JOHA19 シンポジウム兼研究実践交流会「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」

JOHA19 シンポジウム兼研究実践交流会
「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」

◎プログラム
司会:小林多寿子(研究活動委員)
●趣旨説明とスピーカー紹介 橋本みゆき(研究活動委員)
●語りの現場からの報告(各20分)
1.青木淑子 「語り人活動の意義と活動を通して描く富岡の未来」
2.坂口奈央 「復興の中の葛藤、苦悩──地域の語りと生活者の論理」
3.小林 孝 「伝承館が語り伝えたいこと」
●コメント(各20分)
・関根慎一:報道の立場から。福島の被災地域の複合的な全体状況を見渡して。
・大門正克:研究者として。東日本大震災被災地でのフォ―ラム開催の経験をふまえて。
●報告者およびコメンテーターとフロアの質疑応答(15分)
●休憩
●研究実践交流会(45分)
・手順の説明・グループ分け(グループは主催者が割り振ります)
・ブレークアウトセッション
・全体で発表
●閉会

◎趣旨
東日本大震災から10年。被災各地において、複合的な被害や防災にかんする学術調査研究、復興まちづくり実践が重ねられてきた。しかし地域社会としての自律性回復や住民の生活再建は、むしろこれからが本番である。とりわけ、原発事故によって長期にわたる住民避難を余儀なくされた地域は、今なお段階的帰還の過程にある。そうした地域で、地域に思いを寄せて住民の語りを聴き、調査研究や実践に関わってきた人びとがいる。その「語り」は、当該地域に対する外部からの内在的理解を助け、また地元の復興に資することができるだろうか。
本企画は、被災地における語ること・聴くことへの関心から立ち上げた。しかし震災に話題を限定することなく、さまざまなフィールドで研究・実践するJOHA会員・参加者が、経験したことを共有し意見交換することを通じて、互いに学び合う機会としたい。
そこでまず、福島県富岡町・双葉町、岩手県大槌町で、住民(避難者や地域外参加者を含む)に語ってもらう活動に取り組んできた3つの実践報告をうかがう。そしてこれを受けて2人のコメンテーターに、震災をめぐって語ること・伝えることの現状についての話題提供と、それぞれの視点からの示唆をいただく。これらを触媒として、大会参加者は、各自のインタビューや発信活動の経験や思いをもちより、小グループに分かれて語らう。たとえば、現地の人々やその語りにどう関わろうとしているか。現地で聴くおもしろさあるいは逆に難しさを感じた経験。生活史をもとに発信することにより地域に還元したい/懸念されるのはどんなことか。そのケースに特有なのか、それとも語りに広くみられる事柄なのか。実践・研究交流するなかで、参加者それぞれの出発点・現在地・向かう先が少し明るく照らされる機会になれば、幸いである。

問合せ先:研究活動委員会(橋本みゆき、5522825(at)rikkyo.ac.jp)

◎スピーカーのプロフィール
・青木淑子さん
NPO富岡町3.11を語る会 代表
もと福島県立富岡高校校長。語る会で多彩な活動を展開するほか、さまざまな団体と連携。
・坂口奈央さん
JOHA会員、日本学術振興会PD(国立民族学博物館)
論文に、「漁業集落に生きる婦人会メンバーによる行動力とその源泉 : 遠洋漁業に規定された世代のライフヒストリー」東北社会学研究会『社会学研究』105: 33-60 (2021)など。
・小林孝さん
東日本大震災・原子力災害伝承館副館長。県職員としてさまざまな部署を歴任。
・関根慎一さん
朝日新聞記者。大震災後、特別報道部や政治部等で原発関連の取材に携わる。2019年から福島総局員。
・大門正克さん
JOHA会員、早稲田大学教育・総合科学学術院特任教授(歴史学)。著書に『語る歴史、聞く歴史 : オーラル・ヒストリーの現場から』(2017、岩波書店)、共著に『「生存」の東北史: 歴史から問う3・11』(2013、大月書店)、『「生存」の歴史と復興の現在 : 3・11分断をつなぎ直す』(2019、大月書店)ほか。9月下旬に陸前高田フォーラムを開催予定。