe: A Socio-narratologyを出版し、語りの社会学を理論的に展開している。病いを経験した「当事者」の視点、語りの社会学的分析、語りに関する理論的議論に関する講演は、会員の皆様にも有益なものになるであろう。(塚田 守)

JOHA11大会プログラムの公開

日本オーラル・ヒストリー学会10周年記念大会プログラム
Japan Oral History Association 11th Annual Conference

JOHA11が、2013年7月27日(土),28日(日)の二日間にわたり、立教大学新座キャンパスにおいて開催されます。今回は、例年の自由報告部会のほかに、記念テーマセッションと記念講演の特別プログラムになっております。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。

大会第1日目 7月27日(土)
受付開始  10:00 新座キャンパス6号館2階N623前
自由報告  10:30~12:30
第1分科会N623・第2分科会N636
設立10周年記念大会テーマセッション  13:30~17:30 N623
「JOHA10年 いまオーラル・ヒストリーを問いなおす――ヒストリーとストーリーのはざまで」
報告者
石川良子・小薗崇明
コメンテーター
桜井厚・大門正克

懇親会  18:00~20:00
場所:食堂 こかげ

大会第2日 7月28日(日)
自由報告  9:00~12:00
第3分科会N623・第4分科会N636
総会  12:15~13:00 N623
昼食休憩及び新理事会  13:00~13:50
記念講演会  14:00~16:00 N623
「語りがたきを語る(仮)」アーサー・フランク博士(『傷ついた物語の語り手』著者)
通訳 有馬斉

1.大会実行委員会
日本オーラル・ヒストリー学会事務局 山田富秋
研究活動委員会委員長 小倉康嗣
大会本部連絡先 JOHA事務局までメールにてお願いします。
joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp
2.大会会場とアクセス
立教大学新座キャンパス 6号館(N623スタジオ・N636シアター)及び2号館(225,226,227,228)
アクセス:
https://www.rikkyo.ac.jp/access/niiza/direction/
○東武東上線(地下鉄有楽町線相互乗り入れ)利用/「志木駅」下車 スクールバス約7分(運行時間12:30~19:00、運賃無料)、徒歩約15分 または、南口西武バス利用 (清瀬駅北口行 または 所沢駅東口行 ・「立教前」下車) 約10分
○JR武蔵野線利用/「新座駅」下車 スクールバス利用約10分(運行時間7:30~20:00、運賃無料)、徒歩約25分 または、南口西武バス利用(志木駅南口行き・北野入り口経由 ・「立教前」下車)約10分
○スクールバスは土日は本数が少なくなります。次のサイトで運行情報等ご確認ください。
http://www.rikkyo.ac.jp/access/niiza/schoolbus/
3.大会参加費
学会員 1,000円(両日合わせて)
学会員以外 一日参加 1,000円 両日参加 2,000円
4.懇親会 18:00~20:00
7月27日(土) 食堂 こかげ
一般=4,000円、大学院生,その他=2,000円
5.クローク 学会本部の225教室に荷物をお預けください。
6.会員控え室 両日とも 226教室です。自動販売機は6号館北隣学生食堂にございます。
7.トイレ・洗面所は6号館エレベーターフロア、喫煙所は6号館南隣5号館1階、2階外にございます。
8.昼食 土曜日はキャンパス内の食堂がオープンしています。日曜日は正門右手方向にインド料理、手打ち蕎麦、正門左手に「いなげや」等ございます。
9.宿泊 東武トラベル東京が7月27日(土)の学会会場近くの宿泊について、本学会会員専用の予約を取り扱っています。下記にアクセスしてご予約ください。他の都内の宿泊先については、各自でお取りください。
http://www.tobutravel.co.jp/fixed_page/oral_history
10.自由報告にてレジュメを用意される方は、50部程度ご用意ください。万一不足の場合、大会本部ではコピー等致しかねますので、ご了承ください。
11.書店スペースに会員の催物のチラシを置くコーナーを設けますので、希望者はご利用ください。

プログラム詳細版
前日 7月26日(金) 17:30~ 旧理事会 新座キャンパス太刀川記念会館
第1日目 7月27日(土) 受付開始
10:00  場所 6号館2階N623前
自由報告  10:30~12:30
※自由報告は、1報告につき30分を予定しています。内訳は報告20分+質疑応答10分ですが、司会の指示にしたがってください。
第1分科会 N623教室
司会 好井裕明
1.技術者教育におけるオーラル・ヒストリーの可能性 事例報告:授業の一環として学生が青函連絡船:羊蹄丸のオーラル・ヒストリーに取り組んだ事例(Learning Oral History of “Seikan” Train Ferries, Yotei Maru: An Application of the Method of Oral History in Engineering Education)竹原信也(奈良工業高等専門学校)
2.岐阜県飛騨市「数河獅子」のオーラル・ヒストリー(An oral history of “Sugou-shishi” in Gifu prefecture Hida city)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)
3.オーラル・ヒストリーとアーカイブズ-記憶と証拠資料の事例から(Oral history and archives; based on the case of memory and documentary  evidence)
嶋田典人(香川県文書館)

第2分科会 N636教室
司会:倉石一郎
1.父親の家庭回帰の難しさについて?不登校の親の会に参加する父親の語りを中心に(A Study on the difficulties of father in his home: interviews for fathers who attend the association of parents suffering from their child being “Futoko”)
加藤敦也(武蔵大学非常勤)
2.統合失調症の娘を抱える父親のライフ・ストーリー(A Life Story of a Father Who Has a Daughter with Schizophrenia)
青木秀光(立命館大学大学院)
3.移住労働者の語りからみた言語習得:韓国のあるインドネシア人コミュニティにおける事例(Language acquisition as seen throughout narrative of migrant workers:An example of a certain Indonesian community in Korea)
吹原豊(福岡女子大学)

昼食休憩 12:30~13:20

午後の部
設立10周年記念大会テーマセッション 13:30~17:30
JOHA10周年 いまオーラル・ヒストリーを問いなおす ―ヒストリーとストーリーのはざまで―
場所 N623教室
司会:小倉康嗣(立教大学)、山本唯人(政治経済研究所)
報告者:石川良子(松山大学)「ライフストーリー研究に何ができるか」(仮題)
小薗崇明(専修大学大学院)「オーラル・ヒストリーによる『生きた』歴史の再構築――関東大震災の朝鮮人虐殺における聞き取り調査の聞き取りを通じて」
コメンテーター:桜井厚(元JOHA会長)、大門正克(横浜国立大学)
タイムテーブル
13:30~13:40 趣旨説明
13:40~14:40 報告:石川さん(30分)、小薗さん(30分)
14:40~15:10 コメント:桜井さん(15分)、大門さん(15分)
15:10~15:15 フロア参加者の即席グループを構成
15:15~15:30 休憩(客席収納のためいったん会場の外に出ていただきます)、客席収納、グループになる
15:30~15:40 桜井さん・大門さんのコメントに対して、石川さん・小薗さんから一言リプライ(グループでの議論の口火として)
15:40~16:30 車座になってグループで議論(床に座っても大丈夫な服装でおいでください)
16:30~17:30 各グループでの議論の踏まえての全体討論、各登壇者からのコメント、全体総括
開催趣旨
日本オーラル・ヒストリー学会は、今大会で設立10周年を迎えます。この節目を迎えるにあたり、今期研究活動委員会では「足場論」をおこなうべく、昨年度より大会セッションやワークショップを企画してきました。ここにいう足場論とは、日本のオーラル・ヒストリー研究は何をやってきた/やっていくのかという学問としての足場論であり、同時に、それを可能にする場としてJOHAが何をやってきた/やっていくのかという学会としての足場論でもあります。
それを実践するために立てた柱が、①オーラル・ヒストリー研究/実践の源流・潮流をたどる、②社会のなかのオーラル・ヒストリー研究/実践について考える、③この10年の動きがなんだったのかを確かめつつ、そのさきに何をやっていくべきなのか展望と構想につながる議論に架橋していく、という3つの柱でした。①は、前大会において、女性史発祥の地である名古屋で大会が開催されることにちなんで、「日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる――地域女性史の歩みから」と題する記念セッションをおこない、実践的学知としてのオーラル・ヒストリーがどのように始まったのか、その原点に含まれていた課題や豊かな可能性を再認識し、そこから得られる示唆について議論しました。②は、郷土博物館が、地域住民を巻き込んだ聞き書き実践(浦安・聞き書き隊)をとおして人の心を動かし、地域社会を動かしていった取り組みを事例に、「歴史を書き綴る住民たち――地域にとってのオーラル・ヒストリー/オーラル・ヒストリーにとっての地域」と題するワークショップをおこない、オーラル・ヒストリーの社会性について考えました。
そして今大会では、③をおこないます。JOHAが設立されて10周年を迎えるなかで、この10年の到達点はなんなのか。それは何をもたらしたのか。そしてそこからさきに何をやっていくのか。それらを参加者相互でざっくばらんに対話・議論できるような時間にしたいと考えています。
この10年の動きとして特徴的なことのひとつは、歴史においても複数の現実やストーリーがあり、オーラル・ヒストリーが語り手と聞き手との相互の対話によって共同構築されたものだという見方が定着してきたことだといえるでしょう。それはひとつの学問運動であったともいえます。では、それはいったい何をもたらしたのでしょうか。そして、そこから見えてくる課題としてどういうことがあり、そのさきに私たちは何をしていけばよいのでしょうか。それらを考えるときに大きな論点として挙がってくるのが、あえて端的に表現すれば、ヒストリーかストーリーか、誰が歴史や現実をつくるのか、といった問題でしょう。
本セッションではこれらの論点とその周辺をめぐり、まず前半で、この10年の動きの影響を一身に受けてきた若手研究者のお二人(石川良子さん、小薗崇明さん)に、ご自身のフィールド経験と絡めてご報告していただきます。そしてそれに対して、この10年の動きを牽引してきたベテラン研究者のお二人(桜井厚さん、大門正克さん)にコメントをしていただきます。ですが、これらはあくまで議論の口火であり、むしろメインは後半です。後半では、上記4人の対話を触媒として、フロア参加者全員で相互に議論をおこないます。即席の少人数グループをつくり、各グループに分かれてそれぞれに対話・意見交換をおこない、それを全体での議論に反映させていきます。
つまり、登壇者の報告とコメントをじっくり聞くというよりは、議論の前提となる現場・研究を踏まえながら、参加者相互に問題や論点を提示し、JOHAの今後の方向性・課題を浮き彫りにしていくセッションにできればと考えています(上掲タイムテーブル参照)。
議論の口火を切っていただく登壇者は、歴史学と社会学の研究者を中心に構成されていますが、オーラル・ヒストリーへの関わりが歴史学と社会学だけではないことはいうまでもありません。なによりJOHAは、大学の研究者だけではない多様多彩な在野の研究者・実践者が多く参加しているところが大きな特徴であり、強みでもありましょう。グループワークと全体での議論で、さまざま立場の方々のご経験・お考えを、おおいに出し合っていただき、交差させていくことができければと思います。(文責:小倉康嗣)

報告者の報告概要
■石川良子「ライフストーリー研究に何ができるか」(仮題)
ライフストーリー研究では、語り手の語ったことを聞き手とのやりとりを通して構成されるストーリーと捉え、事実や体験の表象そのものとしては受け入れない。したがって、従来の社会調査が主目的としてきた仮説検証や実態把握は、その目指すところから外れることになる。しかしながら、ライフストーリー研究は何をしようとしているのか、一体何ができるのかということは、いまだ十分に論じられていない。本報告では、報告者が継続している「ひきこもり」の調査に根ざして、インタビューでの会話の脈絡や聞き手自身の経験を記述すること、また語りを史資料によって裏付ける所謂「脇固め」の作業はライフストーリー研究でどう位置づけられるのか、といった点について考察を加える。これを通して上述の問いに対する一定の見解を提示したい。
■小薗崇明「オーラル・ヒストリーによる『生きた』歴史の再構築――関東大震災の朝鮮人虐殺における聞き取り調査の聞き取りを通じて」
私の研究テーマは関東大震災下の虐殺であるが、この分野での聞き取り調査の貢献は大きい。震災から60年経た頃、各地域の人たち(中学・高校の教員や主婦など)による聞き取り調査で「実態」解明が進んだからである。特に千葉県は軍隊が近くの村民に朝鮮人を渡して殺害させた事例を明らかにした。しかし90周年を迎え、当時の体験者からの聞き取り調査が困難になった。この状況下、私は地域(千葉)の聞き取り調査者たちに聞き取り調査をおこなった(『地域に学ぶ関東大震災』2012年)。そこで感じたのは、豊富で多様な語りが研究報告や文書化される際にこぼれ落ちる点が多いことである。聞き手や書き手からこぼれた語りは、すでに歴史学的な手法によって構築された「実態」が大いに関係しており、朝鮮人虐殺研究の場合、当時、どこで、何がおきたかに関心が寄せられた。この関心では、体験者がいなくなると聞き取りは不可能になってしまう。しかし、直接の体験者以外も朝鮮人虐殺の記憶を受け継いでいる人たち(加害地域の人、在日朝鮮人、調査者など)はいて、各自のなかで歴史的な問題は生きている。私の関心はそれぞれの歴史を遡って虐殺は何だったかを考えることであり、そのためのオーラル・ヒストリーの手法について検討したい。

コメンテーターのプロフィール(ご本人からのメッセージ)
■桜井厚
十年一昔というならJOHAに設立準備会からかかわってきた古参である。一貫して歴史的経験への関心をもっており、現在も戦争体験の語りつぎなどの調査研究をおこなっている。JOHAの場を離れると自分の専門ではほとんどライフストーリーの名称を使っているのは、歴史表象もライフの経験から捉えられるという観点からだが、ライフストーリーにはとくにインタビューの場における相互行為と語りの共同制作の意味が込められていると思っているからでもある。相互行為は対話に通じ私も「対話」を使うが、ときに対話の強調は、語り手と聞き手の立場性や非対称性を無化して調査行為に過剰な期待をもたせる危惧をもつ。リアリティとストーリーの対比を越えた次元も含め、報告者や参加者との議論を楽しみたい。
■大門正克
私はJOHAの会員ではあるが、この10年の活動へのかかわりは薄い。それでも、今回コメントを引き受けたのは、オーラル・ヒストリーをめぐる対話の必要性と機運を感じていたからである。1970年代末の大学院生以来、私は人に話を聞きながら歴史研究を続けてきた。聞き取り(オーラル・ヒストリー)は紆余曲折をたどり、人に話を聞くということはどういうことなのかを考えるようになった。今では、「対話」「往還」「双方向」「応答」という言葉を手がかりに語り手と聞き手の関係を考えている。本セッションは、報告とコメントの対話に始まり、参加者相互の対話、全体での対話というように、対話をくりかえしてオーラル・ヒストリーを問いなおす場である。聞き取りで私が感じている対話や往還は、本セッションのなかでどのように位置づくのか、今から楽しみにしている。

懇親会 18:00~20:00  懇親会費 一般 4000円 学生その他 2000円
場所:食堂 こかげ

第2日目 7月28日(日)受付開始 8:40
自由報告:9:00~12:00
第3分科会 N623教室
司会 滝田祥子
1.移動・帰還・「再統合」:インドネシア東南スラウェシ州の元研修生の経験の語りから(Migration, Return, and ‘Reintegration’: Investigated through Narratives on Experiences of Ex-trainees from Southeast Sulawesi Province, Indonesia)
山口裕子(一橋大学)
2.女たちの月明会-植民地女学校出身者のネットワークと人生-(Women’s  Getsumeikai-Lives and networks of colonial girls’ school graduates)
藤井和子(関西学院大学大学院)
3.「普通の人として生きる」ことの意味-海外養子として海を渡ったある日本語学習者の語りから-(Meaning of “living as an ordinary person”:From the story of a Japanese learner who crossed the ocean as an adopted child.)
鄭 京姫(早稲田大学)
4.「表現の自由」対「人権」-ハンセン病を患った元日本兵捕虜をめぐる最近の事例(“Freedom of Expression” Versus “Human Rights”: Recent Incidents Against a Former Japanese POW with Hansen’s Disease)
山田真美(お茶の水女子大学大学院)

第4分科会 N636教室
司会 八木良広
1.元教師インタビューによる戦後初期コア・カリキュラムの再把握(Re-designing Core Curriculum of the Early Postwar by the Interviews with Former Teachers)
金馬国晴(横浜国立大学)
2.長崎県外海地域のかくれキリシタン-信者が語る信仰と非信者の語る信仰-(The Kakure Kirishitan in Sotome area (Nagasaki):Faith according to the believers and the non beliebers)
小泉優莉菜(神奈川大学大学院)
3.東京大空襲被災者のライフヒストリーと死者に対する罪意識(Survivor’s Guilt and life history of the Tokyo Air Raid survivor)
木村 豊(慶應義塾大学大学院)
4.アメリカに住む原爆被爆者のオーラル・ヒストリー(Oral histories of atomic bomb survivors living in the U.S.)
根本雅也(一橋大学)
総会  12:15~13:00(選挙結果報告あり) 場所:N623教室

昼食休憩  13:00~13:50

記念講演会   14:00~16:00  場所:N623教室
「語りがたきを語る(仮)」アーサー・フランク博士(『傷ついた物語の語り手』著者)
司会 塚田 守(本学会会長) 通訳 有馬斉(横浜市立大学)

第10回のシンポジム「語りから『いのち』について考えるー聞き難いものを聞き、語り、書くー 」では、身近な人、深くかかわった人を失う経験を持ち、人は死と向かい合い、初めて「いのち」について考えるのではないか、残された者の「失われたいのち」との関わる時、人は「いのち」について語り始め、生きていく意味について考え、いまの自分を再考するのではないかとして、残された者の「いのちについての語り」について議論するというテーマ設定で行われ、心理学、社会学、そして、看護の現場の視点から、「いのち」について語ることについて議論された。
昨年のシンポジウムを展開するかたちで、学会創設10周年を記念するシンポジウムでは、病いの語りに関する研究の第1人者であるアーサー・フランク教授を招聘し「語りがたきを語る」がテーマとして記念講演していただく。フランク教授は、1991年にご自身の癌の体験に基づいたAt The Will of the Body(『からだの知恵に聴くー人間尊重の医療を求めて』)を出版し、その後、病いの体験を社会学的に研究した著書『傷ついた物語の語り手』で、日本でも知られるようになった。2010年には、Letting Stories Breathe: A Socio-narratologyを出版し、語りの社会学を理論的に展開している。病いを経験した「当事者」の視点、語りの社会学的分析、語りに関する理論的議論に関する講演は、会員の皆様にも有益なものになるであろう。(塚田 守)

JOHA10周年記念大会@立教大学新座キャンパスのご案内

今年度の学会大会は10周年記念ということで、大きな企画を2つ行います。会員・非会員を問わず、オーラル・ヒストリーに関心のある方はぜひ参加ください。また、例年と違い、開催時期を7月末に設定しましたので、ご注意ください。

まず、第1日目に参加型のテーマセッションを行います。これは、4人の登壇者に問題提起を行っていただき、その後は、参加者にグループワークという形式で、ディスカッションをしていただき、それを踏まえて再び全体討論と登壇者からのコメントを付与するというものです。フロアの方々の参加を可能にするために、全体で4時間を確保しています。

もう一つは第2日目に「病いの語り」研究で高名なアーサー・フランク博士の講演を行います。ここ何年間かJOHAで継続して取り上げてきた、死と病と喪失のテーマに連続するものです。日本語通訳もつきますので、ふるって参加ください。

なお、今年度から学会員の大会参加費は一律1,000円としました。よろしくお願いいたします。非会員は一日参加で1,000円ですので、二日間フルの参加であれば、2,000円となります。

JOHA事務局

大会第1日目 7月27日(土)
受付開始     10:00
自由報告:10:30~12:30
第1分科会・第2分科会
設立10周年記念大会テーマセッション 13:30~17:30
「JOHA10年 いまオーラル・ヒストリーを問いなおす――ヒストリーとストーリーのはざまで」
報告者
石川良子・小薗崇明
コメンテーター
桜井厚・大門正克

懇親会  18:00~20:00
場所:食堂 こかげ

大会第2日 7月28日(日)
自由報告:9:00~12:00
第3分科会・第4分科会
総会:12:15~13:00
昼食休憩:13:00~13:50
記念講演会 14:00~16:00 「語りがたきを語る(仮)」アーサー・フランク博士(『傷ついた物語の語り手』著者)
通訳 有馬斉

2013年度日本オーラルヒストリー学会ワークショップ(5/19)のお知らせ

2013年度日本オーラルヒストリー学会ワークショップ

歴史を書き綴る住民たち
地域にとってのオーラルヒストリー/オーラルヒストリーにとっての地域

報告
林奈都子氏(浦安郷土博物館主任学芸員)
「ハマの記憶を明日へ-浦安市郷土博物館 聞き書き事例報告-」
浦安市郷土博物館では、平成20年度に市民ボランティアを募り、「浦安・聞き
書き隊」を組織して、聞き書き活動を行いました。小さな漁師町だった浦安が、
漁業権放棄と海面埋立を決意するきっかけとなった「黒い水事件(本州製紙江戸
川工場乱闘事件)」から、ちょうど50年目にあたる年のことです。
地域博物館におけるこの取り組みを、これからのまちづくりへの展望を踏まえ
て、事例報告させていただきます。

コメント
宮崎黎子氏(足立区在住、地域女性史研究)

日時 5月19日(日)13時開場、13時30分開始
場所 大東文化会館(東武東上線「東武練馬駅」から徒歩3分)4F会議室
時間 13時30分~16時30分
資料代 500円

アクセスマップ
http://www.daito.ac.jp/file/block_49513_01.pdf

主催:日本オーラルヒストリー学会 http://joha.jp/
お問い合わせ:和田 悠(学会理事・研究活動委員)yuwada@rikkyo.ac.jp

学会設立10周年記念大会の自由論題申し込みについて

JOHA設立10周年(第11回)大会の自由論題を募集します。今年は記念すべき10周年に当たり、7月27日(土)~28日(日)(立教大学新座キャンパス)と時期も変更になりました。自由報告の時間帯は、27日と28日両日の午前中です。ふるって発表を申し込んでください。申し込み締切りは、2013年5月31日(金)(必着)です。エントリーの詳細は以下の通りです。

JOHA11 自由論題報告者募集/Call for Papers

JOHA設立10周年記念大会の自由論題の報告者(英語報告部会を含む)を募集します。報告を希望する会員は、氏名・所属・報告タイトル(日本語および英語)、報告要旨(300字、日本語)、使用機器の有無を添えて、以下の手続きでお申し込みください。申込書はこちらからダウンロードしてください。なお、申し込みの資格は、申し込み時点でJOHAの会員であること、および2012年度会費納入済みであることです。申し込み締切りは、2013年5月31日(金)(必着)です。

自由論題報告申し込み手続き

  1. 申込用紙に必要事項を記入し、メール添付の上、JOHA事務局 山田富秋と研究活動委員会委員長 小倉康嗣宛の両方に必ずお送りください。折り返し、事務局より受付の返信をします。返信がない場合は、ご面倒でもお問い合わせください。
    >>自由報告申し込み用紙
    JOHA事務局 joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp.
    研活委員長  YRR03103[at]nifty.ne.jp
  2. メールで連絡できない方は、申込用紙をJOHA事務局へ郵送してください。受領連絡が必要な場合は返信用ハガキを同封してください。
    〒790-8578 愛媛県松山市文京町4-2
    松山大学人文学部山田研究室 JOHA事務局

第11回日本オーラル・ヒストリー学会大会予定

日時:2013年7月27日(土)~28日(日)
7月27日(土)午前 自由報告 午後 記念テーマセッション
7月28日(日)午前 自由報告 午後 記念講演
自由報告部会:27日(土)午前 10:30~12:30 28日午前 9:00~12:00
会場:立教大学新座キャンパス
〒352-0003 埼玉県新座市北野1丁目2-26
大会問い合わせ先:JOHA事務局 山田富秋 (joha.secretariat[at]ml.rikkyo.
ac.jp.)