JOHAニューズレター31号(訂正版)の発行

JOHA会員 各位

先日お送りしたJOHAニューズレター31号に誤りがございました。
訂正してお詫びいたします。失礼いたしました。
訂正版はこちら(JOHA.NewsLetter31.re)になります。

JOHAニューズレター31号
3.『日本オーラル・ヒストリー研究』 第13号 原稿募集
21ページ
【誤】募集期間:2016年3月20日〜31日
→【正】募集期間:2017年3月20日〜31日

今号は、今年9月の大会(JOHA14)報告や来年3月11日に行われるシンポジウム「エゴ・ドキュメント/パーソナル・ナラティヴをめぐる 歴史学と社会学の対話」の案内、学会誌13号の投稿募集など、盛りだくさんの内容となっています。

シンポジウムにつきましては、本HPで別途お知らせいたします。

2016年12月26日
JOHA広報委員

JOHAニュースレター30号の発行

みなさま

先日発行しましたJOHAニュースレター30号に一部誤りがありました。                       訂正してお詫びいたします。最新版はこちら(JOHA.NL30.re)になります。

ニュースレター P.4
自由報告 第1分科会 1-3
タイトル:
【誤】 陸前高田市高田第一中学校避難所で(福祉避難室)はいかにして成立したか
 ↓
【正】 陸前高田市立第一中学校避難所で「福祉避難室」はいかにして成立したか
報告者氏名:
【誤】 斉藤公子
 ↓
【正】 齋藤公子

 

本号には、日本オーラル・ヒストリー学会第14回大会(於一橋大学)のプログラムが掲載されています。

みなさま、奮ってご参加下さいますよう、よろしくお願い致します。

JOHAニュースレター第28号

2015年8月2日発行
*ニュースレター掲載のメールアドレスは、(at)部分を@ に替えて送信してください。

 日本オーラル・ヒストリー学会第13回大会(JOHA13)が2015年9月12日(土)、13日(日)の2日間にわたり大東文化会館において、また11日(金)には高島平団地(いずれも東京都板橋区)にてプレイベントが開催されます。お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。

《大会開催校より》 JOHA第六期理事 川村 千鶴子(大東文化大学)
オーラル・ヒストリーの世界にようこそ!
2015年は、戦後70年、国連創設70周年に当たります。オーラル・ヒストリーは、歴史資料から排除されがちであった人びとの証言を拾い、多文化共生への不断の努力を蘇えらせてきました。そうした語り継ぎこそが、街の由緒を生成し、世代を超えて地域コミュニティを形成する土台になってきたと思います。
オーラル・ヒストリーの聴取は、地域史を知り、他者の心の深層に共感し、多様な人生に寄り添う力をもっています。多元価値社会を担う若者たちの将来のためにもオーラル・ヒストリーの可能性は、広がっています。オーラル・ヒストリーから生まれる異文化間トレランスは、それぞれの人生をより豊かにする力をもっています。
私たちJOHAは、様々なメディアを有効に使い、インタビューや音声史資料のよりよい保存、収集、利用方法を研究し、方法論を研鑽し、ジャンルを超えた実践者の相互交流を行ってきました。13日のシンポジウムは、「多文化共生とオーラル・ヒストリーの力」をテーマに移民・難民の人びとの人生と多文化共生能力を磨く教育実践を発信します。人間の生存環境を考える基礎となり、新たな語り合いの場にいたしましょう。

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Ⅰ.日本オーラル・ヒストリー学会 第13回大会
Japan Oral History Association 13th Annual Conference

開 催 日:2015年9月12日(土)、13日(日)  *11日(金)にプレ集会あり
開催場所:大東文化会館(東京都板橋区、開催校:大東文化大学)
交通手段:東武東上線東武練馬駅より徒歩3分。池袋から東武練馬まで各駅停車で14分。
参 加 費:会員 1,000円(2日通し)
非会員 一般:2,000円(1日参加1,000円)、学生他:1,000円(1日参加500円)
懇親会費:一般 4,000円、学生他 2,500円
開催校理事:川村千鶴子
学会事務局:川又俊則、研究活動委員会委員長:和田悠、会計:八木良広
大会に関してご不明な点がございましたら、JOHA事務局までお問い合わせください。

◎自由報告者へのお願い:
1)自由報告は、報告20分・質疑応答10分(合計30分)で構成されています。
2)配布資料の形式は自由です。会場では印刷できませんので、各自50部ほど印刷し、ご持参ください。
3)各会場にパソコンを準備しておりますので、ご利用の場合、USBメモリ等にプレゼンテーションのデータをお持ちください(ご自身のPC等をご使用の場合、RGBケーブル接続のみでUSBなどの接続方式には対応しておりません。必要な方は変換アダプター等もご準備ください。念のため資料を保存したUSBメモリ等もご持参ください)。動作確認等は各分科会の開始前にお願いいたします。会場担当者にご相談ください。

◎参加者へのお知らせ:
1)会員・非会員ともに両日とも受付してください。参加にあたっては事前申し込みは必要ありません。
2)昼食は近隣の食堂等をご利用いただくなど、各自でご用意ください。
3)大きな荷物を1階講師控室に一時置くことができます。スタッフは常時いるわけではないので貴重品は手元においてください。

1.大会プログラム

◎プレ集会 9月11日(金)
●15:30~ 高島平団地ツアー(都営三田線・高島平駅西口改札付近集合、要事前申込)
●17:00~ 大会プレ企画
「地域コミュニティづくりからオーラル・ヒストリーへ」 井上温子さん(板橋区議)
  コメント:赤嶺淳
 *参加費一人500円。水筒などをご持参ください。
 *会場の都合上、参加者は事前に、和田悠(研究活動担当理事)(yuwada(at)rikkyo.ac.jp)まで申し込みしてください。先着順になる場合があります。会員以外の参加も歓迎します。

◎第1日目 9月12日(土)
(理事会 11:00~ ホールにて)
●受付開始 12:00(1階 ホール入口)
●自由報告 13:00~15:30

○第1分科会 (ホール) 司会:小倉康嗣・滝田祥子
1-1 災害の記憶を「語り継ぐ」――伊那谷三六災害の経験を聞く
 岸 衞(日本ライフストーリー研究所)
1-2 戦後史の経験を語り継ぐ
 桜井 厚(立教大学)
1-3 「協働の場所」における故郷喪失のライフヒストリー――浪江町民による記憶の語り直し
 佐々木加奈子(東北大学情報科学研究科メディア文化論博士後期課程)
1-4 民俗芸能研究とオーラル・ヒストリー――五所八幡宮例大祭と鷺の舞を事例として
 川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院博士後期課程)
1-5 統合失調症の娘を抱える両親の羅生門的現実
 青木秀光(立命館大学大学院先端総合学術研究科)

○第2分科会(401+402研修室) 司会:赤嶺淳・越川葉子
2-1 社会運動調査に求められる倫理的課題――レイシズム/反レイシズム運動のフィールドから
 松岡 瑛理 (一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)
 久木山一進(一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了・安田学園講師)
2-2 ノンセクトとしての「ひと」教育運動
 香川七海(日本大学大学院)
2-3 環流するアジアの労働力――インドネシア人技能実習生の同胞リクルートとハビトゥス変容
 山口裕子(北九州市立大学准教授)
2-4 男女賃金格差は能力格差だ――男子進学校卒業生のその後-当時の発言を振り返る
 大矢英世(日本女子大学大学院人間生活学研究科博士後期課程)
2-5 海外生活が駐在員の配偶者の家族観に与える影響――4人の配偶者女性の語りから
 三浦優子(異文化トレーナー、海外生活企業アドバイザー)

●JOHA学会長挨拶 好井裕明(日本大学)(ホール)

●開催校学長 祝辞 太田政男 大東文化大学学長(ホール)

●研究実践交流会 15:50~17:40(ホール)
講師:中西新太郎さん(横浜市立大学名誉教授)
「新自由主義の時代と文化を描く―若者研究の実践から」
語られたことは、語らないこと、語りえないことの幾層もの上に現れる。ミシェル・ド・セルトーが夙に指摘したように、生きられた文化はこの堆積する層全体に浸されて存立する。語りを種々にとらえようとするアプローチ、歴史学、文化人類学、社会学、精神医学、民俗学、教育学、臨床哲学…は、したがって、沈黙と表出の堆積のなかではたらく文化のリアルを、それぞれのアプローチによって切り出す次元を不可避に含むはずである。
オーラル・アプローチのこの特質に由来する力(社会的世界の解明に資する)と困難とを考えるために、「個性的だね」という賞賛(と感じられる)表現が、差別的言辞にさえ逆転する現代日本の文化・コミュニケーション機制を手がかりに、語られたことの解析をめぐる諸課題について検討したい。
 司会:研究活動委員長 和田悠

●懇親会 18:00~20:00  
会場:マザーリーフ東武練馬店 03-5922-6781
参加費:4,000円、学生その他2,500円(着席・ブッフェ形式)
スペシャルゲスト:チョウチョウソーさん、 司会:和田悠
☆参加者にプレゼント:『なんみんと日本』(アジア福祉教育財団)と『新宿の韓国人ニューカマー100人のライフストリー』トヨタ財団助成)。

◎第2日目 9月13日(日)
●受付開始 9:00
●自由報告 9:30~12:00

○第3分科会(3308教室) 司会:好井裕明・鶴田真紀
3-1 誰のためのライフストーリー研究か?誰もが人生を物語ることはできるのか?――ライフストーリー研究がもつ発達障害者のアイデンティティ再形成促進可能性
 田野綾人(立教大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程前期課程)
3-2 障害児の姉のライフストーリー――プラダー・ウィリーの妹
 渡邉文春(松山大学大学院社会学研究科)
3-3 ある神経難病当事者の自己民族誌(自己エスノグラフィー)
 鈴木隆雄(千葉大学大学院人文社会科学研究科特別研究員)
3-4 看護ケアと語り――拒否的態度の患者に寄り添う看護師の語り
 塚田守(椙山女学園大学)

○第4分科会(3310教室) 司会:有末 賢・荒沢千賀子
4-1 日本進駐と朝鮮戦争従軍――ある日系アメリカ人二世のライフヒストリー
 佐藤けあき(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科国際関係論専攻博士後期課程)
4-2 戦後70年にあたって――様々な戦争経験から
 嶋田典人(香川県立文書館)
4-3 戦争経験をめぐる語り――インド・ナガランド州の事例をとおして
 渡部春奈(一橋大学 大学院、社会学研究科、博士後期課程)
4-4 平和案内人の活動実践と原爆記憶の継承
 深谷直弘(法政大学)
4-5 認識の真実――オーラル・ヒストリーの戯曲化
 加瀬豊司 (四国学院大学名誉教授)

●総会  12:15~13:00(ホール)
●昼休み 13:00~14:00
 第1回新理事会開催(ホール)

●シンポジウム  14:00~17:00(ホール)
「多文化共生の気づきとオーラル・ヒストリーの力」
(Multicultural Awareness in the Light of Oral History)
トランスナショナルな人の移動は、地域の多文化化・多国籍化をもたらし、学びの多様性と多文化共生の課題は多岐にわたっている。さらに脆弱国家や紛争地域からの難民が急増し、中東地域の危機や貧富の格差が危惧されている。2015年6月、国連難民高等弁務官事務所UNHCRは、世界の難民や国内避難民が、何と約6000万人にまで急増したと発表しており、難民の急増は、決して他人事ではない。
本シンポジウムでは、多文化共生社会とは、単に文化的多様性を尊重するだけではなく、移民、難民、無国籍者、障がい者、亡命者、母子家庭など社会的弱者の人生をかけがいのない人生と捉えている社会と捉える。いかにして相互に対等な「市民」と捉え、それぞれの「多文化共生能力」(multicultural intelligence)を培って発展していく社会を構築できるかを発信する。
ビルマから亡命したチョウチョウソー氏が、ライフヒストリーを語る。その逞しい人生から、「ともに生きる仲間」であることを共有し、さらに国籍とは何か、ハイブリディティとは何か、市民権と何か、多元価値社会の中で、人権に根差す社会の実現を語りあう。当事者の視点に立つとき、日本は何ができるのかが見えてくる。

 基調報告「オーラル・ヒストリーによる『気づき愛』の教育実践」:川村千鶴子
 ビルマ難民のオーラル・ヒストリー「日本における自己実現と社会参加」:
 チョウチョウソー(Kyaw Kyaw Soe)さん(ビルマ語雑誌「エラワン・ジャーナル」編集長)
 コメント:橋本みゆき、河合優子さん(立教大学異文化コミュニケーション学部准教授)
 司会:宮﨑黎子

2.自由報告要旨
【1-1】災害の記憶を「語り継ぐ」-伊那谷三六災害の経験を聞く-
 Handing down the memory of the disaster: Interview the experience of the “INADANI SABUROKU SAIGAI”in 1961
 岸 衞((社)日本ライフストーリー研究所)
 Kishi Mamoru: Japan Life Story Research Institute
伊那谷三六災害は、1961年6月伊那谷を襲った梅雨前線と台風による集中豪雨で山崩れ、土石流が発生し、137人が犠牲になった未曾有の災害である。2011年は三六災害から50年目という節目の年。「東日本大震災」と重なったこともあって、防災・減災の立場から、「三六災害を次の世代にどう受け継ぐのか」についての伊那谷各地の自治体で、様々な取り組みがなされた。演劇や歌舞伎で「三六災害」を表現する興味ある試みもなされた。しかしそれらは「災害を伝える」ものであった。
駒ヶ根市大洞で、7人のうち5人が一瞬にして濁流に呑み込まれた一家があった。祖父母、母親、兄、弟の5人が犠牲になった。「残ったのは父と私」と語る美也子さん。災害当時は小学校1年。助け出してくれた父親は今、94才になる。美也子さんと父親文夫さんへのインタビューを試みた。ここでは、二人の語りを中心に「災害の『何』を語り継ぐのか」を報告したいと思う。

【1-2】戦後史の経験を語り継ぐ
 Activities for handing down the experiences of the critical events in postwar Japan
 桜井 厚(立教大学)
 SAKURAI Atsushi: Rikkyo University
現在、戦争体験や戦後史のさまざまな出来事を語り継ぐ活動が盛んに行われている。ここでは、戦後日本において歴史的にも知られているいくつかの重要な出来事をとりあげ、その関係者の経験を語り継ごうとする活動について、その活動の担い手の語りから、戦後史からわれわれが何を学び、何を次世代へ伝えようとしているのかを検討したい。出来事としては、いわゆる「水俣病」、「コザ暴動」、「三里塚闘争」などである。いずれもわが国の現代史の重要な事件であり、なお継続しているものもあって、その全体像はさまざまな角度から論議されてきている。ここではそれらの見方とは一線を画し、語り継ごうとしている活動の、しかもその一部の人びとの語りに着目するもので、それぞれの事件の語り継ぐ活動の全体像にふれるものではないことをあらかじめお断りしておく。

【1-3】「協働の場所」における故郷喪失のライフストーリー:浪江町民による記憶の語り直し
 How“collaborative place” assists nterpretating life story: evacuees from Namie town, Fukushima case
 佐々木加奈子(東北大学 情報科学研究科 メディア文化論 博士後期課程3年) 
 Kanako Sasaki: Tohoku University Graduate school of Information Science Media cultural Laboratory
本研究では「協働の場」という語り手同士の対話を可能にする空間を設け、原発事故を受け、仮設住宅で避難生活をおくる福島県浪江町民を対象に、インタビュー収録を行い、彼らにとって意味のある語りはどのようなものか、実践を通して物語分析を行った。 “孫の世代に浪江の記憶を伝えよう”という前提で集まった生成継承性の高い8名の語りから、<対比の語り><ユーモアな語り><カタルシスな語り>の3パターンに整理し、事例となる語りを提示した。いずれのパターンもこれまで語る機会がなかった彼らが口を開き、故郷喪失に立たされながらも多様な意味づけが物語となって生まれ、後世に伝えようとする継承の力、generativityが「協働の場」により発揮された。

【1-4】民俗芸能研究とオーラル・ヒストリー―五所八幡宮例大祭と鷺の舞を事例として―
 Application of the Oral History in the Study on Folk Performing Arts: A Case Study of “Annual Festival of Gosho Hachimangu” and “Sagi-no-mai” in Kanagawa Prefecture
 川﨑 瑞穂(国立音楽大学大学院 博士後期課程3年)
 Kawasaki Mizuho: Doctoral course at Kunitachi College of Music (graduate school)
発表者は『日本オーラル・ヒストリー研究』第9・10号において、埼玉県秩父市の「神明社神楽」を例に、民俗芸能の通時的研究におけるオーラル・ヒストリーの有効性を示したが、このアプローチが有効な事例は他地域にも数多く存在する。例えば、発表者が今年度の笹川科学研究助成により調査を行っている、日本の民俗芸能「鷺舞」はその好例である。鷺の作り物を身につけて舞うこの風流系の芸能は、近年復興・創作されたものを除くと、5つの地域に伝承されている。本発表では特に、神奈川県足柄上郡中井町遠藤の「五所八幡宮例大祭」とそこで演じられる「鷺の舞」の考察を通じて、民俗芸能研究におけるオーラル・ヒストリーの有効性を示したい。

【1-5】統合失調症の娘を抱える両親の羅生門的現実 
 The Rashomon-Like Reality of Parents Who Have a Daughter with Schizophrenia
 青木秀光(立命館大学大学院先端総合学術研究科) 
 Hidemitsu Aoki: Graduate School of Core Ethics and Frontier Sciences Ritsumeikan Universsity
本報告では、20代で統合失調症を発症した娘を抱え、数十年間という歳月を共に歩んできた彼女の父親と母親からのインタビュー調査をもとに、彼らがどのような思いを抱いて生きてきたのかについて考察する。
ここでは、一般に障害児の面倒の多くを母親がみるというモデルストーリーが必ずしも妥当ではないことを中心に娘への関わりや家族会への参加の両親間での差異といったものを明らかにする。また、娘の障害に対する両親の意味付与が一概にはまとめられ得ないことを羅生門的現実として提示することも企図している。
なお、ライフストーリー法を採用し、客観的事実に照らした絶対的真理や真実の探求ではなく、その時、その場で生起してくる一回性の相互行為に焦点を当てて分析した。

【2-1】社会運動調査に求められる倫理的課題―レイシズム/反レイシズム運動のフィールドから―
 松岡瑛理(一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)
 Eri Matsuoka
 久木山一進(一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了・安田学園講師)
 Kazuyuki Kukiyama
2000年代後半から、国内ではインターネット上で在日韓国・朝鮮人や韓国をターゲットとした人種差別的な書き込み、さらには在特会をはじめとする団体による排外デモが注目を集めている。2013年以降、それらへのカウンター(対抗運動)にも注目が集まるようになった。
報告者である久木山は在特会とも関わりを持つ愛国コミュニティ、松岡はそれらカウンター活動に関する調査を行ってきた。対照的な性質のフィールドながら、ともに感じてきたのは現在進行形で進むレイシズムの問題を調査するにあたって調査者側の倫理的な態度もまた、厳しく問われるということだ。両者の経験を踏まえ、人類学で指摘されてきた「調査地被害」の問題などと絡めた問題提起を行う。

【2-2】ノンセクトとしての『ひと』教育運動 
“hito”Educational Movement as Non-sect
香川七海(日本大学大学院)
kagawa nanami: Nihon University, Graduate School of Literature and Social Sciences
本報告は、『ひと』教育運動の参加者へのインタビュー調査を通して、この運動が同時期の日教組教育運動や民間教育運動のはざまに第三の選択肢として誕生したものであるということを明らかとするものである。
『ひと』教育運動は、1970年代から90年代にかけて展開された運動で、既存の教職員組合教育運動や教師が主体となる教育運動ではなく、市民が「個」として参加し、活動することを目的とした運動である。当時、教育運動の一部分が政党性に拘束されていたなかで、ラディカルな教師たちは、「子どものための教育運動」を理想とし、ノンセクトとして展開された『ひと』教育運動に参加することとなった。
当日の報告では、インタビュー調査の成果から、この運動が、既存の教育運動のほかに、第三のノンセクトとしての選択肢として誕生したものであったということについて論及する予定である。

【2-3】環流するアジアの労働力:インドネシア人技能実習生の同胞リクルートとハビトゥス変容 
 The incessant flow of Asian labor force: The compatriot recruitment and the transformation of habitus among  Indonesian technical intern trainees
 山口 裕子(北九州市立大学 准教授)
 YAMAGUCHI Hiroko: The University of Kitakyushu, Associate Professor
本研究発表では、近年の経済のグローバル化を受けて活発化、多元化するアジアの国際労働力移動の中でも、故地に帰還した元技能実習生による地元青年の送り出し事業(同胞リクルート)で来日したインドネシア人技能実習生を対象に聞き取り調査を行い、日本社会への適応過程と困難や工夫、ネットワーク形成の動態、ハビトゥス(態度、性向)や価値観変容の萌芽的状況を中心に考察する。それにより、当該制度の持続を可能にする外国人技能実習生の環流と、それを下支えするメカニズムとしての、実習生同士の情報ネットワーク、宗教実践や生活の工夫の実相の一端を明らかにする。

【2-4】男女賃金格差は能力格差だ-男子進学校卒業生のその後-  当時の発言を振り返る 
 He said that the man and woman pay gap happened for an ability difference. The boys’ preparatory school student looks back on a then opinion and the life of his own.
 大矢英世(日本女子大学大学院 人間生活学研究科 博士後期課程)
 OYA Hideyo
1994年度よりそれまで女子のみ必修科目であった高校家庭科が、男女必履修科目となった。制度上は男子も学ぶ家庭科となり、教科書の内容も一新した。しかし、男子校進学校における家庭科の定着には時間がかかり、2006年には男子進学校の家庭科未履修問題がマスコミで取り上げられている。筆者がこれまで実施してきた男子進学校の家庭科教員へのインタビュー調査からは、男子進学校における家庭科の導入にはさまざまな困難がつきまとったことが見えてきた。その中で家庭科開設当初に家庭科教員を最も悩ませ、反抗的な態度を繰り返していたという男子進学校卒業生へのインタビュー調査を実施し、その語りから男子進学校における家庭科の課題を考察した。

【2-5】海外生活が駐在員の配偶者の家族観に与える影響―4人の配偶者女性の語りから― 
 Influence of Living Overseas on Family Values of Japanese Expatriate Wives―through Stories of Four Expatriate Wives
 三浦優子(異文化トレーナー、海外生活企業アドバイザー)
 Miura,Yuko: Intercultural trainer, Corporate Adviser for overseas expatriate
駐在員の配偶者女性たちは、仕事や勉学という目的からではなく、自分の意志とは無関係に、夫に帯同して海外に渡航する。4人の配偶者女性たちに、滞在中に、転機やインパクトがあったと思う出来事などを、帰国して数年たった「今・ここ」で振り返り、自由に語ってもらうことにより、自己との向き合い方も含め、夫や子供との関係が、海外生活により、どのような影響を受けているのかを考察する。彼女達の語りの内容だけでなく、どのように語ったのかという語り方にも留意して、語りを渡航前、渡航中、帰国後と大きく分けて分析して、渡航前から、帰国後の今に至るまでの内的変化、またそのような変化をもたらした背景も捉えていく。

【3-1】誰のためのライフストーリー研究か?誰もが人生を物語ることはできるのか?―ライフストーリー研究がもつ発達障害者のアイデンティティ再形成促進可能性 
 Who is the Life-story approach for? Not everybody can talk about own life: I report Life-story approaches have significant potential to assist developmental disorders to rebuild their identities.
 田野 綾人(立教大学大学院 社会学研究科社会学専攻 博士課程前期課程) 
 TANO, Aya: Department of Sociology, Graduate School of sociology, Rikkyo University
人生はたびたび演劇の舞台に例えられる。しかし、舞台であるにも関わらず喋るべき台詞や自分の役割が 分からない/理解できない 人がいたらどうだろう? アイデンティティの拡散がそこでは起きている。本報告では、このような困難を抱えやすい発達障害者に焦点を当てる。これまでも、発達障害者におけるコミュニケーションの特異性や記憶の断片性、注意欠陥などが専門家や発達障害者本人によって議論されてきた。では、ライフストーリー研究者はこのような人々をどのようにして支援できるのだろうか? 本報告は、ライフストーリー研究者が場合によっては「科学的」であることをかなぐり捨てても、「偽の記憶」の形成を促したとしても構わないという立場を採り、ライフストーリー研究の可能性を広げる試みである。

【3-2】障害児の姉のライフストーリー ―プラダー・ウィリーの妹― 
 Life story of a elder sister with disabilitie’s child ―Younger sister of Prader-Willi syndrome―
 渡邉 文春(松山大学大学院社会学研究科) 
 Fumiharu Watanabe: Matsuyama University 
本報告は、染色体異常による「プラダー・ウィリー症候群」の妹をもつ姉へのインタビュー調査を行い、その語りから妹の障害をどのように捉えて、どのような姉妹関係を構築しているのかを考察した内容である。この障害は、乳幼児期が重度身体障害で、就学時期には身体障害が軽減されるのが特徴である。姉の語りからは、「障害を持つ妹へのスティグマ視」の側面が分かり、妹が生まれた頃には、彼女への介護役割が確認された。しかし、姉妹が成人した現在では、妹の障害について姉は無関心になっており、妹と「母親の深い関係」と、妹と「姉の浅い関係」が家族内で違和感なく成立している。姉が妹にスティグマを押し付けない工夫で、対等な姉妹関係を再編しているようだ。

【3-3】ある神経難病当事者の自己民族誌(自己エスノグラフィー) 
 Autoethnography of a person with neurological disease
 鈴木隆雄(千葉大学大学院人文社会科学研究科 特別研究員) 
 Suzuki Takao
28 歳まで病気や病院とは無縁だった者が、ある日、現代医学では治癒が不能とされる神経難病を発症する。本研究発表では、自己民族誌(自己エスノグラフィー)という手法で、次第に四肢の神経系が破壊され、麻痺していく患者当事者の「病い」 の経験を報告する。はじめに、当事者が「学問」として、「自分」や自分が属する文化や集団を研 究することの困難さやその学術的意義、研究手法を社会学・人類学等から先行研究を概観する。その中で、ある文化の当事者が、「自分自身」や「文化」を文化的、学術的に表現、記述し、その解釈を他者(外部)に示す自己民族誌(自己エスノグラフィー)を手がかりにして、患者としての経験を研究者として記述、表現する。

【3-4】看護ケアと語り―拒否的態度の患者に寄り添う看護師の語り 
 Nurse’s Care and Narrative―Narratives of Nurses Caring Patients with Rejecting Attitude-
 塚田 守(椙山女学園大学) 
 Tsukada Mamoru: Sugiyama Jogakuen University
本発表は、看護の事例研究会で発表された患者に関わる訪問看護師の経験についての発表とその研究会で集う看護師たちのコメントを、看護師たちによって共有された「対話的語り」として考察することを目的としている。この研究会は、ある大学教授夫妻の自宅で開催され、出欠もとらず20年以上続いているもので、発表者は、この研究会に5年前よりほぼ毎月1回のペースで参加している。本発表は、拒否的態度の患者への、ある訪問看護師の自らの関わり方、ケアの仕方がこれでよかったのかを他の参加者に投げかけるような形で発表された報告に対して他の参加者が行ったコメントを含め分析し、そこで共有された「看護ケア」の価値観を分析するものである。

【4-1】日本進駐と朝鮮戦争従軍―ある日系アメリカ人二世のライフヒストリー― 
 A life history of Japanese American Nisei who served in Japan and Korea
 佐藤けあき(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科国際関係論専攻博士後期課程2年)
 SATO Keaki: Doctoral Program in International Relations, Graduate School of Global Studies, Sophia University
本報告では、報告者がハワイで聞き取ったある日系アメリカ人二世の従軍経験を中心としたライフヒストリーを検討する。A氏は、熊本出身の両親のもとハワイのサトウキビプランテーションで生まれ育った。第二次世界大戦の終結後、両親の祖国に対する望郷の念からA氏は日本への進駐軍となるため米軍に志願するが、進駐後間もなく朝鮮戦争が勃発し朝鮮半島に派兵される。朝鮮半島では北朝鮮の捕虜に「日本語」で通訳を行った。A氏は自分より流暢な日本語を話すコリアンの人々に出会い衝撃を受ける。A氏の従軍経験から、これまでアメリカニズムの強調が主に論じられてきた二世のエスニック・アイデンティティを、国際関係の動きの中で捉えることでより多面的に読み解く。

【4-2】戦後70年にあたって~様々な戦争体験から
 70 years after World WarⅡ What people had to go through during the war
 嶋田典人(香川県立文書館)
 Norihito SHIMADA: Kagawa Prefectural Archives
2015年の今年は、戦後70年の節目の年である。戦争体験者の高齢化が進み、語り手が次第に少なくなってくる中で、聞き取り調査は「緊急性」を増す。今回取り上げる語り手は、香川県内在住の二人の方(男性)である。一人は、炭山勤労報国隊として九州での炭鉱(炭坑)で労働に従事、その後、郷里に帰り、詫間海軍航空隊の造成工事、徴兵後は佐世保で海軍に所属、佐世保空襲をも体験。もう一人は満蒙開拓青少年義勇軍所属、戦後のシベリア抑留と、様々な体験をされている二人の語りを報告する。

【4-3】戦争経験をめぐる語り―インド・ナガランド州の事例をとおして 
 Narrating the Experience of War: A Case Study In Nagaland, India
 渡部春奈(一橋大学 大学院、社会学研究科、博士後期課程) 
 WATABE Haruna
本発表の目的は、インパール作戦の激戦地であったインド北東部・ナガランド州において、当時の戦争経験者がそれぞれの経験をどのように語り、また語りなおしているのかを明らかにすることにある。日本軍が長期的に占領統治した他の地域とは異なり、ナガランドに居住するナガが日本兵と接触した期間は、わずか一年にも満たない。それでも語られ続ける当時の日本兵との出会いの語りには、個別具体的なものと併せて、複数の語り手に共通するパターン化された語りが存在する。これらを考察したうえで、パターン化された語りとは全く異なる語り口を用いることで、地域の観光化、ひいては発展につなげようとする村の取り組みに注目する。このように、戦争経験が現在的な影響を受けながら柔軟に語りなおされていく様を、2012年から断続的に行なったフィールドワークを基に検証する、一試論である。

【4-4】平和案内人の活動実践と原爆記憶の継承
 Handing down Memories of the Atomic Bombing and Practices of the Peace Volunteer Guides
 深谷 直弘(法政大学)
 FUKAYA, Naohiro
近年、戦争の継承活動に関する研究は、原爆の記憶やホロコーストの記憶、沖縄戦の記憶などを中心に、蓄積されてきている。ただ、これまでの研究は、活動の実践、あるいは活動者の生活史のどちらかのみに比重を置いた研究がほとんどであり、活動実践と生活史の両方に着目し、その関係性を検討したものはあまりなかったように思える。
そこで本報告は、現在の被爆地長崎で行われている継承活動のうち、2004年に設立されたボランティアガイドである平和案内人の活動者を取り上げ、彼・彼女らの継承活動が、生活史との関係のなかで、かつどのような条件下で可能になり、実際どのような継承実践が行われているのかを明らかにする。そしてその事例を通じて、原爆の記憶を継承していくことはどういうことなのかを考えたい。

【4-5】認識の真実:オーラル・ヒストリーの戯曲化 
 Felt Reality: Dramatization of Oral History
 加瀬豊司(四国学院大学名誉教授, 博士)
 Toyoshi Kase: Ph.D. (The University of Maryland), Professor Emeritus, Shikoku Gakuin University
この報告は語られた歴史の直接的再現に躊躇がある場合の一配慮として、戯曲化を考えていた。しかしこれは単なる語り手の隠しではなく、上演舞台という媒体により、内面の深いところに激動する要素を“劇動”させ、さらには認識者(読む、聞く、観る)の共振感情により、語りの内容の鮮明化に繋がると思った。テーマは日系アメリカ人史。日米間の戦争という極限状態の下、白人社会からの移民1世と2世に対する人種的偏見と排斥、移民親子の価値観の相違がもたらす“運命”や葛藤、親の祖国に対し犠牲覚悟で戦争に志願する2世の心情と行動による語りが中心。この理不尽さと不条理を演劇の原案(この原本は「オーラル・ヒストリー」のインタビューによる英文博士論文)とし、名古屋東文化小劇場で4月の中旬4日間、8回公演(観劇者総数:2、700人)をした。報告時には台本の一部を再現し、ドラマティック・プレゼンテーションを目指す。

3.会場案内
会場:大東文化会館 〒175-0083 東京都板橋区徳丸2-4
会場の問い合わせ:大東文化大学 地域連携センター事務室 電話:03-5399-7399
アクセス・マップ:
http://www.daito.ac.jp/campuslife/campus/facility/culturalhall.html

Ⅱ.理事会報告

Ⅲ.お知らせ
1.会員異動(2014 年12月から2015 年7月まで)

※連絡先(住所・電話番号・E-mail アドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。
(事務局長 川又俊則)

2.2014年度(2015.4.1~2016.3.31)会費納入のお願い
いつも学会運営へのご協力ありがとうございます。
本学会は会員のみなさまの会費で成り立っています。今年度の会費が未納の方におかれましては、何とぞご入金のほどよろしくお願いいたします。9月のJOHA13大会時にスムーズに受付を済ませるためにも、なるべく大会前に納入してくださいますようお願いいたします。

■年会費
一般会員:5000 円 学生・その他会員:3000 円
*「学生・その他会員」の「その他」には、年収200万円以内の方が該当します。区分を変更される場合は、会費納入時に払込票等にその旨明記してください。
*年会費には学会誌代が含まれています。

■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票(ゆうちょ銀行にある青色の振込用紙)の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
*従来の記号・番号は変わりありません。

■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ

郵便払込・口座振込の控えで領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。
学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、
会計担当の八木良広(電子メール: yy.joha[at]gmail.com)までお問い合わせください。
(会計 八木良広)

Ⅳ.会員投稿
清水透
この春、大学での講義録をベースにして執筆した『ラテンアメリカ 歴史のトルソー』が出版されました。フィールドワーク、聞き取りを積み重ねるなかで浮かんできたラテンアメリカ500年の歴史の大きな流れ、そこから見えてくる「近代」とは、といった問題を扱っています。とはいえ、非売品。ご関心がおありの方は、立教大学ラテンアメリカ研究所03-3985-2578へお問い合わせください。
なお、2011年春2度にわたりニューヨークで実施した「不法就労」のインディオのオーラル・ヒストリーの作品、「砂漠を越えたマヤの民―コロニアル・フロンティアの揺らぎ」は、『オルタナティヴの歴史学』(有志社、2013年)に収録されています。同書所収の座談会では、歴史叙述の方法やオーラル・ヒストリーをめぐり、かなり激しい議論が展開されています。

* * *
後藤 一樹(慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程)
<ライフヒストリー>を内に含んだ<ライフストーリー>へ――学会発表から論文化へのプロセスでわかったこと
昨年の学会大会で私は、歩き遍路Kさんの<ライフヒストリー>について発表した。これを基にした論文が今年の学会誌に掲載される。学会では次のようなご指摘を頂いた。「Kさんとご家族との繋がりは?」(山村淑子先生)。「仏教的諦念とあるけどKさんの人生はそれだけ?」(金馬国晴先生)。「温泉で語り合ったんだ!? そんな面白い交流の話もあるなら」(小倉康嗣先生)。「理論よりももっとKさんの語りを生かして」(塚田守先生)。その日クリティカルに響いた先生達の「声」が木霊する中、私はKさんへの聞取りを続けた。すると、Kさんの人生の中に私が居る事に気が付いた。Kさんの生活史を深く知ろうとしてKさんの物語に介入している私が、Kさんを鏡に浮かび上がる。もうこれは「私たちの物語」である。けれども<ライフストーリー>に転じた物語の内で、Kさん固有の「声」がかき消される事はない(この点は桜井厚先生もご指摘済)。Kさんの「声」は新しい意味となった私の「声」と共に響き続ける。そして私は、「二者関係」の向こうに、それを含んだ「三者関係」の地平を見た。私は今、遍路・お接待者・研究者の三者の<クロス・ナラティヴズ>を追究している。

JOHAニュースレター第27号

2014年12月22日
JOHAニュースレター第27号

日本オーラル・ヒストリー学会第12回(JOHA12)大会 報告特集
 2014年9月6日(土)、7日(日)の2日間にわたり、日本大学文理学部でJOHA12が開催されました。あいにくの雨模様でしたが、4つの自由報告部会、研究実践交流会、シンポジウムそれぞれにおいて報告に熱心に耳を傾ける参加者の姿がたくさん見られました。
 次回のJOHA13大会は2015年9月12~13日、大東文化大学板橋キャンパス*(東京都板橋区)での開催を予定しています。メーリングリストや学会HP上での案内・募集をお見逃しなく、どうぞふるってご参加ください。
*次回大会会場は大東文化大学の大東文化会館に変更しました。
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Ⅰ.日本オーラル・ヒストリー学会第12回年次大会報告
1.大会を終えて
 JOHA12大会は、2014年9月7日~8日、日本大学文理学部キャンパスにて行われました。学会会長が開催校担当を兼ねられました。多忙な中、お引き受けいただきました好井裕明会長、開催校会員として大会運営をサポートしていただいた中村英代先生、野口憲一先生はじめ、学生スタッフの皆様に感謝いたします。
 冷房が必要ない天候のなか、2日間で延べ122名(参加費徴収83名)の参加者を数え、盛況でした。年会費納入済み参加会員には完成したばかりの学会誌10号をお渡しできました。今回、自由報告の司会2人制、事務局管理のバックナンバー自己申告制配布を新たに試みました。1日目の研究実践交流会「オーラル・ヒストリーを用いた大学の教育実践」、2日目のシンポジウム「オーラルヒストリーで編み直す放送史」は登壇者のみならず、フロアからも活発な議論が展開しました。会員のみなさまの参加とご協力に感謝申し上げます。次回は2015年9月、大東文化大学板橋キャンパスで開催されます。どうぞよろしくお願いいたします。(JOHA事務局長 川又俊則)

2.第1分科会
司会:鶴田 真紀(1~2報告)・赤嶺 淳(3~5報告)
 第1分科会では、以下の3組5名の発表がおこなわれた。うち4本は、東北大震災に関するものであり、分科会としてのまとまりがあったものと考えている。まず、石村華代(九州ルーテル学院大学)氏が、「聞き書きによる文化継承の過程―「聞き書き甲子園」の事例検討を通して」と題した報告をおこなった。石村氏は、教育学の視点から、文化継承に関する新たな取り組みとしての「聞き書き甲子園」活動を社会教育活動と位置づけ、その事例研究をおこなった。海・山・川をフィールドに生業を営む「名人」とインタビュアーとしての高校生との関わりを記述することにより、この活動における「出会い」と「学び」の具体的諸相をあきらかにした。
 次に東京家政大学の岩崎美智子氏が、「ボランティアと仕事のあいだ―被災地で支援活動をした保育者たちの経験」と題した報告をおこなった。 岩崎氏は、東北地方の被災地におもむき、保育所で数か月~1年の間支援活動をおこなった保育者たちの語りをとおして、援助する側からみた「支援」のあり方について考察した。保育者が一定期間被災地で支援活動をすることは、「ボランティア活動」なのか、それとも「職業活動の一環」なのかと問いかけ、ボランティアとして活動することと職業人として働くことの相違を分析した。また、海外でのボランティア経験の有無が、被災者と支援者の協働のあり方に差異をもたらすという仮説は、今後の研究の発展性を感じさせてくれた。
 最後に上智大学のデビット・スレイター氏ら3名による「東北からの声」(Voices from Tohoku: A 3.11 video archive from 10 different communities)に関する発表があった。まずスレイター氏が同活動の歴史と概要、展望を紹介したあとで、 マヤ・ヴェセリッチ氏が震災の経験をかたる「語り部」の現代的意義について、彈塚晴香(東京大学大学院)氏が、いわゆる自主避難された女性たちの苦悩と現状について報告した。同活動は、学生が中心となって収録した400時間にもおよぶインタビュー記録を所蔵している。素人の学生がむけたマイクに語られた内容は、既成のマス・メディアがとらえきれていない「生の声」であり、それゆえに、震災の経験、その後の社会変容を物語る資料となっている。今後は、このアーカイブをいかに国内外で活用していくのか、期待したい。(赤嶺 淳)

3.第2分科会
司会:宮崎 黎子(1~3報告)・滝田 祥子(4~5報告)
 第2分科会では、5つの報告がなされた。
 第1報告の渡辺祐介(立命館大学大学院)「将校になる―ある『学徒兵』のライフヒストリー―」は、「学徒兵は何のために戦ったのか」という疑問から、「学徒兵」であった、神田氏のライフヒストリーを3日間15時間に及ぶインタビューから得て、彼の戦争体験と戦争観をもとに考察する。そこから体験者ならではの戦中派特有の‘割り切れなさ’が浮かび上がってくる。青年の善意や誠意が戦時体制に回収されるメカニズムと体験者のライフヒストリーが語る戦争の‘リアリティ’に迫る報告であった。
 第2報告の山本唯人(東京大空襲・戦災資料センター)「証言映像を捉え直す―『東京大空襲証言映像マップ』を通して―」は東京都江東区に所在する民立資料館である東京大空襲・戦災資料センターで今年3月、c-locと呼ばれるソフトウェアを活用し、空襲体験者の証言映像をモニタ画面上の3D地図を通して視聴する「東京大空襲証言映像マップ」という証言映像アーカイブを公開した。このアーカイブの操作をスライド画面上で実演し、その概要を説明すると同時に、オーラル・ヒストリーの新たな視聴方法の開発が、その研究にもたらす可能性について考察した。
 第3報告の小泉優茉菜(神奈川大学大学院)「長崎県生月島のかくれキリシタン信者のライフ・ヒストリー」は江戸幕府によって弾圧されたキリスト教信者たちが潜伏し、250年間信仰を伝承した。指導者のいない中で伝承された信仰は、日本の風土などと混淆し、現在は「かくれキリシタン信仰」として伝承されている。大戦下の混乱で伝承が滞って以来、伝承断絶の危機にある今、村川要一氏(89)の個人史から考察する。親から子へ口伝えで行われてきた伝承だが、今は「紙に書く」。また「唄おらしょ」(ラテン語のOratio<祈り>が日本語に近づき、転化)の採譜を通じて、日本独特の伝承を調査。先行研究では注目されてこなかった「個」とかくれキリシタン信仰との繋がりにも言及した。
 第4報告の藤井和子(関西学院大学大学院)「開拓が生みだすもの―戦後入植のフォークロア―」は開拓を通して人々がどのようなフォークロアを生み出したのかという観点から、戦後開拓について茨城県旧七会村で、ユニークな活動を展開している駒井英子さんのナラティブを紹介。まさに「創意工夫で新境地を拓く開拓者魂を引き継ぎ、再生可能エネルギー発電に取り組む」80歳の起業家駒井英子さんがつくった不二太陽光発電株式会社の成長と発展の物語は、原発事故後の新たな可能性を示唆する報告となった。
 第5報告の嶋田典人(香川県立文書館)「アーカイブズとオーラルヒストリー―文書等と聞き取り調査―」はオーラルヒストリーとアーカイブズは相互に補完しあうものとして、所属する香川近代史研究会の戦争体験等聞き取り調査の事例を分析。香川県立文書館における高松飛行場資料の利活用・普及事業。戦跡関連調査の実施―地域での聞き取り調査の必要性。高松飛行場と詫間海軍航空隊関連聞き取り調査について報告。記録資料とそれらを保存する(公)文書館、すなわちアーカイブズの必要性を述べた。
 5つの報告は多岐にわたり、多様性に富んでいたが、「日本の戦争体験」が通奏低音となっていることが共通していた。それぞれ中身の濃い報告であっただけに、報告そのものの時間も討議の時間も少ないのが、残念に思われた。(宮﨑黎子)

4.第3分科会
司会:橋本 みゆき(1~2報告)・山村 淑子(3~4報告)
 大会2日目午前の第3分科会は、山村淑子氏と橋本が進行を務めた。5名の報告を予定していたが1名が急病により欠席したため、4つの報告の後に山村氏の司会で全体討論の時間をもった。
 1つ目の報告は、後藤一樹氏(慶應義塾大学大学院)の「〈漂泊〉のライフストーリー─―ある歩き遍路の語りから」である。報告者が四国遍路中に出会い、再会したKさん(1948年生)の語りに現れる、四国遍路の意味の世界の変遷を象徴的相互作用プロセスとして描こうとしたもの。会場からは、Kさんにとっての仏教の重要性に関する質問があった。確かに単一の枠に収まらない意味世界である。ただ「交響」と広げてしまうまとめ方には、まだ検討できる余地があるようにも思われた。
 2つ目は、江口怜氏(東京大学大学院)の「被差別部落の人間形成と義務教育――神戸市内の夜間中学に学んだ夫婦の語りに焦点を当てて」である。学齢期に(夜間)中学を中退し、高齢になって再入学した被差別部落出身の夫婦(夫1936年、妻40年生まれ)の、人生の時期によって意味づけが異なる義務教育就学の語りに報告者は注目する。生活経験や職業による人間形成に対しての義務教育の意味は何か、もう一歩踏み込んだ結論も導けそうな事例である。
 3つ目は、吉村さやか氏(聖心女子大学大学院)「「女らしい文化」を生きる――髪を喪失した女性たちのライフストーリー」である。円形脱毛症当事者会の会長である39歳女性へのインタビューから、彼女の転機となった温泉での経験に焦点を当て、一方で脱毛症への理解を図る活動と、他方ではカツラ着用の社会生活を続ける個人の人生を理解しようとしたもの。質疑は、語り手と聞き手との関係性の記述の意義や、「女らしい」という表題に集中した。
 4つ目は、具美善氏(一橋大学大学院)「在韓結婚移住女性のライフストーリー――結婚移住のプロセスと意味」である。「多文化家族」の増加で知られる韓国。報告者は3調査事例を紹介し、ステレオタイプで描かれがちな近隣国出身女性たち自身の選択・結婚移住経験への主体的意味づけを論じた。参加者からは、出身国の社会構造や仲介業者が介在するケースなど背後要因への目配りの必要性、またかつての日本との類似性の指摘があった。
 一見マイノリティ問題を共通項としつつも、複数の視角を刺激される興味深い部会となった。雨にもかかわらず早くから集まった参加者らが積極的に発言して比較的じっくりと質疑応答・議論ができ、各報告への理解をさらに深めることができた。参加者の協力に感謝する。 (橋本みゆき)

5.第4分科会
 第4分科会では、1と2の報告については、有末賢(慶応義塾大学)が司会をし、3~5の報告は、山本須美子(東洋大学)が司会を担当した。第1報告は、張瑋容(お茶の水女子大学大学院)の「妄想と現実の交差点にみる女性オタクのセクシュアリティ―一人の台湾人女性オタクのライフストーリーから―」であった。台湾における「哈日ブーム」などを背景にして日本マンガの輸入のみならず、コスプレや同人誌即売会なども台湾に紹介されるようになって「オタク文化」が受容されるようになった。張さんは、Bさんという一人の台湾人女性オタクのライフストーリーを取り上げ、彼女の妄想と現実の交差点に見られるセクシュアリティに焦点を当てて、分析していた。大変興味深い報告であった。第2報告は、池上賢(立教大学兼任講師)の「マンガ家のライフストーリーに見る戦後マンガ史」であった。池上さんは、これまでマンガの読者を対象として、マンガに関する経験が、人々にとってアイデンティティのリソースになることを研究してきた。今回は、Sharon Kinsellaのマンガ編集者とマンガ家を対象にしたエスノグラフィーを重要な先行研究として、2人のマンガ家のインタビューを通して戦後マンガ史の一端を描いた。今後は、編集者へのインタビューも加えてライフストーリーとメディア・コンテンツの生産に向かっていくものと思われる。第3報告は、中原逸郎(京都楓錦会:慶応義塾大学大学院)「もてなし文化の民俗学的研究―京都北野上七軒の舞妓の聞き取りを中心に―」であった。従来、京都の花街は民俗学分野において取り上げられることが少なかった。中原さんは、芸妓や舞妓へのインタビューを通して、芸の習得や伝承、お茶屋遊びの民俗文化や「もてなし文化」の変遷について分析した。貴重な研究成果である。第4報告は、ケイトリン・コーカー(Caitlin Coker:京都大学大学院)「1960~90年代の舞踏グループのオーラル・ヒストリー―舞踏を生み出した日々の実践―」であった。コーカーさんの報告は、戦後日本の前衛舞踏家として有名な土方巽の舞踏グループに属した人々から、オーラル・ヒストリーを聞き取って、当時の舞踏の日々の実践を明らかにした。彼らは、制作・上演するため、ほとんどの舞踏家が稽古場で共同生活をして、キャバレーでの「金粉ショー」で活動の資金を稼いでいた。多様な視点から、1960~90年代の舞踏家たちの活動が描かれた。グローバルな視点についても今後研究されると良いと感じられた。第5報告は、竹原信也(奈良工業高等専門学校)「別子銅山社宅街(東平社宅)における昭和の生活史」であった。竹原さんは、愛媛県新居浜市の別子銅山(1691-1973)の山間に作られた社宅街(東平社宅)の生活文化を、生活経験者の語りから報告された。山間部での昭和の生活文化や共同性、コミュニティの内実が活き活きと描かれたものであった。5つの報告、どれもがオーラル・ヒストリーの魅力を引き出している秀逸な報告であったと思われる。(有末 賢)

6.研究実践交流会 「オーラル・ヒストリーを用いた大学の教育実践」
 聞き書き甲子園が代表的な事例であるが、近年、オーラル・ヒストリー(聞き書き)のもつ人間形成における意味や機能に着目をした実践が注目を集めているが、JOHAに所属している大学教員もまた大学の講義や演習などでオーラル・ヒストリーを活用した取り組みを実践しているはずであり、その経験を交流したいということを目的に、今年度の研究実践交流会では、オーラル・ヒストリーを活用した大学教育の実践をとりあげた。
 メインの報告者は、梅崎修氏(法政大学キャリアデザイン学部教員)。梅崎ゼミでは、約1年をかけて、企画から取材、編集、広告営業まですべての工程を学生に関わらせて、「神楽坂」のタウン誌『Roji(c)』を毎年発行してきた。タウン誌の特徴は、神楽坂の魅力を、街をつくっている人々のキャリアや想いという視点から伝えるところにある。梅崎ゼミの学生は、神楽坂で働いている人びとから仕事や人生を聞き取り、そのキャリアヒストリーを作品にまとめてタウン誌の記事として発表する。報告では、このようなゼミ生の実践成果を踏まえて、オーラル・ヒストリープロジェクトの運営の難しさ、オーラル・ヒストリーを教えることの難しさが語られ、以下のような論点があげられた。
・それは、テープ起こしという苦行と発表の場づくりの関係。
・発表の場があるから、読者に語り手の経験を伝えるという媒介性が生まれること。
・広告費や販売を考えることが学生にとって経営センスを学ぶよい経験になること。しかし一方で、トラブルが生まれること。
・就職活動と印刷所とのやり取りが生まれるので、かならず学生間の負担分担に対する不平が生まれること。
・記事になるので、インタビュー先とのトラブルが生まれること。しかし、上記の問題があるからこそ、よい学習経験でもあること。
 サブ報告者は、塚田守会員(椙山女学園大学)にお願いした。リアルな女子大生の「就活」の実態を女子大生の自分史を通じて肉薄した書として注目を集めている編著『就活女子』(ナカニシヤ出版、2013年)の成果に立っての報告であった。
 教師が学生(生徒)の話を徹底的に「聴く」ことで、学生たちは教師(他者)に対して自己を語り、その過程で人生を再吟味し、自分のこれまでの経験に意味を与えていき、自らをエンパワーメントしていくことが指摘された。つまりは、『就活女子』とは、学生へのライフ・ストーリーインタビューの試みであり、それがもつ人間形成的意味を塚田報告は明らかにした。
 質疑では、各教員の大学でのオーラル・ヒストリーを活用した授業の取り組みも紹介された。大学でのオーラル・ヒストリーを用いた教育実践を交流する場として一定の意義があったように思われる。(研究活動委員会 和田 悠)

7.シンポジウム 「オーラルヒストリーで編み直す放送史」
 日本で放送が始まってから来年(2015年3月)で90年となる。これまで放送史研究においては放送番組(映像・音声)アーカイブや関連する文書や書籍が主な資料であった。しかし近年、放送に携わってきた人びとの声や記憶に注目が集まっている。放送に携わってきた多様な立場の人びとの証言を聞き取り、内容を分析することで、文書資料の隙間を埋め得る事実関係が明らかになり、また放送番組が制作された社会文化的背景もより詳細に検討ができるようになり、多様な職種における制作現場の実相に迫ることができる。またオーディエンス研究においてもオーラルヒストリーは大きな可能性を秘めている。
 本シンポジウムではこうした問題関心のもとで、米倉律(日本大学法学部)「放送史研究における資料の現状とオーラルヒストリーの可能性」、廣谷鏡子(NHK放送文化研究所主任研究員)「オーラルヒストリーを用いた初期テレビドラマ研究の試み――『私は貝になりたい』(TBS、1958年)の事例を中心に――」、西村秀樹(近畿大学客員教授)「日本初の民間放送、新日本放送スタッフへのヒアリング」という3報告をいただいた。
 米倉氏は放送史研究がもともとアーカイブや資料等を保存する習慣がなかった放送界の現実を批判的に検討し、現在番組アーカイブ整備が進展し、アーカイブを利用した放送史研究が進展しつつある現況を確認した。そのうえで放送史をより豊穣なものにするうえでオーラルヒストリーの可能性を、①放送番組の成立・制作過程の解明、②「放送史」の「放送人史」からの捉え直し、③オーディエンス(視聴者)史のよる放送史の立体化の3点にまとめられた。
 廣谷氏は、放送初期の傑作である『私は貝になりたい』というドラマをめぐり、当時美術を担当していた坂上建司氏から詳細な聞き取りを行い、当時の制作現場での実践的な工夫をめぐる証言を明らかにした。「巣鴨拘置所の場面は全部創作」「インサートカットは舞台の幕」「狭いスタジオを有効に使う」「軍事裁判の楽屋裏」「予算も、時間も、材料もなかった」「13階段はスタジオ備品」等、興味深い内容がドラマ映像を並置しながら報告された。この報告は、米倉氏の指摘する②の可能性をめぐる事例研究の試みと言える。
 西村氏は、戦後日本初の民間放送である新日本放送スタッフ15名に対する聞き取りをもとにして報告された。それぞれの語りが整理され、インタビューで判明したこととして「関西のラジオとして、庶民性、反権力姿勢、娯楽を重視したこと」「1950年占領軍によるレッドパージの結果、新日本放送発足時にNHKから移行した人が多かったこと」「NHKに残留した人も、当時の組合対策や組合分裂で悩んだ人が多かったこと」などをあげられ、戦後の放送体制創成期においてフェミニズム、労働運動、営業等より具体的なテーマを加味した研究の必要性が主張された。
 その後、太田省一(社会学者)、八木良広(立教大学兼任講師)からのコメントをまじえ、討論を行った。十分な討議時間を確保できなかったが、放送史、放送という世界におけるオーラルヒストリーを用いた研究の可能性の広さや奥深さについては、フロアの人びとも含めて、共有されたのではないかと思う。(日本大学 好井裕明)

Ⅱ.総会報告
2014年度総会(第11回総会)
日時:2014年9月7日(日)12:15~13:00
場所:日本大学文理学部3号館 3306教室
会長挨拶、議長選出(舛谷鋭会員)の後、以下の議案が諮られた。

第1号議案 2013年度事業報告
2013年度(2013.9.1~2014.8.31)事業報告について、以下の諸点が報告、了承された。
 1.会員数の現状 新規入会者が17名あった。内訳は一般5名、学生他12名である。学会大会での発表や学会誌の執筆が目的で新入会する方が多かった。2年間の学会費未納による自動退会者等21名、自己申告退会2名。3月31日現在の会員は240名である。
 2.第11回大会の実施と第12回大会開催 第11回大会は、通例の9月開催を前倒しし、2013年7月27~28日の二日間にわたって立教大学新座キャンパスにて学会設立10周年記念大会として開催した。自由報告は4つの分科会に分かれ、14本の報告があった。大会初日には、記念テーマセッション「JOHA10 年 いまオーラル・ヒストリーを問いなおす―ヒストリーとストーリーのはざまで」をフロア参加型のワークショップ形式で行い、大会二日目には記念講演として、アーサー・フランク教授(カナダ・カルガリー大学)の「語りがたきを語る」を開催した。第12回大会については2014年9月6~7日の二日間、日本大学文理学部(東京都世田谷区)で開催することになった。広報活動としてA4判の掲示ポスターを作成した。後藤一樹会員にデザインを引き受けていただき、学会HPに掲載し、学会理事を中心に広報に努めた。
 3.学会誌9号の発行と10号の編集・発行について 2013年9月に学会誌第9号を発行し、会費納入会員へ郵送した。この9号より、学会がインターブックス社から300部を買い取り、インターブックス社が出版元・販売元になった。これによって出版費用を恒常的に格安に抑えることができた。10号の編集は例年通り校正終了し、会費納入済会員に対して、第12回大会参加者には会場にて、非参加者には郵送で配布される。
 4.ワークショップの開催 2013年度は単独のワークショップを行なわなかったが、2014年の学会大会の研究実践交流会をコーディネートするために研究委員会を開催し、委員のあいだで議論・検討を行なってきた。
 5.ニュースレターの発行 ニュースレターはJOHA11後JOHA12の間に25号(2013年12月15日)と26号(2014年8月23日)を発行した。広報委員2名が編集分担。会員メーリングリストでの配信を基本とし、郵送会員数名には事務局から郵送した。
 6.ウェブサイトの充実 前期に移行した新ウェブサイト(http://joha.jp/) を学会事務局と広報委員会が管理運営している。
 7.会員相互の交流の促進 会員メーリングリストを通じた会員相互の情報発信が適宜なされている。
 8.海外のオーラル・ヒストリー団体との交流 国際交流担当理事を中心に、海外のオーラル・ヒストリー団体との交流を促進し、会員に情報提供を行う。2014年7月にはISA世界社会学会(RC38)が横浜で開催され、JOHAメンバーも、セッション・オーガナイザーや報告者として参加した。

第2号議案 2013年度決算報告
2013年度(2013.4.1~2014.3.31)決算報告資料に基づき報告され、了承された。

第3号議案 2013年度会計監査報告
山田富秋監事と折井美耶子監事より「会計帳簿、預貯金通帳、関係書類一切につき監査しましたところ、正確で適切であることを認めましたので、ここに報告いたします」と報告があり、了承された。

第4号議案 2014年度事業案
2014年度(2014.9.1~2015.8.31)事業案について、以下の諸点が報告、了承された。
 1.会員の拡大と維持 年次大会やワークショップなどの実施を通じ、またこれらの情報を広報することによって、本学会の周知に努め、引き続き会員数の拡大を目指す。また、会員の維持と会費収入確保のため、大会後年内を目途に郵送による入金状況確認と会費納入の督促を行う。
 2.第12回大会の実施と第13回大会の準備 第12回大会を2014年9月6~7日の二日間にわたって日本大学文理学部(東京都世田谷区)において開催する。自由報告は4つの分科会に分かれ、20本の報告を予定している。研究実践交流会「オーラル・ヒストリーを用いた大学の教育実践」および、シンポジウム「オーラル・ヒストリーで編み直す放送史」を開催予定である。来年度の第13回大会については2015年9月12~13日の二日間にわたって大東文化大学板橋キャンパス(東京都板橋区)での開催を予定している。
 3.学会誌第11号の発行 学会誌第11号は、第6期理事会の編集委員会によって、JOHA12のテーマセッション内容と自由投稿をもとにして編集する方針である。
 4.研究会・ワークショップの開催 2014年度に多文化共生まちづくりとオーラル・ヒストリーをテーマにワークショップを開催することを計画し、そのための予備的な議論を委員会内で行なっている。また、学校教育関係者の学会への参加を視野におさめた研究活動についての議論を研究活動委員会で検討・提案をする予定である。
 5.ニュースレターの発行 JOHA12後に大会報告を中心にしたニュースレター第27号を、JOHA13前に大会プログラムを中心にした第28号の発行を予定している。
 6.ウェブ情報の充実と改善 学会ホームページをさらに見やすく整備するとともに、適宜更新していく。
 7.会員相互の交流促進 学会HPや会員メーリングリストの活用、ニュースレター配信を通じて、会員相互の交流を促進する。また、会員の出版、活動情報についても学会誌での書評等を通じて積極的に共有する。
 8.海外のオーラル・ヒストリー団体との交流 国際交流担当理事を中心に、海外のオーラル・ヒストリー団体との交流を促進し、会員に情報提供を行う。
 9.理事選挙 今年度は理事改選期にあたる。2015年3月末に選挙権・被選挙権の確認を行い、現理事の任期満了の2ヶ月前までに第7期理事選挙を行う。
 10.学協会誌の電子化事業 学協会誌の電子図書館事業が2016年度に終了となるが、本学会の対応について理事会内にワーキンググループを立ち上げ、議論を進めていく。

第5号議案 2014年度予算案
2014年度(2014.4.1~2015.3.31)の予算案資料に基づき提案され、了承された。(事務局長 川又俊則)

Ⅲ.理事会報告
第六期JOHA第4回理事会議事録
日時:2014年9月6日(土)11:00~12:00
場所:日本大学文理学部(3号館)
参加:好井、赤嶺、有末、岩崎、小倉(議事録)、川又、川村、塚田、橋本、宮崎、八木、和田
欠席(委任):小林、田中、桜井

1.議事録記載者確認(詳細は略)
2.学会大会について
(1)日程・会場等確認 (2)総会議案確認
3.各委員会報告
(1)編集委員会 (2)研究活動委員会 (3)広報委員会
4.事務局報告
(1)入会、異動
5.その他
(1)今後の理事会予定 (2)次期理事選挙について(事務局長 川又 俊則)

Ⅳ.お知らせ
1.『日本オーラル・ヒストリー研究』 第11号投稿募集
 論文、研究ノート、聞き書き資料、書評、書籍紹介の原稿を募集いたします。
 掲載を希望される方は第10号の投稿規定・執筆要項を参照の上、編集委員会まで原稿をお送りください。学会大会での発表者のみなさんをはじめ、多くのみなさまのご応募をお待ちしています。
 締め切り:2015年3月31日(火曜日)
 応募原稿送付先および問い合わせ先は以下の通りです。

日本オーラル・ヒストリー学会編集委員会
〒464-8662 名古屋市千種区星ヶ丘元町17-3 椙山女学園大学国際コミュニケーション学部 塚田守研究室内
メールアドレス mamoru[at]sugiyama-u.ac.jp (編集委員長 塚田 守)

2.国際交流委員会から
<ISA2014 横浜大会の報告>
 国際社会学会ISAは2014年7月13日から19日までパシフィコ横浜で第18回大会を開催しました。JOHAに関係の深いRC38「Biography and Society」は 11のセッションと3つのジョイント・セッションを持ちましたが、そのなかにJOHA会員の塚田守さん、山田富秋さん、橋本みゆきさんの発案で開かれることになったセッション「Understanding Social Problems through Narratives by Insiders」がありました。このセッションはとりわけ報告希望者が多く集り、ドイツ、フィンランド、ノルウェイ、オランダ、トルコ、ブラジル、日本の計7カ国から14名が多様な社会問題についての研究報告をしました。一人一人の報告時間が短かったのが惜しまれますが、世界各地でライフストーリー・インタビューや質的調査にたずさわる報告者たちの研究成果と調査にかける熱意が満席の会場で共有され、大変意義深いセッションとなりました。
 次回は、2018年にカナダ・トロントで開催されます。また中間会議が2016年7月にウィーンで開かれますので、ぜひご参加ください。

<海外学会情報>
【Oral History Society】イギリス オーラルヒストリー学会2015
イギリスのオーラルヒストリー学会(Oral History Society)の2015年大会は7月にイギリスのロンドン大学Royal Hollowayで開催されます。詳しくは学会HPをご覧ください。
Oral History Society HP http://www.ohs.org.uk/
 2015年7月10日‐11日 於・ロンドン大学
 大会テーマ: Oral Histories of Science, Technology and Medicine
【Oral History Association】アメリカ オーラルヒストリー学会2015
アメリカのオーラルヒストリー学会 Oral History Association 第18回大会は2015年10月にフロリダ州タンパで開かれます。
詳しくはOHAのHPを参照ください。http://www.oralhistory.org/
 2015年10月14日-18日  於・フロリダ州タンパ
【ISA】国際社会学会2016
国際社会学会International Sociological Associationは、2016年7月にオーストリアのウィーン大学において、第3回中間会議「ISA Forum of Sociology」を開催します。
詳細は学会HPをご覧ください。
学会HP http://www.isa-sociology.org/forum-2016/
 2016年7月10日‐16日  於・オーストリア ウィーン大学
Call for Sessions 期間: 2015年1月15日―2月15日
 Call for Papers 開始: 2015年4月7日
 Abstract申込み期間: 2015年6月3日―9月30日
email-address  biography-and-society[at]gmx.de (国際交流委員長 小林多寿子)

3.会員異動(略)
※連絡先(住所・電話番号・E-mail アドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。 (事務局長 川又俊則)

4.2014年度(2014.4.1~2015.3.31)会費納入のお願い
 いつも学会運営へのご協力ありがとうございます。
 本学会は会員のみなさまの会費で成り立っています。今年度の会費が未納の方におかれましては、何とぞご入金のほどよろしくお願いいたします。なお、先日発行しました学会誌は、2014年度会費入金の確認後、発送いたします。
■年会費
一般会員:5000 円、学生他会員:3000 円
*年会費には学会誌代が含まれています。
■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票(ゆうちょ銀行にある青色の振込用紙)の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
*従来の記号・番号は変わりありません。
■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ

 郵便払込・口座振込の控えで領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。
 学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、会計担当の八木良広(電子メール: yy.joha[at]gmail.com)へお問い合わせください。(会計 八木良広)

JOHAニュースレター第26号

JOHAニュースレター 第26号
2014年8月25日発行

 日本オーラル・ヒストリー学会第12回大会(JOHA12)が、2014年9月6日(土)、7日(日)の2日間にわたり、日本大学文理学部(下高井戸・桜上水)において開催されます。今回は、自由報告部会のほかに、6日の午後に研究実践交流会「オーラル・ヒストリーを用いた大学の教育実践」、また7日午後には、シンポジウム「オーラル・ヒストリーで編み直す放送史」を準備しております。皆様、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。
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【大会開催校からのご挨拶】
日本オーラル・ヒストリー学会長  好井 裕明(日本大学)
 JOHA会員のみなさま、残暑お見舞い申し上げます。9月6日(土)、7日(日)に日本大学文理学部キャンパスで第12回大会を開催いたします。新宿から京王線快速および各駅停車で10分、下高井戸駅下車徒歩10分という至近距離ですが、閑静な住宅街に囲まれたこじんまりとしたキャンパスです。今回は20名もの自由報告があり、実践交流会での報告議論とあわせて、活発でかつ生産的なやりとりが行われることを期待しています。7日午後の大会シンポジウムもNHK放送文化研究所のご協力をいただき、放送史という新たなジャンルにおけるオーラル・ヒストリーの可能性を考えたいと思っています。会場をサポートする教員や院生の数は多くなく十分なおもてなしの体制はできませんが、できるだけみなさんが快適に学会を過ごしていただけるよう努力いたします。まだまだ残暑が厳しいとは思いますが、一人でも多くの方に参加していただけることを祈念しています。

<第1日目 9月6日(土)>
12:00      受付開始 3号館
13:00~15:30 自由報告(第1分科会、第2分科会)
15:40~17:40 研究実践交流会「オーラル・ヒストリーを用いた大学の教育実践」(3307教室)
 報告者     梅崎修(法政大学キャリアデザイン学部)
 コメンテイター 塚田守(椙山女学園大学)
 司会      和田悠(立教大学)
18:00~20:00  懇親会(日本大学文理学部キャンパス内:カフェテリア・チェリー)
<第2日目 9月7日(日)>
9:00      受付開始  3号館
9:30~12:00 自由報告(第3分科会、第4分科会) 
12:15~13:00  総会  (3306教室)
13:00~13:20  昼食休憩(3303教室、他) 
13:20~16:00  シンポジウム「オーラル・ヒストリーで編み直す放送史」(3307教室)
 報告者
  1.放送史研究における資料の現状とオーラル・ヒストリーの可能性
   米倉律(日本大学法学部)
  2.オーラル・ヒストリーを用いた初期テレビドラマ研究の試み~『私は貝になりたい』(TBS,1958年)の事例を中心に~
   廣谷鏡子(NHK放送文化研究所主任研究員)
  3.日本初の民間放送、新日本放送スタッフへのヒアリング
   西村秀樹(近畿大学客員教授) 
 討論者 太田省一(社会学者)、八木良広(立教大学兼任講師)
 司会  好井裕明(日本大学)
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Ⅰ.日本オーラル・ヒストリー学会 第12回大会 概要
 Japan Oral History Association 12th Annual Conference

開 催 日:2014年9月6日(土)~7日(日)
開催場所:日本大学文理学部3号館(東京都世田谷区)
アクセス:京王線下高井戸駅・桜上水駅徒歩8分 
参 加 費:会員      1,000円(1日参加、2日参加共)
     非会員・一般  2,000円(1日参加は1,000円)
非会員・学生他 1,000円(1日参加は 500円)
懇親会費:一般 4,000円、学生他 2,000円
大会実行委員会 開催校担当・会長:好井裕明、開催校担当:中村英代、山北輝裕
        学会事務局:川又俊則、研究活動委員会委員長:和田悠、会計:八木良広

○参加者へのお願い:
1)参加にあたっては、会員・非会員とも事前の申し込みは必要ありません。
2)近隣の食堂等をご利用いただくなど、昼食は各自でご用意ください。
3)自由報告は、報告20分・質疑応答10分(合計30分)で構成されています。

○自由報告者へのお願い:
1)当日配布資料がある場合、その形式は自由です。ただし、開催校では資料を印刷いたしません。報告者ご自身で当日持参いただき、会場担当者へお渡しください(50部ほどご準備ください)。
2)各会場にパソコンを準備しておりますので、ご利用の場合、USBメモリ等にプレゼンテーション資料をお持ちください(ご自身のPC等をご使用の場合、RGBケーブル接続のみでUSBなどの接続方式には対応しておりません。必要な方は変換アダプター等もご準備ください。念のため資料を保存したUSBメモリ等もご持参ください)。動作確認等は、各分科会の開始以前にお願いいたします。会場担当者にご相談ください。

学会大会に関してご不明な点がございましたら、JOHA事務局(joha.secretariat(at)ml.rikkyo.ac.jp、Fax059-390-3903)までお寄せください(メールの場合(at)を@に変えてください))。

1.大会プログラム
<第1日目 9月6日(土)>
12:00      受付開始 3号館
13:00~15:30 自由報告(第1分科会、第2分科会)

○第1分科会 (3308教室) 司会:鶴田 真紀(1~2報告)・赤嶺 淳(3~5報告)
1.聞き書きによる文化継承の過程―「聞き書き甲子園」の事例検討を通して―
石村華代(九州ルーテル学院大学)
2.ボランティアと仕事のあいだ―被災地で支援活動をした保育者たちの経験―
岩崎美智子(東京家政大学)
3.東北からの声(Voices from Tohoku: A 3.11 video archive from 10 different communities)
David H. Slater、デビット H. スレイター(上智大学国際教養学部)
4.オーラルヒストリーとオーラルトラディション―東日本大震災後の語り部の記録―
(Oral history and oral tradition: Documenting post-3.11 kataribe storytelling)
マヤ ヴェセリッチMaja VESELIČ(上智大学比較文化研究所)
5.東北からの声―福島の母親たちのアクティビズム―
(Voices from Tohoku: Activism among mothers in Fukushima)
彈塚 晴香(東京大学大学院)

○第2分科会(3310教室) 司会:宮崎 黎子(1~3報告)・滝田 祥子(4~5報告)
1.将校になる―ある「学徒兵」のライフヒストリー―
   渡辺祐介(立命館大学大学院)
2.証言映像を捉え直す―「東京大空襲証言映像マップ」を通して―
山本唯人(東京大空襲・戦災資料センター)
3.長崎県生月島のかくれキリシタン信者のライフ・ヒストリー
小泉優莉菜(神奈川大学大学院)
4.開拓が生みだすもの―戦後入植のフォークロア―
藤井和子(関西学院大学大学院)
5.アーカイブズとオーラルヒストリー―文書等と聞き取り調査―
嶋田典人(香川県立文書館)

15:40~17:40 研究実践交流会「オーラル・ヒストリーを用いた大学の教育実践」(3307教室)
 報告者     梅崎修(法政大学キャリアデザイン学部)
 コメンテイター 塚田守(椙山女学園大学)
 司会      和田悠(立教大学)
【開催趣旨】
今年度の研究実践交流会では、オーラル・ヒストリーを活用した大学教育の実践をとりあげたい。オーラル・ヒストリーを導入した大学の授業はいかに展開しているのか、学生たちはオーラル・ヒストリーを実践し、その学知にふれるなかで、どのように成長していくのか、具体的な大学の教育実践について議論することで、オーラル・ヒストリーの方法や射程を考えることを課題としたい。
 話題提供者に梅崎修氏にお願いした。梅崎氏はオーラル・ヒストリーを積極的に活用し、労務管理・労使関係、日本的雇用の歴史的実態のダイナミズムを解明する研究に従事する一方で、法政大学キャリアデザイン学部・梅崎ゼミとして「神楽坂」を舞台に「まちづくりとオーラル・ヒストリー」という観点で共同研究を試みてきた。学生たちが主体となりタウン誌も発行している。今回は梅崎ゼミでの取り組みについて報告をしていただく。
 コメンテーター(サブ報告)として、『就活女子』(ナカニシヤ出版、2013年)の編者である塚田守(ツカダマモル)氏にお願いした。リアルな女子大生の就活の実態について、女子大生の自分史を通じて肉薄した書として注目を集めている同書であるが、その前提には塚田氏の女子大生に対するケアを含むゼミづくりがあり、オーラル・ヒストリーは塚田氏(ゼミ)にとっての教育方法となっている。
 報告とコメントを受けて全体討論に移りたい。オーラル・ヒストリーを活用した教育実践の経験(地域女性史もその一つであろう)が積極的に交流されることを期待している。

18:00~20:00  懇親会(日本大学文理学部キャンパス内:カフェテリア・チェリー)

<第2日目 9月7日(日)>
9:00      受付開始  3号館
9:30~12:00 自由報告(第3分科会、第4分科会) 

○第3分科会(3308教室) 司会:橋本 みゆき(1~3報告)・山村 淑子(4~5報告)
1.統合失調症の娘を抱える両親の語り
青木秀光(立命館大学大学院、日本学術振興会特別研究員)
2.四国遍路のライフストーリー―流動化する社会と自己アイデンティティ―
後藤一樹(慶應義塾大学大学院)
3.被差別部落の人間形成と義務教育―神戸市内の夜間中学に学んだ男性の語りに焦点を当てて―
江口怜(東京大学大学院)
4.「女らしい文化」を生きる―髪を喪失した女性たちのライフストーリー―
吉村さやか(聖心女子大学大学院)
5.在韓結婚移住女性のライフストーリー―結婚移住のプロセスと意味―
具美善(一橋大学大学院)

○第4分科会(3310教室) 司会:有末 賢(1~2報告)・山本 須美子(3~5報告)
1.妄想と現実の交差点にみる女性オタクのセクシュアリティ― 一人の台湾人女性オタクのライフストーリーから―
張瑋容(御茶の水女子大学大学院)
2.マンガ家のライフストーリーに見る戦後マンガ史
池上賢(立教大学兼任講師)
3.もてなし文化の民俗学的研究―京都北野上七軒の舞妓の聞き取りを中心に―
中原逸郎(京都楓錦会)
4.1960~90年代の舞踏グループのオーラル・ヒストリー―舞踏を生み出した日々の実践―
ケイトリン・コーカー(京都大学大学院)
5.別子銅山社宅街(東平社宅)における昭和の生活史
竹原信也(奈良工業高等専門学校)

12:15~13:00  総会  (3306教室)
13:00~13:20  昼食休憩(3303教室、他) 
13:20~16:00  シンポジウム「オーラルヒストリーで編み直す放送史」(3307教室)
【企画趣旨】
 日本で放送が始まってから来年(2015年3月)で90年の節目を迎える。
日本の現代史にほぼ重なる放送の歴史的展開を辿るうえで、オーラルヒストリーの可能性が注目されるようになっている。放送史研究においては、これまで放送番組(映像・音声)のアーカイブや、関連する文書・書籍が資料として用いられてきた。しかしそれらだけで、放送の歴史的展開とその社会的、文化的意味を探ることには限界がある。 
 放送史に関わってきた多様な立場の人々の証言を収集・分析することによって、①文書資料に記録されていない事実関係を埋める、②放送番組が制作された社会的文化的背景に光を当てる、③多様な職種によって担われてきた制作現場の実相に迫る、といったことが可能になる。また、オーディエンス(受け手)研究においてもオーラルヒストリーは大きな可能性を持つ。
 本シンポジウムでは、放送史研究におけるオーラルヒストリーの可能性について、幾つかの研究事例や証言のデジタル・アーカイブ化に関する報告を踏まえながら、テレビ文化を研究する社会学者、オーラルヒストリー研究の専門家も交えて議論を深め、今後に向けての研究の方向性や課題、隣接諸分野との連携の可能性などについて考えたい。

【報告内容】
1.放送史研究における資料の現状とオーラルヒストリーの可能性
  米倉律(日本大学法学部)
2.オーラルヒストリーを用いた初期テレビドラマ研究の試み~『私は貝になりたい』(TBS,1958年)の事例を中心に~
  廣谷鏡子(NHK放送文化研究所主任研究員)
3.日本初の民間放送、新日本放送スタッフへのヒアリング
  西村秀樹(近畿大学客員教授) 

 討論者 太田省一(社会学者) 八木良広(立教大学兼任講師)
 司 会 好井裕明(日本大学)

2.自由報告要旨
○第1分科会(3308教室) 司会:鶴田 真紀(1~2報告)・赤嶺 淳(3~5報告)
※第1分科会の3~5の報告は、3つの報告を連続して行い、その後、質疑応答をまとめて30分行う形にします。この3つの報告はすべて英語で行われます。

1.聞き書きによる文化継承の過程―「聞き書き甲子園」の事例検討を通して―
Process of Cultural Succession through an Oral History Interview―A Case Study
on “Kikigaki-Koushien”
  石村華代(ISHIMURA Kayo 九州ルーテル学院大学)
本研究では、文化継承に関する新たな取り組みとして、社会教育活動である「聞き書き甲子園」に着目する。これは、高校生が海・山・川の名人に対して仕事に焦点を当てた聞き書きを行い、その成果を発表するという流れで行われる社会教育活動である。高校生と名人が関わる場を丹念に記述していくことによって、より具体的に、この活動のただ中でどのような出会いが生じているのかを考察した。その結果、親和性/異質性へのたえざる揺らぎの中で老年者から若者への文化継承が行われうることが明らかになった。また、聞き手である高校生が語り手である名人の仕事と人生に敬意を払い、そのことばに耳を澄まし、時をともに過ごすなかで、両者のあいだに祖父母的世代継承性を含んだつながりが生まれることが看て取れた。

2.ボランティアと仕事のあいだ―被災地で支援活動をした保育者たちの経験―
Between Volunteer and Profession :Experiences of Nursery Teachers Who Support
for Victims of Earthquake and Tsunami at Day Care Center
  岩崎美智子(IWASAKI Michiko 東京家政大学)
東北地方の被災地に赴き保育所で数か月~1年の間支援活動をおこなった保育者たちの語りをとおして、援助する側からみた「支援」について考察する。保育者が一定期間被災地で支援活動をすることは、ボランティア活動なのか、それとも職業活動の一環なのだろうか。ボランティア(普通の人)として活動することと職業人(専門家)として働くことの相違を軸にして、被災者と支援者との関係性、連帯を志向した支援者が支援するなかで孤立を深めていくこと、被災者と支援者の協働の可能性といった問題についても分析を試みる。

3.東北からの声
Voices from Tohoku: A 3.11 video archive from 10 different communities
  デビットH.スレイター(David H.Slater 上智大学国際教養学部)
2011年の春に始動した我々のプロジェクトについてご報告致します。このプロジェクトでは岩手・宮城・福島などの3.11で被害が大きかった地域でインタビューを実施し、そのビデオ記録を集めており、既に採集した記録は日本で最大と考えられる規模である、400時間を超えています。私たちの現段階での最終報告としては、データ採集の課題(コーディングまでの工程やビデオの効果が最大に発揮される部分のタグ付けについて)や、インタビューを実施した地域の方々を始め、どのように東京あるいは日本国内や海外で観衆の対象を広げていくかについてお話致します。
This is a report of our project, beginning in the spring of 2011, to collect video oral narratives from 3.11 affected areas from Iwate, Miyagi and Fukushima. We have now collected more than 400 hours of ethnographic interviews, maybe the most of its kind in Japan. Our report will be on the complexity of ethnographic data collection; the process of coding and tagging to maximum effect; and the politics of representation for both a local Tohoku audience, and then how to expand that audience to Tokyo and abroad.

4.オーラルヒストリーとオーラルトラディション―東日本大震災後の語り部の記録―
Oral history and oral tradition: Documenting post-3.11 kataribe storytelling
  マヤ ヴェセリッチ (Maja VESELIČ 上智大学比較文化研究所)
このプレゼンテーションでは東北の声のビデオアーカイブの中から、被災地の語り部の方々のインタビュー及び実際の語りの様子をご紹介致します。語り部の方々、また私たち研究者がそれぞれいかにして東日本大震災の「生の声」を残そうとしているか、その共通点や違いについて分析しています。
This presentation will examine the small part of the Voices from Tohoku video collection that focuses on kataribe storytellers in the disaster areas. In addition to the interviews with such individuals, the archive also includes few recordings of their performances. I will discuss the material we have gathered by reflecting on similarities and differences in the efforts of both, researchers and kataribe to preserve and share the first-hand experiences of the Great East Japan disaster and its aftermath.

5.東北からの声―福島の母親たちのアクティビズム―
Voices from Tohoku: Activism among mothers in Fukushima
  彈塚 晴香(DANZUKA Haruka 東京大学大学院)
このレポートはスレーター教授の元で行っている「東北からの声」プロジェクトの中から、特に福島のお母さんたちにスポットを当てたものです。放射能による子供の健康被害を心配して政治や教育現場に対して声を上げているお母さん達の苦悩、またコミュニティーや家族との関係の変化など、お話を聞いた中で浮かび上がってきた現状をご紹介致します。
This report will be based on the oral narrative project “Voices from Tohoku” with Professor Slater, especially focusing on mothers in Fukushima who are active in raising voices to the government and board of education for a change in policies to protect their children from the dangers of radiation. From the narratives collected from young Fukushima mothers, this report will be on the dilemmas that these mothers had to face, changing relationships between their families and community, and their struggles of being forced to make decisions out of inevitably bad choices.

○第2分科会(3310教室) 司会:宮崎 黎子(1~3報告)・滝田 祥子(4~5報告)

1.将校になる―ある「学徒兵」のライフヒストリー―
Becoming a Commissioned Officer: The Life History of a “Student-Soldier”
  渡辺祐介(WATANABE Yusuke 立命館大学大学院)
本報告では、昭和18年の「学徒出陣」に際して海軍を志願し、海軍兵科第四期予備学生に採用された「学徒兵」B氏のライフヒストリーについて述べる。海軍予備学生については既に多数の遺稿集や回顧録などが公刊されているが、配属先によって当事者の境遇には雲泥の差があった。B氏は海軍少尉任官後、横須賀海兵団に配属され、悲惨な戦闘や激しい空襲を体験することなく大船で敗戦を迎えた。将校になれたことを名誉に思っているB氏の戦争体験の語りは、懐古調ゆえに、「学徒兵」が戦時体制を支えていったミクロの社会過程を明瞭に辿ることができる。B氏のライフヒストリーから、「学徒兵」と軍隊の親和性について考察する。

2.証言映像を捉え直す―「東京大空襲証言映像マップ」を通して―
Re-understanding testimony videos: A Case of “Tokyo Air Raids Oral History Map”
  山本唯人(YAMAMOTO Tadahito 東京大空襲・戦災資料センター)
東京都江東区に所在する民立資料館、東京大空襲・戦災資料センターでは、2014年3月、c-locと呼ばれるソフトウエアを活用し、空襲体験者の証言映像をモニタ画面上の3D地図を通して視聴する、「東京大空襲証言映像マップ」という証言映像アーカイブを公開した。本報告では、このアーカイブの操作をスライド画面上で実演し、その概要を説明すると同時に、オーラル・ヒストリーの新たな視聴方法の開発が、その研究にもたらす可能性について考えたい。

3.長崎県生月島のかくれキリシタン信者のライフ・ヒストリー
A Life History of “Kakure-Kirishitan” believer in Nagasaki Prefecture, Ikitsuki Island
  小泉優莉菜(KOIZUMI Yurina 神奈川大学大学院)
1549年に伝来したキリスト教は、江戸幕府によって弾圧された。信者たちは潜伏し、その信仰を伝承した。250年にも渡り指導者のいない中で伝承された信仰は、日本の風土などと混淆し、現在では「かくれキリシタン信仰」として伝承されている。
そのような背景を持つ信仰であるため、信者は信仰については積極的に語ることをしない。発表者は数年に亘り調査を重ねることで、彼らと打ち解け、信者から信仰に関するオーラル・データを得ている。
本発表ではこの信仰を村川要一氏(89)の個人史から考察する。伝承断絶の危機にある今、氏の信仰観から、信仰の現状など、先行研究では注目されてこなかった「個」とかくれキリシタン信仰との繋がりを示す。

4.開拓が生みだすもの―戦後入植のフォークロア―
Outcomes of Settlement ― Postwar Pioneers’ Folklore
  藤井和子(FUJII Kazuko 関西学院大学大学院)
敗戦直後の日本は、食糧も仕事も住宅も不足し、それへの緊急対策の一つとして各地で戦後開拓が推し進められた。戦後開拓については、農村社会史や歴史社会学を中心に一定の研究蓄積が見られるが、本報告では、長崎県壱岐市、大村市、茨城県東茨城郡、沖縄県石垣市での現地調査にもとづき、開拓という営みを通して人びとがどのようなフォークロアを生み出したのか、という観点からの考察を行なう。開拓とは単に土地を切り拓き営農することではなく、何もなかったところに人々が創意工夫して生活を構築し続け、その中からさまざまなフォークロアを生み出してゆく(あるいは、生み出せなかった)過程であり、そこで生み出され、生きられた経験・知識・表現には、「生の芸術(art brut)」にも通ずる性格を持ったものが含まれていることを論じる。

5.アーカイブズとオーラルヒストリー―文書等と聞き取り調査―
Archives and Oral history― Documents and Hearing research
  嶋田典人(SHIMADA Norihito 香川県立文書館)
戦争体験や民俗の聞き取り調査の際、話し手の語りの中で最も聞き手にインパクトを与える場面は、現在体験できない過去、非日常である場合が多い。臨場感があり、聞き手に強く印象づける。文書等アーカイブズ(記録資料)で知りえない生の声であり、かつ動的である。オーラルヒストリーについては、報告書の所属する香川近代史研究会の取り組みを報告する。原爆被爆体験、真珠湾攻撃艦上攻撃機の搭乗員、ビルマ戦と捕虜、日中戦争、シベリア抑留など報告者も関わった聞き取りの活動を報告する。また、普段、勤務の中で取り扱う公文書や写真資料などのアーカイブズとオーラルヒストリーの関係にも言及する。

○第3分科会(3308教室) 司会:橋本 みゆき(1~3報告)・山村 淑子(4~5報告)

1.統合失調症の娘を抱える両親の語り
The Narrative of Parents Who Have a Daughter with Schizophrenia
  青木秀光(AOKI Hidemitsu 立命館大学大学院、日本学術振興会特別研究員)
本報告では、20代で統合失調症を発症した娘を抱え、数十年間という歳月を共に歩んできた彼女の父親・母親からのインタビュー調査と参与観察をもとに、彼らがどのような困難や喜びなど様々な思いを抱えつつ日々の生活をしているのか。または、どのような意味世界を生きているのかにつき考察を行う。当該解釈の際に、報告者がフィルードで直面した自身の感情(共感や違和感など)を反省的に捉えかえすことで自己をある種のフィールドワークの「道具」として用いる。そこでは、報告者と父親と母親という共同で作り上げる一回性の語りが豊かに生成されることを重視した。

2.四国遍路のライフストーリー―流動化する社会と自己アイデンティティ―
Life Stories of the Shikoku-Henro Pilgrims: Liquid Modernity and Self-identity
  後藤一樹(GOTO Kazuki 慶應義塾大学大学院)
本報告では、四国遍路を「自己のアイデンティティを再帰的に構築するいとなみ」と位置づけ、複数の歩き遍路に対する聞き取り調査をもとに、現代社会における遍路の意味を個々の遍路者のライフストーリーから明らかにする。
四国遍路は第一に、巡礼者同士が自己の人生を語り合うことによって「自己物語」を構築するプロセスである。第二に、「歩く」という身体行為をコントロールすることによる自己の再構築プロセスである。遍路においては、「歩く身体」「お経をあげる身体」が巡礼者に意識的にモニタリングされている。
後期近代社会において自由になると同時に不安定化した生活者は、様々な社会的問題を個人で解決しなければならない。その際、四国遍路は象徴的変容を伴った自己アイデンティティの再帰的構築作業として経験されていると考えられる。

3.被差別部落の人間形成と義務教育―神戸市内の夜間中学に学んだ男性の語りに焦点を当てて―
Human formation and compulsory education in Buraku: Focusing on narratives of a man graduated from junior high night school in Kobe city
  江口怜(EGUCHI Satoshi 東京大学大学院)
1940年代末、新制中学校における不就学・長期欠席問題への対策として各地に草の根的に夜間中学が開設されたが、神戸市はGHQ兵庫県軍政部の後押しによって部落改善事業の一環として丸山中学校西野分教場(後に西野分校)を開設した。本報告では、西野分校の開設された被差別部落に生まれ、1950年からそこに2年間通い、学校を中退してその地域で長く靴仕事に携わり、70代になって再び西野分校に再入学をして平仮名から学び、卒業した男性の語りに焦点を当てて、被差別部落における人間形成のありようとそこで義務教育が持った意義について考察したい。

4.「女らしい文化」を生きる―髪を喪失した女性たちのライフストーリー―
Living with “Feminine Culture”―Through Bald Women’s Life Stories―
  吉村さやか(YOSHIMURA Sayaka 聖心女子大学大学院)
本報告では、髪を喪失した女性たちの日常生活世界をライフストーリー調査によって可視化することを通して、彼女たちの抱える「曖昧な生きづらさ」と、それが生み出される背後にある社会・文化の構造をジェンダーの視点から検討することを目的とする。
これまでにも髪の喪失についての社会学的研究は少数ながらなされてきたが、その多くは男性の場合に特化しており、女性に関する研究は極めて少ない。その反面、既存研究では、髪の喪失は男性よりも女性の場合のほうが深刻であることと同時に、女性の髪の喪失についての語りづらさ/語りにくさが指摘されてもいる。本報告ではそのような点に注目しながら、これまで社会的に見えにくい存在とされてきた彼女たちのライフストーリーを読み解く。

5.在韓結婚移住女性のライフストーリー―結婚移住のプロセスと意味―
Life Stories of Female Marriage Migrants Living in South Korea : The Process and Significance of Cross-Border Marriage
  具美善(KU Misun 一橋大学大学院)
本研究は、韓国の農村地域に居住するアジア出身結婚移住女性3人のライフストーリーから、彼女たちがいかにして国境を超えたのか、自ら結婚移住をどのように意味づけているかについて考察したものである。韓国では、1990年代後半以降「嫁不足」に悩む農村部を中心に韓国人男性と途上国出身女性との国際結婚が広がり、社会的な問題として注目されるようになった。しかし、結婚移住女性は、もっぱら 「人身売買の被害者」、「判断能力不十分者」として見られ、彼女たちの多様な顔や主体的な行為は見落とされてきた。このような問題意識から本研究では、彼女たちが本人を取り巻く構造や環境を理解し、自分なりに解釈し、その解釈の上で結婚移住に関わったことを明らかにする。

○第4分科会(3310教室) 司会:有末 賢(1~2報告)・山本 須美子(3~5報告)

1.妄想と現実の交差点にみる女性オタクのセクシュアリティ ―一人の台湾人女性オタクのライフストーリーから―
Analyzing sexuality of female “Otaku” from the intersection of fantasy and reality: A case study of a Taiwanese female Otaku’s life story
  張瑋容(CHANG Weijung お茶の水女子大学大学院)
マンガ・アニメ・ゲームをめぐる「オタク文化」に関する議論において、こうした「二次元」作品を構築する諸要素に含まれるセクシュアルな記号、及びそれらに対するオタクの欲望が重要な位置を占めている。作品と現実世界を行き来する儀式としてのオタク「妄想」には様々な形やジェンダー差異などもあるが、本稿では一人の台湾人女性オタクがオタクとして生きてきたライフストーリーを取り上げ、彼女はいかに二次元作品の諸記号をセクシュアルに妄想することを通じて、女性オタクとしてのセクシュアリティを構築してきたかを解明し、さらに台湾人女性オタクという彼女の立場に着目し、妄想と現実の交差にみるセクシュアリティの構築を台湾における日本オタク文化の受容に位置づけて分析する可能性の提示を試みたい。

2.マンガ家のライフストーリーに見る戦後マンガ史
The History of Manga after World War II Seen in the Life-Story of A Manga Artist
  池上賢(IKEGAMI Satoru 立教大学兼任講師)
筆者は、これまでの研究でマンガに関する経験が、人々にとってアイデンティティのリソースになることを明らかにした。この知見からは、送り手であるマンガ家について、新たな論点が析出された。
第1に人々のアイデンティティのリソースとなるメディアにおける情報(特に物語)を送り手がどのように制作しているのか。第2に、制作過程において、送り手が関与している社会的・歴史的文脈がどのようなものであるか。第3に、マンガ家がどのようなアイデンティティをどのように構成してきたのか。以上の3点である。
 本報告では、上記の問いに答えるため、少年マンガで人気を博したのち、実用マンガや小説などにおいても活躍してきたマンガ家S氏のライフストーリーを分析する。

3.もてなし文化の民俗学的研究―京都北野上七軒の舞妓の聞き取りを中心に―
A study about the culture of hospitality from the stand point of folklore-focusing ’Maiko’ of Kamishitiken, KItano.Kyoto
  中原逸郎(NAKAHARA Itsuro 京都楓錦会)
京都は西暦794年以来千年の長きに亘って都が置かれた土地柄であり、山紫水明の自然に恵まれ様々な文化を産んできた。京都の文化は独特な意匠や作法を含むものであった。それらの文物は会所における人々の交流に重要な役割を果たし幕末まで続いた。つまり京都の民俗は長い歴史に培われた文化的蓄積の上に立っている。民俗学は「しきたり、いいつたえ」という民俗事象を資料として研究する分野」である。しかし、しきたりを重んじる場と評されているにも関わらず、京都の花街は民俗学分野において今まで取り上げられることが少なかった。近年おもてなし文化に対する関心が国の内外で高まる中、もてなしを生業とする花街はもてなし文化に少なからず影響を与えてきたのではないかというのが著者の主張である。本発表では、民俗学分野からのもてなし文化の再認識のために、まずは花街の座敷の接客の実態を確認するため、オーラルヒストリー的アプローチを試みる。

4.1960~90年代の舞踏グループのオーラル・ヒストリー―舞踏を生み出した日々の実践―
An Oral History of Butoh Groups from the 1960’s-90’s: The Daily Practice of Butoh
  ケイトリン・コーカー(Caitlin Coker 京都大学大学院)
本発表は舞踏グループの営みに関するオーラル・ヒストリーを提示・分析することで、いままで十分に考察されてこなかった舞踏の日々の実践を明らかにしたい。舞踏は日本で60年代前半に始まった前衛的身体表現である。制作・上演するため、ほとんどの舞踏家が稽古場で共同生活をし、キャバレーへの出演によって活動のための資金を稼いでいた。本発表は、グループの出現、そして時代と共に流動し変容していく様子、90年代の衰退に至るまでの過程を説明し、グループ内部の多様な視点から示す。個々の舞踏家の視点から、それらのグループを動的かつ多面的性格を持ったものとして考察する。

5.別子銅山社宅街(東平社宅)における昭和の生活史
Life in a copper-mining town“Tonaru”in Bessi Area, Niihama, Japan
  竹原信也(TAKEHARA Shinya 奈良工業高等専門学校)
明治以降、全国各地に“近代的”な社宅街が形成されてきた。そこには企業の合理性の精神、労務管理、福利厚生といった旧来の鉱山集落とは明らかに異なる思想の影響がみられる。近年、社宅街の形成と変遷を明らかにする建築史学的アプローチからの研究が積極的に進められ、その先進性が再評価されるに至っている。その一方で、全国各地で鉱山や炭鉱は閉山しており、社宅街も取り壊されつつある。また、社宅街で生活していた人々も高齢化が進んでいる。本報告では、愛媛県新居浜市の別子銅山(1691-1973)の山間に作られた社宅街(東平社宅)の生活文化を、生活経験者の語りから紹介していく。

3.会場案内
【交通手段】
★日本大学文理学部へのアクセスの詳細は、以下のサイトでご確認いただけます。
http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/
【キャンパスマップ】
★キャンパスマップの詳細は、以下のサイトでご確認いただけます。
http://www.chs.nihon-u.ac.jp/wpchs/swf/map.html

Ⅱ.ISA世界社会学会(RC38)報告
  2014年7月13日~19日に横浜パシフィコにおいて、XⅧ ISA WORLD CONGRESS OF SOCIOLOGYが開催されました。6000人以上が参加し、盛況のうちに終了しましたが、RC38 Biography and Societyの部会においては、Understanding Social Problems through Narratives By Insiders. Part Ⅰ,Ⅱが7月16日に開催され、セッション・オーガナイザーとして、小林多寿子(一橋大学)、塚田守(椙山女学院大学)が参加し、報告者としても、橋本みゆき、湯川やよい、山田富秋、青木秀光、根本雅也などが報告し、活発な議論が展開されました。

Ⅲ.理事会報告(詳細は略)
1.第六期臨時理事会議事録
日時:2013年11月24日(日)13:00~15:00
場所:立教大学池袋キャンパス12号館第3会議室
出席:有末、岩崎、小倉、川又、小林、塚田、宮崎、八木、和田、橋本(文責)
欠席(委任):赤嶺、川村、櫻井、田中、好井
議事録記載者確認(輪番) 今回は橋本理事が担当。
 1.会長欠席の連絡
 2.学会誌の編集について
 3.会計より
 4.広報より
 5.事務局より

2.第六期第2回理事会議事録
日時:2014年1月25日(土)13:00~15:00
場所:立教大学池袋キャンパス18号館(ロイドホール)5階第1会議室
参加:好井、川又、岩崎、小倉、宮崎、橋本、八木(文責)
欠席(委任有):塚田、小林、田中、桜井、赤嶺、有末、川村、和田  
議事録記載者確認(輪番) 今回は八木理事が担当。
 1.雑誌編集上の問題(継続審議)
 2.学会大会について
 3.編集委員会報告
 4.会計報告
 5.広報報告
 6.事務局報告
 7.その他

3.第六期第3回理事会 議事録
日時:2014年6月8日(日)13:00~16:10
場所:立教大学池袋キャンパス 12号館 地下1階 第4会議室
参加:好井、赤嶺、有末、岩崎、川村、田中、塚田、橋本、宮崎、八木、和田、川又
欠席(委任):小倉、小林、桜井
議事録記載者確認(輪番) 今回は和田理事が担当。
 1.学会大会について
 2.電子図書館事業説明会に関して
 3.日本オーラル・ヒストリー研究10号について
 4.会計報告
 5.広報報告
 6.事務局報告

Ⅳ.お知らせ
1.会員異動(2013年12月から2014年7月まで)(詳細は略)
(1)新入会員
(2)住所変更・所属変更等
(3)退会
※連絡先(住所・電話番号・E-mail アドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。
(川又 俊則)

2.2014年度(2014.4.1~2015.3.31)会費納入のお願い
いつも学会運営へのご協力ありがとうございます。
本学会は会員のみなさまの会費で成り立っています。今年度の会費が未納の方におかれましては、何とぞご入金のほどよろしくお願いいたします。9月のJOHA12大会時にスムーズに受付を済ませるためにも、なるべく大会前に納入くださいますようお願いいたします。

■年会費
一般会員:5000 円、学生他会員:3000 円
*年会費には学会誌代が含まれています。

■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票(ゆうちょ銀行にある青色の振込用紙)の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
*従来の記号・番号は変わりありません。

■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ

郵便払込・口座振込の控えで領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。
学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、
会計担当の八木良広(電子メール: yy.joha[at]gmail.com)へお問い合わせください。
(八木 良広)

JOHAニュースレター第25号

JOHAニュースレター第25号
2013年12月15日発行

日本オーラル・ヒストリー学会第11回(十周年記念)大会 報告特集
JOHA11大会は、7月27~28日に立教大学観光学部(埼玉県新座キャンパス)で開催されました。盛夏の中、4つの分科会、大会記念テーマセッション、学会設立10周年記念講演それぞれにおいて、熱い討議が繰り広げられました。
会員のみなさまに次回第12回大会の開催についてお知らせします。2014年9月6日(土)・7日(日)、会場は日本大学文理学部(東京都世田谷区)3号館です。プログラムの詳細は未定ですが、自由報告の分科会も予定していますので、メーリングリストや学会HP上での告知・募集をどうぞお見逃しなく、ふるってご応募ください。

*迷惑メール防止のため、文中に載せたメールアドレスは不完全なものです。[at] は @ に替えて送信してください。

Ⅰ.日本オーラル・ヒストリー学会第11回年次(10周年記念)大会

1.大会を終えて
 JOHA11(10周年記念)大会は、2013年7月27日~28日に立教大学新座キャンパスにて行われました。今大会は関東で行うことは決まっていましたが、なかなか引き受け校が見つからないまま、最終的には、舛谷鋭会員のご厚意とご尽力のおかげで、無事、開催にこぎつけることができました。この場を借りて、舛谷鋭先生と大会運営をサポートしていただいた立教大学観光学部の学生のみなさんに感謝したいと思います。
 本記念大会は例年と違って趣向を凝らし、二日間とも午前・午後開催としました。そして記念テーマセッションをフロア参加型のワークショップ形式で行い、大会二日目の記念講演には、高名なアーサーフランク博士を迎えることができました。その結果、延べ150人以上の参加者を数え、近年まれに見る盛会となりました。大会初日の懇親会参加者も予想以上に多く、黒字になったほか、非会員の大会参加者の中から学会入会希望者も多く出ました。会員のみなさまの参加とご協力に感謝します。
(JOHA第五期事務局長 山田 富秋)

2.第1分科会
 第1分科会では3つの報告がなされた。第一報告の竹原信也(奈良工業高等専門学校)「技術者教育におけるオーラル・ヒストリーの可能性 事例報告:授業の一環として学生が青函連絡船:羊蹄丸のオーラル・ヒストリーに取り組んだ事例」では新居浜工業高等専門学校専攻科で実施されたシップリサイクル研究について語られた。報告者は学生と共同して青函連絡船「羊蹄丸」の元船長等の船底ツアーを撮影・録音した。撮影・録音データから口述記録を作成し動画を編集しDVDを作成した。これは貴重な技術史・労働史の作成であり、報告では当時の労働者が船底におり実際に仕事について語る映像などが紹介され、技術者教育におけるオーラル・ヒストリーを学生が学ぶことの意義と課題が語られた。第二報告の川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)「岐阜県飛騨市「数河獅子」のオーラル・ヒストリー」では、岐阜県飛騨市古川町数河地域の二人立獅子舞「数河獅子」という伝統芸能をめぐり、演目「天狗獅子」に天狗を殺害するモティーフが存在することに注目し、その供犠的所作が江戸期の当地の領土争いにおける「創始的暴力」と共鳴している可能性について現地で収集したオーラル・データをより仔細に検討し、ルネ・ジラールの理論を応用した仮説的考察があった。第三報告の嶋田典人(香川県文書館)「オーラル・ヒストリーとアーカイブズ-記憶と証拠資料の事例から」では、かつて四国にあった俘虜収容所のドイツ人と地元との交流を事例とし、アーカイブス(記録資料)と当時の記憶をめぐるオーラル・ヒストリーとの関連について語られた。聞き取り調査では、話し手の語りと聞き手のもつ固定概念や歴史上の一般論との聞に矛盾を生じる場合がある。その矛盾を考えるうえで、当時の記憶の語りと記録資料の信頼性がともに吟味検討の対象となる過程が論じられた。また証拠資料を補完するための聞き取りにおいて、話し手が祖父母世代の記憶を語る世代間を越えた間接的伝聞の信用(信頼)性についても事例を挙げて検討された。教育、芸能文化、出来事の記憶とアーカイブズの関連とそれぞれ独立した興味深い報告であったがフロアからの活発な質問は、やはりオーラルな語りから技術を実践する当事者の論理、芸能文化を伝承する人びとの論理、出来事を体験し現場を生きてきた人びとの論理それ自体をいかにして取り出せるのかに集中した。各報告者の今後の研究の展開に期待したい。
(好井 裕明)

3.第2分科会
 第2分科会では、以下の3本の報告が行われた(敬称略)。(1)加藤敦也「父親の家庭回帰の難しさについて:不登校の親の会に参加する父親の語りを中心に」、(2)青木秀光「統合失調症の娘を抱える父親のライフストーリー」、(3)吹原豊「移住労働者の語りからみた言語習得:韓国のあるインドネシア人コミュニティにおける事例」。
 加藤さんによる第一報告は、不登校の親の会に参加する父親およびその子どもへのインタビューに基づき、子どもの不登校を経験した際に父親が子どもとの関係でどんなことを悩むかをめぐる語りに焦点を当てたものであった。青木さんの第二報告は、統合失調症の当事者を娘に抱える父親一名からのインタビューを、詳細に読み解こうとするものであった。最後の吹原さんの報告は、ソウル郊外京畿道にある工業都市安山(アンサン)市のキリスト教徒インドネシア人コミュニティをフィールドに、インドネシア人労働者の語りを通じて、その韓国語習得過程を左右する要因を明らかにしようとするものであった。
 それぞれに、綿密なフィールド調査を行う中で得られた貴重な語りのデータをもとにした研究であり、非常に聞きごたえのあるものだった。質疑応答においてもフロアから活発な質問が寄せられ、時間が足りないほどであった。しかしその中で気になったのが、「これらの報告を敢えて、このオーラル・ヒストリー学会で行う意義がどこにあるのだろうか」という問題提起であった。たしかにたとえば加藤報告は教育社会学系の学会、青木報告は医療や福祉社会学系のそれ、吹原報告は人類学関係もしくは地域研究系の学会で行われても、全く違和感のない内容であった。これは一面では、喜ぶべきことである。つまり、インタビューやライフストーリーを主軸とする研究が、教育、医療・福祉、地域研究など多様な研究分野において浸透し、そうした方法論が広く認知されつつあるということだからだ。
 しかしこれは半面、アイデンティティの拡散という悩ましい事態も引き起こす。ライフストーリーやオーラル・ヒストリーが通常科学化するにつれて、もともとそれらの方法論が持っていた固有性がいつの間にか曖昧になっていく。ただ単にデータ集めのツールとして、インタビューなり聞き取りなりを用いただけの研究と、オーラル・ヒストリー(ライフストーリー)研究との間にはいかなる違いがあるのか。われわれが日々、忘却しかけている問いを喚起してくれる場としても、この第2分科会は大変有益な場であった。
(倉石 一郎)

4.第3分科会
第3分科会では、4件の研究報告が行われた。報告の数は多かったが、約30名程度の参加者のあいだで、活発に議論を交わすことができた。
第1報告の山口裕子(一橋大学・特別研究員)『移動・帰還・「再統合」:インドネシア東南スラウェシ州の元研修生の経験の語りから』は,日本への元研修生19名の送り出しから帰還(再統合)までのプロセスを個々人の経験の語りとして考察したものである。山口氏は社会人類学観点から、「人の移動」のマイクロ/マクロスコピックな研究の接合に関心をもってきた。報告者に与えられた短い持ち時間の中で、東南アジアからの研修生の制度的背景や概況についての説明に続いて、2回のインドネシアでの短期フィールドワークでの聞き取りの成果が紹介された。これまでの「従順で忍耐強い研修生」という送り出しの訓練時に創出された(もともと忍耐と根性を身につけたインドネシア人が研修生として採用される)紋切り型の語りを修正し、「創造的個人」としての帰還移民 — グローバルな経済格差を背景としながらも、 制度の意志なき犠牲者ではなく、研修制度を人生の選択肢の一つとしてとらえ、移民先・帰還後の社会でアイデンティティの揺らぎを経験しつつ、折り合いを付けながら活路を見出す —の姿が語りの中で指し示された。質疑応答では、インドネシア現地での「エクスケンシュウセイ」の語りを、日本での研修生受け入れ先の雇用主の語りと対比させることにより、さらに興味深い研究が出来るのではないかという指摘があった。
第2報告の藤井和子(関西学院大学社会学研究科博士後期課程)『女たちの月明会 — 植民地女学校出身者のネットワークと人生 —』は、植民地期の朝鮮・群山出身で、戦後、日本に引き揚げた人びとの同郷会「月明会」が、女学校出身者たちの手紙によるネットワークがきっかけとなり形成されたことを明らかにするものである。藤井氏は、群山大学の日本語学科教員をしていた経験を持ち、日本式家屋の残る群山市に暮らす中で、「月明会」の存在にたどり着いたという。引き揚げ後に日本で経験した苦しい生活の中で、朝鮮での「ふるさと」を取戻すことは、「自分を取戻す」作業であり、群山時代の学歴を誇りに持ち女学校アイデンティティが人生の支えになっていたことが指摘された。会場からは、多数の質問が提起された。出身階層と引き揚げの時期の問題や、帰国後にすべての財産を失い、月明会の場で語られなかった生活の苦しさについても触れる必要があったことが会場から指摘された。
第3報告の鄭京姫(早稲田大学日本語教育研究センター)『「普通の人として生きる」ことの意味 — 海外養子として海を渡ったある日本語学習者の語りから —』は、デンマークで生育したある一人の韓国人養子のアイデンティティの葛藤の問題を日本語学習者の「日本語人生」と関連づけて分析したもの。初級を終えたばかりの日本語学習者が日本語でライフストーリーインタビューを受けることによって浮き彫りにされたのは、母語である韓国語や日常言語であるデンマーク語ではなく、日本語という第3の言葉を話すことそのものがある一定の言語に特定の意味を与えるのではない<普通の人>になるための必要なステップであったと言うことだ。言葉を通じて地球市民になることが、たどたどしい日本語の語りの中から抽出されたという発見は感動的ですらあった。
第4報告の山田真美(お茶の水女子大学大学院)『「表現の自由」対「人権」 — ハンセン病を患った元日本兵捕虜をめぐる最近の事例』は、昨年の研究報告の続きで大変興味深かった。1944年にオーストラリアのカウラ戦争捕虜収容所で起きた大規模な日本兵捕虜の集団自決的暴動に関するオーラルヒストリー・インタビューから生み出された卒業論文、ノンフィクション書籍、芝居台本『カウラの班長会議』の記述がインタビューされた当事者のプライバシーや立場を著しく傷つけ、歴史的体験についてインタビュイーが心を閉ざしてしまった事例が報告され、インタビューの倫理の問題とオーラルヒストリーのパブリックな文化財としての重要性が提起された。
(滝田 祥子)

5.第4分科会
第4分科会では、戦後教育史と宗教史、戦争体験の歴史に関する4件の研究報告が行われた。2日目の午前中という時間帯であったにも関わらず多くの方が参加して下さり、質疑応答や議論が制限時間いっぱいまで盛んに行われた。
第1報告の金馬国晴氏(横浜国立大学)「元教師インタビューによる戦後初期コア・カリキュラムの再把握」は、戦後初期(1950年代前半)の日本において旧文科省の学習指導要領が決定的な影響力を持たず、現場の教師が同僚と共同でカリキュラムを構成し実践していたということ(戦後新教育)を、そのカリキュラム活動に実際に関わった元教師(約40名以上)へのインタビューから捉えていこうというものであった。質疑応答では、その戦後新教育を生徒として受けていた方(当事者!)からの発言があり、教える側だけでなく教えられる側の経験も盛り込むことでこのカリキュラムがより立体的に捉えられることの可能性や語りそのものを明示することの必要性が示唆された。
第2報告の小泉優莉菜氏(神奈川大学大学院)「長崎県外海地域のかくれキリシタン-信者が語る信仰と非信者の語る信仰-」は、長崎県の外海地域に暮らすかくれキリシタンで現在も信仰を続けている信者と元信者それぞれへのインタビューを通して、かくれキリシタンの信仰の形態と信者としての生活実態を明らかにしようというものであった。信仰の象徴である「おらしょ」の伝承方法やその時期、信仰行事、かくれキリシタンであることにまつわる意識などが具体的なトピックとして報告され、質疑応答では主にそれらの内容の詳細をもとめるやりとりが交わされた。全体数が少なく部外者に語りたがらない信者への聞き取りは非常に有意義だという指摘や研究成果のアウトプットを期待する声もあった。
第3報告の木村豊氏(慶應義塾大学大学院)「東京大空襲被災者のライフヒストリーと死者に対する罪意識」は、東京大空襲の被災者の死者にまつわる語りを、社会学的な自己物語論や社会的記憶論、R.J.リフトンの原爆死没者に対する罪意識論から捉えていくというものであった。木村氏の報告は、2人の被災者を対象に、彼/女らの語りの構成のされ方に着目しそれを理論的に読み解くことを意図した意欲的なものであったが、質疑応答では主にインタビューに基づいたその対象者の豊かな語りを理論的モデルにあてはめることをめぐっての活発な応酬が行われた。オーラルデータを扱う者に限らず質的研究を行うすべての研究者にとって刺激となるやりとりであった。
第4報告の根本雅也氏(一橋大学)「アメリカに住む原爆被爆者のオーラル・ヒストリー」は、2人の在米被爆者を取り上げ、原爆投下した米国に対する認識や戦前から戦後、そして現在に至るまでの生活経験にまつわる語りの提示を通して、彼らの生活史を捉えていこうというものであった。渡米の時期や被爆体験、ライフコース上のさまざまな経験、そして日米両国に対する認識とその変化に関して2人の被爆者の違いが非常に際立った報告であった。主に根本氏が対象としている他の被爆者の生活史や在米被爆者全般の状況をめぐって質疑応答が行われ、調査それ自体を評価する声や調査の継続をもとめる意見もあった。
(八木 良広)

6.大会記念テーマセッション
車座の語り合いの中から
―「起点」の更新に向けて

 今年度のテーマセッション「JOHA10年 いまオーラル・ヒストリーを問いなおす―ヒストリーとストーリーのはざまで」は、第五期研究活動委員会の企画の下に開催してきた、JOHA10名古屋大会から始まり3回にわたる研究集会の最終回であると共に、JOHA10周年以降の課題を展望する、学会の節目となるものだった。
 前2回の研究集会では、オーラルヒストリーの歴史的源流を地域女性史の歩みから、次いで、オーラルヒストリーは社会のどこで生きられているのかを、浦安市郷土博物館の実践から学び、検討した。それをふまえた、本セッションの眼目は、では、大学を拠点として営まれる専門的「学知」としてのオーラルヒストリーは、こうした社会からの動きをどのように受けとめ、また、社会に対して何をなしうるのか―この一点を問うことにあったと言ってよい。
 この問題意識から、報告者は、近年、引きこもり研究の成果を著作として刊行され、「ライフストーリー」という方法論の持つ意味を問い直す作業を展開してこられた社会学の石川良子さん、そして、関東大震災の「聞き取り調査の聞き取り」という実践から、当事者が不在となったあと、聞き取られたこと・聞き取ることの意味は何であり得るのかを問うた歴史学の小薗崇明さんのおふたりに、研究成果とそこから引き出される方法的課題について報告して頂いた。
 コメンテーターは、「きく」という実践に立脚した学問方法を彫琢してこられた、社会学の桜井厚さん、歴史学の大門正克さんのおふたりにお願いした。
 桜井さんは、1970年代、廃学前夜の東京教育大学中野卓ゼミにおける調査実習のエピソードから語り起こし、インタビューの場における聞き手と語り手の関係を問うこと、既成の権力や社会構造との対峙というモティーフが、『インタビューの社会学』に至る「ライフストーリー」というコンセプトの根底にあったことが語られた。
 大門さんは、「きく」という行為の内容を、「ask(知りたいと思うことを尋ねる)」と「listen(声に耳を傾ける)」に分解した上で、学問方法としてのオーラルヒストリーの根拠は、「listen」という行為の持つ独自な可能性を押し広げていくことにあること、その上で、個人の語りから歴史の「全体性」を問い直し、再構成していくことに、オーラルヒストリーの意義を求められた。
 このように、JOHAというムーヴメントに至る、ひとつの起点となった「1970年代」という時代、および、その問題状況の一端が召喚されると共に、認識の社会構築性という前提を通過した上で、なお、わたしたちは、「社会」や歴史の「全体性」と「語り」の関係をどのように紡ぎ直していけるのかという問いが、本テーマセッションを通して提示されたといえるだろう。
 報告者のおふたりからの報告は、こうした問いを引き継ぐと共に、「語り」と「社会」、「語り」と「歴史」の現在的状況を提示し、「ライフストーリー以降(継承の意味を含めた)」を展望する新たな起点の風景を語って頂けたのではないかと考えている。
 テーマセッションは、おふたりの報告とコメントのあと、すべての参加者が車座となり、およそ1時間半をとって「語り合う」時間を持った。こうして、わたしたちの言葉は一度地べたに戻り、「問い」の更新に向けた新たな歩みを始めたのである。
 テーマセッションの内容は、学会誌の次号に盛り込まれる予定となっている。詳しくはそちらを参照して頂きたい。
(第五期研究活動委員 山本唯人)

7.記念講演
「語りがたきを語る」
アーサー・フランク教授(カナダ・カルガリー大学、『傷ついた物語の語り手』の著者)

昨年のJOHA第10回大会では「語りから『いのち』について考える―─聞き難いものを聞き、語り、書く」と題するシンポジウムを行った。これを展開するかたちで、学会創設10周年を記念する本大会では、病いの語りに関する研究の第一人者であるアーサー・フランク教授を招聘し「語りがたきを語る」に関連したテーマで記念講演をしていただいた。フランク教授は、1991年にご自身の癌の闘病体験に基づいたAt The Will of the Body(『からだの知恵に聴く―─人間尊重の医療を求めて』)、1995年に、病いの体験を社会学的に研究したThe Wounded Storyteller((『傷ついた物語の語り手』)を公刊し、日本でも知られるようになった。また2010年には、Letting Stories Breathe: A Socio-narratology(『社会物語学』(仮訳))を出版し、語りの社会学を理論的に展開している。
記念講演会では、「ナラティヴの真実と、複数の説明のジレンマ―社会物語学のオーラル・ヒストリーへの関わりについての所見」(Narrative Truth and the Dilemma of Multiple Accounts: Remarks on the Relevance of Socio-narratology to Oral History)というタイトルで、「病いの語り」という限られたテーマを超えた理論的枠組みを話された。まず、フランク教授は、ご自身の研究歴について、影響を受けた思想家について言及され、レヴィストロースの構造主義やアルフレッド・シュッツなどの現象社会学に触れたうえで、ブルデューの「ハビトゥス」(habitus)に注目して議論した。その後、その思想的背景を踏まえて、ご自身が考案する「社会物語学」(Socio-narratology)の理論的枠組みについて議論された。「社会物語学」の根源的な問いは、「物語の語り手はなぜそのように物語を語る必要があったのか」であるが、誰にとっても物語を語る仕方は選ぶことができない選択の枠であるので、それを補足するためにすぐに加えられなければならない問い、「その物語は語られるためにその語り手をどのように用いているか」が必要であると展開した。そして、「社会物語学」の目的は、人々に、自らの人生についてもっとも巧みな物語の語り手になることを教えることである、と講演を締めくくった。
講演後、質疑応答が30分以上続き盛況な記念講演会となった。なお、この講演の全文(日本語訳ヴァージョン)と質疑応答の要約については、『日本オーラル・ヒストリー研究』第10号の特集1として掲載される予定である。記念大会に参加できなかった会員の皆さんにはご高覧いただければと思う。
(JOHA第五期会長 塚田守)

Ⅱ.総会報告

2013年度総会(第10回総会)
日時:2013年7月28日(日)12:15~13:00
場所:立教大学新座キャンパス N623教室
会長挨拶、議長選出(廣谷鏡子会員)の後、以下の議案が諮られた。

第1号議案 2012年度事業報告(2012.9.1~2013.8.31)
※事業年度についての確認
 昨年度から会計年度が4月1日開始翌3月31日締めに変更されたが、事業年度は従来通り、9月1日開始翌8月31日締めのままであることを確認する。昨年総会に提案され承認された事業報告の年度が誤って会計年度と同じ年度に設定されていたので、ここで訂正して承認をお願いしたい。
1.会員数の現状 新規入会者と退会者
 この年度には新規入会者は13名あった。内訳は一般6名、学生他、7名である。学会大会での発表が目的で新入会する方が多かった。また、会則によれば2年間学会費未納者は退会と規定されているが、09年度を最後に納入した会員で、自分が未納になっていることを知らなかったケースがあったので、09年度の該当者11名については、会費督促を行った。退会申請者はいないが、学会費未納による自動退会者は56人である。その結果、現在の会員は245名である。
2.第10回大会の実施と第11回大会開催 第10回大会は2012年9月8~9日に椙山女学園大学で開催した。自由報告は4つの分科会に分かれ、12本の報告があった。10回大会記念として「日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる――地域女性史の歩みから」というテーマセッションを開催し、シンポジウムとして「語りから『いのち』について考える:聞き難いものを聞き、語り、書く」を開催した。
 第11回大会については東京近辺で開催という方針が総会で承認されたが、その後の交渉の結果、開催時期を7月末に移動して、舛谷鋭会員のお世話で立教大学新座キャンパスにて開催できることになった。
3.学会誌8号の発行と9号の編集・発行について 2012年9月に学会誌第8号を発行し、第10回大会時に会費納入済会員に配布した。次号の9号からは、昨年度の総会議決に従って、学会がインターブックス社から300部を買い取り、インターブックス社が出版元・販売元になることが契約された。これによって出版費用を恒常的に格安に抑えることができる。
 9号は学会10年の歩みの特集号として編集は完了し、例年通り8月中に校正も終了する予定だが、2013年度の学会が7月開催のため、会員への配付は学会開催時の手渡しではなく、全員へ配送することになる。
4.ワークショップの開催 2013年5月19日に東京、大東文化会館にて「歴史を書き綴る住民たち-地域にとってのオーラル・ヒストリー/オーラル・ヒストリーにとっての地域」というテーマでワークショップを開催した。
5.ニュースレターの発行 ニユースレターはJOHA10のプログラム案内からJOHA11の間に22号~24号を発行した。配付は、会員メーリングリストを基本と し、15通と数は少ないが非メール会員には郵送した。
6.ウェブサイトの充実 カリテス社に依頼した新しいウェブサイトを本格的に稼働させているが、運営管理は実質的に学会事務局と広報担当理事に移った。
7.会員相互の交流の促進 会員MLを通じた会員相互の情報発信が適宜なされている。
8.その他 理事選挙 会計年度の変更に伴い2013年3月末に選挙権・被選挙権の確認を行い、4月に第6期理事選挙を行った。

第2号議案 2012年度決算報告
2012会計年度(2012.4.1~2013.3.31)決算報告資料に基づき報告され、了承された。

第3号議案 2012年度会計監査報告
有末賢監事と野本京子監事より「会計帳簿、預貯金通帳、関係書類一切につき監査しましたところ、正確で適切であることを認めましたので、ここに報告いたします」と報告があり、了承された。

第4号議案 2013年度予算案
 2013会計年度(2013.4.1~2014.3.31)の予算案資料に基づき提案され、了承された。

第5号議案 2013年度事業案 (2013.9.1-2014.8.31)
1.会員の拡大と維持 年次大会やワークショップなどの実施を通じ、またこれらの情報を広報することによって、本学会の周知に努め、引き続き会員数の拡大を目指す。また、会員の維持と会費収入確保のため、大会後年内を目途に郵送による入金状況確認と会費納入の督促を行う。
2.第11回大会の実施と第12回大会の準備
 第11回大会を2013年7月27~28日の二日間にわたって立教大学新座キャンパスにおいて開催する。来年度の第12回大会は、日本大学文理学部(世田谷区桜上水)にて開催する。開催時期は検討中だが、7月中旬開催の世界社会学会横浜大会とぶつからないようにする。
3.学会誌第10号の発行 学会誌第10号は、第6期理事会の新編集委員会によって、JOHA11のテーマセッション内容と自由投稿をもとにして編集する方針である。
4.研究会・ワークショップの開催 第6期理事会の新研究活動委員会によって、これまでのテーマを継承しながら、新しい試みも行っていく予定である。
5.ニュースレターの発行 JOHA11終了後に、大会内容についての報告と新理事会の紹介を中心にニュースレター25号を発行する予定である。
6.ウェブ情報の充実と改善 カリテス社に移管した学会ホームページをさらに見やすく整備するとともに、実質的に学会が運営しているため、その管理費について交渉する予定である。
7.会員相互の交流促進 学会HPの活用や学会MLを通したニュースレター配信を通じて、会員相互の交流を促進する。また、会員の出版、活動情報についても学会誌での書評等を通じて積極的に共有する。
8.海外のオーラル・ヒストリー団体との交流 国際交流担当理事を中心に、海外のオーラル・ヒストリー団体との交流を促進し、会員に情報提供を行う。
2014年は国際社会学会が横浜で開催されるので、そこのJOHAとして報告する予定である。JOHAのMLにエントリーに必要な情報を早急に流す。

第6号議案 理事選挙規程の改正
 2012年度から会計年度を4月1日開始~翌年3月31日締めに変更したため、会員の選挙権・被選挙権の確認の時期に関する規程を変更する必要がある。本来であれば、今年4月の選挙実施前に総会で変更しておくべきであったが、間に合わなかったため、今回の総会にて規程の一部の改正について諮り、事後承諾としていただきたい。
提案内容
 現行規程3条の「4月末日までに」を「3月末日までに」に変更する。
※現行規程では2条の理事任期満了の2ヶ月前までの選挙実施について、かなり時間的に余裕をとって4月末日としていたが、会計年度に即して3月末日までの会費納入を確認できれば、7月から9月開催までの学会大会の2ヶ月前に間に合うように選挙を実施できるため。

※現行規程 
日本オーラル・ヒストリー学会の理事選挙規程を以下の通りに定める。
1.理事会の構成
 日本オーラル・ヒストリー学会の理事会は、会員による投票で選出される8名と、投票によって選出された理事による推薦選出者7名以内の15名以内で構成され、選挙年度の総会において承認を得るものとする。
2.選挙の時期
 理事の任期満了の2ヶ月前までに会員による理事選挙を実施する。
3.有権者
 4月末日までに当該年度会費納入済みの会員を選挙権者、重任理事(連続して2期4年務めた理事)を除く当該年度会費納入済みの会員を被選挙権者とする。
4.選挙方法
 有権者は、送付される会員名簿兼投票用紙を用いて、その中から3名を選考して記入するものとする。
5.選挙管理委員会
 選挙管理委員会は事務局長および事務局長が指名する正会員2名で構成される。
6.開票および当選者の招集
 選挙管理委員会は投票締切期日を待って開票作業を行い、開票の結果上位8名の当選者を招集する。なお、最下位得票者に同票者がいる場合の扱いは、以下の通りとする。
6.1.同票者を加えた当選者が8名を超えて15名以内の場合は、そのまま選出する。その数が理事定数の1  5名を上回る場合は、最下位得票者の同票者を抽選により順位付けし、上位から定数までを選出する。辞退者が出る場合には、順位により繰り上げ当選者を確定する。
7.投票による選出理事の役割
 投票によって当選した8名の次期理事は、次期会長候補者を互選し、また残り7名以内の理事候補を投票結果を参考にしながら、選出する。
8.理事会、事務局の構成
 投票と推薦選出によって決まった15名以内の理事によって、事務局と次期理事会が構成される。
9.選挙年度の総会において、次期会長と理事が決定される。
附則 この選挙規程は、2005年4月1日より施行する。

第7号議案 第6期2013/2015理事選挙結果報告
 2013年4月26日、松山大学にて、2013/2015理事選挙(4月22日消印有効)の開票作業を行いました。投票状況は以下の通りでした。
郵送による投票総数: 57
白票による無効投票: 1
被選挙権該当者以外への投票による無効投票:3
3名以内連記の投票総数: 164
日本オーラル・ヒストリー学会
2013/2015選挙管理委員会
   木村知美・竹原信也・山田富秋(五十音順)

第8号議案 第6期理事会の承認
 選挙結果に基づき、当選理事(上位8名以内の12名、1名辞退)を5月11日(立教大学)に招集し、理事会のメンバーを選出した。以下を承認願いたい。
 好井裕明、川又俊則、八木良広、塚田守、和田悠、橋本みゆき、小林多寿子、小倉康嗣、田中雅一、赤嶺淳、宮崎黎子、岩崎美智子、川村千鶴子、有末賢、桜井厚
以上15名

参考:日本オーラル・ヒストリー学会理事選挙規程(抄)
1.理事会の構成
 日本オーラル・ヒストリー学会の理事会は、会員による投票で選出される8名と、投票によって選出された理事による推薦選出者7名以内の15名以内で構成され、選挙年度の総会において承認を得るものとする。
7.投票による選出理事の役割
 投票によって当選した8名の次期理事は、次期会長候補者を互選し、また残り7名以内の理事候補を投票結果を参考にしながら、選出する。

 また、理事会構成員の互選の結果、以下の理事会構成案を提案する。
2013/2015第6期JOHA理事会
会長 好井裕明
事務局長 川又俊則
会計 八木良広
監事 折井美耶子・山田富秋 
(第五期事務局長 山田 富秋)

Ⅲ.理事会報告

1.第五期第7回理事会
7月26日(金)17:30~ 立教大学新座キャンパス
※この理事会は新旧理事の申し送りを兼ねたために、新理事の方々を陪席とした。
出席者:塚田守、山田富秋、小倉康継、折井美耶子、山本唯人、グレゴリー・ジョンソン、川又俊則、松田凡、仲真人、橋本みゆき
陪席:有末賢、岩崎美智子、桜井厚、宮﨑黎子、八木良広、赤嶺淳、森武麿
1 議事録確認
 前回の理事会の決定でHP管理について委託の経緯を調べることになっていた。調査の結果、カリテスの岡部さんとの契約ではHP立ち上げと初期の管理だけをお願いしていたことがわかった。今後は学会だけでHP運営をすることになることを確認した。そのため、HP運営費はかからない。
2 会長報告
(1)JOHA11大会について 
 大会前日だが、学生・その他については参加費を半額の一日500円とし、大会二日目のフランク先生の講演は参加費を無料とすることを決定し、学会HPにてアナウンスすることに決定し、実行した。
 また、今回の開催校は理事以外の会員のお世話になるため、事務局と研活で自由報告を募集し、プログラムを作成したが、来年度からは従来通りにもどし、大会開催校と研活で行う。
(2)その他 新理事会への引き継ぎについて気づいた点を申し送りした。
3 事務局報告 
(1)会員異動 前回理事会から
新入会員 なし
住所及び所属変更
桂川泰典 (新)岡山大学学生支援センター
竹原信也 (新)奈良工業高等専門学校
松本なるみ (新)東京家政大学
(2)来年度開催校について
 来年度は日本大学文理学部(世田谷区桜上水)にて行う。開催時期は未定だが、9月までに実施する。
(3)総会に提出する議案書の検討 原案通り承認された。
4 会計から 緊縮財政を実施して、来年度予算に繰越金を20万円以上残すことができた。
5 編集委員会から 今年度は大会開催が7月のため、10周年記念号は9月の印刷後に全部を郵送とする。
6 研究活動委員会から 記念大会テーマセッションの準備状況について報告があった。
7 広報から 24号のニュースレターを発行した。今後学会でHP管理を行うことを確認した。
8 国際交流委員会から 来年、国際社会学会(ISA)が横浜で開催されるアナウンスがあった。
9 その他 今年度3月に実施された選挙結果と新理事体制について報告があった。
(第五期事務局長 山田 富秋)

2.第六期第1回理事会
日時:2013年7月28日(日)13:10~13:50
場所:立教大学新座キャンパス225教室
参加:好井、八木、桜井、田中、岩崎、赤嶺、和田、小倉、宮崎、川村、橋本、有末、小林、川又(順不同)
委任欠席:塚田
1.議事録記載者確認
理事会の議事録作成は輪番で行うことが確認された。今回は川又事務局長が担当。
2.会長挨拶
 2年間の学会運営について好井会長より挨拶があった。
3.理事担当確認
簡単な自己紹介と役割分担の確認をした。役割は以下の通り。
会長:好井裕明 、事務局長:川又俊則、会計:八木良広、編集委員長:塚田守、編集委員:桜井厚、編集委員:田中雅一、編集委員:岩崎美智子、編集委員:赤嶺淳、研究活動委員長:和田悠、研究活動委員:小倉康嗣、研究活動委員:宮崎黎子、研究活動委員:川村千鶴子、広報委員長:橋本みゆき、広報委員:有末賢、国際交流委員:小林多寿子
監事:山田富秋・折井美耶子
4.理事会開催
・年間3回を予定(うち1回は学会大会時)。開催場所は和田理事・小倉理事が勤務する立教大学池袋キャンパスを快諾していただく。
・第2回は1月25日(土)13~17時、学会大会の研究実践交流会等やシンポジウム内容の決定などを予定。
・第3回は6月頃、大会プログラムの確定を予定。第4回は9月大会開催時、総会議案最終確認を予定。次回理事会開催まで日があるので、基本的には理事MLを通じて議論を深めることを確認。
5.次回学会大会
・日本大学文理学部(世田谷区桜上水)にて、9月6~7日を予定(開催校と最終日程調整)。
・大学から学会大会開催補助金5万円を得られる可能性が高いので、八木会計理事を中心に資料を整え準備する。
・内容は、例年の大会に従い、6日(土)午前に理事会、午後、自由報告と研究実践交流会、懇親会。7日(日)午前に自由報告、昼に総会、午後にシンポジウム開催が基本。
6.事務局報告
・昨日、前事務局と引き継ぎ打ち合せを行った。大会終了に伴う事務作業等を終えた後、8月末までに引き継ぎ終了予定。
・今期も編集委員会MLを作成。最終段階で会長がかかわる可能性もあり、MLに加える。
・現在、新入会員の入会方法は郵送かファックスと告知。学会HPのフォーマットをダウンロードしたpdf等ファイルの添付メールも受け付けることになった。
・前期(第5期)の変更点確認。①学会誌買い取り方式(企画出版)への移行(インターブックス社、300冊48万円)、②会員の大会参加費徴収(会員は2日間通しで1,000円。非会員は一般1日1,000円・学生他区分1日500円で各日受付)、③学会HP、④入会は届出・入金後、理事MLで報告し、異議ある場合のみ返信、⑤事務局事務費用を時間給制。
・前期理事会の交通費対応を確認し、今期の対応を決定。片道5,000円未満の交通費支給は無。遠方者は片道交通費全額を支給。大学で出張旅費が出される場合は原則支給無、かつ、交通費辞退も前期同様受け付ける。
・事務局で従来から抱えている学会誌在庫(インターブック社保有分以外)の対応について協議し、引っ越しが終わり次第、部数を確認。一定程度の保管以外は、今後、販売ではなく会員勧誘活動への有効活用を進める(具体的な方策等は継続審議)。
7.会計報告
・前日、引き継ぎ打ち合せが行われ、学会大会のまとめが終わった後、8月末までに引き継ぎが終了予定。
・未納会員への督促、納入を動機づけるような企画・働きかけの必要性の確認。関連して、大会以外に首都圏以外等で中間集会などの企画の必要性なども提案された。
8.その他
・次々回大会は、首都圏以外での開催を目指し、各理事で検討を進める。
・理事メンバーその他で科研申請をするなどの提案あり。
(川又 俊則)

Ⅳ.お知らせ

1.『日本オーラル・ヒストリー研究』第10号 投稿募集
論文、研究ノート、聞き書き資料、書評、書籍紹介の原稿を募集いたします。掲載を希望される方は第9号の投稿規定・執筆要項を参照の上、編集委員会まで原稿をお送りください。大会での発表者のみなさんをはじめ、多くのみなさまのご応募をお待ちしています。
締め切り:2014年3月31日(月)消印有効
応募原稿送付先および問い合わせ先は以下の通りです。
日本オーラル・ヒストリー学会編集委員会
〒464-8662 名古屋市千種区星ヶ丘元町17-3 椙山女学園大学国際コミュニケーション学部
 塚田守研究室内  E-mail: mamoru[at]sugiyama-u.ac.jp
(塚田 守)

2.国際学会大会のお知らせ
【Oral History Society】イギリス オーラルヒストリー学会2014
イギリスのオーラルヒストリー学会(Oral History Society)の2014年大会は7月にイギリスのマンチェスターで開催されます。詳しくは学会HPをご覧ください。
Oral History Society HP http://www.ohs.org.uk/
 2014年7月4日‐5日 於・イギリス・マンチェスター
 大会テーマ: Community Voices: Oral History on the Ground
【IOHA】国際オーラルヒストリー学会2014
国際オーラルヒストリー学会International Oral History Association 第18回大会は2014年7月にスペイン・バルセロナで開かれます。詳しくはIOHAのHPを参照ください。 http://iohanet.org
 2014年7月9日-12日 
於・スペイン・バルセロナ
 大会テーマ:Power and Democracy: the many voices of Oral History
【ISA】国際社会学会2014
国際社会学会International Sociological Association第18回世界大会は、2014年7月に横浜で開かれます。詳細は大会HPをご覧ください。大会HP http://www.isa-sociology.org/congress2014/
 2014年7月13日‐19日 
於・神奈川県横浜市 会場:パシフィコ横浜
 大会テーマ:Facing an Unequal World: Challenges for Global Sociology
【OHA】アメリカ合衆国オーラルヒストリー学会2014
 アメリカのオーラルヒストリー学会Oral History Associationの第48回年次大会は、2014年10月にウィスコンシン州マディソンで開かれます。
Call for Papers の締め切りは2014年1月20日です。詳しくはOHAのHPをご覧ください。
http://www.oralhistory.org/
 2014年10月8日‐12日
 於・ウィスコンシン州マディソン The Madison Concourse Hotel
 大会テーマ Oral History in Motion: Movements, Transformations, and the Power of Story
(小林 多寿子)

3.会員異動(2013年6月から2013 年11月まで)
(1)新入会員
藤井和子 関西学院大学大学院社会学研究科博士課程
吉岡佳子 一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程
江口怜  東京大学大学院教育学研究科
飯倉江里衣 東京外国語大学大学院
石原美知子 東京国際大学
湯川やよい 日本学術振興会特別研究員
田村玉美 
梶原はづき 立教大学大学院
千田紗也加 名古屋大学大学院教育発達科学研究科
城麻衣子  名古屋経済大学大学院人間生活科学研究科修士課程
(2)住所変更・所属変更等
中野紀和、和田悠、松本なるみ
※連絡先(住所・電話番号・E-mail アドレス)を変更された場合は、
できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。
(川又 俊則)

4.2013年度会費納入のお願い
いつも学会運営へのご協力ありがとうございます。
本学会は会員のみなさまの会費で成り立っています。今年度の会費が未納の方におかれましては、何とぞご入金のほどよろしくお願いいたします。なお、9月に発行しました学会誌は、2013年度会費の入金後、確認次第速やかに発送いたします。

■年会費
一般会員:5000 円、学生他会員:3000 円
*年会費には学会誌代が含まれています。
■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票(ゆうちょ銀行にある青色の振込用紙)の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
*従来の記号・番号は変わりありません。
■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ

郵便払込・口座振込の控えで領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、会計担当の八木良広(電子メール: yy.joha[at]gmail.com)へお問い合わせください。
(八木 良広)

Ⅴ.会員投稿

《その1》 「通りに聴く」中原 逸郎(一般会員)
 調査地Aは花街である。明治5年(1872)Aとゆかりのある西陣の繊維関係者は機織りの新技術導入のためにフランスに研究生を送った。明治30年ごろの研究生である稲畑勝太郎は、ルミエール兄弟が発明したキネマトグラフ(映写機)に感じ入り、日本に初めて導入した。その後、映画は大衆の娯楽として一世を風靡し、戦前Aにほど近い千本通り、例えば西陣京極には多くの映画館が立ち並んでいたという。私たちのAの研究会である京都楓錦会では映画史研究に範囲を広げ、A周辺で聞き取りを続けている。
 今年10月には千本通りの映画館跡を歩いて探訪した。案内役は戦前両親に連れられて映画館を訪ね歩いた井村和雄氏で、氏は上京区の広報に載った25軒の映画館跡地を踏破した。Aに生まれ、日本の映画の父と呼ばれた牧野省三(1878-1929)が信仰した金光教の教会も訪ねた。日本最初の映画俳優である尾上松之助(目玉の松ちゃん)と牧野は岡山県の金光教の教会で知り合ったという。
 井村氏の案内で警察署、さらに銀行に変わった元映画館も見た。今では変哲もない通りが明治から昭和にかけて映画の都であったことを知り、通りに閉じ込められた歴史の奥深さを仲間と確かめ合った。

《その2》 橋本 みゆき(一般会員)
 『ハンメの食卓』という本が出た。副題に「日本でつくるコリアン家庭料理」とあるように、おうちごはんの作り方を文と写真で伝えるレシピ本だ。在日韓国・朝鮮人一世が集まるデイサービスセンターで在日二世や日本人ヨメの調理員らが昼食に作っているメニューであり、各家庭生活の中で一世から受け継ぎ、慣れ親しんできた味である。
このような本が出ると聞きつけ、編集を担うNPOを訪ねたのは9月。出版までの経緯を事務局長にうかがい、利用者のハンメ(朝鮮語で「おばあさん」)たちと一緒にデイの昼食をいただき、調理員の女性にもいくつか質問に答えていただけた。
レシピ本で泣けたのは初めてだ。ひと月半前にNPOで会った人たちの温かみを思い出したせいもある。しかしそれ以上に、在日一世の言葉や一世から受け継いだ知恵を、二世が大事に記録し他者に伝えようとする、一世への敬意や愛情を各頁で感じたからだ。身近な材料を使って短時間で作る、中には朝鮮風ではない料理もあるが、これが日本で代を継いで暮らしてきたコリアンの食卓なのだ。一世の生活史から生まれ、受け止めた二世が「多文化共生への願い」をこめてまとめたレシピ本。こんな伝え方を、私が伝えてみたい。

JOHAニュースレター第24号

JOHA ニュースレター 第24 号 2013 年6 月30 日
学会ウェブサイト:http://joha.jp

日本オーラル・ヒストリー学会10 周年記念大会(JOHA11)が、2013 年7 月27 日(土),28 日(日)の二日間にわたり、立教大学新座キャンパスにおいて開催されます。今回は、例年の自由報告部会のほかに、記念テーマセッションと記念講演の特別プログラムになっております。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。大会プログラムは本誌3 頁以下をご覧ください。

大会第1 日目7 月27 日(土)
受付開始10:00 新座キャンパス6 号館2 階N623 前
自由報告10:30~12:30
第1 分科会N623・第2 分科会N636
設立10 周年記念大会テーマセッション13:30~17:30 N623
「JOHA10 年いまオーラル・ヒストリーを問いなおす――ヒストリーとストーリーのはざまで」
報告者 石川良子・小薗崇明/コメンテーター 桜井厚・大門正克
懇親会18:00~20:00 
場所:食堂こかげ
大会第2 日7 月28 日(日)
自由報告9:00~12:00
第3分科会N623・第4分科会N636
総会12:15~13:00 N623
昼食休憩及び新理事会13:00~13:50
記念講演会14:00~16:00 N623
「語りがたきを語る(仮)」アーサー・フランク博士(『傷ついた物語の語り手』著者) 通訳有馬斉
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【目次】
Ⅰ.第11 回年次大会(10 周年記念大会)
1.大会プログラム/2.自由報告要旨
Ⅱ.理事会報告
1.オーラル・ヒストリー学会第4 回理事会議事録/2.オーラル・ヒストリー学会第5 回理事会議事録
Ⅲ.事務局便り
1.会員異動/2.2013 年度会費納入のお願い
IV.研究活動報告
V.理事選挙結果の報告
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I.日本オーラル・ヒストリー学会第11 回年次(10 周年記念)大会Japan Oral History Association 11th Annual Conference
1.大会参加についてのご案内

1.大会実行委員会
日本オーラル・ヒストリー学会事務局山田富秋
研究活動委員会委員長小倉康嗣
大会本部連絡先JOHA 事務局までメールにてお願いします。joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp
2.大会会場とアクセス
立教大学新座キャンパス6 号館(N623 スタジオ・N636 シアター)及び2 号館(225,226,227,228)
アクセス:https://www.rikkyo.ac.jp/access/niiza/direction/
○東武東上線(地下鉄有楽町線相互乗り入れ)
利用/「志木駅」下車スクールバス約7 分(運行時間12:30~19:00、運賃無料)、徒歩約15 分
または、南口西武バス利用(清瀬駅北口行または所沢駅東口行・「立教前」下車) 約10分
○JR 武蔵野線利用/「新座駅」下車スクールバス利用約10 分(運行時間7:30~20:00、運賃
無料)、徒歩約25 分または、南口西武バス利用(志木駅南口行き・北野入り口経由・「立教前」下車)約10 分
○スクールバスは土日は本数が少なくなります。
次のサイトで運行情報等ご確認ください。http://www.rikkyo.ac.jp/access/niiza/schoolbus/
3.大会参加費
学会員1,000 円(両日合わせて) 学会員以外一日参加1,000 円両日参加2,000 円
4.懇親会18:00~20:00
7 月27 日(土) 食堂こかげ 一般=4,000 円、大学院生,その他=2,000 円
5.クローク学会本部の225 教室に荷物をお預けください。
6.会員控え室両日とも226 教室です。自動販売機は6 号館北隣学生食堂にございます。
7.トイレ・洗面所は6 号館エレベーターフロア、喫煙所は6 号館南隣5 号館1 階、2 階外にございます。
8.昼食土曜日はキャンパス内の食堂がオープンしています。日曜日は正門右手方向にインド料理、手打ち蕎麦、正門左手に「いなげや」等ございます。
9.宿泊東武トラベル東京が7 月27 日(土)の学会会場近くの宿泊について、本学会会員専用の予約を取り扱っています。下記にアクセスしてご予約ください。他の都内の宿泊先については、各自でお取りください。
http://www.tobutravel.co.jp/fixed_page/oral_history
10.自由報告にてレジュメを用意される方は、50 部程度ご用意ください。万一不足の場合、大会本部ではコピー等致しかねますので、ご了承ください。
11.書店スペースに会員の催物のチラシを置くコーナーを設けますので、希望者はご利用ください。

2.大会プログラム
前日7 月26 日(金) 17:30~ 旧理事会新座キャンパス太刀川記念会館
第1 日目7 月27 日(土) 受付開始 10:00 場所6 号館2 階N623 前
自由報告10:30~12:30
※自由報告は、1 報告につき30 分を予定しています。内訳は報告20分+質疑応答10分ですが、司会の指示にしたがってください。
第1 分科会N623 教室 司会好井裕明
1.技術者教育におけるオーラル・ヒストリーの可能性事例報告:授業の一環として学生が青函連絡船:羊蹄丸のオーラル・ヒストリーに取り組んだ事例( Learning Oral History of “Seikan” Train Ferries, Yotei Maru: AnApplication of the Method of Oral History in Engineering Education)
竹原信也(奈良工業高等専門学校)
2.岐阜県飛騨市「数河獅子」のオーラル・ヒストリー(An oral history of “Sugou-shishi”in Gifu prefecture Hida city)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)
3.オーラル・ヒストリーとアーカイブズ-記憶と証拠資料の事例から(Oral history and archives; based on the case of memory anddocumentary evidence)
嶋田典人(香川県文書館)
第2 分科会N636 教室 司会:倉石一郎
1.父親の家庭回帰の難しさについて?不登校の親の会に参加する父親の語りを中心に(A Study on the difficulties of father in his home:interviews for fathers who attend the association of parents suffering from their child being “Futoko”)
加藤敦也(武蔵大学非常勤)
2.統合失調症の娘を抱える父親のライフ・ストーリー(A Life Story of a Father Who Has a Daughter with Schizophrenia)
青木秀光(立命館大学大学院)
3.移住労働者の語りからみた言語習得:韓国のあるインドネシア人コミュニティにおける事例(Language acquisition as seen throughout narrative of migrant workers:An example of a certain Indonesian community in Korea)
吹原豊(福岡女子大学)

昼食休憩12:30~13:20

午後の部
設立10 周年記念大会テーマセッション13:30~17:30
JOHA10 周年いまオーラル・ヒストリーを問いなおす―ヒストリーとストーリーのはざまで―
場所N623 教室 司会:小倉康嗣(立教大学)、山本唯人(政治経済研究所)
報告者:石川良子(松山大学)「ライフストーリー研究に何ができるか」(仮題)
小薗崇明(専修大学大学院)「オーラル・ヒストリーによる『生きた』歴史の再構築――関東大震災の朝鮮人虐殺における聞き取り調査の聞き取りを通じて」
コメンテーター:桜井厚(元JOHA 会長)、大門正克(横浜国立大学)
タイムテーブル
13:30~13:40 趣旨説明
13:40~14:40 報告:石川さん(30 分)、小薗さん(30 分)
14:40~15:10 コメント:桜井さん(15 分)、大門さん(15 分)
15:10~15:15 フロア参加者の即席グループを構成
15:15~15:30 休憩(客席収納のためいったん会場の外に出ていただきます)、客席収納、グループになる
15:30~15:40 桜井さん・大門さんのコメントに対して、石川さん・小薗さんから一言リプライ(グループでの議論の口火として)
15:40~16:30 車座になってグループで議論(床に座っても大丈夫な服装でおいでください)
16:30~17:30 各グループでの議論の踏まえての全体討論、各登壇者からのコメント、全体総括
開催趣旨
日本オーラル・ヒストリー学会は、今大会で設立10 周年を迎えます。この節目を迎えるにあたり、今期研究活動委員会では「足場論」をおこなうべく、昨年度より大会セッションやワー
クショップを企画してきました。ここにいう足場論とは、日本のオーラル・ヒストリー研究は何をやってきた/やっていくのかという学問としての足場論であり、同時に、それを可能にす
る場としてJOHA が何をやってきた/やっていくのかという学会としての足場論でもあります。
それを実践するために立てた柱が、①オーラル・ヒストリー研究/実践の源流・潮流をたどる、②社会のなかのオーラル・ヒストリー研究/実践について考える、③この10 年の動きがな
んだったのかを確かめつつ、そのさきに何をやっていくべきなのか展望と構想につながる議論に架橋していく、という3 つの柱でした。①は、前大会において、女性史発祥の地である名古屋
で大会が開催されることにちなんで、「日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる――地域女性史の歩みから」と題する記念セッションをおこない、実践的学知としてのオーラル・ヒスト
リーがどのように始まったのか、その原点に含まれていた課題や豊かな可能性を再認識し、そこから得られる示唆について議論しました。②は、郷土博物館が、地域住民を巻き込んだ聞き
書き実践(浦安・聞き書き隊)をとおして人の心を動かし、地域社会を動かしていった取り組みを事例に、「歴史を書き綴る住民たち――地域にとってのオーラル・ヒストリー/オーラル・
ヒストリーにとっての地域」と題するワークショップをおこない、オーラル・ヒストリーの社会性について考えました。
そして今大会では、③をおこないます。JOHAが設立されて10 周年を迎えるなかで、この10年の到達点はなんなのか。それは何をもたらしたのか。そしてそこからさきに何をやっていく
のか。それらを参加者相互でざっくばらんに対話・議論できるような時間にしたいと考えています。
この10 年の動きとして特徴的なことのひとつは、歴史においても複数の現実やストーリーがあり、オーラル・ヒストリーが語り手と聞き手との相互の対話によって共同構築されたもの
だという見方が定着してきたことだといえるでしょう。それはひとつの学問運動であったともいえます。では、それはいったい何をもたらしたのでしょうか。そして、そこから見えてくる課題としてどういうことがあり、そのさきに私たちは何をしていけばよいのでしょうか。それ
らを考えるときに大きな論点として挙がってくるのが、あえて端的に表現すれば、ヒストリーかストーリーか、誰が歴史や現実をつくるのか、といった問題でしょう。
本セッションではこれらの論点とその周辺をめぐり、まず前半で、この10 年の動きの影響を一身に受けてきた若手研究者のお二人(石川良子さん、小薗崇明さん)に、ご自身のフィール
ド経験と絡めてご報告していただきます。そしてそれに対して、この10 年の動きを牽引してきたベテラン研究者のお二人(桜井厚さん、大門正克さん)にコメントをしていただきます。で
すが、これらはあくまで議論の口火であり、むしろメインは後半です。後半では、上記4 人の対話を触媒として、フロア参加者全員で相互に議論をおこないます。即席の少人数グループを
つくり、各グループに分かれてそれぞれに対話・意見交換をおこない、それを全体での議論に反映させていきます。
つまり、登壇者の報告とコメントをじっくり聞くというよりは、議論の前提となる現場・研究を踏まえながら、参加者相互に問題や論点を提示し、JOHA の今後の方向性・課題を浮き彫りにしていくセッションにできればと考えていま
す(上掲タイムテーブル参照)。
議論の口火を切っていただく登壇者は、歴史学と社会学の研究者を中心に構成されていますが、オーラル・ヒストリーへの関わりが歴史学と社会学だけではないことはいうまでもありません。なによりJOHA は、大学の研究者だけでは
ない多様多彩な在野の研究者・実践者が多く参加しているところが大きな特徴であり、強みでもありましょう。グループワークと全体での議論で、さまざま立場の方々のご経験・お考えを、おおいに出し合っていただき、交差させていくことができければと思います。(文責:小倉康嗣)

報告者の報告概要
■石川良子「ライフストーリー研究に何ができるか」(仮題)
ライフストーリー研究では、語り手の語ったことを聞き手とのやりとりを通して構成されるストーリーと捉え、事実や体験の表象そのものとしては受け入れない。したがって、従来の社会調査が主目的としてきた仮説検証や実態把握
は、その目指すところから外れることになる。しかしながら、ライフストーリー研究は何をしようとしているのか、一体何ができるのかということは、いまだ十分に論じられていない。本報告では、報告者が継続している「ひきこもり」
の調査に根ざして、インタビューでの会話の脈絡や聞き手自身の経験を記述すること、また語りを史資料によって裏付ける所謂「脇固め」の作業はライフストーリー研究でどう位置づけら
れるのか、といった点について考察を加える。これを通して上述の問いに対する一定の見解を提示したい。
■小薗崇明「オーラル・ヒストリーによる『生きた』歴史の再構築――関東大震災の朝鮮人虐殺における聞き取り調査の聞き取りを通じて」
私の研究テーマは関東大震災下の虐殺であるが、この分野での聞き取り調査の貢献は大きい。震災から60 年経た頃、各地域の人たち(中学・高校の教員や主婦など)による聞き取り調査で
「実態」解明が進んだからである。特に千葉県は軍隊が近くの村民に朝鮮人を渡して殺害させた事例を明らかにした。しかし90 周年を迎え、当時の体験者からの聞き取り調査が困難になっ
た。この状況下、私は地域(千葉)の聞き取り調査者たちに聞き取り調査をおこなった(『地域に学ぶ関東大震災』2012 年)。そこで感じたのは、豊富で多様な語りが研究報告や文書化され
る際にこぼれ落ちる点が多いことである。聞き手や書き手からこぼれた語りは、すでに歴史学的な手法によって構築された「実態」が大いに関係しており、朝鮮人虐殺研究の場合、当時、
どこで、何がおきたかに関心が寄せられた。この関心では、体験者がいなくなると聞き取りは不可能になってしまう。しかし、直接の体験者以外も朝鮮人虐殺の記憶を受け継いでいる人た
ち(加害地域の人、在日朝鮮人、調査者など)はいて、各自のなかで歴史的な問題は生きている。私の関心はそれぞれの歴史を遡って虐殺は何だったかを考えることであり、そのためのオーラル・ヒストリーの手法について検討したい。

コメンテーターのプロフィール(ご本人からのメッセージ)
■桜井厚
十年一昔というならJOHA に設立準備会からかかわってきた古参である。一貫して歴史的経験への関心をもっており、現在も戦争体験の語りつぎなどの調査研究をおこなっている。JOHA
の場を離れると自分の専門ではほとんどライフストーリーの名称を使っているのは、歴史表象もライフの経験から捉えられるという観点からだが、ライフストーリーにはとくにインタビュ
ーの場における相互行為と語りの共同制作の意味が込められていると思っているからでもある。相互行為は対話に通じ私も「対話」を使うが、ときに対話の強調は、語り手と聞き手の立場性
や非対称性を無化して調査行為に過剰な期待をもたせる危惧をもつ。リアリティとストーリーの対比を越えた次元も含め、報告者や参加者との議論を楽しみたい。
■大門正克
私はJOHA の会員ではあるが、この10 年の活動へのかかわりは薄い。それでも、今回コメントを引き受けたのは、オーラル・ヒストリーをめぐる対話の必要性と機運を感じていたからで
ある。1970 年代末の大学院生以来、私は人に話を聞きながら歴史研究を続けてきた。聞き取り(オーラル・ヒストリー)は紆余曲折をたどり、人に話を聞くということはどういうことなのか
を考えるようになった。今では、「対話」「往還」「双方向」「応答」という言葉を手がかりに語り手と聞き手の関係を考えている。本セッションは、報告とコメントの対話に始まり、参加者相
互の対話、全体での対話というように、対話をくりかえしてオーラル・ヒストリーを問いなおす場である。聞き取りで私が感じている対話や往還は、本セッションのなかでどのように位置
づくのか、今から楽しみにしている。

懇親会18:00~20:00 懇親会費 一般4000円 学生その他2000 円 場所:食堂こかげ

第2 日目7 月28 日(日)受付開始8:40
自由報告:9:00~12:00
第3 分科会N623 教室 司会滝田祥子
1.移動・帰還・「再統合」:インドネシア東南スラウェシ州の元研修生の経験の語りから(Migration, Return, and ‘Reintegration’: Investigated through Narratives on Experiences of Ex-trainees from Southeast Sulawesi Province, Indonesia)
山口裕子(一橋大学)
2.女たちの月明会-植民地女学校出身者のネットワークと人生-(Women’s Getsumeikai-Lives and networks of colonial girls’ schoolgraduates)
藤井和子(関西学院大学大学院)
3.「普通の人として生きる」ことの意味-海外養子として海を渡ったある日本語学習者の語りから-(Meaning of “living as an ordinaryperson”:From the story of a Japanese learner who crossed the ocean as an adopted child.)
鄭京姫(早稲田大学)
4.「表現の自由」対「人権」-ハンセン病を患った元日本兵捕虜をめぐる最近の事例(“Freedom of Expression” Versus “Human Rights”: Recent Incidents Against a FormerJapanese POW with Hansen’s Disease)
山田真美(お茶の水女子大学大学院)
第4 分科会N636 教室 司会八木良広
1.元教師インタビューによる戦後初期コア・カリキュラムの再把握( Re-designing Core Curriculum of the Early Postwar by the Interviews with Former Teachers)
金馬国晴(横浜国立大学)
2.長崎県外海地域のかくれキリシタン-信者が語る信仰と非信者の語る信仰-(The Kakure Kirishitan in Sotome area (Nagasaki):Faith according to the believers and the non beliebers)
小泉優莉菜(神奈川大学大学院)
3.東京大空襲被災者のライフヒストリーと死者に対する罪意識(Survivor’s Guilt and life history of the Tokyo Air Raid survivor)
木村豊(慶應義塾大学大学院)
4.アメリカに住む原爆被爆者のオーラル・ヒストリー( Oral histories of atomic bomb survivors living in the U.S.)
根本雅也(一橋大学)

総会12:15~13:00(選挙結果報告あり) 場所:N623 教室
昼食休憩13:00~13:50

記念講演会14:00~16:00 場所:N623教室
「語りがたきを語る(仮)」アーサー・フランク博士(『傷ついた物語の語り手』著者)
司会塚田守(本学会会長) 通訳有馬斉(横浜市立大学)
第10 回のシンポジム「語りから『いのち』について考えるー聞き難いものを聞き、語り、書くー」では、身近な人、深くかかわった人を失う経験を持ち、人は死と向かい合い、初めて「いのち」について考えるのではないか、残された
者の「失われたいのち」との関わる時、人は「いのち」について語り始め、生きていく意味について考え、いまの自分を再考するのではないかとして、残された者の「いのちについての語り」
について議論するというテーマ設定で行われ、心理学、社会学、そして、看護の現場の視点から、「いのち」について語ることについて議論された。
昨年のシンポジウムを展開するかたちで、学会創設10 周年を記念するシンポジウムでは、病いの語りに関する研究の第1 人者であるアーサー・フランク教授を招聘し「語りがたきを語る」
がテーマとして記念講演していただく。フランク教授は、1991 年にご自身の癌の体験に基づいたAt The Will of the Body(『からだの知恵に聴くー人間尊重の医療を求めて』)を出版し、そ
の後、病いの体験を社会学的に研究した著書『傷ついた物語の語り手』で、日本でも知られるようになった。2010 年には、Letting Stories Breathe: A Socio-narratology を出版し、語りの社会学を理論的に展開している。病いを経験
した「当事者」の視点、語りの社会学的分析、語りに関する理論的議論に関する講演は、会員の皆様にも有益なものになるであろう。(塚田守)

2.自由報告要旨
第1 分科会
1.技術者教育におけるオーラル・ヒストリーの可能性事例報告:授業の一環として学生が青函連絡船:羊蹄丸のオーラル・ヒストリーに取り組んだ事例(Learning Oral History of “Seikan” Train Ferries, Yotei Maru: An
Application of the Method of Oral History in Engineering Education)
竹原信也(奈良工業高等専門学校)
報告者は、所属していた新居浜工業高等専門学校専攻科において開講していた授業「現代社会と法」において、受講生とともに、平成24年度、産官学連携の一環としてシップリサイク
ル研究に参加した。授業の中で、学生と共同して青函連絡船「羊蹄丸」の元船長等の船底ツアーを撮影・録音した。撮影・録音データから口述記録を作成し、動画編集やラベルのデザイン
等も行ってDVD(男たちの羊蹄丸)を作成した。このDVDを学校、新居浜市や元船長等に贈呈した。一連の作業は貴重な技術史・労働史の作成であったし、将来エンジニアとなる学生
が元エンジニアから歴史を学ぶ貴重な体験ともなった。この授業の過程を報告し、成果と課題を検討する。
2.岐阜県飛騨市「数河獅子」のオーラル・ヒストリー(An oral history of“Sugou-shishi” in Gifu prefecture Hida city)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)
岐阜県飛騨市古川町の数河地域には、大宝年間(701‐704)に始まるとされる二人立獅子舞「数河獅子」がある。この芸能については2012年、国際シンポジウム「アポカリプス再訪――
日本、ヒロシマおよび模倣の場」(日本ジラール協会とCOV&R の国際年次大会)において研究発表を行った。そこでは、この芸能の演目「天狗獅子」に天狗を殺害するモティーフが存在する
ことに注目し、その供犠的所作が、江戸期の当地の領土争いにおける「創始的暴力」と共鳴している可能性について、ルネ・ジラールの理論を応用して考察した。本発表では、この研究発
表のために行った現地調査において収集したオーラル・データをより仔細に検討し、この仮説について再考したい。
3.オーラル・ヒストリーとアーカイブズ-記憶と証拠資料の事例から(Oral history and archives; based on the case of memory and documentary evidence)
嶋田典人(香川県文書館)
聞き取り調査において、話し手の語りが、聞き手のもつ従来からの固定概念、歴史上の一般論との聞に矛盾を生じる場合がある。記憶が不鮮明であったり、勘違いであったりして話し手
に誤りがある場合もあるが、アーカイブズ(記録資料)が証拠となり話し手の信用(信頼)が高まる場合もある。もちろん、そのアーカイブズが証拠資料となりうるかの吟味も必要である。
また、アーカイブズの証拠資料はあるが、それを補完するための聞き取りにおいて、話し手が会ったことのない祖父母の世代の事柄をどれだけ伝えているか。世代間を越えた間接的伝聞の
信用(信頼)性についても事例を挙げて報告したい。

第2 分科会
1.父親の家庭回帰の難しさについて?不登校の親の会に参加する父親の語りを中心に(A Study on the difficulties of father in his home:interviews for fathers who attend the
association of parents suffering from their child being “Futoko”)
加藤敦也(武蔵大学非常勤)
本報告では不登校の親の会に参加する父親およびその子どもへのインタビューに基づき、子どもの不登校を経験した際に父親が子どもとの関係で悩むことについての語りに焦点を当てる。父親2 名、不登校当事者であった子ども1 名の語りから、子どもの不登校という局面において
は学校教師などから父親役割の問題が指摘されるために、父親も親としての役割意識に葛藤を覚えること、また子どものケア役割を意識し、親密なコミュニケーションを子どもと図ろうとする意識が生じることを明らかにした。結論として、子どもの不登校は父親に親役割の反省を
促すものであるが、その反省が子どもとのコミュニケーションを円滑にするとは限らないという事態を明らかにした。
2.統合失調症の娘を抱える父親のライフ・ストーリー(A Life Story of a Father Who Has a Daughter with Schizophrenia)
青木秀光(立命館大学大学院)
統合失調症は、約100 人に1 人が罹患するとされる疾患である。しかし、その発症原因や治療方法、予後が不確定であるがゆえに様々な苦悩や葛藤とともに当事者や家族が不安定な生活
を強いられる現状がある。特に、当事者を支えるとされる親はいかなる苦悩や葛藤を生きているのか詳細に記述・分析された研究は少ない。例えば「親亡き後の問題」とカテゴリー化され
るその内実には、いかなる親の思いが存在するのだろうか。本研究では、一人の当事者の娘を抱える父親の生の全体性に接近するとともに、研究者自身と対話的に生成・構築されるインタビューを通してのストーリーを主眼に発表を行う。
3.移住労働者の語りからみた言語習得:韓国のあるインドネシア人コミュニティにおける事例( Language acquisition as seen throughout narrative of migrant workers:Anexample of a certain Indonesian community in
Korea)
吹原豊(福岡女子大学)日本の隣国である韓国では2004 年に海外からの非熟練労働者の受け入れを認める制度(雇用許可制)を導入した。そうした施策も影響して、近年外国人住民の割合が急速に上がり、国
内の各地にエスニックコミュニティが形成されるようになってきた。その代表的なもののひとつがソウル郊外京畿道にある工業都市安山(アンサン)市のキリスト教徒インドネシア人コミ
ュニティである。本発表では、まず安山市を中心に韓国のインドネシア人社会のありようについて簡潔に紹介することにする。そして、次に、韓国において移住労働者の生活世界を構成する
主な要因を抽出し、その機能を彼らの韓国語習得との関わりの中で論じていきたい。なお、その際には韓国語の習得を促進する要因について、少数の成功者の事例に焦点を当てながら、その
語りに注目した考察をも試みたい。

第3 分科会
1.移動・帰還・「再統合」:インドネシア東南スラウェシ州の元研修生の経験の語りから(Migration, Return, and ‘Reintegration’:Investigated through Narratives on Experiences of Ex-trainees from Southeast Sulawesi Province, Indonesia)
山口裕子(一橋大学)
途上国への技術の移転と支援を目的に、日本で「研修」の在留資格が整備され中小企業での外国人の受け入れが開始して20 年余りになる。低賃金単純労働の実態や、制度の背景にあるグ
ローバルな経済格差などは多数の先行研究が指摘してきた。それらを踏まえた上で本発表では、インドネシア東南スラウェシ州で行った実地調査に基づき、当該地域出身の元研修生の送り出
しから帰還後までのプロセスを個々人の経験の語りに注目して考察する。語りの多様性と定型性の特徴を指摘し、単なる制度の「犠牲者」でもなく、また完全に主体的なエージェントとしてでもなく、アイデンティティの揺らぎを経験しながらも帰還先社会に活路を見いだそうとす
る元研修生の「再統合」過程を明らかにする。
2.女たちの月明会-植民地女学校出身者のネットワークと人生-(Women’s Getsumeikai - Lives and networks of colonial girls’school graduates)
藤井和子(関西学院大学大学院)
本報告は、植民地期の朝鮮・群山出身で、戦後、日本に引揚げた人々の同郷会「月明会」を取り上げ、その成立過程に女性たちのネットワークと人生がいかに関与していたかを明らかに
する。敗戦によって引揚げた群山公立女学校卒業生たちは、引揚げ直後には苦しい生活の中にあったが、日韓国交正常化(1965年)の頃には生活も安定し、女学校出身者たちの間で〈手
紙ネットワーク〉が形成されるようになった。そしてそれが同窓会の形成につながった。さらに、このネットワークが次第に女性たちの兄弟をも結びつけ、男子校である群山中学の同窓会
も開かれるようになり、ついには、これら二つの同窓会を母体として同郷会「月明会」が形成されたのである。
3.「普通の人として生きる」ことの意味-海外養子として海を渡ったある日本語学習者の語りから-(Meaning of “living as an ordinary person”:From the story of a Japanese learner who crossed the ocean as an adopted child.)
鄭京姫(早稲田大学)
本報告では、海外養子として海を渡った一人の日本語学習者の「日本語人生」を紹介する。海外で成育する韓国人養子たちは、成育過程でのアイデンティティの葛藤問題、欧米における
海外養子の自殺率の異常な高さへの指摘がある(坪井2010)。語り手もアイデンティティに関する悩みを感じたことも、生きている意味を見失ったこともあったと語る。しかしそれらを乗
り越えた今「普通の人として生きる」ことの希望を物語る。そこには互いが歩み寄ることばの存在があり、人がことばを持つ意味とは何かが語られていた。人がことばをもつ意味とは何か。語り手が語
る「普通の人として生きる」ことの意味を追っていきながら、それらについて考えていきたい。
4.「表現の自由」対「人権」-ハンセン病を患った元日本兵捕虜をめぐる最近の事例(“Freedom of Expression” Versus “Human Rights”: Recent Incidents Against a Former
Japanese POW with Hansen’s Disease)
山田真美(お茶の水女子大学大学院)
報告者は過去20 年にわたり、カウラ事件を生き残った元日本兵捕虜をインタビューしてきた。その中の一人である立花氏(93 歳)は、カウラ収容所に於ける唯一のハンセン病患者である。戦後は病気と捕虜の二重の不名誉から家族を守るため、偽名の立花誠一郎を名乗って現在に至
る。しかし2013 年に出版された3 つの出版物が立花氏のアイデンティティーを危うくしている。3 作のうち2 作はノンフィクションと論文で、立花氏の戦前の勤務先と実家住所をそれぞれ暴露した。残る1 作は芝居台本で、立花氏をモデルとしたと思われるハンセン病患者が登場する。
台本を読んだ立花氏の感想は「全体的にすこぶる不愉快」であった。これら3 つの事例から、表現の自由とハンセン病患者の人権について改めて考える。

第4 分科会
1.元教師インタビューによる戦後初期コア・カリキュラムの再把握(Re-designing Core Curriculum of the Early Postwar by the Interviews with Former Teachers)
金馬国晴(横浜国立大学)
戦後初期、はいまわる経験主義、児童中心主義、したがって学力低下の元凶であると批判されたことで知られるコア・カリキュラム。そうした思想的な把握でなく、当時の元教師に対す
るインタビュー記録をもとに、学校カリキュラムのコアを明確にすべきとした論の定義と意義、問題点などを把握しなおす。例えば、カリキュラム計画は、実践に移すにあたって教師や子ど
もにいかなる課題を課したか、子ども、教師、地域・社会の問題解決の道具としていかに実践され、教師や子どもの内面にいかなる経験を残したか。併せて、戦後教育にふさわしい研究方
法論としてのインタビューについても考えたい。
2.長崎県外海地域のかくれキリシタン-信者が語る信仰と非信者の語る信仰-(The KakureKirishitan in Sotome area (Nagasaki):Faithaccording to the believers and the non
beliebers)
小泉優莉菜(神奈川大学大学院)
かくれキリシタン信仰とは、1549 年にザビエルによって伝えられたキリスト教の信仰が、約250 年に渡る弾圧期の中で徐々にその姿を変化させつつも、現在でもその信仰を伝承している大変特異な信仰である。
今回の研究発表では、外海地域における信仰の現状を示す。これまでのかくれキリシタンにおける研究は「かくれキリシタン」のみを見、その周辺の環境、また、周辺の非信者の心意に
までは言及してはこなかった。そのようなことを踏まえ今回はこの信仰に対して、信者はもちろんのこと、この地域のカトリック信者、及び、元々はかくれキリシタンであったが寺に改宗し
た者が、かくれキリシタンについてどのように考え、語っているのかについて発表したい。
3.東京大空襲被災者のライフヒストリーと死者に対する罪意識(Survivor’s Guilt and life history of the Tokyo Air Raid survivor)
木村豊(慶應義塾大学大学院)
本報告では、東京大空襲被災者のライフヒストリーと死者に対する罪意識について検討することを目的とする。R.リフトンは被爆者による原爆被災時の語りの中に死者に対する罪意識を
見出したが、空襲被災者の語りの中にも死者に対する罪意識を見ることができる。そこでは、空襲被災時だけでなくライフヒストリーにおけるいくつかの出来事が結び付けられることで死
者に対する罪意識が語られている。そこで本報告では、東京大空襲被災者へのインタビュー調査をもとに、大空襲被災者のライフヒストリーの中でいかに死者に対する罪意識が語られてい
るのか検討したい。また同時に、ライフヒストリーの中でいくつかの出来事が結び付けられることについて検討したい。
4.アメリカに住む原爆被爆者のオーラル・ヒストリー(Oral histories of atomic bomb survivors living in the U.S.)
根本雅也(一橋大学)
アメリカにおいて、原爆は戦争に勝利をもたらしたものとして政府により正当化されてきた。一方、冷戦を背景に展開された反核平和運動などは、「ヒロシマ」「ナガサキ」を一種のシンボ
ルとして言及してきた。こうした価値や言説が絡み合う中で、アメリカに居住する原爆の被爆者(在米被爆者)は、それぞれに生活を営んできた。彼らの中には、戦後に留学や仕事のため
に渡米した者もいれば、アメリカに生まれ、日本滞在時に原爆に遭い、戦後に再びアメリカへと戻った者もいる。本発表は、在米被爆者のオーラル・ヒストリーを通じて、彼らが抱える原
爆の諸影響とともに、彼らとアメリカ社会の多様な関わり、そしてその複雑さについて検討する。

Ⅱ.理事会報告
1.第5 期第5 回理事会議事録
日時:2013 年1 月6 日(日)時間:12:30~16:30
場所:立教大学新座キャンパス7 号館三階アカデミックホール
出席者:塚田守、山田富秋、橋本みゆき、河路由佳、折井美耶子、山本唯人、グレゴリー・ジョンソン、小倉康嗣、和田悠、松田凡、仲真人(書記)、舛谷鋭(開催校)
議題
1.前回議事録確認と会議時の書記決定
前回の議事録は改訂版とニュースレター版をすでに承認済みである。書記を仲真人理事にお願いした。
2.会長報告(塚田)
今年度、大会は小規模となったが充実したものだった。Web で会員増を目指したが、期待したほどではなかった。私たちの任期もあと約半年になったが、残りの任期を充実したものとして全うしていきたい。
3.事務局報告(山田)
(1)会員の異動その他
・新規入会と再入会を認めた。
・住所変更が報告された。
(2)来年度開催校決定までの経緯(口頭)
・新旧理事を中心に開催校を探したが、国立大学は会場貸出費用がかさむため、最終的に舛谷会員の勤務校、立教新座キャンパスでの開催となった。また、9 月開催は諸般の事情で難しく、
11 回大会(設立10 周年記念大会)は、7 月28-29日の設定となった。
・また、著名なアーサー・フランク博士がちょうど大会開催期間中に来日(慶応大招聘)することが決定しているので、記念講演者として記念大会に招きたい。しかしそれも今後の交渉いかんにかかっている。
(3)その他(選挙関係、会計年度変更の影響等々)
・理事年度と会計年度がずれている関係で、どのように調整をするかを前理事に問い合わせたところ、他学会でもずれている学会がけっこうあり、大きな問題ではないとの回答を得る。た
だし、理事年度と会計年度のずれがあると、新規に選出された理事会が、常に前年度の予算に縛られることになることが確認された。
・当該年度の会費を納入した会員を選挙権者とするので、会費督促を2 月中旬に実施し、3 月31 日までに納入とする。その際、選挙規定も同封する。選挙規定には4 月末での納入とあるが、
今回の会計年度変更を踏まえて3 月末納入に変更した旨の文書を同封する。選挙と連動して会費の回収を拡大することになった。詳しい選挙日程については10 を参照。
4.会計報告(橋本)
・現在までの中間報告によれば、予備費の減少がいっそう顕著になっている。会費収入、大会参加者、学会誌収入等が見込みを下回り、現状のままでは、費目全体の支払額に10 万円ほど不
足してしまう見込みである。今後、研究活動のワークショップで収入を得ることができれば多少改善されると思うが、どう対処するかアドバイスをもらいたい。以下のような意見がだされた。
・理事改選前に会費督促を行うので、その後の会費収入で多少の収入を得られるのではないか。
・会費を支払っていない会員が半数を超えている現状を改善するのが最優先だろう。
・会費督促の際に学会の財政が危機的であることを伝え、納入を促す呼びかけをする。
・研究活動のワークショップは年度内に予定されていないので、今回の収入はあてにしないでほしい。講演会、学習会等を企画してアピールし、会員の獲得をしたい。保育、幼児教育の分
野で関心を持つ研究者も増えている。また一般市民の会員獲得をねらったワークショップも考えたいが、これは学会の方向性にかかわることでもあるので、今後検討していきたい。
・数年分の学会費を納入すればディスカウントされるという(欧米学会でよく見られる)方法を採用すれば納入が促されるのでは。
・ぎりぎりまで収入努力して、赤字を出さないようにしたい。
5.編集委員会(河路)
(1)第9 号の進捗状況
第9 号の編集日程、募集要項、内容について報告がなされた。広告はインターブックス社が交渉に当たるので、執筆者に関連する出版情報の提供を行うようにしたい。査読の締め切りを
担当者が守ってくれることが、編集作業に寄与するので、ぜひ協力をお願いしたい。
(2)インターブックスとの契約案の検討
学会の全般的財政危機の問題を昨年夏に知り、支出減をめざして編集委員会でもインターブックス社との取り決めを検討した。今回の理事会で承認を得たい。それによって印刷費の大幅減
になる。その結果、JOHA の収入はJOHA 買い取りの300 部のみになる。それ以外の販売分はインターブックスの収入となる。
・電子化についてはすでにインターブックスと取り決めが行われている。著作権のことについても公開の許諾がすでにある。CiNii のダウンロード代はJOHA 収入となる。
・JOHA11 は7 月開催なので、大会時に学会誌の完成が間に合わない。すでに決定しているよう
に、次号からは会員全員に郵送するため、その費用がかかる予定である。
6.広報(川又)
(1)ニューズレター23 号の発行報告
事務局から昨年末に発行した旨の報告あり。今年の学会が7 月末開催なので、次号のニューズレターは6 月末には発行する必要があることを確認した。
次号の担当は松田凡理事になる。
7.研究活動(小倉)
(1)来年度大会のワークショップ案(今年度のテーマセッションにあたるもの)
今年度は5 月に「まちづくりとオーラルヒストリー」を単発ワークショップとして開催。次大会のテーマセッションとして「JOHA10 年、いまオーラルヒストリーを問い直す」のテーマで歴史学、社会学系のベテランと若手の会員に登
壇してもらい、世代間の議論を触媒として参加者の意見交流を図る内容にしたい。社会学では桜井厚・石川良子、歴史学では大門正克を軸に研活で検討を重ねる。担当理事について実務は
小倉理事が当たり、山本理事が補佐という体制でやっていく。基本的には研活全体で取り組む予定。
・この企画として、フロア全体の催しにすると意見交流が広がらないおそれもあるので、従前の実践交流の流れにそって数人のグループに分けてグループワークをするのはどうか。
・大会の中心的な企画でもあるので、グループワークの時間を十分に確保できるように、大会プログラム案を検討したい。次の大会は記念大会でもあるので、テーマセッションは午後1 時
半から5 時半まで時間を確保して実施してはどうか。つまり1 日目の自由報告を10 時半~12時半から実施し、その枠で終了しない場合は翌日に回すことにすると、午後はすべてテーマセ
ッションの時間にさくことができる。
・そうなると一日目の午前中に理事会を開催できないので、金曜日の夕方に開催することになる。これについては学内に宿泊施設と会議場があるので、さっそく予約したい(太刀川会館)。
(2)自由報告の募集アナウンスと締め切り等の日程調整
次回は一般会員の勤務校での開催となるため、プログラム等は理事会で準備することにしたい。
事務局(山田)と研活(小倉)の双方で自由報告の受け付けをする。5 月末に応募を締め切り、事務局と研活でプログラム素案を作成する。司会については理事会で決定する。
8.国際交流委員会(吉田)
今回は欠席で委任状をいただいているが、特に報告はない。
9.設立10 周年記念大会プログラム案の検討
(1)学会大会:2013 年7 月27 日(土)~28(日)、立教大学新座キャンパス(埼玉県新座市)
午後をワークショップだけで使うことに決定した。すると、土曜日の午前中は通常授業があるため、授業とぶつからないように、1 日目午前の第1 分科会と第2 分科会は会場となる教室
を当初予定から変更することにした。ワークショップ会場としては、学内に映画館があり、フロアに車座になって議論をすることもできる。連動して、前日の理事会は太刀川記念交流会館
にて18 時~20 時を予定する。
・学会運営プログラムの作成(事務局案提示)
大会第1 日目7 月27 日(土)
受付開始10:00
自由報告10:30~12:30
第1 分科会・第2 分科会
設立10 周年記念大会テーマセッション13:30~17:30
懇親会18:00~20:00
場所:食堂こかげ一般=4,000 円、その他=2,000 円
大会第2 日7 月28 日(日)
自由報告9:00~12:00
第3分科会・第4分科会
総会12:15~13:00(選挙結果報告あり)
昼食休憩:13:00~13:50
記念講演会14:00~16:00 アーサー・フランク氏(交渉中)
終了後新旧合同理事会
(2)大会シンポジウムについて
たまたまアーサー・フランク氏の来日が学会開催日程と重なることになったので、通常のシンポジウムの役割は、記念テーマセッションに任せることにして、今回はその代わりに記念講
演会にすることで合意した。これから交渉し始めるが、ぜひ実現させたい。フランク氏の講演については、立教大学との共催で一般公開にすれば開催校から後援謝金が出るので、逼迫財政の助けになるだろう。
10.理事選挙日程について
選挙日程:1 月6 日:スケジュール確定。2月8 日:選挙権の確認と未納者に対する会費納入の督促。3 月末までの納入者に選挙権を与える。4 月5 日:投票用紙郵送。4 月22 日:消印
有効で投票を実施する。返信用切手貼付封筒同封。4 月25 日:開票作業、投票状況発表、選出理事会合日程調整。5 月初旬に当選理事を招集し、互選で会長選出、その後、会長が推薦理事
と役職を選任する。
選挙管理委員会は、事務局の山田富秋・事務局幹事の木村知美・一般会員の竹原信也の3 名で構成する。投票用紙の郵送・開票も含め、松山大学で選挙事務を行う。
会計年度が変更されたため、有権者は3 月末までの会費納入者とする。この件は規定の変更が行われていないため、次年度総会で見直しと承認を行う。
・今回2 期務めた理事は山田、河路、松田理事の3 名で、次回は理事の被選挙権はない。なお、2 期重任できない規定は理事のみに適用し、監事はのぞくことが確認された。
・現行の投票用紙の「8 名から3 名を選ぶ」というのが少ないと思われるので、「8 名から8 名」にしてはどうか。これは記入する人数を多くすると、書けないため、空欄になることを防ぐ意
味で3 名にしていることが説明された。この変更点については次回理事会以降の課題とした。
11.その他
・2014 年7 月開催の世界社会学会大会(横浜)のRC 横断セッションのエントリーが1 月15 日までの締め切りである。4 人でエントリーすればセッションを持てるが、JOHA のアピールのた
め、会員に参加を促したい。企画書は塚田会長が作成する。
・司会とコーディネーター塚田守,登壇者:橋本みゆき・山田富秋他
・次回理事会開催日と場所の決定
6 月16 日(日)午後1 時から。自由報告の配置と司会決定等、大会プログラムの検討が中心になる。会場は立教大学池袋キャンパスにする。
※約16:00 に理事会終了後、舛谷会員に新座キャンパスの会場予定教室や懇親会場などを案内していただいた。

2.第5 期第6 回JOHA 理事会議事録案
日時:2013 年6 月16 日(日)
時間:13:00~17:00
場所:立教大学池袋キャンパス12 号館2 階会議室
出席者:塚田守、山田富秋、橋本みゆき、河路由佳、折井美耶子、山村淑子、山本唯人、グレゴリー・ジョンソン、小倉康嗣、森武麿、吉田かよ子、川又俊則、舛谷鋭(大会開催校)
議題案
会長挨拶事務局長の山田富秋が飛行機トラブルにより遅く到着。その間、塚田会長が書記と司会を務める。
1.JOHA11 大会プログラム案の確定
開催校の舛谷鋭先生に出席してもらい、学会前日の理事会と学会当日について打ち合わせを行った。26 日(金)の新旧理事交流会については、理事の誰かが宿泊することで、太刀川記念
交流会館の会議室を使用して、理事会を行う。
コピー機器は基本的にはないので、緊急の場合は何らかの対応をする。
27 日(土)はシアターがメイン会場になる。
大会に出店する書店の取り扱いは大会校になる。
夜の懇親会については、一般=4000 円、学生その他=2000 円にする案が出された。テーマセッションの打ち合わせ6 名には弁当を学会から出すが、他の会議の弁当については参加者が実費を払う。テーマセッション登壇者の小薗崇明氏は非会員だが、今回の企画趣旨を踏まえ、謝礼はださず、懇親会費を無料とする。
28 日(日)の記念講演の打ち合わせについては、学会から弁当を支給する。記念講演会の終了後に、フランク先生を囲んで小規模の懇談会を近隣で行う。
6 月20 日原稿締め切りの学会ニュースレターに間に合うように、学会プログラムを作成する。
テーマセッションについては、タイムテーブルを入れることで参加型の形式を会員に周知させる。その際、コメンテーターの短いプロフィールを書きくわえる。記念講演会については、塚
田会長が講演の趣旨文を作成する。自由報告部会の司会は第一候補と第二候補を立て、交渉は事務局が行うことになった。テーマセッションについての趣旨と司会については別紙。記念講
演について司会は塚田守が行う。
2.事務局より
(1)会員の異動と退会について:新入会員と住所変更について前回理事会からの新規分について報告がなされた。また、会則によれば2 年間学会費未納者は退会になると規定されているが、
09 年度を最後に納入した会員で、自分が未納になっていることを知らなかったケースがあったので、09 年度の該当者11 名については、会費督促を会計が行うことになった。それ以外のケ
ースについては、3 章5 条の自動退会として扱い、名簿から削除することになった。
(2)総会議案:事業報告:事業報告案が整理されていないので、新しいバージョンを再提出することになった。また、会計年度と事業年度を一致させず、会計年度は4 月1 日開始、翌年3 月
31 日締めの年度とし、事業年度は9 月1 日開始、翌年8 月31 日締めとする。これは昨年度の総会においては、明確に決定してはいなかったため、今年度の総会の第一議題として提案する。
3.会計報告
総会議案:今年度決算・来年度予算については、会計から提案された原案の繰越金が少なかったので、会計を改善するために繰越金を20万円ほどにする努力をすることになった。まず
インターブックスと締結した契約によって来年度の予算の学会誌が、600000 円から500,000 になる。さらに昨年の総会で決定した学会参加費を徴収することで、会員参加費=1000 円、非会
員一般=2000 円、非会員学生等=1000 円で、合計120000 円ほどの収入増が見込まれる。この措置だけで繰越金が20 万近くなる。
4.編集委員会報告
この号からインターブックスと契約を結んでから最初の出版になる。10 周年記念号なので、いつもよりも多くの投稿があったが、できあがりの頁数が多いと、契約時の48 万円よりも多く
なるので、今号は2 段組みにして、フォントを小さくしたいという提案が編集委員会からなされた。この方針は賛成多数で決定された。
今回の投稿は力作が多く良い論文が掲載できる。特集なども含めて質のよい論考が多かった。
また自由投稿についても査読者が丁寧にコメントし、著者からのリプライもそれに答えた誠実なものでより良いものになっていた。今回、査読協力者の名前を記載することにした。編集委
員会から提示された目次案について、いくつか修正がなされた。
5.広報
学会案内の広報スケジュール確定。なるべく6 月20 日を目指して原稿を広報に送るように周知徹底した。HP 管理を担当しているカリテスの岡部拓哉さんが転職したそうなので、連絡のあ
った4 月中旬以降、HP 管理がどうなっているのか確認することになった。また、委託契約は保守管理も含んでの契約だったので、中途で管理がなくなった場合にはどうするのか確認することになった。
6.研究活動
5 月にワークショップ、参加人数が20 名ほどだったが、好評だった。報告者の林奈都子氏が地域社会を動かす方法としてのオーラルヒストリーのあり方などについて報告し、示唆的だっ
た。また、学会誌のバックナンバーなども売ることができ、新会員のリクルートの場にもなった。
7.国際交流
現在は世界大会のアナウンスをニュースレターに掲載する程度になっている。学会としては、世界社会学会横浜大会にエントリーする予定である。
8.その他
学会時のPR チラシ配布については、他のチラシと一緒にして配付を許可することになった。報告事項 次期理事選挙結果について報告があった。当選理事の互選の結果、次期の理事会構成もほぼ
固まったことが報告された。
Ⅲ.事務局便り
1.会員異動(2012 年11 月から2013 年6 月中旬まで)
(1)新入会員
金城悟 東京家政大学
横山香奈 大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程
根本雅也 一橋大学大学院社会学研究科博士課程
康陽球 京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程
齋藤紀江 短大講師
井上恵子 筑波大学大学院人文社会科学研究科
高井良健一 東京経済大学
田野綾人 立教大学大学院博士課程
岩間優希 中部大学国際関係学部・人文学部非常勤
小泉優莉菜 神奈川大学大学院博士前期
藤井和子 関西学院大学大学院博士課程
金馬国晴 横浜国立大学准教授
(2)住所変更
張嵐、好井裕明、高山真、酒井アルベルト、武井順介、田村将人、桂川泰典
木村豊、八木良広、石川良子、矢吹康夫、青木秀光、安倍尚紀、内藤直樹
(3)再入会
井上愛美
※連絡先(住所・電話番号・E-mail アドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。

2.2013 会計年度(2013.4.1~2014.3.31)会費納入のお願い
4 月に選挙管理委員会または会計より年会費納入のご案内をお送りしました。早々に納入く
ださった方、ありがとうございます。まだ納入されていない方はお早めにご入金ください。7
月のJOHA11 大会時にスムーズに受付を済ませるためにも、なるべく大会前に納入くださいますようお願いいたします。
4 月に請求書が届かなかった方は、3 年分以上の滞納があるため自動退会扱いになっています。ご不明な点があれば会計までお問い合わせください。なお、再入会はもちろん歓迎です。
■2013 会計年度年会費
一般会員:5000 円、学生他会員:3000 円
年会費には学会誌代が含まれています。次号はJOHA11 大会後、2013 年度会費納入者に発送予定です。
■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ
郵便払込・口座振込控を領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。
学会発行の領収証が必要な場合はお知らせください。
学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、会計担当の橋本みゆき
(電子メール:mieux[at]bf6.so-net.ne.jp)へお問い合わせください。

IV.研究活動報告
1.2013 年度JOHA ワークショップ
2013 年5 月19 日、大東文化会館にて2013
年度のワークショップが開催された。テーマは、「歴史を書き綴る住民たち――地域にとっての
オーラル・ヒストリー/オーラル・ヒストリーにとっての地域」。報告は、浦安市郷土博物館学
芸員(歴史担当)の林奈都子さん。タイトルは、「ハマの記憶を明日へ――浦安市郷土博物館
聞き書き事例報告」である。オーラル・ヒストリーは誰のものなのか。その学知はいかなる性格や位置価をもっているの
か。いわば、学問としてのオーラル・ヒストリーの社会性の問題を、近年の研究活動委員会は
繰り返し議論してきた。2011 年度のオーラル・ヒストリーフォーラムは「学知と現実のはざま」
をテーマに開催された。2012 年の学会大会10周年記念テーマセッションでは、オーラル・ヒ
ストリーの源流の一つであり、戦後日本の民間学として独特の位置を占める地域女性史運動を
とりあげた。今回のワークショップもこうした問題関心の一環にあり、地域の社会教育施設で
ある郷土資料館での地域住民による聞き書き実践をとりあげた。
浦安市は「海苔と貝の町」であった。だが、1958 年に旧江戸川上流にあった製紙工場から
の排水が海に流れ込み、漁場が壊滅的な被害を受ける。浦安の漁業者は抗議のため工場になだ
れ込み、機動隊との乱闘が起きる。これが「黒い水事件」であり、日本初の環境法である「水
質二法」を制定させる契機ともなった。この事件以来、漁獲高は減少する。1965 年から埋め立
て工事が開始、1971 年には漁業権を全面放棄し、漁師町・浦安は歴史の幕を閉じる。
林さんは、「黒い水事件」50 年目にあたる2008 年に、当時を知る人たちを語り手に、地域
の住民たちと聞き書きを始めようと思い立ち、「浦安・聞き書き隊」を郷土資料館の事業として組織する。1 年間、全52 名のライフヒストリーを聞き取り、その
後2 年間かけて2 冊の聞き書き報告書を編集・刊行した。
林さんの報告は、「聞き書き隊」結成までの経緯や活動の実際について紹介した上で、博物館活動としての聞き書きという歴
史実践はどういう経験であったのか、いかなる意味をもっていたのかを明らかにするものであった。
報告は2 時間にわたる濃密なものであり、この場で要約することはできない。そこで、結論の部分を紹介したい。
埋め立て地である浦安で、漁師町であった過去の歴史を語り手と聞き手の共同作業・相互行
為によって掘り起こすことは、「共感」を梃子にしながら、地域社会とそこに生きる人間を、そ
の生きがたさ・時代拘束性を含めて全体的に理解する行為である。地域の歴史を掘り起こし、
それを大切にすることは、一見すると埋め立て地で、歴史が無いように見える場所を、愛着の
ある「郷土」に変えていくことであり、ひいては、自分の人生を歴史的にとらえ返し、大切に
していくことにもつながっていく。つまりは、オーラル・ヒストリー(聞き書き)とは、「人の心を動かす」ものであり、「やさしい地域社会をつくるための知」という性格をもっているという。
そうであればこそ、林さんは、オーラル・ヒストリーを研究者だけのものにしてしまうのは「もったいない!」という。オーラル・ヒスト
リーを地域のなかで多くの市民と共有していく、一般市民がオーラル・ヒストリーを自分のもの
にしていくことが重要なのであり、地域博物館はそうした市民の豊かな学びを支援し、組織し
ていく重要な役割を担っていると結論づけた。参加者は16 名。人数が少なかったため、テーブルをロの字の形にし、参加者の自己紹介か
ら始めた。それが功を奏し、終始、アットホームな雰囲気であり、報告後の質疑応答も活発で
あった。会員外からの参加が多く、地域で活動をしている一般市民の姿が目立った。学会とし
ては、研究者と市民が共同することで拓かれるオーラル・ヒストリーの地平を確認する絶好の
機会であったように思われる。(和田悠)

V.2013/2015 理事選挙投票状況
2013 年4 月26 日、松山大学にて、2013/2015理事選挙(4 月22 日消印有効)の開票作業を行い
ました。投票状況は以下の通りです。
郵送による投票総数: 57
白票による無効投票: 1
被選挙権該当者以外への投票による無効投票:3
3 名以内連記の投票総数: 164
今回は会員投票による選出理事の確定が目的です。5 月11 日に当選理事を招集しました。その結果、2013/2015 理事会構成案が総会で提案されます。以下に関連規定を掲げます。

参考:日本オーラル・ヒストリー学会理事選挙規程(抄)
1.理事会の構成
日本オーラル・ヒストリー学会の理事会は、会員による投票で選出される8名と、投票によっ
て選出された理事による推薦選出者7名以内の15名以内で構成され、選挙年度の総会において承認を得るものとする。
5.選挙管理委員会
選挙管理委員会は事務局長および事務局長が指名する正会員2名で構成される。
7.投票による選出理事の役割
投票によって当選した8名の次期理事は、次期会長候補者を互選し、また残り7名以内の理事候補を投票結果を参考にしながら、選出する。
以上

日本オーラル・ヒストリー学会2013/2015 選挙管理委員会(五十音順) 木村知美、竹原信也、
山田富秋
**************************
JOHAニュースレター第24号
2013年6月30日
編集発行:日本オーラル・ヒストリー学会
JOHA 事務局
〒790-8578 愛媛県松山市文京町4-2
松山大学人文学部社会学科山田富秋研究室
日本オーラル・ヒストリー学会事務局
FAX 089-926-7074
E-mail joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp
**************************

JOHAニュースレター第23号

日本オーラル・ヒストリー学会Japan Oral History Association(JOHA)
JOHA ニュースレター 第23 号
学会ウェブサイト: http://joha.jp 2012 年11 月22 日

《日本オーラル・ヒストリー学会第10回大会 盛況のうちに閉幕》
日本オーラル・ヒストリー学会第10 回大会は、9月8日(土)、9日(日)の両日にわたって椙山女学園大学(愛知県名古屋市)で開催されました。4つの分科会と大会記念テーマセッションでは、いずれも活発な議論が交わされました。大会2日目の午後は、「語りから『いのち』について考える:聞き難いものを聞き、語り、書く」と題するシンポジウムが開かれ、学際的な討議が繰り広げられました。
会員のみなさまに来年度の開催校をお知らせします。今年度の総会時点では東京近辺の開催とだけお知らせして、まだ具体的な開催校は決定していませんでした。このたび前年度学会事務局を担当していただいた舛谷鋭先生の立教大学観光学部(新座キャンパス)にて第11 回大会を開催することに決定しました。また諸般の事情から、例年9 月に開催している学会を、来年度は7 月27 日(土)~28 日(日)の日程で行います。例年より早い開催になりますので、自由報告の募集も1 ヶ月ほど早くなります。
HP 上での募集に注意してください。なお、次の大会は本学会の10 周年記念大会ですので、ふるって報告のエントリーをお願いします。
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【目次】
Ⅰ.学会大会報告
1.大会を終えて/2.第1分科会/3.第2分科会/4.第3分科会/5.第4分科会/6.大会記念テーマセッション/7.シンポジウム
Ⅱ.総会報告
2011 年度事業報告・決算報告・会計監査報告、2012年度事業案・予算案他
Ⅲ.理事会報告
1.第五期第4回理事会
Ⅳ.お知らせ
1.『日本オーラル・ヒストリー研究』/第9号投稿募集/2.国際学会大会のお知らせ/3.会員異動/4.2012 年度会費納入のお願い
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Ⅰ 学会大会報告
1.大会を終えて
2012 年9 月8 日・9 日、椙山女学園大学において第10 回大会を開催しました。東海地区での開催は初めてでしたが、両日含みて56 名(会員46名、非会員10名)の参加ありました。自由報告の4分科会も例年のように活発な議論が行われたことに加え、本大会は第10 回記念テーマセッションを名古屋を発祥の地とする地域女性史のあゆみをテーマとて、「日本オーラル・ヒストリーの源流をたどるー地域女性のあゆみから」を行ない、まさに、オーラル・ヒストリーの伝統について議論が活発に行われた。また、シンポジウムでは、専門を異にするシンポジストの興味深い発表に続き、討論者からの議論も活発に行われ、規定の時間を越えて議論が続づくほどの盛況ぶりであった。
なお、大会開催に際して、東海地区の財団「大幸財団」からの学会補助金をいただくことができ、ほぼ予算通りの決算になりましたことを報告いたし、財団に感謝いたします。(塚田 守)

2. 第1分科会
第1 分科会では、放送メディア史、生活文化史、民俗芸能史にわたる多彩な4 件の研究報告がおこなわれた。
第1 報告の長谷川倫子(東京経済大学)「文献資料散逸の補完としての聞き書き調査――1960年代のラジオ深夜放送を事例として」は、60 年代の終わりに一大ブームとなったラジオ深夜放送が、いかに誕生したのか。それを、報告者自身も熱心なリスナーであった名古屋CBC(中部日本放送)の深夜番組を事例に、その番組の制作に携わったディレクターやDJ へのインタビュー調査や、それによって新たに発掘された資料等にもとづいて、イメージ豊かに報告された。インタビュー調査が、社史には登場しない新たな実情を示す資料発掘の契機となるのと同時に、インタビューをおこなってよかったこととして、送り手の動機がわかったことを挙げておられたのが印象的であった。
第2 報告の廣谷鏡子(NHK 放送文化研究所)「オーラル・ヒストリーが伝えるテレビドラマの黎明期――生放送時代の現場から」では、テレビ初期の「生ドラマ」に関わった人たちのオーラル・ヒストリーから、テレビドラマの歴史が生成していくさまをビビッドに描出された。当初、テレビドラマは「電気紙芝居」と言われ、誰も担当したがらなかった「非エリート現場」であったことや、現在「歴史的」とされているテレビドラマの手法やシステムが、生ドラマゆえの技術的・物理的制約があったからこその工夫によって生み出されたこと、テレビ美術が、生放送のなかでいわば“でたとこ勝負”(これは報告から私なりに感じた印象を言葉にしたものである)で独自に生み出されていった過程など、「正史」ではうかがい知れない3 つの視点が提示され、検証された。
第3 報告の竹原信也(新居浜工業高等専門学校)「別子銅山社宅街(鹿森社宅)における昭和の生活史」では、都市でも農村でもない空間・共同体としての「社宅街」で人びとがいかなる生活をしていたのかを、その先進性に着目されながら、いまはなき別子銅山(愛媛県新居浜市)の山間につくられた社宅街である鹿森社宅の生活経験者へのインタビュー調査と蓄積された史資料から明らかにされた。そこでは、強い一体感と相互扶助の精神、平等性、平和な生活文化が指摘される一方、個々人の心理や行動に強い抑制・統制が働いていた可能性も示唆された。この報告ではとくに活発な質疑応答がなされ、どういう立ち位置からこのフィールドをとらえていくのかや、オーラル・ヒストリーの可能性と限界というところにまで議論がおよんだ。
第4 報告の川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)「神明社神楽の歴史と言説」では、江戸期から伝承されている「神明社神楽」にたいする歴史的・文化的な認識を、伝承者へのインタビューや祭りへの参与観察(総計8 回)、そして文書資料をトライアンギュレーションしながら、その深層から読みなおしていく試みがなされた。これまで神楽は歌舞伎の影響が強いと認識されてきたが、「歌舞伎的」とひとまとめにするには困難な多彩な要素があること、さらにこれまで重要視されてこなかったところにこそ古い要素があることが明らかにされた。芸能伝承者の言説と「実際の歴史」とのあいだの齟齬から、神明社神楽のアイデンティティ構造を深層からあぶりだしていく、静かなパッションを感じる報告であった。
各々の報告への質疑応答や議論が盛んになされ、全体での討論時間がほとんどもてないほどであったが、いずれも、オーラル・ヒストリーにどんな意味や意義があるのかということを、まっすぐに考えさせてくれる報告と議論がなされたと思う。教室いっぱいの参加者で熱気のある分科会となった。(小倉 康嗣)

3.第2分科会
第2 分科会では、医療分野でのインタビュー・データを用いた2 つの研究報告が行われた。
第1 報告の青木秀光会員(立命館大学大学院)による報告「統合失調症の子を抱える親たちの多様性」においては、統合失調症の子を持つ5 名の親(父親3 名、母親2 名)に対し行われたインタビュー調査のデータを、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した成果が報告された。報告者によれば、統合失調症の子を持つ「親の育ち」のプロセスは「発症による混乱」と「第2 の人生の計画とはじまり」から開始され、「地域社会からの偏見」や「資源への不満」等の紆余曲折を経て、「できることへの着眼」や「ともに乗り越える」などの〈親の育ち〉をもたらす。しかしその一方で、「できないことへの着眼」や「再発による落胆」などの〈育ちの阻害因子〉も同時に存在し続け、それらは〈育ち〉を阻害するものとして機能しているという(なお、当日の報告ではインタビュー・データの切片とともに、以上のプロセスを図にした結果図が合わせて配布された)。続く質疑応答においては、インタビュー調査の文脈や背景についての詳細な確認や、経験の「多様性」に関わる問題提起などがなされ、活発な議論が行われた。
第2 報告の竹迫和美会員(国際医療通訳士協会)による報告「米国の医療通訳発展を支えた医療通訳士のオーラル・ヒストリーより」においては、米国の医療通訳士のNPO の創設者等へのインタビュー・データを、活動開始や継続への動機という観点から解釈する試みが報告された。報告者によれば、活動開始・継続の動機に関しては、調査対象者たちの生い立ちや家族、特に親からの影響が大きいとされ、具体的にはボランティア活動にコミットしていた母親からの影響などについての語りが示された。フロアとの質疑応答においては、今回のインタビュー・データの内容と解釈についての確認に加えて、医療通訳士の仕事の内容や位置づけについても様々な議論が行われた。
全体を振り返ってみると、プログラムの変更などもあり、1 部会2 報告という異例のセッションではあったが、その分、各報告において十分な報告時間と質疑応答の時間をとることができ、結果として充実した分科会になったと思われる。いずれの報告も新しい分野に積極的に切り込むものであり、今後ますます本学会で医療・福祉の分野におけるオーラル・ヒストリー研究が盛んになることを期待させる内容であった。(田代 志門)

4.第3分科会
第3分科会では、オーラル・ヒストリーという研究方法について、またその可能性について長年にわたり研究・発信されてきた三人の方々による大変充実した報告と、活発な質疑応答がなされた。
第1報告 山本恵里子「日系人オーラル・ヒストリー・インターネットサイトの利用方法―教育カリキュラムの提言」山本恵里子氏はご自身のアメリカでの体験・実践にもとづき、デジタル化の進行にともなうオーラル・ヒストリーの教育面での積極的利用とその意義について大変説得力のある議論を展開された。日系アメリカ人のオーラル・ヒストリーがいかに多様な方法により活用されているかを詳細に紹介し、いまだ研究レベルにとどまっている日本の現状に対し、教育面での利用形態や効用について具体的に例示された。オーラル・ヒストリーの教育的利用の可能性について、自らが歴史をつくる能動的存在であることを学生が実感し得る機会になること等とし、具体的に検証した示唆に富む報告であった。
第2報告 加瀬豊司「オーラル・ヒストリーの著者性( authorship )をめぐって( Authorship in OralHistory)」
加瀬豊司氏の報告は「オーラル・ヒストリーの著者性」について考察されたものであった。加瀬氏はワシントン,D.C.を中心に行った日系アメリカ人へのインタビューにもとづく論文作成過程で考えられたことを、「著者性(authorship)」を基軸に論じられた。「自分の持っている文化による規定性」―「方法論的拘束」に対して批判的省察を行い、オーラル・ヒストリーという研究方法のはらむ問題について、自らの課題として真摯に取り組んだ報告であった。
第3報告 吹原 豊「移住労働者とその関与者の語りから見た日本語習得の促進要因」
本報告は昨年度に引き続き、茨城県東茨城郡大洗町のインドネシア人コミュニティについての調査にもとづくものであった。吹原氏は7年間にわたり同町に足繁く通い、言語教育の立場から、長期滞在者の日本語習得について調査されてきた。大洗町のインドネシア人コミュニティ成立の背景を検証しつつ、長期滞在者でも日本語能力が低いままの人が大多数であることに気づき、OPI(OralProficiency Interview)を実施したという。報告はこのOPI による調査結果にもとづき、日本語習得の阻害要因や促進要因について考察したものであり、言語教育という分野でのオーラル・ヒストリーの可能性を示す報告であった。
以上、第3分科会の各報告を通じ、方法としてのオーラル・ヒストリーの深化とともに、それが実践的課題と密接に結びつくものであること、及びその可能性をあらためて感じた次第である。(野本 京子)

5.第4分科会
第4 分科会では、3件の研究報告が行われ、約30名が参加した。3 件とも研究対象や手法、報告の焦点が異なっていたが、分科会の最後には、過去の経験をどう聞くか、歴史—資料—語りの関係、「複雑なことを複雑なままに」どう語るかという共通の軸が見えて来たことは分科会全体としての大きな成果であった。
第1報告の金城美幸(立命館大学ポストドクトラルフェロー)『パレスチナ難民問題の歴史記述における文字資料と証言の位置』は,イスラエル建国に伴って離散・難民化したパレスチナ人社会のなかで、難民化の経験(ナクバ)についてどのようなナショナルな歴史記述がなされて来たかを検証するものである。パレスチナ人たちはナショナルな実体が不在であり、パレスチナ人の散逸とともに歴史資料も収奪されてしまった。しかし、1980年代に行われた破壊された村のフォークロア研究「ビレッジ・ブックス・プロジェクト」は失われたものへのノスタルジーの理想化だけでなく、過去の再構成による現在に対する権利主張にもつながって来た。しかし、元々離散しているという状況があり、それらのオーラルヒストリーにどのような集合性を見ていくのかという大きな問題が未解決のままである。質疑応答では、このようなナクバの語りはナショナルなものを超えたグローバルな記憶のあり方として語りの「主観」「客観」性の観点から分析すると大変興味深いという指摘があった。
第2報告の山田真美(お茶の水女子大学大学院)『ハンセン病に罹患した一人の捕虜の目を通じて見たカウラ事件』は、1944年8月5日オーストラリアのカウラ戦争捕虜収容所において1104名の日本人捕虜が集団自決的な暴動を起こし、その結果234名の日本人と4 名のオーストラリア兵が命を落としたカウラ事件で生き残った元捕虜たちに行ったインタビュー調査のなかから、ハンセン病で隔離収容されていたT 氏の体験を分析するものであった。元捕虜たちの約8割は日本に戻ってから自分が捕虜であったことを隠し通して来た。T 氏も差別を避ける為に、姓名も変え「どこの馬の骨ともわからない」男となって暮らして来た。山田氏はそのT 氏に寄り添い聞き取りを行って来たということだが、そのインタビューの実際の語りが今回の報告のなかで紹介されなかったことは大変残念であった。
第3 報告の桜井厚(立教大学)『戦争体験を語り継ぐストーリーの分析』は、 沖縄における平和ガイドという語り継ぐ実践活動において、どのような語りが生み出されているのか、どのように聞かれているのかを語りの内的な構造からアプローチするものであった。日本における戦争の語り継ぎは、個人の記憶をありのままに伝えるのではなく、戦争の悲惨さや平和の強調などのメッセージ性が強く、語り部の語りを聞いた聞き手側の具体的な出来事を聞き取る力を損ねているのではないかという指摘が大変興味深かった。(滝田 祥子)

6.大会記念テーマセッション
従来は「研究実践交流会」という枠だったところを、今回は、研究活動委員会が企画を練り、「第10 回大会記念テーマセッション」として開催した。昨年度、開催されたオーラル・ヒストリー・フォーラムの成果を受け継いで、日本のオーラル・ヒストリー研究は何をやってきたのか、これから何をやっていくのか。日本のオーラル・ヒストリー研究にとってJOHA はどういう場所であったのか、これからどういう役割を担っていくのか。これが本テーマセッションの根本的な問題関心であった。テーマとしては、日本におけるオーラル・ヒストリー実践の一源流である、地域女性史をとりあげた。
報告者は伊藤康子氏(愛知女性史研究会、元中京女子大学短期大学部教員)であり、「地域女性史と聞き書き」と題して報告された。報告の冒頭で伊藤氏は1934年に生まれ、1966年に夫の転勤で名古屋に転居し、名古屋女性史研究会に入会するまでの現代史・女性史のありかたについて、自分史をそこに重ねながら話した。それは、戦後の女性知識人が戦後歴史学、戦後民主主義をどう経験したのかという貴重な歴史的証言ともなっていた。報告の重心は、地域女性史における「聞き書き」とはいかなる経験であったのかという点におかれた。こうした観点から、自らが取り組んできた愛知を中心とする地域女性史の実践について、1977 年に呼びかけて結成された、女性史研究の全国ネットワークである「全国女性史研究交流集会」の歴史やそこでの論争点について、初期の主な地域女性史集団の具体的な作品について、紹介・分析した。伊藤は報告の結びで、「地域女性史は経緯と対等観をもって聞いた女性の生活史を束ね、社会の実像に陽の目を当ててきた」、「聞き書きとはその場に生きる人の力を強めるものである。東日本大震災後の現在、被災地でも聞き書きが始まっている。地域女性史にもやるべきことがたくさんある」と指摘した。伊藤の報告は、地域女性史の歴史的経験を通じて、実践的学知としてのオーラル・ヒストリーの初心を現在に伝えるものであった。また、聞き書きされたものをどう歴史資料として読み解くのか、文献資料とどのように組み合
わせるのか、オーラル・ヒストリーの古くて新しい問題についても具体的な経験から示唆を与えるものであった。
コメントは、「見えない歴史を伝えるために―地域女性史に学ぶオーラル・ヒストリーの可能性」と題して、山嵜雅子会員(立教大学教員)が行なった。自らが行なってきた京都人文学園の卒業生へのオーラル・ヒストリー実践および「練馬女性史を拓く会」の会員としての現在の取り組みを反省しながら、語り手の個人史に立ち入り、それを歴史の表面に出してしまったことにどう向き合うのかという問題や、研究者・調査者と調査される者との関係性(研究者のポジショニングの問題)について論点を提起した。山嵜は地域女性史の経験を「見て、学び、伝える」という実践であると性格づけ、地域の当事者である女性の経験に誠実に寄り添い、その声を構成の世代が受け継ぐという「知の継承」という側面も強調した。
質疑応答は大変活発であった。地域女性史の担い手の性格やその変化、生活者と研究者の関係、フェミニズム・ウーマンリブとの関連、地域女性史という学問を対象化した研究の必要性など、多岐にわたって論点が提起された。地域女性史に関してJOHA で継続的に研究していく必要性があることを意識させられたテーマセッションであった。(和田 悠)

7.シンポジウム
「語りから『いのち』について考える:聞き難いものを聞き、語り、書く」をテーマとして、専門を異にする3 人の報告者の発表を聞いた。このシンポジウムは、身近な人、深くかかわった人を失う経験を持ち、人は死と向かい合い、初めて「いのち」について考えるのではないか、残された者の「失われたいのち」との関わる時、人は「いのち」について語り始め、生きていく意味について考え、いまの自分を再考するのではないかとして、残された者の「いのちについての語り」について議論するというテーマ設定で行われた。
第1 の報告者やまだようこ氏は、『喪失の語り』を書き、残された者がどのように死者とともに生きるかをテーマとしている。本発表では、ご自身の個人的な喪失体験として、幸せ絶頂にあった親友の死について語ることから報告を行った。ナラティヴの機能として「自分自身を持ちこたえる」があることなどを理論的に議論し、不幸な出来事にあった時に活用できる文化的ナラティヴについての議論を展開し、最近日米で起こった不幸な出来事である東日本大震災3.11 とアメリカの同時多発テロ9.11で起こった文化的ナラティヴについて発表した。
東日本大震災3.11 では、「がんばろう、日本」が英国の新聞インディペデント(日曜版)にも掲載され、突然起こった理不尽で国全体を揺るがすネガティヴな出来事を、共同体が集団として乗り越えようとしたと論じた。このことと同じように、アメリカの同時多発テロ9.11 でも、”I love New York”や“We loveAmerica”と合唱が有効に働くのではないかという議論を展開しました。
第2 の発表者佐々木裕子氏は、在宅看護を中心として死に至る人々のいのちを観てきた看護師としての経験を中心として、患者が死と向かい合う中で、本人の「病いの語り」がどうように話され、生きる意味付け行為をしているかについて述べ、身内が死に至る過程での家族や看護師の関わりはどのようなものかについて、看護師としての実践経験について議論した。みずからが関わった具体的な事例に触れながら、死を前にしている人びとが、いのちの最期の段階にあっても示す、「生きることの尊さ・他者にむけられる大きな愛情」の姿を見て、そのことに感動し、深く交わる体験をしていると述べた。そして、看護師が死に行く人々の語りにどのように寄り添い、関わることで、その人びとのいのち・人生の物語を聞くことができるかについても論じた。そして、看護師として、人びとの語りをどのように支え、意味づけをし合い、看護の意味を発見し合う日々を送っているということにも触れられ、話された。
第3の発表者有末賢氏は、「自死の遺族の会」に深く関わり、フィールド調査をしている経験を中心にして、災害でも病気とは異なり、ある日突然、自らのいのちを絶った身近な人に深く関わり残された者の意識について、社会学者の立場から論じた。その本題に入る前に、自らの病気に関わる体験、自死に関わる体験から話され、そのことを語ることの難しさについて述べた。その後、今まで関わった「自死遺族の会」について論じ、自死の衝撃と沈黙について触れながら、自死の特殊性について議論した。また、その遺族たちの自責・自罰の思いなどについての複雑な心理的葛藤として、「後悔」や「取り返しのつかない思い」さらに、「怒り」の相手などについても語った。文章にできないこともあると言いながら、語りにくいことを公開の場で語ることができるが、書くことはできないこともある、という点などについても触れた。そして、最後に癒しと沈黙の関係について述べ、「祈り」と「和解」が今後の課題であると述べた。
指定討論者の山村氏からは、東日本大震災の被害に直接あるいは間接的にかかわるものとしての当事者から、コメントが述べられ、震災の衝撃の大きさについて指摘し、当事者の視点から、「がんばろう、日本」のナラティヴに対する違和感について述べた。また、もう一人指定討論者の清水透氏からも、ドミナント・ストーリーと見なされる「がんばろう、日本」に対する違和感が述べられた。それに対して、報告者のやまだようこ氏から、「がんばろう、日本」は単なるドミナント・ストーリーではなく、人びとを勇気づけるパワフルなナラティヴになる可能性があるというコメントなどがあった。このテーマについて、フロアーからのコメントもあり、活発な議論が行われた。
その熱を帯びる議論を聞きながら、司会者は、いつ議論を止めるべきかのタイミングを待ちながら大幅に時間延長をしてしまった。一般的にシンポジウムは発表者がそれぞれの発表を行い、議論が盛り上がらないものであるが、本シンポジウムは、それぞれの発表者の個人的体験も含む語りなどがあり、立場の異なった視点からの議論が展開されたものであり、閉会後、参加者から「いいシンポジウムを企画してくれました」など、さまざまな評価の高いコメントを聞くことができた。(塚田 守)

Ⅱ 総会報告
日時:2012 年9 月9 日(日)12:15~13:00
場所:椙山女学園大学 国際コミュニケーション棟418 教室
会長挨拶の後、以下の議案が諮られた。
第1 号議案 2011 年度事業報告
2011 年度(2011.7.1~2012.6.30)事業報告について、以下の諸点が報告、了承された。
1.会員の拡大
この年度には新規入会者20 名があった。内訳は一般12 名、学生他、8 名である。HP も昨年12月に従来のブログ形式のHP から新規のHP 管理業者に管理委託した。HP が閲覧しやすくなったので、これによって、さらに会員を増やしたい。
2.第9 回大会の実施と第10 回大会開催
2011.9.10-11 に愛媛県松山大学で第9 回大会が開催された。自由報告21 本の他に、シンポジウム「四国遍路:ピルグリメージとオーラル・ヒストリー」とワークショップ「オーラル・ヒストリーをいかに作品化していくか?」を実施した。また、一日目の午前中に松山城エクスカーションと松島美人原爆写真展を実施した。第10 回大会は椙山女学園大学で開催する。
3.学会誌7 号の発行と8 号の編集
学会誌第7 号を発行し、第9 回大会時に2011年度会費納入済会員に配布した。その他の納入済会員には後日、インターブックス社に依頼して、メール便で送付した。主要な図書館と法人には、辞退連絡がない限り寄贈した。次の学会誌第8 号には、第9 回大会シンポジウムとワークショップについての特集が組まれ、併せて一般公募論文が査読後に掲載される。また、この間今期の編集委員会において、これまで実態と少し離れていた投稿規定と執筆要項を和文と英文で改訂した。会誌販売は、従来通り、インターブックス(株)と、丸善を通じた大学図書館と書店経由の個人販売、およびアマゾンによる個人販売を継続することが確認された。
4.ワークショップの開催
JOHA オーラル・ヒストリーフォーラム「学知と現実のはざま」を前年度の第1 回(7 月開催)から3回にわたって開催した。第2 回は2011 年11 月27日「女性の生に向きあう」、第3 回は2012 年2 月25 日「学知と現実のはざまと当事者研究」のテーマで行った。
5.ニュースレターの発行
ニユースレターはJOHA9 からJOHA10 の間に21 号を発行し、会員メーリングリストによる配布を基本と し、数は少ないが非メール会員には郵送した。
6.ウェブサイトの充実
広報の効果を上げるために、従来のブログ形式のウェブサイトjoha.jp からカリテスに依頼した新しいウェブサイトに移行した。
7.会員相互の交流の促進
事務局管理の会員メーリングリストを通じ、理事会と会員、また会員相互の情報交換を促した。
8.理事の補充
当初編集委員会に入る予定だった山田理事が事務局長になったので、編集委員会にグレゴリー・ジョンソン会員を補充し、理事として就任をお願いした。

第2 号議案 2011 年度決算報告
2011 年度(2011.7.1~2012.3.31)決算報告資料に基づき報告され、了承された。

第3 号議案 2011 年度会計監査報告
監事の有末賢先生と野本京子先生より「会計帳簿、預貯金通帳、関係書類一切につき監査しましたところ、正確で適切であることを認めましたので、ここに報告いたします」と報告があり、了承された。

第4 号議案 2012 年度事業案
2012 年度(2012.7.1-2013.6.30)事業案について、以下の諸点が提案され、了承された。特に来年度から学会大会の参加費を学会員からも徴収することが決まった。
1.会員の拡大と維持
年次大会やワークショップなどの実施を通じ、またこれらの情報を広報することによって、本学会の周知に努め、引き続き会員数の拡大を目指す。また、会員の維持と会費収入確保のため、大会後年内を目途に郵送による入金状況確認と会費納入の督促を行う。
2.第10 回大会の実施と第11 回大会の準備
第10 回大会を2012 年9 月8-9 日の二日間にわたって愛知県名古屋市の椙山女学園大学において開催し、来年度の第11 回大会を9 月中に東京近辺にて開催すべく準備を行っている。開催校が最終的に決定次第、HP や会員ML を通じて広報する。
3.学会誌第9 号の発行
学会誌第8号は、第9回大会シンポジウム「四国遍路-ピルグリメージとオーラル・ヒストリー」と連続ワークショップの特集を組んで発行し、2012 年度会費納入者に大会時配付および、大会後に郵送する。学会誌第9 号には、「第10 回大会記念テーマセッション 日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる」と、シンポジウム「語りから「いのち」について考える」の2 つの特集を組み、査読を通過した一般公募論文とともに、掲載予定である。さらにJOHA の10 年間の歩みについて掲載する。
4.研究会・ワークショップの開催
通例では研究実践交流会となっている枠に今年度の大会は第10 回大会記念テーマセッションを企画したが、JOHA 設立10 周年を迎える第11 回大会も節目となる企画をし、それらと単発ワークショップを連動させて、オーラル・ヒストリーの足場論(日本のオーラル・ヒストリー研究が何をやってきた/やっていくのか、それを可能にする場としてJOHA が何をやってきた/やっていくのか)を議論する場を設定していく。
5.ニュースレターの発行
10 回大会の案内号として第22 号を発行した。今年度は年末に向けて第23 号を発行予定である。配付方法は会員ML に添付して配付し、郵送会員には郵送する。
6.ウェブ情報の充実と改善
カリテスの新しい学会ホームページが稼働し、見やすくなったが、さらに既存情報と新規情報の整備がひつようである。また、学会誌のバックナンバーの目次についても、HP で閲覧できるようにする。
7.会員相互の交流促進
新規会員など会員の異動をニュースレターを通じて会員に周知し、相互の交流に役立てる。また、会員の出版、活動情報についても学会誌での書評やニュースレター等を通じて積極的に共有する。
8.海外のオーラル・ヒストリー団体との交流
国際交流担当理事を中心に、海外のオーラル・ヒストリー団体との交流を促進し、会員に情報提供を行う。主にIOHA 等との具体的な交流体制を今後の検討課題とする。
9.学会発足10 周年記念事業
2013 年が本学会発足10 周年となるため、学会誌の特集号と来年度学会大会を通して記念事業を行う。その際に、この10 年間の本学会の歴史を学会誌に記録として残すことを予定している。
10.財政再建計画
現在、学会の財政が困難な状況にある。財政再建のために種々の方策を試みていくが、まずその一つとして、来年度からは学会員からも参加費一律千円を徴収することを提案する。

第5 号議案 2012 年度予算案
2012 年度(2012/4/1~2013/3/31)の予算案資料に基づき提案され、了承された。ただし、予備費が例年に比べて非常に少ないことなどが指摘され、財政立て直しについて意見を交換した。

第6 号議案 理事の補充について
編集委員会にグレゴリー・ジョンソン会員を補充し、理事として就任することが提案され、了承された。(山田 富秋)

Ⅲ 理事会報告
1.第五期 第4 回理事会
日時:2012 年9 月8 日(土) 10:30~12:30
場所:椙山女学園大学
出席:塚田、山田、河路、橋本、折井、山村、小倉、和田、川又(順不同)
委任欠席:森、仲、和田、松田、吉田、グレゴリー

1.前回議事録確認
・ニュースレター22 号発刊時に第3 回議事録を確認済み。この理事会の書記を川又理事に決定。
2.会長報告
JOHA10 大会開催についての準備状況を報告した。
3.事務局報告
(1)新入会員が1 名、住所変更が1 名あった。
(2)理事・開催時期など
・今期は会計年度が変更となったが、理事年度は現状のままにする。学会大会は開催校事情を考えると例年の9 月1~3 週開催を8 月末開催も視野に入れて検討するのが良い。
・今年は4~8 月のあいだ学会のイベントがなかった。これでは活動が活発に見えない。学会大会と総会が同時なので、他の試みも必要ではないか。
(3)来年度開催校
・京都文教大学での開催はできなくなった。
・大妻女子大学多摩キャンパスを会場として借りる可能性はある。
・その他、横浜市立大学の案も出た。いずれにせよ来年は10 周年なので東京近辺が望ましいことが確認された。
(4)財政立て直し案について
・9 日の総会提案として、来年度から学会員に対して、大会参加費(1,000 円)を一律で徴収することを諮ることにする。非会員は一律一日1,000円(二日参加なら2,000 円)と変更する。
・学会誌について制度改革案が出され、承認された。現在では70 万円近くかかるので、現状の自費出版体制を変え、編集・著作者は学会におき、発行をインターブックスとする(企画出版)。これによってかなりの減額が可能となる。次号の出版に向けて、新しい契約を行うことになった。
・来年度から事務局幹事の事務費用を時間給制にもどす。
・学会誌の著者謹呈冊数は来年度から2 部に変更する。
(5)総会に提出する議案書の検討
・文字等を一部修正をした。
(6)国際社会学会へのエントリー
・国際社会学会が2014 年7 月、横浜で開催される。グループエントリー(アブストラクト)の締切は12 月なので、JOHA として英語セッションを作ることが提案され、学会でプロジェクトチームを呼びかけることになった。
4.編集委員会から
・来年度の学会誌に、初代会長他のエッセイなどや10 年間の年表などを掲載することで今まで貢献してくださったことなどを記録しておきたいとの提案があった。
5.会計から
・今年度年会費は8 月末現在で597,490 円納入された(年会費収入予算の73%)。
・会員は本日時点で288 名(見込みを含む)。このうち2008 年度以降未納は4 分の1 で、ニュースレターのみ受け取っている活動休止状態にある。それを除いた2012 年度未納は103 名で、きっかけがあれば納入すると思われる。未納入者の会費納入を動機づける、活発な学会であることをアピールする企画・働きかけが必要ではないかという意見があった。
6.研究活動委員会から
・以前本学会として調査協力した、質的データ・アーカイヴ化研究会による質的データアーカイヴに関するアンケート調査結果について、12 月に一橋大学でフォーラムを実施する連絡があった。これは近くなったらHP 上で会員にアナウンスする。7.その他 次回委員会日程等理事会は例年2 月だが、話し合うべき議題が出てきたら早めに調整する。

Ⅳ.お知らせ
1.『日本オーラル・ヒストリー研究』第9号投稿募集
論文、研究ノート、聞き書き資料、書評、書籍紹介の原稿を募集いたします。掲載を希望される方は第8号の投稿規定・執筆要項を参照の上、編集委員会まで原稿をお送りください。次号は10周年記念号となります。大会での発表者のみなさんをはじめ、多くのみなさまのご応募をお待ちしています。
締め切り:2013年3月29日(金)消印有効
応募原稿送付先および問い合わせ先は以下の通りです。
日本オーラル・ヒストリー学会編集委員会
〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1 東京外国語大学 総合国際学研究院 河路研究室内
kawajiyu[at]tufs.ac.jp (河路研究室)

2.国際学会大会のお知らせ
2013 年度米国オーラルヒストリー学会(OHA)、および英国オーラルヒストリー協会(OHS)年次大会の
日程、テーマ、発表者募集要項をお知らせします。
なお国際オーラルヒストリー学会(IOHA)の国際大会は隔年開催につき、次年度は開催されません。
各大会の詳細、問い合わせ先は以下をご参照ください。OHA の発表者募集締切は2013 年1月18 日、
OHS は2012 年12 月1日です。奮ってのご参加をよろしくお願いいたします。
(1)Oral History Association (USA) www.oralhistory.org
2013 Annual Meeting Call for Papers
Hidden Stories, Contested Truths: The Craft of Oral History
2013 OHA Annual Meeting October 9 – October 13, 2013
The Skirvin Hilton Hotel Oklahoma City, OK
Deadline: January 18, 2013
Proposal format: For full sessions, submit a title, a session abstract of not more than two pages, and a one-page vita or resume for each participant. For individual proposals, submit a one-page abstract and a one-page vita or resume of the presenter. Each submission can be entered on the web at:
http://forms.oralhistory.org/proposal/login.cfm
The deadline for submission of all proposals is January 18, 2013.
Proposal queries may be directed to: Beth Millwood, University of North Carolina at Chapel Hill, 2013
Program Co-Chair: beth_millwood@unc.edu
Todd Moye, University of North Texas, 2013 Program Co-Chair: moye@unt.edu
Stephen Sloan, 2013-14 OHA President: stephen_sloan@baylor.edu
For submission queries or more information, contact:
Madelyn Campbell, Executive Secretary
Oral History Association Dickinson College, P. O. Box 1773 Carlisle, PA 17013
Telephone (717) 245-1036 Fax: (717) 245-1046 E-mail: oha@dickinson.edu
(2)Oral History Society (UK) www.oralhistory.org.uk
The Annual Conference of the Oral History Society in conjunction with the Centre for Life History and Life Writing Research, University of Sussex
Corporate Voices: Institutional and Organisational Oral Histories
Venue: University of Sussex
Date: Friday 5th – Saturday 6th July 2013
The deadline for submission of proposals is 1st December 2012. Each proposal should include: a title, an abstract of between 250-300 words, your name (and the names of any co-presenters, panelists etc), your
institution or organisation, your email address, and a note of any particular requirements. Most importantly your abstract should demonstrate the use of oral history or personal testimony and be directly related to the history or development of aspects of organisational or corporate history. Proposals should be emailed to the Corporate Voices Conference Administrator, Belinda Waterman, at belinda@essex.ac.uk. They will be assessed anonymously by the conference organisers, and presenters will be contacted early in 2013.(国際委員会 吉田 かよ子)

3.会員異動
(1)新入会員 田代志門 昭和大学
(2)住所変更 田中里奈(新) 池上賢 (新)
◆連絡先(住所・電話番号・E-mail アドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。

4.2012年度会費納入のお願い
いつも学会運営へのご協力ありがとうございます。
本学会は会員の皆様の会費で成り立っています。今年度の会費が未納の方におかれましては、何とぞご入金のほどよろしくお願いいたします。なお、先日発行しました学会誌は、2012 年度会費入金確認後に発送いたします。
■年会費
一般会員:5000 円、学生他会員:3000 円
*昨年度の移行期間を経て、2012年度より会計年度が4月1日から翌年3月31日までとなりました。年会費は12 ヵ月分に戻ります(昨年度のみ9 ヵ月分)。なお年会費には学会誌代が含まれています。
■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票(ゆうちょ銀行にある青色の振込用紙)の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
*従来の記号・番号は変わりありません。
■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ
郵便払込・口座振込の控えで領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。
学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、会計担当の橋本みゆき(電子メール: mieux[at]bf6.so-net.ne.jp)へお問い合わせください。

JOHAニュースレター第22号

JOHAニュースレター第22号

日本オーラル・ヒストリー学会第10回研究大会 (JOHA10)が、2012年 9月 8日(土)、 9日(日)の二日間にわたって、椙山女学園大学において開催されます。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。

【目次】
Ⅰ.第 10回年次大会
1.大会プログラム /2.自由報告要旨
Ⅱ理事会報告
1.オーラル・ヒストリー学会第2回理事会議事録 /2.オーラル・ヒストリー学会第3回理事会議事録
Ⅲ事務局便り
1.会員異動 /2.2012年度会費納入のお願い
**************************************

Ⅰ.日本オーラル・ヒストリー学会第10回大会
Japan Oral History Association 10thAnnual Conference
2012年 9月 8日 (土)・ 9月 9日(日)
会場:椙山女学園大学

1.大会プログラム
第 1 日目 9月 8日 (土)
理事会 10:30~12:00
受付開始 12:00 G階のピロティ
※受付にて9日(日曜日)のお弁当販売を受け付けます。

自由報告 12:30~15:30
第1分科会(417教室)司会 小倉康嗣
1.文献資料散逸の補完としての聞き書き調査―1960年代のラジオ深夜放送を事例として(The interviewees filling up the lost fragments in the historical documents―A case study of the youth radio community emerged in the late 1960’s in Nagoya―)
長谷川倫子(東京経済大学)
2.オーラル・ヒストリーが伝えるテレビドラマの黎明期~生放送時代の現場から~(Oral History Enlightening the Dawn of Television Dramas: Behind the scenes of live drama broadcasting)
廣谷鏡子(NHK放送文化研究所専任研究員)
3. 別子銅山社宅街(鹿森社宅)における昭和の生活史(Life in a copper-mining town “Shikamori” in Bessi Area, Niihama, Japan)
竹原信也(新居浜工業高等専門学校)
4. 神明社神楽の歴史と言説(The history and the discourse of Shinmeisha-kagura)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)

第2分科会(416教室)司会 田代志門
1.統合失調症の子を抱える親たちの多様性(The diverse lived experience of parents of adult children diagnosed with schizophrenia).
青木秀光(立命館大学大学院)
2.1970年代後半に心臓ペースメーカーを植え込んで職場復帰した男性の働くことの難しさ(Difficulties experienced by a male who returned to work following the implantation of a pacemaker in the late )
小林 久子(藍野大学)
3.米国の医療通訳発展を支えた医療通訳士のオーラル・ヒストリーより(Oral histories of pioneers who shaped medical interpreting history in the United States of America)
竹迫 和美(国際医療通訳士協会)

第10回大会記念テーマセッション 15:40~18:00(418教室)
「日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる――地域女性史の歩みから」
報告 「地域女性史と聞き書き」(仮)伊藤康子(愛知女性史研究会、元中京女子大学短期大学部教授)
コメント 山嵜雅子(立教大学特任准教授、教育学)
司会 和田悠(日本学術振興会)
コーディネイト 山本唯人(政治経済研究所)

開催趣旨:
JOHAが設立されてから、今年で10回目の大会を迎える。JOHAでは、昨年度、開催されたオーラル・ヒストリー・フォーラムの成果を引き継いで、これまでの歩みを振り返り、その足場がどこにあるのかを検証すると共に、この学会が、今後、オーラル・ヒストリーの発展にとって何をなしうるのかを考え合う機会を設けたい。
そこで、本大会では、定例の研究実践交流会に代わる特別企画として、「第10回大会記念テーマセッション」を開催する。
テーマとして、日本におけるオーラル・ヒストリー実践の一源流である、地域女性史のあゆみに焦点を当て、実践的学知としてのオーラル・ヒストリーがどのようにはじまったのか、その原点に含まれていた課題や豊かな可能性を再認識すると共に、そこから、オーラル・ヒストリーの現在の姿を逆照射し、その役割と将来へ向けた可能性を考えたい。
報告者として、1977年、本大会の開催地である名古屋から、女性史研究の全国的ネットワークである「女性史のつどい」の発足を呼びかけ、その後も、名古屋を拠点に、女性史研究を続けてこられた伊藤康子氏をお招きし、「女性史のつどい」が何をめざしたのか、そこでは、どのような女性たちのどのような経験が描かれたのか、方法や残された課題などについて、当事者の立場からご報告いただく。
コメンテーターを社会教育の現場にも関わりながら、近年、京都人文学園についてのご研究をまとめられた、教育学の山嵜雅子氏にお願いする。
当日はフロア参加者も含めて、さまざまな視点・立場から、オーラル・ヒストリーの可能性や今後を語り合う機会としたい。多くの会員、関係者の方々の参加を期待する。

懇親会 18:15~20:15
場所:教育学部 E棟 F19(学食)
一般=4,000円、大学院生=2,500円

第 2 日目 9月 9日 (日)
自由報告 9:00~12:00

第3分科会(417教室)司会 野本京子
1.日系人オーラル・ヒストリー・インターネットサイトの利用方法――教育カリキュラムへの提言(Nikkei Oral Histories on the Internet Can Go a Long Way: Suggested Use in Classroom)
山本 恵里子(移民史研究家・大学講師)
2.オーラル・ヒストリーの著者性(authorship)をめぐって(Authorship in Oral History)
加瀬豊司(四国学院大学名誉教授)
3.移住労働者とその関与者の語りから見た日本語習得の促進要因(Factors, promoting Japanese language acquisition, examined through a narrative of migrant workers and consociates)
吹原 豊(福岡女子大学)

第4分科会(416教室)司会 滝田祥子
1.パレスチナ難民問題の歴史記述における文字資料と証言の位置(Positions of Written Documents and Testimony in the Historiography on the Palestinian Refugee Problem)
金城美幸(立命館大学ポストドクトラルフェロー)
2.ハンセン病に罹患した一人の捕虜の目を通じて見たカウラ事件(Cowra Breakout Seen Through a Prisoner of War Who Suffered from Hansen’s Disease)
山田 真美 (お茶の水女子大学大学院)
3.戦争体験を語りつぐストーリーの分析(Narrative analysis of the wartime experiences conveyed to others )
桜井 厚(立教大学)

総会 12:15~13:00 (418教室)
昼食休憩(受付時予約または持参):13:00~13:45

シンポジウム:14:00~17:00(509教室)
テーマ:語りから「いのち」について考える-聞き難いものを聞き、語り、書く
報告1 「災害のマスター・ナラティヴ-「がんばろう」と“I love New York”」 やまだ ようこ(立命館大学)
報告2 「いのちを支える看護者の語り」佐々木裕子(愛知医科大学)
報告3 「語りにくいこと―自死遺族たちの声」有末賢(慶應義塾大学)

司会 塚田 守(椙山女学園大学)
討論者  清水 透(前学会長)/ 山村淑子(理事、女性史家)
テーマ設定の趣旨:
身近な人、深くかかわった人を失う経験を持ち、人は死と向かい合い、初めて「いのち」について考えるのではないか。残された者の「失われたいのち」との関わる時、人は「いのち」について語り始め、生きていく意味について考え、いまの自分を再考するのではないか。このシンポジウムでは、3つの異なった分野のパネリストがそれぞれの立場から、残された者の「いのちについての語り」について、議論する予定である。
 第1のパネリスト、やまだようこ氏は、『喪失の語り』を書き、残された者がどのように死者とともに生きるかをテーマとしてきた。今回は、東日本大震災3.11のあとの「がんばろう、日本」を、アメリカ同時多発テロ9.11のあとの”I love America”と比較しながら、人は、どのようにして喪失から生成へと変換していくのか、「ナラティヴ(語り・物語)」の働きについて議論する。
 第2のパネリストは、佐々木裕子氏は、在宅看護を中心として死に至る人々のいのちを観てきた看護師としての経験を中心として、患者が死と向かい合う中で、本人の「病いの語り」がどうように話され、生きる意味付け行為に対して関係しているかについて述べ、身内が死に至る過程での家族や看護師の関わりはどのようなものかについて、看護師としての実践経験として、医療における語りの意味について語る。
 第3のパネリスト有末賢氏は、「自死の遺族の会」に深く関わり、フィールド調査をしている経験を中心にして、災害でも病気とは異なり、ある日突然、自らのいのちを絶った身近な人に深く関わり、残された者の意識について、社会学者の立場から論じる。自死の遺族たちは、その死について積極的に語るというよりはむしろ、隠すことが多いと言われている。ただ、同じ経験を共有できる「遺族の会」では、彼らは積極的に語る傾向がある。「遺族の会」で語られる語りとはどのようなものか、それを語る意味などについて論じる。

ご案内
1.発表時間
自由報告:報告30分程度、シンポジウム:報告30分、コメント15分、フロア討論60分
2.会場
椙山女学園大学 星が丘キャンパス
3.大会実行委員会連絡先
〒464‐8662 名古屋市千種区星が丘元町17-3 国際コミュニケーション学部 塚田守研究室気付 電話:052‐781‐5143 E-mail: mamoru[at]sugiyama-u.ac.jp
[入会および会費納入等に関する相談・問い合わせは日本オーラル・ヒストリー学会事務局へ]
4.大会参加費
学会員 無料/学会員以外 一般 2,000円 学生1,000円/シンポジウム参加のみ 無料
5.懇親会
9月9日(土) 教育学部 E棟 F19(学食) 一般=4,000円、大学院生=2,500円
6.自由報告
一発表30分程度とします。発表時間を厳守してください。なお、レジュメを用意される方は、50部程度ご用意ください。万一不足の場合、大会本部ではコピー等致しかねますので、ご了承ください。
7.クローク
学会本部(509教室)に荷物をお預けください。
8.会員休憩室
両日とも415教室。3階の学生控室には自動販売機などがあります。
9.喫煙室
2階のエレベーターの近くの外に「喫煙コーナー」があります。それ以外の場所ではすべて禁煙です。
10.昼食
大会第2日目の昼食については、食堂が日曜日なので、学会参加者は前日に弁当を申し込んでください。申込み者には引換券を渡します。総会の開始時にお弁当と引き換えます。
11.宿泊
基本的には各自で予約してください。地下鉄沿線なら30分以内に大学に着くと思います。比較的近く安価なもの(6,000~7,000円前後)として2つの施設をご紹介します。
1.メルパルクNAGOYA
〒461-0004 愛知県名古屋市東区葵3丁目16−16
052-937-3535
2. ルブラ王山
〒464-0841 愛知県 名古屋市千種区覚王山通8-18
052-762-3105
12.アクセス
椙山女学園大学ウエブサイト:http://www.sugiyama-u.ac.jp/sougou/access.html

2.自由報告要旨
第1分科会
1.文献資料散逸の補完としての聞き書き調査―1960年代のラジオ深夜放送を事例として(The interviewees filling up the lost fragments in the historical documents―A case study of the youth radio community emerged in the late 1960’s in Nagoya―)
長谷川倫子(東京経済大学)
1960年代末における日本のラジオの深夜放送ブームは大きな社会現象となったものの、放送史研究においてもこれを取り扱った先行研究は少ない。2010年から、名古屋の中部日本放送の番組についての資料収集を開始したが、資料の散逸は克服しなければならない課題であった。補完的またはそれ以上の情報提供者となったのは、当時のディレクターとDJたちであった。繰り返しのインタビューによって、社史には登場しない当時の実情を示す貴重な情報の収集が可能となり、放送史、文化史からみた若者向け深夜放送ブームの歴史的な意義についても考察する出発点となった。ここでは、放送におけるパイオニアたちにインタビューを行ったオーラル・ヒストリー研究の事例についての報告を行う。
2.オーラル・ヒストリーが伝えるテレビドラマの黎明期~生放送時代の現場から~(Oral History Enlightening the Dawn of Television Dramas: Behind the scenes of live drama broadcasting)
廣谷鏡子(NHK放送文化研究所専任研究員)
日本のラジオ放送は1925年、テレビ放送は1953年に始まった。放送の歴史はこれまでおもに編年体の資料によって記述・記録されてきたが、それだけでは歴史の本来持つダイナミズムを伝えきれない。放送には実に多くの業種が携わっている。多様な立場の個人によるオーラル・ヒストリーを、既存の文書・映像資料などとつきあわせることで、放送史をより立体的、多元的に再構成できるのではないか。NHK放送文化研究所では、NHK、民放を問わず放送人が旧知の放送人に向けて語った音声・映像記録を始め、650を超える人々の証言記録を保存している。これらを活用し、新たに収録した証言も加えて、放送史の新しい側面に迫りたい。この報告では、テレビドラマの黎明期、なかでもVTRが高額だった「生放送ドラマ」時代に着目し、オーラル・ヒストリーを主な素材に、実際に関わった人たちの「体験」から見えてくる、「正史」が伝えてこなかった新しいテレビドラマ史を提示する。
3.別子銅山社宅街(鹿森社宅)における昭和の生活史(Life in a copper-mining town “Shikamori” in Bessi Area, Niihama, Japan)
竹原信也(新居浜工業高等専門学校)
明治以降、全国各地に“近代的”な社宅街が形成されてきた。そこには企業の合理性の精神、労務管理、福利厚生といった旧来の鉱山集落とは明らかに異なる思想の影響がみられる。近年、社宅街の形成と変遷を明らかにする建築史学的アプローチからの研究が積極的に進められ、その先進性が再評価されるに至っている。その一方で、全国各地で鉱山や炭鉱は閉山しており、社宅街も取り壊されつつある。また、社宅街で生活していた人々も高齢化が進んでいる。本報告では、愛媛県新居浜市の別子銅山(1691-1973)の山間に作られた社宅街(鹿森社宅)の生活文化を、生活経験者の語りから紹介していく。
4.神明社神楽の歴史と言説(The history and the discourse of Shinmeisha-kagura)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院) 
埼玉県秩父市の白久地域に、江戸期より伝承されている「神明社神楽」という神楽がある。この神楽には歌舞伎の影響があるとされ、伝承者たちもそのような認識で一致しているのだが、神楽を伝承する濱中彌傳冶氏のオーラルデータや、演目の中の特殊な神格「天下土君神」などから神楽の歴史を考察すると、この神楽には「歌舞伎的」とひとまとめにするには困難な、多彩な要素が存在することが判明した。しかも、彼らの重要視しない部分にこそ古い要素があるという興味深い構造を析出することができた。彼らが自身の伝承する神楽について語る内容と、その実際の歴史との間の齟齬をみることで、芸能伝承者の言説と実際の歴史との関係性について論じる。

第2分科会
1.統合失調症の子を抱える親たちの多様性(The diverse lived experience of parents of adult children diagnosed with schizophrenia).
青木秀光(立命館大学大学院)
統合失調症の子を抱える親と一言でまとめても、その生は多様である。多様であるがゆえにどのように親への支援体制を構築すればよいのか困難を極める。現在までに有効な支援方策が提出されていないところには一括りにできない困難さの存在がある。ひとつの手掛かりとして、その多様な親たちの主観的意味世界に接近し、彼ら/彼女たちがいかなる現実と対峙し、それをどのように意味づけているのかを丁寧に解きほぐす試みが必要である。本報告では、5人の親たち(母親2人と父親3人)へのライフストーリーインタビューから明らかになった点を親のジェンダー規範のモデルストーリー、段階論的障害受容言説、慢性的悲哀などから検討したい。
2.1970年代後半に心臓ペースメーカーを植え込んで職場復帰した男性の働くことの難しさ(Difficulties experienced by a male who returned to work following the implantation of a pacemaker in the late )
小林 久子(藍野大学)
心臓ペースメーカー植え込み術の社会的の認知が低い時代に、治療を受けた当事者は、職場で差別待遇と嫌がらせを受けながら仕事を続けてきた経緯があった。本研究の目的は、1970年代後半に心臓ペースメーカーを植え込んで大手企業の職場に復帰した当事者が、職場で体験した苦しみを言語化し、その体験の意味づけに立ち会うことであった。当事者は、会社と産業医は病気を信用しなかったという関係から出発し、やがて組織の判断は納得できるが、精神的に最も苦しいのは同僚からの差別であることに気づいていく。自己の役割を考え、希望を持って会社の中で生き抜いてきた当事者の、体験の意味を考えたい。
3. 米国の医療通訳発展を支えた医療通訳士のオーラル・ヒストリーより(Oral histories of pioneers who shaped medical interpreting history in the United States of America)
竹迫 和美(国際医療通訳士協会)
米国には世界最大最古の医療通訳士のNPOがある。そのNPOの創設者、歴代の会長および医療通訳発展に寄与してきた医療通訳士らのオーラル・ヒストリーを聴いた。報告者が医療通訳士である利点を生かし、アクティブ・インタビューの手法で特に内発的動機に焦点を絞ってインタビューした。語りをテーマ分析した結果、彼らが、NPOの創設および代表としてリーダーシップを取って来た内的動機に、生い立ちや家族、特に親の存在が大きくかかわっていることが明らかとなった。また、1990年代以降英語でコミュニケーションがとれない移民や難民出身の患者が急増し、医療通訳のニーズが顕著となったにもかかわらず、職業としての社会的認知度が低く、待遇も司法通訳と比べて低かったことに対して、彼らがアドボカシーのために立ち上がったことも明らかになった。

第3分科会
1.日系人オーラル・ヒストリー・インターネットサイトの利用方法――教育カリキュラムへの提言(Nikkei Oral Histories on the Internet Can Go a Long Way: Suggested Use in Classroom)
山本 恵里子(移民史研究家・大学講師)
オーラル・ヒストリーは1990年代頃からデジタル録音・録画の進歩とインターネットの普及によって、新たな域に達した。Quiet Americansと呼ばれていた日系アメリカ人たちは、1970年代からその重い口を開き始めていたが、このデジタル化の波にのり、インタビューのデジタル・アーカイヴ化とインターネット上での公開が進んだ。インタビューに応じる日系人は、実名と顔・声が載ることも辞さず、自らの声はアメリカ社会の歴史だと自負する。このようなリソースを日本の教育に積極的に用いることで、我々は学生の日系人史への興味を深めるとともに、オーラル・ヒストリーになじませることが可能になってきた。ここではDiscover NikkeiやDenshoなどのサイトを授業に利用し、学生にアクティヴな学習をさせるカリキュラムを提言したい。
2.オーラル・ヒストリーの著者性(authorship)をめぐって(Authorship in Oral History)
加瀬豊司(四国学院大学名誉教授)
聞きとり場面でオーラル・ヒストリアン(H)の視点と対象者(N)の内面はどう関わるのだろうか。Nの語りの編集(増幅、縮小、省略等)も念頭に置き、それを解釈・記述する際、著者Hの認識からくるその著作は“真実”なものとして描かれるだろうか。今回著者の視点形成している暗黙の前提に批判的省察(reflexivity)を加える事により、日系アメリカ人2世史への“再訪問”(含住込みインタビュー等参与観察)をNとの「異文化間コミュニケーション」として自覚する。このため著者の日本文化的視点に方法論的拘束を意識しつつ、2世の意味世界をオーラル・ライフ・ヒストリーの手法によってPh.D. Dissertationの形で作品化(craft)したエスノグラフィーを使ってみる。
3.移住労働者とその関与者の語りから見た日本語習得の促進要因(Factors, promoting Japanese language acquisition, examined through a narrative of migrant workers and consociates)
吹原 豊(福岡女子大学)
2005年から7年間にわたって、茨城県にあるインドネシア人コミュニティでのフィールド調査を続けている。調査の主な目的は移住労働者の日本語習得の実態とそれを取り巻く要因を明らかにすることである。日本語習得の実態把握に際して、比較的大規模でありかつ中心的に行ったのはOPI(Oral Proficiency Interview)による口頭能力の評価であり、結果として日本語習得が概して初級レベルにとどまっていることが分かったが、ごく一部に中級者の存在も確認された。本報告では中級者のうちで移住労働者自身とその関与者である日本人を対象に聞き取りができたものを中心に取り上げ、双方の語りをもとに日本語習得の促進要因について考察した結果を紹介したい。

第4分科会
1.パレスチナ難民問題の歴史記述における文字資料と証言の位置(Positions of Written Documents and Testimony in the Historiography on the Palestinian Refugee Problem)
金城美幸(立命館大学ポストドクトラルフェロー)
パレスチナ難民問題はパレスチナ/イスラエル紛争における重要課題の一つである。パレスチナ難民の発生の主要原因は、1948年、イスラエル国家独立を目前とするなか、ユダヤ人がパレスチナのアラブ系住民に対する追放作戦を実行したことである。その後の周辺アラブ諸国のパレスチナ侵攻も失敗し、以降、イスラエルとアラブ諸国との間で包括的な和平が結ばれないままであり、パレスチナ難民の要求である故郷への帰還も実現していない。
 本報告では、イスラエル建国に伴って離散・難民化し、一部はイスラエルの軍事占領下に置かれているに至ったパレスチナ人社会のなかで、パレスチナ難民問題についてのナショナルな歴史記述がどのように構築されてきたのかを検討する。イスラエル人歴史家たちは、国家アーカイヴ史料に基づいて「実証研究」であることを自己主張することによって、証言を活用するパレスチナ人の歴史記述を排除してきた。本報告では、このようなパレスチナ人社会の状況のもとで進められてきた難民化の経験についてのオーラル・ヒストリー・プロジェクトの意義と課題を検討する。
2.ハンセン病に罹患した一人の捕虜の目を通じて見たカウラ事件(Cowra Breakout Seen Through a Prisoner of War Who Suffered from Hansen’s Disease)
山田 真美 (お茶の水女子大学大学院)
1944年8月5日、豪州のカウラ第十二戦争捕虜収容所において1104名の日本人捕虜が集団自決的な暴動を起こし、その結果、234名の日本人と4名のオーストラリア兵が命を落とした(カウラ事件)。筆者は1990年代半ば以来、暴動を生き残った捕虜のもとを訪ねては事件発生の経緯とその周辺問題についてインタビュー調査を続けてきた。そのなかの一人である元陸軍兵士のT氏は、カウラ収容所到着と同時にハンセン病が発覚し、2年以上にわたって一人用のテントに隔離された人物である。そのためT氏は暴動に巻き込まれることなく、一部始終を至近距離で見た唯一の目撃者となった。日本人でありながらハンセン病ゆえに日豪両国から疎外されたT氏へのインタビューからカウラ事件とその周辺問題を再考察したい。
3.戦争体験を語りつぐストーリーの分析(Narrative analysis of the wartime experiences conveyed to others )
桜井 厚(立教大学)
戦争体験を語りつぐ実践は、体験者とともに非体験者よってもおこなわれている。その際、語り伝えようとするために語り手はさまざまな工夫や戦略をこらしている。わかりやすい例としては、物語の時空間の枠組みを聞き手の「いま・ここ」へリンクさせる操作がある。そうした語りの特性を分析すると共に、それを聞き手がどのように聞いているかについても併せて考察をくわえたい。

Ⅱ.理事会報告
1.オーラル・ヒストリー学会第2回理事会議事録
日時:2012年2月6日(月) 13:00~16:20
場所:東京外国語大学本郷サテライト7階会議室
出席者:塚田 守、山田 富秋、橋本 みゆき、河路 由佳、森 武麿、山村 淑子、小倉 康嗣、折井 美耶子、山本 唯人、川又 俊則、松田 凡、吉田 かよ子 以上12名
議題
1.事務局報告
(1)新入会員紹介ほか 新入会員3名、再入会1名(会員異動を参照)
(2)学会誌のバックナンバーの販売
現在バックナンバーについては、丸善とアマゾンに委託販売している。丸善については年度末決算に合わせて、こちらから請求し、入金してもらう。
(3)HPの移管状況
当初予定では、カリテスという会社に依頼して、昨年末に移管を完了する予定だったが、2月現在、まだ完了していない状況が報告された。
(4)会員向けアンケート協力について
質的データ・アーカイブ化研究会による科研アンケート(質的データの管理・保存
に関するアンケート)について、JOHAとして共催はしないが、主旨に賛同し、会員に協力をお願いすることになった。会員名簿については慎重に管理する。
2.会計報告
(1)会費収入について
会費年度の変更期ということもあり、やや半端な額が振り込まれているケースがあった。来年度の請求時に割り引いて請求する予定である。2011年度収入としては納入者183名のうち80名程度が見込まれる。
(2)委員会の旅費について
理事会については交通費半額を支払うことは前回の理事会で確認済み(ただし勤務先大学から旅費が支給される場合は除外)だが、委員会開催時の交通費についても同様にすることが合意された。
(3)寄付金について
寄附収入という項目を設け、これを定職のない人の地方開催の学会大会参加時の旅費補助に活用する。これは理事会の内規として事務局が文章化する。
3.編集委員会報告
(1)予算について
学会誌出版の予算額の枠内で編集される分には問題はないが、特集、フォーラム、投稿論文のページ数のバランスを考慮する必要がある。8号に向けて依頼する文字数も減らす方向で調整することになった。
(2)広告について
学会誌の広告については、各出版社に知り合いの理事が依頼してきたが、今回は事務局が引き続き依頼するとともに、他の知り合いの出版社も紹介してもらう。
(3)G.ジョンソン氏の理事就任について
就任が了承された。
(4)英文の執筆要項について
ジョンソン氏に依頼することになった。
(5)バックナンバーの保存について
バックナンバーの保存方法については、事務局長が保持するのは限界がある。CiNiiで読めるのであれば多く保存する必要はない。確認の上、印刷部数を再考する必要がある。
(6)短文書評について
以前、自著や他の会員の著書の紹介として短文紹介というコーナーがあった。次回から学会活動を活発にするため、このコーナーを復活させることになった。
(7)その他
学会誌の購入希望に対応するため、HPにバックナンバーの目次を掲載する等の案内を行っていく。
4.広報委員会報告
(1)NL21号の発行は昨年の12月8日に完了した。22号は大会プログラムを入れたものになる予定である。大会案内について、会員ML及びWeb上で見られない方には、大会案内を入れ、自由報告の募集の案内も同封することを事務局に依頼した。
(2)HPについては移行が完了していない。
7.研究活動委員会報告
大会時の研究実践交流会について、次回は第10回記念大会ということで、通常の会員の交流を目的とした研究実践交流会ではなく、テーマセッションとすることが合意された。テーマは提案の通り、名古屋で第1回女性史の集いが開かれたことに鑑み、呼びかけ人であった伊藤康子氏に話題提供をお願いし、オーラル・ヒストリー研究/実践の源流・諸潮流をたどることを主旨とする。地域の実践グループと研究者との交流、および新たな会員獲得という意味も大きいことが確認された。
5.国際交流委員会報告
第10回のシンポジウムの内容が決まれば、各国際学会に連絡してHPにのせてもらうなどしたい。
6.今年度大会のシンポジウム企画
テーマは、「聞き難いものを聞き、語り、書く:『いのち』について考える」
登壇者は、やまだようこ氏、佐々木裕子氏、有末賢氏。司会は塚田守氏、コメンテーターは、山村淑子氏と清水透氏に依頼する。
7.次回理事会は6月24日(日)に開催予定。

2.オーラル・ヒストリー学会第3回理事会議事録
日時:2012年6月24日(日)13:15~17:00
場所:東京外国語大学本郷サテライト5階会議室
出席者:塚田守、山田富秋、橋本みゆき、河路由佳、グレゴリー・ジョンソン、山村淑子、仲真人、小倉康嗣、和田悠、折井美耶子、山本唯人、川又俊則 以上12名
1.開催校(塚田会長)と研究活動委員会から年次大会の準備状況について
・第10回大会案について、昨年度大会を参考にプログラムを作成した。今回はやや発表予定が少なめなので、議論の時間を多めにできる。
・学会員外の大会参加費が2,000円なので、それに見合う分の報告要旨集(発表者一人400字程度)を配布したいという開催校の提案に対して、発表のエントリー時に発表者に長い要旨の提出を要請していないので、今年度は無理であること、また、予算措置が伴っていないことで、来年度以降の課題とした。
・会員外シンポジスト・講演者の謝金と交通費
会員以外のシンポジウム登壇者や学生アルバイト謝金に対して名古屋市の「大幸(たいこう)財団」の助成金を申請したので、それを謝金の一部に充てることにした。シンポジウムでは2名、テーマセッションでは1名が該当する。会員外の登壇者の交通費に関してはJR換算で学会から支給される規定がある。今回は緊縮財政なので、昨年度実績と同じ額の大会開催校補助を準備している。
・大会参加費について;従来と同じ、学会員以外の一般2,000円、学生1,000円とする。
・懇親会;40人で懇親会の予算を組んだ。
・発表者の報告レジュメのコピーについて
シンポジウムやテーマセッションの登壇者については、レジュメコピーは大会本部で行うが、自由報告者のコピーは各自で用意する。
・日曜日の昼食について、大会一日目に弁当の引換券を購入してもらい、購入者に翌日配布する。
・分科会の司会
司会については、なるべく理事以外の方に司会を頼む方向性が確認された。7月中旬位までに確定する。
・分科会の報告時間
今年は報告者が少なかったので、1つの分科会に3時間取ることができた。そのため、発表時間は一人30分とし、質疑応答と議論の時間は司会者にまかせることにした。この点は大会プログラムをMLに流し、HPに掲載する時に明示することにした。
・テーマセッション
第10回記念テーマセッション名古屋で最初に女性史を開拓した伊藤康子氏に講演してもらい、それに山嵜雅子(会員)がコメントするかたちにする。タイトルは「日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる-地域女性史の歩みから」HP掲載の際に、地域の女性史に関心を持つ人々に参加を呼びかける。
2.事務局報告(山田)
(1)会員異動報告新入会員報告
一名については理事会の場で入会申請書を回覧して承認した。前回理事会から7名が新入会し、再入会が一名、ご逝去された会員が一名である。
(2)新入会員の承認手続きについて
今後の承認手続きとして、入会に必要な条件(入会申込書と会費の入金)が整えば、MLにUPし、自動承認にすることに決定した。特別な問題が生じた時だけ承認のお願いをする。
(3)学会誌委託販売の一本化について
現在、丸善、アマゾン、インターブックスの3社に委託販売を依頼しているが、これは一本化せず、現行の通り3社の委託販売を継続することが決定された。
(4) アンケート調査
JOHAへの協力の依頼があった質的データ・アーカイヴ化研究会による科研アンケート(質的データの管理・保存に関するアンケート)は、2月に実施されたが、結果に関しては追って報告の予定であるとのことである。
(5)HPの移管状況
カリテスの新しい学会ホームページが稼働し、見やすくなったが、旧HPから新HPへの自動移動を可能にする。また、旧情報がいまだに掲載されているので、それをアップデートする。
(6)総会で発表する事業報告案について
例年の総会次第を元にして、資料内容の確認と検討を行った。特に各種委員会について事業報告案に足す活動等があれば、大会一週間前をめどに案を事務局長まで知らせることにした。来年度事業案として設立10周年の企画をする必要があることが話し合われた。ちなみに10周年記念大会は京都文教大学を第一候補として予定する。
3.会計報告
今年度は会計年度が3月末に変更になり、9ヶ月になったため、この9ヶ月の決算について橋本理事が説明を行った。この決算報告に対して、繰越金を食いつぶすような運営は不安であること、また、繰越金が減少している理由として、事務局補助費予算化と印刷費の高騰が影響しているのではないかという意見があった。来年度予算案について、かなり財政的に厳しい状態であることを確認した。滞納者に会費納入を促すことと、会費値上げや学会大会参加費の徴収、あるいは、有料の公開講座などによる財政再建策が必要であることが意見としてだされた。
4.編集委員会報告
学会誌編集の作業として、2つの特集、書評、投稿論文ともに順調に進んでいることが報告された。
次回の理事会は、学会大会1日目9月8日午前10:30から

Ⅲ.事務局便り
1.会員異動  (非掲載)
 連絡先(住所・電話番号・E-mailアドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。
2.2012年度会費納入のお願い
いつも学会運営へのご協力ありがとうございます。本学会は会員の皆様の会費で成り立っています。2012年度の年会費納入状況は、6月末現在3分の1ほどです。納入を先送りしていらした方は、なるべく9月のJOHA第10回大会前に郵便振替等でご入金ください。大会時の受付をスムーズに行うためにも、よろしくお願いいたします。
■年会費
一般会員:5000円、学生他会員:3000円 
*昨年度の移行期間を経て、2012年度より会計年度が4月1日から翌年3月31日までとなりました。年会費は12ヵ月分に戻ります(昨年度のみ9ヶ月分)。なお年会費には学会大会参加費・学会誌代が含まれています。
■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会  
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票(ゆうちょ銀行にある青色の振込用紙)の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
*従来の記号・番号は変わりありません。
■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ
郵便払込・口座振込の控えで領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。
*学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、会計担当の橋本みゆきへお問い合わせください。