JOHA2022 6月シンポジウムのお知らせ 「語りを一冊に編みあげるまで -野入直美(2021)『沖縄-奄美の境界変動と人の移動』を手掛かりに-」

JOHA2022 6月シンポジウムのお知らせ
 
語りを一冊に編みあげるまで-野入直美(2021)『沖縄-奄美の境界変動と人の移動』を手掛かりに-

 JOHA会員にとって、人びとのオーラルヒストリー/ライフストーリーを聞きとり、それにもとづき研究論文や聞き書きや本にするという実践は研究の核になる活動です。これまでも「よい論文を書く」という企画や「作品と現地をつなぐ」という企画は好評を博してきました。そこで、今回は、聞きとりを如何にして一冊の本に編みあげるのかを主題に、625日(土)午前に、下記のようなシンポジウムを開催いたします。

 語りを論文化する場合もですが、語りから一冊の本を編みあげるまでの過程も多くの選択と工夫が必要です。数名の語りか一人の語りか、語りと背景説明や解釈をどう編集するか、方言をそのまま使うかある程度編集するか等々。それに何よりも、聞きとりは語り手の役割が非常に重要ですし、出版編集者の役割も興味深いものがあります。

 そこで今回は、野入直美会員の最近作『沖縄-奄美の境界変動と人の移動』(みずき書林、2021年)を手掛かりに、野入会員、語り手の重田辰弥氏、編集者の岡田林太郎氏に登壇していただき、本書完成までのプロセスと想いを語っていただきます。

 また、『生活史宣言-ライフヒストリーの社会学』(慶応義塾大学出版会、2012年)や『死別の社会学』(共編、青弓社、2015年)ほか多くの編著書をものしてきた有末賢会員と、『ヒロシマ・パラドクス』(勉誠出版、2018年)という話題作で注目されている根本雅也会員のお二人からコメントしていただきます。参加の皆様方の率直な質問も踏まえ、「語りから一冊の本を編む」という研究実践に関して論じ尽くします。

 多くの会員の皆様のご参加をお待ちしております。                                    2022515

220625JOHAシンポジウム「語りを一冊に編みあげるまで」

(1)日時:2022625日午前10時~12時半(最長13時)

(2)開催方式:ハイブリッド方式、会場:上智大学2号館5FGS会議室

*会場参加の場合は、正門から入場ください。

 守衛さんに「2号館5階でのJOHAシンポ参加」とお伝えください。

(3)プログラム(午前10時~12時半)

・「趣旨説明」蘭 信三(大和大学)

・「語りを紡ぐ」野入直美(琉球大学)

・「人生を語る」重田辰弥(関東沖縄経営者協会・顧問)

・「語りを生かす」岡田林太郎(みずき書林)

・「コメント」有末 賢(亜細亜大学)、根本雅也(松山大学)

・リプライ+「総合討論」

・「閉会」安岡健一(大阪大学)

なお、本シンポジウム参加は6月24日までに事前登録が必要です:
登録後、シンポジウム参加に関する情報の確認メールが届きます。
 
以上です。
 
問い合わせ先
JOHA研究活動委員 蘭 信三(大和大学社会学部)araragi.shinzo@yamato-u.ac.jp

JOHA20(第20回大会)報告エントリー募集

2022年度のJOHA第20回大会の自由報告部会(個人報告/共同報告/テーマセッション)の報告者募集のご案内です。

JOHA第20回大会は、9月10日・11日に立教大学にて、現在のところ対面・オンライン併用のハイブリッド開催を予定しております。大会の詳細は、大会プログラムが確定する7月頃に決定次第、メーリングリストで会員のみなさまにお知らせするとともに、ウェブサイトに掲載します。ただし今後の新型コロナウィルス感染拡大の状況によっては、再調整の可能性があります。ふるってのご応募お待ちします。

◎第20回日本オーラル・ヒストリー学会大会

・日時:2022年9月10日(土)・11日(日)

・会場:立教大学

〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1

・自由報告部会は9月10日(土)午前と11日(日)午前の見込み。ほかに総会・シンポジウムなど。

◎自由報告(個人報告・共同報告テーマセッション)報告者募集

・個人報告および共同報告は、報告20分・質疑応答10分(合計30分)で構成されます。
・テーマセッションは、150分間(上限)の時間枠で設定できます。1人あたり報告時間は20分を目安とします。
・全体の時間配分・報告者人数・報告順・コメンテーターは、コーディネーターが調整してください。
・募集期間:2022年4月3日〜6月1日
・報告を希望する会員は申込用紙に各項目を記入のうえ、下記の応募要項に従ってお申し込みください。
【応募要項】
◆申し込み資格
申込時点でJOHAの会員であること、および2022年度会費納入済みであること。
(会費納入のご案内、振り込み用紙は4月中に郵送いたします)
◆申し込み手続き
1.申込用紙に記入し、メール添付で、必ず下記2アドレス両方宛にお送りください。
申込用紙(個人報告・共同報告/テーマセッション)
・JOHA事務局・佐藤量(joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp)
・研究活動委員会委員長・安岡健一(kyasuoka[at]let.osaka-u.ac.jp)
※迷惑メール防止のため[at]としております。実際のメール送信では[at]の部分は@を入力してください。
※折り返し、事務局より受付の返信をします。返信がない場合は、ご面倒でもお問い合わせください。
※JOHAのHP(http://joha.jp/)からも申込用紙をダウンロードすることができます。
2.メールで連絡できない方は、申込用紙をJOHA事務局へ郵送してください。受領連絡が必要な場合は返信用ハガキを同封してください。
〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1
立命館大学大学院 先端総合学術研究科 佐藤量宛
日本オーラル・ヒストリー学会事務局
◆申込締め切り
6月1日(水)(必着)
◆問い合わせ先:日本オーラル・ヒストリー学会事務局

JOHA事務局・佐藤量 (joha.secretariat[at] ml.rikkyo.ac.jp)

ロシア軍のウクライナ侵攻に対する声明

 2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻した。その間徐々に反戦の声が大きくなってはいるものの、出口はみえないまま戦火は増加の一途をたどっている。

 われわれ日本オーラル・ヒストリー学会は、これまで市井の人の語りに耳を傾けてきた。アジア・太平洋戦争経験者、戦争被害者、原爆被爆者、植民地主義の被害者、原発事故の避難者などである。それら多くの人の語りは、われわれに紛争、戦争など、人が人と殺し合うことがいかに無益であるか、そしてその結果が何世代にもわたり、人生に影響を及ぼすかを明らかにしてきた。そしてまさに今、これらの声を歴史に埋もれさせることなく、新しい悲痛な語りを生み出さないための取り組みが必要とされている。

 われわれは国籍、民族、思想といった違いを問わず、この侵攻に反対するすべての人と協調、連帯し、ロシア軍に対し即時の停戦、そしてウクライナからの撤退を要求する。われわれは人々の発信し続けるつぶやきから叫びに至る多様な声に耳を傾け、多くの人、そしてすべての国家が連帯し、武力ではなく対話によって解決すること強く望む。

 なお、このような状況においても、ロシア国民、とりわけ在日ロシア人の人権を踏みにじる行為は厳に慎んでいかなければならない。


2022
311日 日本オーラル・ヒストリー学会理事会

JOHA研究実践交流会 シリーズ「つながるオーラル・ヒストリー」 第1回 聞き取りプロジェクトの実践とその残し方/使い方  ―図書館・資料館とつながる―

 近年、「まちづくり」をはじめ様々な目的で 、研究者や市民など多様な主体によって聞き取りプロジェクトが取り組まれています。日本オーラル・ヒストリー学会は、聞き取りに取り組む皆さんの交流を促進するとともに、より充実した活動が実現できるよう貢献することを目指して、「つながる」をテーマに企画を準備しています。
 現在各地での聞き取りをつうじて生みだされている作品や展示、記録集は大変意義深いものです。しかし、その素材となった貴重な口述資料は、プロジェクトやイベントが終わったあとどうなっているでしょうか。地域にある資料保存にかかわる機関とつながり、シンプルな手順を踏むことで、保存し、将来的に活用できる可能性があります。
 今回の研究実践交流会では、聞き取りプロジェクトの実践をどのように「残し/使う」につなげるかに光をあてます。二部構成の第一部では実例として、沖縄県中城村で大学と社会教育施設が協力して取り組んだ、戦後引揚に関する聞き取りプロジェクトについて主催者から解説をいただき、その資料の保存と活用可能性について研究者・図書館員・学芸員が共同で報告します。
 第二部では、参加者の皆さんが実際に取り組んでいるプロジェクトや研究について、情報交換と課題の掘り起こしをおこないます。自分たちの取組を伝え、また他の地域の取組を知り、聞き取りを未来に残すための課題を掘り起こしていきましょう。かけがえのない語りを残していくために、今、何ができるかを共に考え、理解を深めていきたいと思います。
 研究者だけでなく、聞き取りに関心を持つさまざまな立場の方の参加を歓迎します。

2022年3月19日(土曜日)14:00-17:00  オンライン

※要事前登録(下記リンクより)
https://zoom.us/meeting/register/tJItdumqqTgsHN22YriPNQPApg1Ut-7zfK9w

第一部 実例・話題提供
久場崎の戦後引揚プロジェクトとその語りを残し、使うために
中村春菜(琉球大学)
安岡健一(大阪大学)
福山樹里(国立国会図書館)
澤岻大佑(中城村護佐丸歴史資料図書館)

第二部 参加者自身の実践と残し方
自己紹介と、意見交換

お問い合わせ
研究活動委員会・安岡健一 kyasuoka[a]let.osaka-u.ac.jp

『日本オーラル・ヒストリー研究』18 号原稿募集 及び 投稿規定

論文、研究ノート、聞き書き資料、書評、書籍紹介の原稿を募集いたします。投稿希望者は学会ホー ムページで公開されている最新版の投稿規定・執筆要領を参照の上、以下の編集委員会メールアドレス まで原稿をご送付ください。投稿に関するお問い合わせも下記アドレスまでお願いいたします。提出原 稿は査読審査を経たのち、6 月下旬ごろに掲載の可否が決定します。

募集期間:2022年2月20日(日)~3月5日(土)
※〆切が 17 号から 2 週間早くなります。お間違えのないようお気をつけください。 ※メールの送信ミスや誤配の可能性があるため、募集期間を設けています。余裕を持ってご送付いただ きますようお願いいたします。
○ 問合せ・応募原稿送付先:joha.editors(at)gmail.com( (at) 部分を@に替えて送信してくださ い。)

投稿規定・執筆要領最新版を熟読のうえ原稿を作成するようにお願いたします。投稿規定・執筆要領に 従っていない原稿は受理できません。

『日本オーラル・ヒストリー研究』投稿規定

投稿者は投稿規定・執筆要領を熟読のうえ原稿を執筆してください。また、最新版を学会ホームページに 掲載しているので、必ず確認してください。投稿規定・執筆要領に従っていない投稿は受理しません。

  1. 投稿は会員に限ります。まだ会員でない方は、投稿する前に入会の手続きを済ませてください。なお、 入会申込書の受理・会費の納入確認をもって入会手続きは完了します。
  2.  投稿原稿は原則として日本語か英語によるものとします。
  3. 投稿は下記のカテゴリーで未発表のものとし、それぞれ規定の文字数で執筆してください。なお、表題、英文要旨(論文のみ)、見出し、図表、注、文献リスト等も文字数に含みます。
    1. ・論文 16,000字〜28,000字以内
    2. ・研究ノート 18,000字以内 ※研究の中間報告、予備的考察や試論、研究の着想など、論文の形式には収まらないけれども発表する意義があるもの。 ・聞き書き資料、実践報告、研究動向(国内外・回顧と展望)、資料紹介、書評論文等 18000字以内※編集委員会が適当と判断したものも、受け付けます。
    3. ・図書紹介 2,000字以内 ※会員の自著紹介を歓迎します。また、非会員の著書も歓迎します。(英語論文に関しては執筆要綱を確認、その他は編集委員会に確認してください。)
  4. 論文の英文要旨は 200 語未満とします。英文の表題と要旨については、希望者には掲載決定後に編集 委員会を通じ、校閲作業を依頼します。ただし、この作業にかかる費用は投稿者の自己負担とします。
  5. 原稿は、執筆要領にしたがって、MS Word による横書きとします。審査用の原稿は、Word ファイルお よび pdf ファイル両方のデータを下記の編集委員会のメールアドレスまで電子メールに添付して送付 ください。原稿のファイル名は「投稿の日付け_投稿者氏名(ローマ字表記)」とします。 例)20220301_johataro.doc
  6. 投稿者は別ファイルに、氏名、郵便番号と住所・電話番号、メールアドレス、所属機関と電話番号、 投稿のカテゴリーを明記し、電子メールに添付してください。ファイル名は「投稿者」の氏名(ロー マ字表記)とします。例)johataro.doc
  7. 投稿原稿は原則として査読審査を経て、編集委員会が掲載の可否を決定します。また、審査は匿名で 行います。したがって、「拙著」「拙稿」などの表現や、研究助成、共同研究者への謝辞など、執筆者 と所属機関が特定できる情報は審査用原稿に記載してはいけません。ただし、掲載決定後に送ってい ただく完成原稿で修正・追記することができます。
  8. 本誌に掲載された論文等は、原則として本誌発行 1 年後に電子公開します。掲載原稿の著作権の一部 (複製権・公衆送信権)を、日本オーラル・ヒストリー学会に譲渡していただきます。著書などに転 載する場合や、機関リポジトリ等へ電子データを搭載する場合には、必ず本会の許諾を得てください。
  9. 当該論文の抜刷は、別途、有料にて制作可能です。ただし、50 部単位とし、抜刷の希望者は、初校返 送時に編集委員会に申し出てください。

原稿送付先: 日本オーラル・ヒストリー学会編集委員会

joha.editors(at)gmail.com

日本オーラル・ヒストリー学会編集委員会 酒井朋子・佐野直子・椙本歩美・米倉律・山田富秋

投稿規定・執筆要領_18号

理事会(第10期)

<任期:2021年9月から2023年大会まで>

会長:佐々木てる
事務局長:佐藤量
会計:李洪章

編集委員長:佐野直子
編集委員:酒井朋子
編集委員:椙本歩美
編集委員:山田富秋
編集委員:米倉律

研究活動委員長:安岡健一
研究活動委員:蘭信三
研究活動委員:大門正克
研究活動委員:清水美里
研究活動委員:謝花直美
研究活動委員:和田悠

広報委員長:野入直美

監事:赤嶺淳
監事:小林多寿子

日本オーラル・ヒストリー学会第19回大会のご案内

日本オーラル・ヒストリー学会第19回大会(JOHA19)を下記の要領で開催いたします。
今大会は、昨年度に引き続き新型コロナウィルスの感染拡大にともない、オンラインでの開催となります。至らない点も多々あるかと思いますが、ご理解をいただければ幸いです。

日本オーラル・ヒストリー学会 第19回大会
Japan Oral History Association 19th Annual Conference

開催日:2021年9月5日(日)
開催方法:Zoomミーティング(要事前申し込み)
下記URLから事前登録をお願いします。登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZIud-qvqjIvH9TqDiXxTwvVIEuueLbERpra

別途、会員宛にZoomミーティングアドレスをお伝えします。また、総会などの確定情報についても、随時、会員メーリングリストならびにJOHAホームページで更新していきます。

参加費:無料

大会に関してご不明な点がございましたら、下記までお問い合わせください。
問合せ先:joha19(at)ml.rikkyo.ac.jp

1.大会プログラム
2021年9月5日(日) 9時20分~16時40分 オンライン開催(Zoomミーティング)

9:20 開会 開催校挨拶

9:30〜11:30 自由報告部会 (Zoom上で2つのセッションが同時進行)
第1分科会 「震災・難民」 司会:滝田 祥子(横浜市立大学) 報告要旨
・王 石諾「福島原発事故経験者としての在日中国人の女性のライフヒストリー」
・佐久川 恵美「『徹底的に絶望する』ところから福島原発事故を捉える-福島県会津若松市における不安を語り合える場づくりを通して-」
・林 貴哉「在日ベトナム系移住者の生活の中でのことばをめぐる経験」
・沼田 彩誉子「神戸生まれタタール移民2世と1950~1960年代イスタンブル―『理想の国民像』の相対化を目指して」
第2分科会 「戦争・植民」 司会:人見 佐知子(近畿大学) 報告要旨
・伊吹 唯「地域社会によるオーラル・ヒストリーの継承の可能性と限界―『下伊那のなかの満洲』の事例から」
・木川 剛志「戦後混乱期横須賀に生まれた混血児のライフストーリーを描いたドキュメンタリー映画の学術的意味について」
・山本 唯人「戦争体験の継承とフィクション物語―『余白』の文脈形成機能に注目して」
・橋場 紀子「韓国人被爆者の語りから、多様な『被爆者像』を考える」

12:00〜13:00 総会

13:30〜16:30  シンポジウム兼研究実践交流会「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」概要

16:30〜16:40 閉会 会長挨拶、開催校より

JOHA19 シンポジウム兼研究実践交流会「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」

JOHA19 シンポジウム兼研究実践交流会
「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」

◎プログラム
司会:小林多寿子(研究活動委員)
●趣旨説明とスピーカー紹介 橋本みゆき(研究活動委員)
●語りの現場からの報告(各20分)
1.青木淑子 「語り人活動の意義と活動を通して描く富岡の未来」
2.坂口奈央 「復興の中の葛藤、苦悩──地域の語りと生活者の論理」
3.小林 孝 「伝承館が語り伝えたいこと」
●コメント(各20分)
・関根慎一:報道の立場から。福島の被災地域の複合的な全体状況を見渡して。
・大門正克:研究者として。東日本大震災被災地でのフォ―ラム開催の経験をふまえて。
●報告者およびコメンテーターとフロアの質疑応答(15分)
●休憩
●研究実践交流会(45分)
・手順の説明・グループ分け(グループは主催者が割り振ります)
・ブレークアウトセッション
・全体で発表
●閉会

◎趣旨
東日本大震災から10年。被災各地において、複合的な被害や防災にかんする学術調査研究、復興まちづくり実践が重ねられてきた。しかし地域社会としての自律性回復や住民の生活再建は、むしろこれからが本番である。とりわけ、原発事故によって長期にわたる住民避難を余儀なくされた地域は、今なお段階的帰還の過程にある。そうした地域で、地域に思いを寄せて住民の語りを聴き、調査研究や実践に関わってきた人びとがいる。その「語り」は、当該地域に対する外部からの内在的理解を助け、また地元の復興に資することができるだろうか。
本企画は、被災地における語ること・聴くことへの関心から立ち上げた。しかし震災に話題を限定することなく、さまざまなフィールドで研究・実践するJOHA会員・参加者が、経験したことを共有し意見交換することを通じて、互いに学び合う機会としたい。
そこでまず、福島県富岡町・双葉町、岩手県大槌町で、住民(避難者や地域外参加者を含む)に語ってもらう活動に取り組んできた3つの実践報告をうかがう。そしてこれを受けて2人のコメンテーターに、震災をめぐって語ること・伝えることの現状についての話題提供と、それぞれの視点からの示唆をいただく。これらを触媒として、大会参加者は、各自のインタビューや発信活動の経験や思いをもちより、小グループに分かれて語らう。たとえば、現地の人々やその語りにどう関わろうとしているか。現地で聴くおもしろさあるいは逆に難しさを感じた経験。生活史をもとに発信することにより地域に還元したい/懸念されるのはどんなことか。そのケースに特有なのか、それとも語りに広くみられる事柄なのか。実践・研究交流するなかで、参加者それぞれの出発点・現在地・向かう先が少し明るく照らされる機会になれば、幸いである。

問合せ先:研究活動委員会(橋本みゆき、5522825(at)rikkyo.ac.jp)

◎スピーカーのプロフィール
・青木淑子さん
NPO富岡町3.11を語る会 代表
もと福島県立富岡高校校長。語る会で多彩な活動を展開するほか、さまざまな団体と連携。
・坂口奈央さん
JOHA会員、日本学術振興会PD(国立民族学博物館)
論文に、「漁業集落に生きる婦人会メンバーによる行動力とその源泉 : 遠洋漁業に規定された世代のライフヒストリー」東北社会学研究会『社会学研究』105: 33-60 (2021)など。
・小林孝さん
東日本大震災・原子力災害伝承館副館長。県職員としてさまざまな部署を歴任。
・関根慎一さん
朝日新聞記者。大震災後、特別報道部や政治部等で原発関連の取材に携わる。2019年から福島総局員。
・大門正克さん
JOHA会員、早稲田大学教育・総合科学学術院特任教授(歴史学)。著書に『語る歴史、聞く歴史 : オーラル・ヒストリーの現場から』(2017、岩波書店)、共著に『「生存」の東北史: 歴史から問う3・11』(2013、大月書店)、『「生存」の歴史と復興の現在 : 3・11分断をつなぎ直す』(2019、大月書店)ほか。9月下旬に陸前高田フォーラムを開催予定。

【第2分科会】「戦争・植民」報告要旨

【第2分科会】「戦争・植民」
司会:人見 佐知子

「地域社会によるオーラル・ヒストリーの継承の可能性と限界―『下伊那のなかの満洲』の事例から」
伊吹 唯(熊本保健科学大学保健科学部共通教育センター/医学検査学科助教)
本研究では、長野県飯田市において市民が発足させた「満蒙開拓を語りつぐ会」(以下、「語りつぐ会」)によって行われた中国帰国者への聞き取り活動を再評価することを目的とする。「語りつぐ会」の活動とその成果として刊行された全10集の聞き取り集は、地域社会における歴史実践、市民による歴史の継承の取り組みとして評価されてきた。本報告では、「語りつぐ会」の活動終了からおよそ10年が経過したこともふまえつつ、「語りつぐ会」以外の中国帰国者への聞き取り活動(例えば、中国帰国者支援・交流センターによるものなど)を参照しながら、「語りつぐ会」による活動とその成果の特徴や意義を再検討し、残された課題についても検討することを目指す。

「戦後混乱期横須賀に生まれた混血児のライフストーリーを描いたドキュメンタリー映画の学術的意味について」
木川 剛志(和歌山大学観光学部教授)
発表者(木川剛志)のもとにFacebookを通じてメッセージが届いた。「木川信子を知っていますか?」。送り手はアメリカに住む女性で、彼女の母は1947年横須賀に混血児として生まれ、1953年に養子縁組で渡米した。日本名は木川洋子、その実母の名前が信子だった。同じ名字のKigawaであれば何か知っているのではと、実際には無関係の木川剛志にメッセージは送られてきた。発表者はこの縁から木川信子の消息を探すために横須賀を調査し、住民から話を聞き、洋子が養子縁組に至った当時の歴史背景を聞く。そして、洋子の66年ぶりの帰国を支援し、その模様をドキュメンタリー映画に収めた。このドキュメンタリー映画の学術的意味を探る。

「戦争体験の継承とフィクション物語―『余白』の文脈形成機能に注目して」
山本 唯人(法政大学大原社会問題研究所)
本報告では、東京大空襲体験者の半生を描いた演劇作品『魚の目に水は映らず』(2019年3月上演、作・演出きたむらけんじ)を題材に、戦争体験の継承に、フィクションとして創作された物語作品が果たす役割について検討する。リクール=小林多寿子の議論をもとに、体験の継承を、「語り」に媒介された世代間の学習的な解釈の過程と捉えると共に、フィクション物語における「余白」の文脈形成機能に注目したイーザーの読書行為論を参照し、フィクション物語が提示する仮説的文脈を、適切な批評や関連資料の収集と結び合わせることで、戦争体験理解の充実につながる可能性を指摘する。

「韓国人被爆者の語りから、多様な『被爆者像』を考える」
橋場 紀子(長崎大学多文化社会学研究科博士課程)
植民地下の広島・長崎で被爆し、戦後、朝鮮半島に帰国したものの60年余り被爆者援護の枠外に置かれた韓国人被爆者に関する先行研究は少ないが、本報告では、最晩年まで被爆体験を語らず、韓国南部に暮らし100歳で亡くなった姜正守さんご夫婦の証言に焦点をあてる。市民活動の記録やジャーナリストらの報道などでは、韓国人被爆者は「恨(ハン)」の思いを一生、持ち続けたとされてきた。しかし、本報告ではその通説とは異なる韓国人被爆者像が存在することを明らかにする。具体的には2人がこれまで沈黙を守った経緯やその理由に関する「語り」、他の韓国人被爆者との語りの相違点に注目する。姜さん夫妻の被爆体験は、他の韓国人被爆者と異なり植民地政策への批判はなく、広島における生活への思い出などが多く含まれる。一方で、被爆者が語っていないこと、あるいは聞き手に伝わっていないことの存在を改めて示し、被爆体験や植民地下での朝鮮半島出身者の生活の多様性を表そうとするものである。