JOHAニュースレター第10号

 日本オーラル・ヒストリー学会第5回大会が2007年9月15日(土)、16日(日)に日本女子大学目白キャンパスで開催されます。皆様お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。

【目次】
Ⅰ 第5回年次大会
1.大会プログラム
2.第5回大会シンポジウム
3.自由論題報告要旨
4.会場案内

Ⅱ 第3回実践講座報告

Ⅲ 理事会報告

Ⅳ 事務局便り

Ⅰ 日本オーラル・ヒストリー学会・第5回年次大会

1.プログラム
http://joha.jp/?eid=82

2.第5回大会シンポジウム
http://joha.jp/?eid=80

3.自由論題報告要旨
第1分科会
http://joha.jp/?eid=79
第2分科会
http://joha.jp/?eid=78
第3分科会
http://joha.jp/?eid=77
第4分科会
http://joha.jp/?eid=76

4.会場案内
http://joha.jp/?eid=81

Ⅱ 第3回オーラル・ヒストリー実践講座報告

http://joha.jp/?eid=75

Ⅲ 理事会報告

1.2006年度第4回理事会
日時:2007年1月20日 11:00~12:50
場所:ホテルパシフィック東京、ティーカクテルラウンジ
出席:酒井、吉田、有末、佐渡、小林、川又、桜井
欠席:蘭(委任状)早川、舛谷(委任状)、中尾、野本
議事録作成:桜井

報告
(1) 実践講座(11月)について
(2) ニュースレター9号ML配信について

議題
(1) IOHAの大会開催打診の件
 まだ時期尚早との意見が多く、IOHA学会長へその旨の返信をだすことになった。2012年以降の開催の可能性。
(2) 会員登録とML管理
 現在会員数は226名(メールアドレスがわからない人は、40名)となっている。
(3) 編集委員会
 第2号の学会誌は、編集委員長から各図書館に送るが、一定量は在庫として確保しておく。また、次号の原稿締め切りを3月末にし、原稿送付の宛先や問い合わせは、有末研究室とすることが確認された。事務局から会員へ連絡。
(4) 第5回大会(日本女子大学)
 大会開催日が9月15日、16日の二日間に確定。シンポジウムの企画は、あらためて活動委員会で検討してもらうことになった。
(5) 新規入会者の承認
(6) その他
 OHA大会(10月24日~27日)での報告者募集について。
(7) 次回理事会開催日
 第5回理事会は4月21日(土)午後1時30分より立教大学にて。

2.第5回理事会
日時:2007年4月21日 13:30~16:50
場所:立教大学6号館
出席:有末、川又、小林、酒井、桜井、早川、舛谷、野本
欠席:蘭、佐渡、中尾、吉田(すべて委任状有り)

報告
(1) 大会自由論題報告の募集
(2) 名簿作成

議題
(1) 第5回大会スケジュールについて
 研究活動委員会から、日程案と自由論題報告の部会編成案について説明があった。スケジュールと部会編成。
(2) 理事選挙(改選)について
 事務局長から有権者についての報告および説明があった後、審議。
(3) 編集委員会
 編集委員長から第3号の編集過程についての報告。査読形式について再検討。

3.第6回理事会
日時:2007年7月7日 13:30~17:00
場所:立教大学12号館
出席:有末、酒井、舛谷、野本、小林、川又、桜井
委任状:吉田、中尾、佐渡、蘭、早川
司会&記録:桜井

(1) 2007~2008年理事選挙結果
 投票総数:61名、有効投票:60名、記名総数:176
(2) 第5回大会について
(3) 学会誌の編集について
 第3号の編集経過報告。特集について。印刷所をインターブックスに依頼。書評については3号では見送り。会員の本を優先的に、次号で取り上げる。3号に、新たにシカゴスタイルを原則とする英文投稿規定を掲載する。3号の執筆者から公衆送信権の許諾等をとることとした。著作権の所属を著者にするか学会にするかは、今後検討。ISBNをとる。
(4) 会計報告
 若干の黒字見通しであるとのこと。広告収入を得るために、各出版社に依頼することにした。総会資料(決算および予算)を次回理事会までに作成、総会までに監査を受ける。
(5) 事務局から
 新規会員の入会および活動の経過報告。新規会員の承認。ニュースレター10号の発行(大会プログラム、理事会報告、会員異動などの掲載)総会資料を相談のうえ次回理事会までに作成する。
(6) 次回理事会
 第7回理事会は、9月15日(土)午前10時半から日本女子大学で。

Ⅳ 事務局便り

1.会員の異動
(非掲載)

2.新年度会費納入のお願い
 当学会は会員の会費によって運営されております。2007年7月1日から新年度になりましたので、2007年度(2007.7.1から2008.6.30まで)の会費を振り込んでくださいますようお願いいたします。なお、振込取扱票には住所氏名、電話番号、電子メールアドレスを記入してください。
 また、2005年度および2006年度会費を未納の方は早急に振り込んでくださいますようお願いします。本学会では会則における規定により、2年間会費を未納の方は自動的に退会の扱いとなり、ニュースレターの配布も今回が最後となります。発足当時からの会員の方も、引き続き会員として本学会の発展のためにご協力くださいますようお願いいたします。

<会費>
一般会員 5,000円
学生会員・その他 3,000円
<口座名>
日本オーラル・ヒストリー学会
<口座番号>
00150-6-353335

(編集発行)
日本オーラル・ヒストリー学会事務局
(事務局連絡先)
〒100-8691東京中央郵便局私書箱52
Tell/fax: 03-5395-1575
joralhistory-sec[at]fb3.so-net.ne.jp

JOHAニュースレター第9号

第4回大会
熱気に満ちた議論で盛況のうちに終える!
http://joha.jp/?eid=62

 「戦争と植民地期」をメインテーマとした「第4回日本オーラル・ヒストリー学会大会」は、9月23日(土)、24日(日)の両日にわたって東京外国語大学で開かれました。シンポジウムではオーラル・ヒストリーの方法論に関する包括的な議論と戦後60余年を経た現在における画期的な実践例が紹介されました。また、一般公募で参加された若手研究者の方々から意欲的な研究成果が報告されました。大会で提起された議論は、学会誌や様々な機会を通じて、今後一層深まっていくことが期待されています。
 来年度の大会は2007年9月に日本女子大学目白キャンパスで開催されます。会員の皆様の公募報告への応募をお待ちしています。詳細はおってお知らせしますが、次回大会での報告応募の締め切りは2007年3月末の予定です。
 また大会で行われてきた研究実践交流会の継続的開催への要望が出されましたので、今週末11日に急遽「秋季実践研究会」を開催することとなりました。皆様ふるってご参加ください。

【目次】
Ⅰ 大会報告
1.シンポジウム
2.A History と the history
3.第1分科会
4.第2分科会
5.第3分科会
6.第4分科会
7.実践交流会報告
8.総会議事録

Ⅱ 海外の動向

Ⅲ 秋季実践研究会および第3回実践講座
1.JOHA秋季実践研究会開催のお知らせ
2.第3回オーラル・ヒストリー実践講座の開催について

Ⅳ 第5回大会自由論題報告募集

Ⅴ 学会誌第3号公募論文募集

Ⅵ 入退会について

Ⅶ 理事会報告
1.第1回理事会
2.第2回理事会
3.第3回理事会

Ⅷ 事務局便り

Ⅰ 大会報告

1.シンポジウム「戦争・植民地期」について(中尾知代)
 「戦争・植民地期」を主題にし、場所を東京外国語大学で、と決まったときから、私の苦吟は始まった。本テーマは、JOHA第1回目大会に伊藤隆・荒井信一とその他諸氏に戦争の分科会にお話頂いたときから、一度は大会メインテーマにしようという案はあった。
 JOHAではどういう特色を出せるのか。全国の、戦争に関わる聞き取りをしている団体やグループ、個人は、調べ始めると数限りなくある。 誰をパネリストにするか、悩みはつきなかったが、個別応募者の中から
(1)オーラル・ヒストリーと歴史学とのクロスセッションの観点から、中村政則先生に登壇いただくことにした。
(2)元兵士が若者と戦争体験をビデオで保存するボランティア運動を続けている「放映保存の会」に、<民間活動>と<戦争経験の継承>という点から参加を願った。
(3)さらに、以前から関心をもっていた、「島クゥトゥバ」で沖縄戦争体験を記録している比嘉さんに、母語でなくては話せぬ内容と、植民地―被非植民地の観点からお話をお願いすることにした。
 「戦場体験放映保存の会」では、2人の元兵士の方から、「なぜ、自分たちが語り残さねばと思ったか」「無色ということ」についてのテーゼが語られ、事務局を勤める中田さんから、現在の活動の内容と、全国に広げ展開したいというビジョンが語られた。続いて中村政則氏は、歴史学者としてこれまで続けてきたオーラル・ヒストリーを、<八路軍に留用された日本女性>、らい者と診断され、死を命じられた看護婦仲間を死なしめた女性の語りについて話された。中村氏はまた、聞き取りの中であらわれる、人間が人間でなくなる瞬間・人間に立ちもどる瞬間や、あるいは「常識では信じられない現象」をどう解釈するのか、という問いかけをした。発表される横で聞いていると、中村氏自身も、戦場体験放映保存の会も、聞き取り相手について語っているときは、「語っている人」の声や表情が蘇るのか、そのライフストーリーの中に、引き込まれていってしまう感覚だった。
 本来は第二番目に登壇するはずだった比嘉氏だが、映像DVDが機械と合わず、第3番目に登壇いただき、映像もビデオ装置になったので、せっかく今回村山元子さんに編集頂いたというDVDが字幕までクリアにみられない聴衆もおり、その点、申し訳なかったと思う。比嘉さんが、どこかで居づらそうにしている感覚はあったのだが、この理由は後からメールのやり取りで、明らかになった。比嘉さんは「無色」ではなく「侵略色」があるではないか、と立腹していたというのである。(その後、戦場体験放映保存の会とのディスカッションもしばし継続した。詳細は次号のジャーナルでより明晰に整理されると思う)
――戦争の体験を、語ったり、継承するときに「無色」というのはありえるのか。比嘉氏は、沖縄のおじい、おばあの体験は、いろいろ聞き取っていけば「無色」に近づくと思う。しかし兵士の聞き取りはいくらやっても「軍事色」ではないか、という。一方、戦場体験放映保存の、<無色>は確かに複雑な概念だが、日本では、戦争体験を語ったり、解釈するかで、<色つき>と烙印をおされる、だから、ありとあらゆる立場の人を集めたい、そして聴く側は、中立でありたい、という立場から<無色>という言葉を使う。「無名」は金儲けや、この活動で名をあげるのが目的でないという宣言だという。
 だが、やはり沖縄戦の体験を数多くきいてきた比嘉さんに、「色」というのは、侵略色という概念が先にくる。懸命にかたる日本元兵士の声も、彼には一方的に聞こえただろうか。
 敬老の日の直後だから黙っていた、そうだ。(おじい・おばあに対する尊敬の念は、沖縄で強いといわれる)比嘉さんは、沖縄の話を数多く講演しているが、実際に「日本軍人」「日本兵」と並んだのは始めての体験なのだった。比嘉さんによれば、こういう風に日本兵に語られちゃ「おばあらがこれない」のでDVDが写らなかった、とマンタリテ的に解釈されている。これに対し、元兵士の方は、もっともっと比嘉さんと膝をつきあわせて話したかったと述べておられた。比嘉氏は、その意見は「映像がすべてを語ってくれる」と思っておられ、沖縄の島クトゥバがわかる参加者は、彼女たちの表情をみて「チンムドゥンドゥン」{ 心がもりあがりどきどきする} した、という。沖縄体験も、被害だけでなく種々の側面が選ばれていたので、島クトゥバを聞いているだけでも、伝わるものは大きかったが、やはり大スクリーンのほうがベターであったろう。
 本シンポジウムの主題は「戦争・植民地期」であったので、今回の人選は、まさに日本最初の植民地である<琉球王国>の方を組み合わせは、「島クトゥバ」でしか語れない母語の問題とともに、植民地―宗
主国側をテーゼ化したかったからだ。だから、言葉としてディスカッションにはなりえなかったが、このコロニアリズムの緊張関係そのものがシンポジウムに現前していたことになる。
 今回は、歴史学とオーラル・ヒストリーのみ、戦場体験の継承のみ、植民地問題に絞るという、選択もありえた。だが、各問題は種々の研究会で行われているので、あえて風呂敷を広げてみた。今後はそれぞれに浮かび上がる問題を、さらに続けて、論じ続けることができれば、と願う。細分化されたところでは其々の結論になる。だが今回は、せっかく幅広い場としたのだから、このような「出会い」をもとに、今後も継続・発展・展開してくれることを心から望んでいる。

2.A history と the history(中村政則)
 今回、JOHA(日本オーラル・ヒストリー学会)に初めて参加した。全体で30近い報告と討論があって、密度の高い学会であった。20 代、30 代の若い研究者の報告が多く、テーマはバラエティに富んでいた。オーラル・ヒストリーそれ自体の若さと可能性を示していたように思う。以下、私に対する質問に答える形で、参加記を記したい。
 Ⅰ 個別報告は、一人当たり報告時間が 20 分、討論20分で、誰もが時間不足を感じていた。試みに、ある大学院生に学会で ①報告時間30分にして報告者を制限する、②申し込み者全員に報告してもらうが、報告時間は20分にする、のいずれが良いかと聞いたら、
その院生は「せっかく申し込んだのに、落とされるのは嫌だ」といって②「申し込み者全員に報告させる」を希望していた。私としては①のほうを望むが、その代わり「落ちた人」は次年度大会で優先するなどの措置が必要であろう。シンポジウムでの持ち時間は1グループ報告時間40分、残りが討論時間だが、一発表者の持ち分は20分となる。3つの報告があったので、これだけで3時間、時間配分はこれが限度だと思うが、討論時間があまりに短く、フラストレーションを起こしていた参加者は多かったに違いない。それにしても「戦争・植民地期」というテーマ設定は(時宜をえて)タイミングがよく、多くの報告希望者を惹きつけた。全体として、今大会が成功したのは、そのためである。
 Ⅱ 私の報告に対して5枚ほどの質問用紙が回ってきたが、答えることができたのは、わずか1つ(マンタリテの問題)に過ぎなかった。どんな質問があったかを紹介すると、1.「<戦争体験>と<戦後体験>が切り離しえないことはわかる。同様に、<戦前体験><戦中体験>とも切り離しえないと思われる。オーラル・ヒストリーはライフ・ヒストリーにもつながっていると思うが、どうか」。そのとおりだと思う。だから最近は、ライフ・ヒストリーの実践報告が増えてきたのであろう。2.「ナショナルな歴史と個人の記憶をいかに接合していくことが可能であると思うか」という質問である。これは様々な工夫が重ねられてきている。私は主として文字資料(手紙、報告書、回想記など)を使ってきたが、沖縄戦のことを調査中の現在、自治体刊行物が意外と役に立つことを知った。3.「報告者は、極限状況で組織・人間の本質が露呈するといった。だがもう一つ、極限においては、人間は意に反する行動をとってしまう、とらざるを得ない」面があると思うがどうか」。そのとおりだと思う。とくに戦争では「上官の命令で」敵国や植民地の人々を殺したり、場合によっては、味方の人間を背後から射殺した事例がある。ここにこそ戦争の残酷さがある。私が「人間の本質」だけでなく、「組織(軍隊・官僚機構など)の本質が露呈する」と書いたのは、そのためであった。4.レジュメに「事実 fact、現実 reality、真実 truth の関係」とあったが、どのように使い分けているのか、という質問があった。
 Ⅲ これが一番の大問題で、ここで満足のいく説明が出来るわけがないが、次の一点だけを述べておきたい。私はドイツ近代史研究者の西川正雄氏にならって、歴史には the history と a history があると考えている。たとえばベルギーの歴史家アンリ・ピレンヌは A History of Europe という書物を書いているが、これはあくまでもピレンヌが書いた歴史(a history)であって定番の世界史(the history)ではない。したがって歴史には「存在としての歴史」と「ロゴスとしての歴史」あるいは「事実としての歴史」と歴史家により「書かれた歴史」の二つの意味があると考えていいだろう。歴史家は何があったか(事実 fact)を確定することに全力をつくすが、それが私達にとって何を意味するかの解釈(現実 reality)は様々である。だが解釈は複数あるといっても「何でもあり」ではない。解釈にはリミットがあるのだ。「歴史の真実に迫る」という表現があるように研究者は、様々な手段・方法を使って the history に迫ろうとしているのである。しかし邪馬台国論争のように100年近く論争しても結論が出ない場合もあれば、下山事件のように迷宮入りの事件もある。このようなとき人々は「真実 truth は神のみぞ知る」というが、それでもなお真実を求めて人々は追及の手を緩めない。
私は歴史家なので、客観的に実在する過去はあると思っているが、“言語論的転回”以後の論者の中には、そんなものは存在しないと考えている人もいる。つまり歴史家が依拠する史料は、事実というより表象の所産であり、人間が言葉を与えて(認知の枠組みにいれ)言語的に認識した時にのみ、事実(の意味)は浮かび上がってくる、と主張する人もいる。オーラル・ヒストリーを実践する場合にも、この問題は核心部分をなすので、私はあえて言及したのである。最近、私は語り手が「うそ」を語ったとしても、それを虚構として排除しないで、なぜ「うそ」をついたのか、その意味を探ろうと思っている。しかし、「うそ」からスタートしてもいいが、「結局、事実・真相は何だったのか」の問題に行き着くようにおもう。やはり私は“歴史家”なのだろうか。なお興味のある方は、拙稿「言語論的転回以後の歴史学」『歴史学研究』2003年9月号を参照されたい。
 今後も、オーラル・ヒストリーの技術上あるいは理論上の問題をめぐって、多くの方々が議論に参加されることを願っている。

3.第1分科会 「戦争体験のナラテイブ 語ること/語りえぬこと」(早川紀代)
 この分科会ではつぎの6報告がおこなわれた。高山真「「被爆体験」を語ることー長崎の証言者によるライフストリーを手がかりにー」、八木良宏「調査者ー被調査者の関係とその射程―原爆被害者へのインタビュー調査・研究よりー」、張嵐「中国残留孤児の帰国動機―動機の語られ方をめぐってー」、山田陽子「「生き残りの兵士となった」身元引受

JOHAニュースレター第8号

日本オーラル・ヒストリー学会 第4回大会
 第4回日本オーラル・ヒストリー学会大会は、9月23日(土)、24日(日)の両日にわたって東京外国語大学で開かれます。
 本年度は、「戦争と植民地期―オーラル・ヒストリーの視点から」というメイン・テーマを設定してシンポジウムと個人報告分科会を持ちます。その他、オーラル・ヒストリーを用いた幅広いテーマによる個人報告も行われます。オーラル・ヒストリーに関心を持っている方々を広くお誘い合わせの上ご参加下さい。

開催日程:2006年9月23・24日
会場:東京外国語大学外国語学部
〒183-8534東京都府中市朝日町3-11-1

(目次)

Ⅰ 大会プログラム
1.第1日目
2.第2日目
3.会場への交通手段・地図・宿泊施設他

Ⅱ 会員の声

Ⅲ 理事会報告

Ⅳ 事務局便り

Ⅰ 大会プログラム

http://joha.jp/?eid=31

Ⅱ 会員の声

田口詩乃(岡山大学理学部生物学科4回生)
 みなさん、こんにちは。
 私がはじめてJOHAについて知ったのは、昨年夏のことで、中尾先生が講義中に紹介してくださったからです。日ごろやっている研究は生態学です。岡山をはじめ四国、九州、また西表に共通して生存するアナジャコという甲殻類(カニ・エビの仲間)を対象とし、その特性を掴もうとしています。

○生物学科にいる自分がなぜOHに興味をもったか
よくニュース番組やドキュメント番組を見る家庭で育ったため、もともと社会問題などには興味がありました。しかし、それらの問題はマスコミによる取材以外では伝えられることはない、といった限定されたイメージを持っていました。そんな中、マスコミ以外の機関による取材活動があり、それがひとつの学問分野として存在するということを初めて知り、一般の方も多く取り組まれてきたことにも驚きました。また、文書化された資料だけでなく、生きた人間を「資料」として受け止めるという点や、(ここで資料というと、無機的に響いてしまいますが)、問題を国単位や組織単位の大きな枠組みだけではなく、個々の人間からの視点から捕らえるという点が、とても新鮮に映ったのです。
 私が通常やっている実験では、データをとるために固定し、数値をとります。でも、人間は感情があり、知性があり、記憶を持つことで、同じ生き物でもいかに違うものかと体感する日々です。ところが、オーラル・ヒストリーでは、理系とは異なって、多様で単純に数字化出来ないものをそのまま対象とする、そういった点に、魅力を感じました。
 しかし、一番のきっかけは、オーラル・ヒストリーという聞き慣れない言葉に、もともとミーハーな私の好奇心がむくむくっと反応したからといえるでしょう。

○去年の学会の感想
 去年、京都の大会に初めて参加しました。とはいえ、所詮は学部の三回生、生まれて初めての「学会」であったので、とても評価をいえるような経験はありませんが、印象深かったのはそれぞれの発表者に対して議論が活発だったことでで、参加者の意欲に驚きました。

○オーラル・ヒストリーをやり初めて思っていること
 この春、四国で開かれた戦友会に初めて参加させていただき、戦争体験を、経験者から直接、私個人に向かって語っていただきました。なにより驚いたのは、今までどこかで報道され、知っていたことが、目の前にいる人の口から直接聞くとこれほどに説得力が違うものか、ということです。
相手は私の祖父の年代の方で、聴き取りに慣れていない私は、用語の理解からすでに苦労をしてしまいました。そして、当事者本人の目から、表情から、動作から発せられる「想い」のインパクトに戸惑うこともありました。
 この戦友会では、もう会を解散するという話し合いもされていました。参加者が80歳を超える老齢であり、彼らだけで会をまとめている現実は確かに厳しいものがあります。しかし、そういった集まりがあるから、私のような新参者も戦争の話を聞きやすく、また同じ戦争を生き抜いた仲間同士との会話からは、1対1の聴き取りだけでは得られない想いが見えてきます。このような特別な場所が、まだ続いていってほしい、経験者に語り続けてほしいと思います。そのために私になにができるか…。
 語ってくれた方には、どうにかしてもっと多くの人に伝えたい、伝えてほしいと思っている人がいます。聞き取ったものをどうするのか、関わった人々や団体とその後どうつきあっていくのかなど、聞き取りの次の段階も考えなくてはいけないということの重要さに気づきました。

○今後期待することなど
 学会は、直接研究者同士が意見を交わせる数少ない場で、OHの充実に本当に重要だと感じています。しかし、移動に夜行バスなどを用いたり、会場から離れていてもとにかく安いホテルに宿泊したりお金を切り詰めて、私の周りの学生は研究活動をしなければならいのが現実です。生活のためバイトをし、さらに本業の勉強…という生活で、興味をもっていても、お金をはらってまで参加できないという学生もいます。集まるのが学者だけでないというのが、この学会の特色ですし、日本でのオーラル・ヒストリーの発展のためにも、地方開催等により日本全国からもっと多くのオーラル・ヒストリー実践者や興味をもっている人たちが、参加できたらと思います。OH研究者同士がメーリングリスト等で活発に意見交換・情報交換できたらよいのではないでしょうか。
 今年9月に開かれる学会には、今所属している理学部の研究もあり、私は参加できそうにありません。残念でしょうがありません。しかし、直接みなさんの発表を聞けないかわりに、ニュースレターやジャーナルを楽しみにしています。
 これからの皆様のご活躍を願うとともに、いろんな形で交流できますように。

Ⅲ 理事会報告

JOHA第4回理事会 
日時:2006年6月25日(日) 午後1時―午後6時30分
場所:慶応義塾大学三田キャンパス 研究棟7階 法学部第二共同研究室
出席:桜井、酒井、有末、中尾、小林、野本、早川、舛谷、吉田、佐渡(委任状) 蘭(委任状) 欠席 川又
記録:吉田

報告
(1)学会誌創刊号 (編集委員会)
 4月15日に会員に送付。5月中旬に大学図書館、公立図書館に計175冊寄贈。
 20冊、理事の買い取り。慶応大で開催された穂刈氏の会「歴史実践へのまなざし」(11冊) 関東社会学会(1冊)移民学会(30冊)で販売。
 事務局より新入会員に16冊送付。現在残部は50冊(編集委員長)30冊程度(事務局)。

(2)会員入会手続き
 今後は、入会申し込み→理事会で

JOHAニュースレター第7号

第4回日本オーラル・ヒストリー学会年次大会
9月23日(土)・24日(日)東京外国語大学にて開催
口頭発表募集中!
皆様、奮ってご応募下さい。

 本年度のメインテーマ分科会(戦争と植民地期)での報告と、自由テーマ分科会(論題は自由)での報告を募集いたします。応募の方法についての詳細は2、3頁にありますので、ご覧になって5月31日までにご応募下さい。

(目次)
Ⅰ 会長のことば

Ⅱ 第4回年次大会発表募集のお知らせ

Ⅲ 第2回実践講座報告

Ⅳ 学会誌創刊号発行

Ⅴ 会員の声

Ⅵ 研究会情報・出版情報

Ⅶ 海外ニュース・研究動向

Ⅷ 理事会報告

Ⅸ 事務局便り

Ⅰ 会長のことば

オーラル・ヒストリー実践の研鑽と研究交流のネットワーク化を目指して
桜井 厚

 本学会も、この3月に学会誌を創刊することができ、9月には第4回大会を東京外国語大学で開催する運びとなっています。日本にもオーラル・ヒストリー研究を実践している人たちのネットワークを作ろうという声があがって5年。仲間が集って設立準備委員会が発足し、2003年の第1回大会が学会設立大会となりましたが、そのときは準備不足でまだ会員募集さえできませんでした。その後、会員募集、総会での規約の承認を受けて、初代会長の吉田かよ子さんを中心に文字どおりJOHAの組織体制ができあがってきました。
 組織的な体裁は徐々に整ってきたとはいえ、設立へ向けて動き出したときの趣旨は、あくまでも会員のネットワークの構築にありました。ネットワークといっても、いわゆる研究者だけからなるアカデミズムの集まりではなく、各地で実際にオーラル・ヒストリーを収集している草の根活動やNPOなどの相互交流やこれからオーラル・ヒストリー研究を志す人への支援や普及をはかるためのものです。本学会の名前の英文表記が日本語表記より早くできたのは、すでに古い歴史を持つ諸外国の組織名に準じたからなのですが、もうひとつの理由は、associationの訳語を「学会」にするのか「協会」にするのかでなかなか意見がまとまらなかったからなのです。「学会」では堅苦しく、大学や研究機関に所属する人以外の人は関わりづらいのではないか、ネットワーキングの意味が希薄なのではないか、という懸念を感じたからでした。
 結果的に、他の理由があって「学会」という名称を採用しましたが、オーラル・ヒストリー研究実践者のネットワークの構築の結節点になることこそ、本学会のもっとも重要な役割といってもよいでしょう。大会においてこれまで研究実践交流会を開いているのも、そのささやかな試みの一環です。とりあえずは、ニュースレターにおける会員情報の充実やメーリングリストの活用などをはかっていくつもりですが、各地で活動している個人やグループの紹介や活動への支援もたいせつだと考えています。いずれも、そのためには会員の皆さまの情報提供や助力などの協力が欠かせません。そして本学会がオーラル・ヒストリー実践の研鑽や相互交流の場であることを、むしろ会員の皆さまが積極的に活かしていただくことを願っております。ともすると、組織はできあがると通常の運営に汲々としがちになりますが、そうならないように自戒しながら、私も理事の方々とともに今後の学会運営に努めたいと考えております。会員の皆さまにも、こうした趣旨をお汲み取りいただき、学会活動を担う一員としてご協力、ご支援をお願いいたします。

Ⅱ JOHA第4回年次大会発表募集のお知らせ

http://joha.jp/?eid=27

第4回大会メインテーマ
『戦争と植民地期――オーラル・ヒストリーの視点から』について
 なぜ、今「戦争」と「植民地期」なのか?―戦争・植民地期の経験者の高齢化が進み、当時社会的中核にいた人々の体力や記憶も薄れています。戦争・植民地体験をもたない日本人も全体の七割を越えました。「当事者たち」は語り残したいと願い、聴き取る側も「時間との勝負」を感じています。次の戦争に備える言論が進む今、「オーラル・ヒストリー」を通して、個々人の視点・体験や、被植民地側の感情・実態を、整理・記録・再検討して、過去を現在と将来につなげることは、戦後61年目の今年だからこそ、意義深いと考えます。
 本テーマは国内外で、新たな関心が寄せられる一方で、ジャーナリスト・民間団体・個人・研究者による聴き取り実践の歴史も長く蓄積も豊かです。<戦争・植民地期>をめぐるオーラル・ヒストリーには、公開時の配慮や、「敗戦国」の立場、機密、口述の証明の議論、高齢者記憶など多様な問題が伴います。各人が培った工夫や手法を交換・共有すれば、戦争・植民地期の実相の解明や、社会・政治・経済構造の変化の研究等も進展することでしょう。
 「人間」の生身の想いと向き合う「オーラル・ヒストリー」。その視点と手法から、この時期を見つめ、「事実」とのかかわりを視野にいれつつ、口述記録の共有利用方法を考えたい。本テーマに特化する課題の諸議論の活発化を願うと同時に、他の自由テーマとの交流により、オーラル・ヒストリー全体の活性化も期待しています。皆様の成果をふるってご発表ください。

 以下は、上記(1)メインテーマ分科会のキーワードを例示したものです。ご参考にということですので、これにとらわれずにご発表ください。なお今回は<第二次世界大戦期>・<日本国家がかかわった戦争>という大枠を設けますが、比較の視点から、他の戦争や植民地を扱って頂いても結構です。
 (1)戦争・植民地期・脱植民地体験(兵士・市民)
 (2)抑留(戦中・占領下)・動員
 (3)トラウマの語り
 (4)世代間体験継承
 (5)社会・経済・構造の変化・政治
 (6)教育・演劇・メディア・芸術における戦争・植民地口述の再利用
 (7)戦争遺跡と語り
 (8)ジェンダー・性
 (9)記録の保存・公開・アーカイブ・データベース化 (10)口述資料と文書史料
 (11)聴きとり者の心のケア
 (12)兵器・原爆
 (13)証言-「信憑性」「場」などをめぐる諸議論 ほか

(文責:研究活動委員長 中尾知代)

Ⅲ 第2回オーラル・ヒストリー実践講座報告

JOHA実践講座担当:吉田かよ子

 昨年4月に引き続き、第2回JOHAオーラル・ヒストリー実践講座を3月11、12日の2日間、日本女子大学目白キャンパスで開催した。今回はカリフォルニア州立大学ロングビーチ校オーラルヒストリー・プロジェクト創設者で現在名誉代表であるシャーナ・グラック氏を招いて、1日目はグラック氏による特別講演「オーラル・ヒストリー実践をめぐる

JOHAニュースレター第6号

 第3回日本オーラル・ヒストリー学会大会が9月17・18日に京都大学で盛況のうちに開催されました。
 参加者112名(会員52名、非会員60名)
 来年も9月に東京外国語大学で大会を開催します。公募発表の応募要項は次回ニュースレターでお知らせいたします。しばらくお待ちいただきますが、ぜひ皆様奮ってご応募下さい。

【目次】

Ⅰ 第3回日本オーラル・ヒストリー学会
1.JOHA第3回大会を振りかえって
2.JOHA第3回大会シンポジウム報告
3.第一分科会報告
4.第二分科会報告
5.英語部会報告
6.研究実践交流会Ⅰ(分析・解釈編)報告
7.研究実践交流会Ⅱ(技法・実践編)報告
8.2005年度総会報告

Ⅱ 学会年報第2号公募論文募集
1.『日本オーラル・ヒストリー研究』(仮題)投稿規程
2.『日本オーラル・ヒストリー研究』(仮題)執筆要項

Ⅲ 会員の声・会員の活動
1.第3回オーラル・ヒストリー学会に参加して
2.レガシメモワールズ主催「インタビュー術講座」のお知らせ

Ⅳ研究会情報

Ⅴ 海外からのニュース・研究動向

Ⅵ 事務局便り

Ⅰ 第3回日本オーラル・ヒストリー学会大会報告 

1.JOHA第3回大会を振りかえって
 2005年9月17日(土)、18日(日)の両日にわたって、京都大学大学院人間・環境学研究科において日本オーラル・ヒストリー学会の第3回大会が開催されました。これまでの大会は第1回(中央大学)、2回(立教大学)と東京で開催されており、今回ははじめて東京を離れて開催された大会となったわけです。また、過去2回は海外から招聘した著名な研究者の基調講演という「華」のある大会でしたが、今年は国内のオーラル・ヒストリー実践グループや研究者によるシンポジウムを第1日目に企画するという地味な大会でした。このように、地方でかつ目玉のない大会でしたので参加者の激減が心配されましたが、シンポジウムでは参加者が100名を超えるという盛会となり、部会も13の個人報告と多くの参加者があり、さらには本大会のユニークな企画である研究実践交流部会では参加者が多すぎて部屋が満室になるという嬉しい悲鳴を上げるほどでした。大会を3回経て、本学会も独り立ちできる態勢が出来つつあることが実感された大会でもありました。
 では、ここで、大会の内容に関してその概要を紹介しましょう。大会は17日午後に、吉田かよこ会長が開催の挨拶、共催校の冨田博之京大人間・環境学研究科長が共催の挨拶をされ、折井美耶子さんと蘭の司会によってシンポジウム「地域におけるオーラル・ヒストリー実践の課題と可能性」が開催されました。パネリストの報告は、地方女性史編纂におけるオーラル・ヒストリーの意義、部落での生活史調査が明らかにしたこと、「四三蜂起」と関係した在日済州島出身者の生活史、聞き書き活動のなかで満蒙体験者と市民との出会い、震災犠牲者への聞き語り調査から見えてきたもの、をそれぞれ5人のパネリストが報告し、3人のコメンテータから刺激的なコメントをいただき、活発な議論が交わされました。シンポジウムの興奮覚めやらぬ6時過ぎに懇親会を行い、40名弱の参加者を得て、シンポジウムの議論が継続され、各パネリストにはにぎやかな人の輪が出来ました。
 第2日目は、早朝の午前9時から自由報告が開始されましたが、最初から多数の参加者が会場を埋め、第1部会と第2部会での個人報告が行われ熱心な質疑が交わされました。12時半には総会が開催され、14時からは第3部会(英語部会)と二つの研究実践交流部会が行われ、4時半に無事大会は閉会されました。
 本大会を振り返っていくつか反省する点があります。まず、自由報告の報告時間が短すぎた点です。他の学会のように短時間で要領よい報告を求めることはオーラル・ヒストリー研究の持ち味を殺しかねないという反省です。英語部会を生かすこととも併せ、自由報告の部会構成と報告時間の検討が痛感されました。また、世界に開かれた学会といいながら英語のプログラムを準備しなかったのはまったくの失敗でした。
 このように、いくつもの反省点はありましたが、なんとか大会を終えられたことは、理事会の皆さんのご支援・アドバイスは言うまでもなく、多くの会員の協力、そして大会共催を快諾され様々に支えて下さった京都大学大学院人間・環境学研究科長の冨田先生と事務の皆様、さらには私の授業を受講する同大学院生の皆さんの協力の賜でした。心から感謝申し上げ、大会の報告といたします。(蘭 信三)

2.JOHA第3回大会シンポジウム報告(司会 折井美耶子・蘭信三)
 9月17日午後、「地域におけるオーラル・ヒストリー実践の課題と可能性」というシンポジウムが開催され、100名余の参加を得て、熱心に報告・討論が交わされました。
 日本におけるオーラル・ヒストリーは古くて新しいものです。というのは、一方で柳田国男の常民を対象とする民俗学の伝統が戦前からあり、社会学でも80年代初旬には個人を対象とするライフヒストリー研究が展開されました。他方で、戦争の記憶が薄れ「歴史の再審」が論じられるなか、「記憶と歴史」をめぐって世界中で様々な議論がたたかわされ、そのなかでオーラル・ヒストリーの可能性があらためて注目されました。ポール・トンプソンらを中心とする研究が日本でも強い影響を持ち、オーラル・ヒストリーが新たに注目され、21世紀に入って相次いで学会と協会が組織され、いくつかの大学では大きな研究プロジェクトが組織されました。本学会もそのひとつです。世界での新たな流れをくむ本学会は、過去2ヶ年にわたってオーラル・ヒストリーの世界的リーダーを招いてオーラル・ヒストリーの可能性を広く問いかけてきました。
 そして、今年は眼差しを内に転じました。というのは、日本におけるオーラル・ヒストリーは古くて新しいと申しましたように、80年代から、あるいは90年代以降、オーラル・ヒストリーに関する市民の実践グループによって日本各地で様々な活動が展開されていたからです。アカデミックな研究者ばかりではなく広くオーラル・ヒストリー実践に関心を持つ市民の参加を求める本学会としては、そのような市民による実践成果に注目し、「地域におけるオーラル・ヒストリー実践の課題と可能性」というシンポジウムを開催することにいたしました。そして、神奈川を中心にオーラル・ヒストリーという方法から女性史編纂に尽力されている江刺昭子さん(神奈川女性史・総合女性史研究会)、滋賀で部落での聞き取りに力を注ぐ岸衛さん(反差別国際連帯解放研究所しが)、大阪で在日済

JOHAニュースレター第5号

【目次】

(1) 日本オーラル・ヒストリー学会 第3回大会
1.第1日目(9月17日)
2.第2日目(9月18日)
3.会場地図・交通手段

(2) 「オーラル・ヒストリー実践講座」報告

(3) 事務局からのお知らせ

(1) 日本オーラル・ヒストリー学会 第3回大会

 第3回日本オーラル・ヒストリー学会大会は、9月17日(土)、18日(日)の両日にわたって京都大学を会場に開かれます。関西地区での初めての大会になりますので、関西地区をはじめとして西日本在住のオーラルヒストリーに関心を持つ多くの方の参加を期待いたします。
http://joha.jp/?eid=7

1.第1日目(9月17日)
http://joha.jp/?eid=6

2.第2日目(9月18日)
http://joha.jp/?eid=5

3.会場地図・交通手段
http://joha.jp/?eid=4

 会員の大会参加費は無料です。
 非会員の大会参加費は以下の通りです。
一般:3,000円 学生:2,000円 京都大学関係者(一般、学生共):1,000円

(2) 「オーラル・ヒストリー実践講座」報告

 2005年4月24日に、オーラル・ヒストリー実践者の裾野を広げていくために、初心者向け実践講座を横浜市の「海外移住資料館」で開催し、盛況の内に終えることができました。(酒井 順子)
http://joha.jp/?eid=9

(3) 事務局からのお知らせ

1.年会費納入のお願い&会員募集中!
 同封の別紙でお願いしましたように新年度(2005年7月1日~2006年6月30日)の年会費の納入をお願いいたします。また、新規会員は年会費を納入していただければ会員として登録されます。

会費(今年度から改定されました)
一般会員 5,000円
学生会員 3,000円
(被扶養者、年収200万円以内の方は、学生会員に相当とします)

 なお、今年度から会員は、大会参加費が無料になります。また、年1回、日本オーラル・ヒストリー学会発行の機関誌(創刊号は、2006年1月頃発行予定)が届きます。
 郵便振替で下記口座に振り込んで下さい。

口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335

 振替用紙には、住所、氏名、電話番号のほか、Emailアドレスをご記入下さい。

2.情報お待ちしています!
 「JOHAニュースレター」への情報を募集しています。たとえば、以下のような情報をお寄せください。

・ 会員の著書、論文、研究、調査成果などの紹介
・ 本学会の運営や大会などについての会員の意見や感想
・ オーラル・ヒストリーに関連する講演会、研究会、セミナーなどに関する情報、など

 以上の情報は、メールもしくはFD(テキストファイル)で入稿していただけるようにお願いします。

 次回の「JOHAニュースレター6号」は、大会報告を兼ねて、12月頃に発行予定です。

日本オーラル・ヒストリー学会
事務局 〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33 千葉大学文学部 桜井研究室
Email:sakurai[at]L.chiba-u.ac.jp
ホームページ:http://joha.jp/

JOHAニュースレター第4号

【目次】

(1) 日本オーラル・ヒストリー学会第3回大会の案内および報告者の募集
1.第3回大会について
2.シンポジウムについて
3.分科会研究・実践報告の募集
4.研究実践交流会について
5.ポスター・セッションについて

(2) オーラル・ヒストリー実践講座へのご案内

(3) ご案内 国際オーラル・ヒストリー学会

(4) 日本オーラル・ヒストリー学会理事の選出について
1.日本オーラル・ヒストリー学会理事選挙規程
2.200年~2007年理事選挙の実施要領

(5) 学会誌『日本オーラル・ヒストリー研究』の創刊
1.『日本オーラル・ヒストリー研究』投稿規程
2.『日本オーラル・ヒストリー研究』執筆要項

(1) 日本オーラル・ヒストリー学会第3回大会の案内および報告者の募集

 2005年度日本オーラル・ヒストリー学会大会は、本年9月17日と18日の両日にわたって京都大学で開催されます。はじめての関西地区での開催になりますので、とりわけオーラル・ヒストリーに関心をもつ西日本在住の方がふるって参加してくださることを期待しています。分科会報告者とポスターセッションへの参加者を、以下のように募集します。

1.第3回大会について
http://joha.jp/?eid=7

2.シンポジウムについて
http://joha.jp/?eid=6

3.分科会研究・実践報告の募集
 分科会における一般研究報告・実践報告を公募いたします。応募者は「日本オーラルヒストリー学会第3回大会 一般研究・実践報告申込用紙」の様式にしたがってお申し込みください。応募の締め切りは、5月31日です。なお、分科会には英語部会も設けられます。

4.研究実践交流会について
 今大会の研究実践交流会は、テーマをいくつか設定し、話題提供者から発題していただきます。テーマは現在検討中です。桜井厚と有末賢がコーディネートいたします。

5.ポスター・セッションについて
 18日の11時半から13時半の2時間に限って「ポスター・セッション」を開催いたします。
 報告希望者は、「日本オーラルヒストリー学会第3回大会 一般研究・実践報告申込用紙」の様式にしたがってお申し込みください。応募の締め切りは、5月31日です。(文責:蘭)

(2) オーラル・ヒストリー実践講座へのご案内

 「家族や地域の思い出を語り継いで行きたい」、「うちのおじいさんとおばあさんの戦争の記憶を聞き取っておきたい」、「聞き取りの手法を用いて卒業論文(修士論文)を書いてみたい」、「ライフワークとして、聞き取りの手法を用いて本を書いてみたい」、「取材によって映像フィルムを作ってみたい」と思っている方、あるいは「すでに聞き取りを行っているけれども、具体的な方法について誰かに相談してみたい。でも具体的な方法について話し合える人が身近にいない」と思っている方、日本オーラル・ヒストリー学会の実践講座に参加してみませんか。
 日本オーラル・ヒストリー学会では下記の要領で「オーラル・ヒストリー実践講座」を開きます。この講座では、オーラル・ヒストリーの基本的概念、プロジェクトの立て方、インタビューの技法、書き起こしの仕方、インタビューの解釈、成果の発表方法などについての講義を聞きながら、自らインタビューを体験してみます。当日は聞き取りの歴史や具体的な方法、留意点についての講義を受けられるだけでなく、ライフヒストリー研究やオーラル・ヒストリー研究を先駆的に行ってこられた講師の方々と膝を交えて意見交換をすることができる絶好の機会です。

1.日時:4月24日(日曜日)10時~17時
2.資料代実費:2000円(JOHA会員1000円)
3.場所:海外移住史料館(国際協力機構横浜国際センター内)http://www.jomm.jp/
4.講師・コメンテーター:吉田かよ子、桜井厚、有末賢、折井美耶子、中尾知代、佐渡アン、伊藤友江、酒井順子、野本京子
5.プログラム:
10:00~10:10 開催の挨拶
10:10~10:50 講義:「オーラル・ヒストリーとは何か」を巡って
10:50~11:30 講義:著作権および倫理的諸問題について
11:30~12:30 海外移住資料館見学
12:30~13:30 昼休み(海外移住資料館内レストラン 講師と食事)
13:30~17:00 オーラル・ヒストリー実践のための技能ワークショップ
 (1) プロジェクトの立て方
 (2) インタビューの技法
 (3) インタビューの実際(グループワーク)
 (4) 書き起こしおよび口述資料の解釈法について
 (5) 成果の発表の仕方についての講義(論文、本、ドキュメンタリー、ドラマ、展示など)
17:00 閉会の挨拶
6.交通・アクセス
[電車] みなとみらい線馬車道駅から万国橋、サークルウォークを通り徒歩8分。(みなとみらい線の詳細については横浜高速鉄道株式会社のページをご覧下さい)
[電車] みなとみらい線みなとみらい駅から国際橋を通り徒歩10分。
[電車] JR・市営地下鉄桜木町駅から汽車道、ワールドポーターズ、サークルウォークを通り徒歩15分。
[電車] JR・市営地下鉄関内駅から馬車道、万国橋、サークルウォークを通り徒歩15分。
[自動車] 首都高速神奈川線みなとみらいICから5分。

(3) ご案内 国際オーラル・ヒストリー学会

 シドニー大会発表者募集中! 「日本から多くの参加を」との期待-締切り5月末日に迫る-
 国際オーラルヒストリー学会(International Oral History Association, 通称IOHA)は、来年7月12~16日にシドニーにて第14回大会を開催します。隔年に開かれる大会では、何百人もの参加者が世界中から集まり、研究発表や活動報告を行います。現在シドニー大会発表者の公募中で、5月末日に締め切られます。関心の或る方は、是非お申し込みください。アジア太平洋地域では初の開催になるので、この機会にIOHA大会に参加されてはいかがでしょう。
 大会メイン・テーマは“Dancing with memory: oral history and its audiences”(記憶と踊る―オーラル・ヒストリーと聴衆)、サブ・テーマは「記憶の保存」「環境」「癒し」「記憶とコミュニティ」「政治」「教育」他、多岐にわたります。発表形式は、個人研究、パネル(テーマを決め、4人までのグループでの発表)、ワークショップ、上演(演劇・フィルムなど)等から選べます。申し込み方法は、英語かスペイン語での1ページの要旨を、目次を添えて、Eメールまたは郵便で下記に提出してください。名前(姓は大文字)、所属、Eメール、電話・ファクス番号、関連あるサブテーマ、種類も明記してください。なお、要旨は、できるだけ事前にネイティブの方にチェックしてもらうのが望ましいとのことです。

Email:IOHA[at]uts.edu.au
Mail:Paula Hamilton Faculty of Humanities University of Te
chnology Sydney PO Box 123 Broadway NSW 2007 Australia.

 これまで日本からの参加者が少なかったので、できるだけ多数の参加を、と呼びかけられています。大会内容、申し込み方法の詳細は、IOHAのホームページ(http://www.ioha.fgv.br)でご確認ください。ご質問はGunhan Danisman (danisman[at]boun.edu.tr) または山本(eyamamotojanm[at]yahoo.com)まで。

(4) 日本オーラル・ヒストリー学会理事の選出について

 日本オーラル・ヒストリー学会会則第6条3項【理事の選出は、年会費を払った正会員の選挙による。選挙規程に関しては、別に定める。】に拠り、選挙準備委員会は以下の理事選出案を2005年3月17日に開催された第2回理事会に提案し、審議の結果了承されました。ここに理事選挙規程を掲載し、本規程に従って理事選挙を行うことをお知らせいたします。(理事選挙準備委員会委員:有末賢、桜井厚、吉田かよ子)

1.日本オーラル・ヒストリー学会理事選挙規程
http://joha.jp/?eid=71

2.2005年~2007年理事選挙の実施要領
 上記の規程に則り、今年度の理事選挙を以下の要領で実施いたします。すべての会員が選挙権を行使し、次期理事の選出にご協力くださるよう、お願いいたします。

実施期日:本年4月末日までに会費納入済み(昨年大会時納入会費は本年6月30日まで有効)の会員全員(有権者)に5月中旬に会員名簿兼投票用紙を送付する。
選挙方式:有権者は名簿の中から3名を選び、記載の上事務局宛に返送すること。
投票締切:6月15日(消印有効)
開票及び当選者の招集:選挙管理委員会は規程により、開票作業を行い、当選者を確定し、速やかに当選者を招集する。
次期理事会の構成:当選した理事は、次期会長を互選し、7名以内の理事推薦者を選出し、次期理事会・事務局体制を整える。
会員総会での承認:9月18日の日本オーラル・ヒストリー学会第3回大会総会において、次期会長と理事が決定される。

(5) 学会誌『日本オーラル・ヒストリー研究』の創刊

 「投稿論文締めきり期日」延期のお知らせ
 ニュースレターNo.3に掲載の『日本オーラル・ヒストリー研究』創刊号の投稿論文募集の締切り期日を2005年4月末日としていましたが、2005年6月末日に変更いたします。なお、創刊号の発行は、2006年1月ごろを予定しています。当初の予定で準備頂いた方には、お詫び申し上げますとともに、多くの方のご投稿をお待ちしております。
(編集委員会)

1.『日本オーラル・ヒストリー研究』投稿規程
2.『日本オーラル・ヒストリー研究』執筆要項
http://www.rikkyo.ne.jp/grp/joha/dl/johaj_rules.pdf

! 事務局から会員募集のお知らせ !
 日本オーラル・ヒストリー学会

事務局 〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33 千葉大学文学部 桜井研究室
Email:sakurai[at]L.chiba-u.ac.jp
ホームページ:http://www.joha.jp/

 会費を納入していただければ会員として登録されます。
 会費(今年度より改定されました):

一般会員 5,000円
学生会員 3,000円

 郵便振替で下記口座に振り込んで下さい。
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335

 振替用紙には、住所、氏名、電話番号のほか、Emailアドレスをご記入下さい。

JOHAニュースレター第3号

【目次】

(1) 大会報告
1.基調講演
2.第1分科会 「移動と移民」
3.第2分科会 「戦争―占領・植民地・ヒバク」
4.第3分科会 「女性・地域・生活」
5.第4分科会 「宗教」
6.第5分科会 (English Session) “Oral History Focusing on ‘Prewar Japan’”
7.研究実践交流会
8.オーラル・ヒストリー・ワークショップ
9.総会報告

(2) 日本オーラル・ヒストリー学会会則 (The Rules of Japan Oral History Association)

(3) オーラル・ヒストリー実践講座へのご案内

(4) 学会誌『日本オーラル・ヒストリー研究』の創刊
1.『日本オーラル・ヒストリー研究』投稿規程
2.『日本オーラル・ヒストリー研究』執筆要項

(1) 大会報告

第2回日本オーラル・ヒストリー学会大会
2004年9月11日(土)~12日(日)
於:立教大学(池袋キャンパス)

 日本オーラル・ヒストリー学会第2回大会は、2004年9月11日、12日の2日間にわたって、のべ110名余の参加者を得て、立教大学で開催されました。大会報告の概要を以下に掲載します。

1.基調講演
 第2回大会の基調講演者には、カリフォルニア州立大学フラトン校歴史学教授で2003年度米国オーラル・ヒストリー学会会長を務められたアート・ハンセン氏を迎えた。ハンセン氏は1970年代より、日系アメリカ人の強制収容所体験などを中心に多数のインタビューを行い、オーラル・ヒストリーの手法の確立と普及に貢献してこられた。当日は “Barbed Voices-Oral History, Resistance, and the World War II Japanese American Exclusion and Detention Experience”と題する講演の中で、その30年に及ぶ研究成果の一端を紹介された。
 1972年にフラトン校で研究手法であり、また史資料の一形態でもあるオーラル・ヒストリーに出会った氏は、同年開始された初の日系人に対するオーラル・ヒストリープロジェクトに参加した。特にハンセン氏が注目したのは、戦時転住センターのひとつであったマンザナー収容所内での抵抗運動だった。大学から最も近い収容所であり、同僚の多くがマンザナー収容経験者だったこと、またUCLAの図書館にマンザナー暴動の詳細な記録が存在したことなどから、それらの文献資料の価値を高める意味でオーラル・ヒストリーのインタビューに取り組んだとその経緯を述べられた。
 収容経験者・収容所関係者へのインタビューに対する準備として、ハンセン氏が拠り所としたのが社会学者スタンフォード・ライマンの日系二世研究だった。講演のかなりの時間を割いて、ライマンの二世研究を紹介されたが、文化的背景の異なる人々へのインタビューに先立つこうした背景理解のアプローチは、同様の研究課題に取り組む参加者には興味深いものであったに違いない。
 多くの二世へのインタビューを重ねるうちに、ライマンの類型学的考察から次第に解き放たれていく氏自身の聞き取り実践者としての成長プロセスもまた、オーラル・ヒストリーの持つ双方向性のもたらす余禄として、共感を呼ぶものであった。講演時間の制約のために、実際のインタビューを収めたVTR等をゆっくりと鑑賞することができなかったのが心残りだった。
 ハンセン氏はJOHA大会のために周到に講演原稿を準備され、その後の分科会にも熱心に参加された。またJOHAの今後の発展を力の限り支えていきたい、と永久会員になることをお申し出いただいたことに、心から感謝申し上げたい。(吉田かよ子)

2.第1分科会 「移動と移民」
 本「移動と移民」部会は、湯山英子さん(北海道大学)による「仏領インドシナの邦人社会―オーラル史料の役割」、小谷幸子さん(総合研究大学院大学) による「『日本』という場所:在米韓国系高齢者移民の移住史とライフストーリー」、そして小林多寿子さん(日本女子大学)による「ある日系アメリカ人一世の「ライフ」-伝記的方法としてのオーラルストーリー」という3つの報告がなされた。3報告とも「移動と移民」という部会にふさわしく、戦前期の仏領インドシナの邦人社会、在米韓国系高齢移民、そして日系アメリカ人一世という多様な「移動と移民」を対象とする報告で、それぞれ非常に興味いものであり、熱心に質疑がかわされた。以下にそれぞれの報告を中心に簡潔に紹介していこう。
 まず、第1報告は、戦前の仏領インドシナの邦人社会を対象とするが戦間期の調査・研究資料は乏しく、オーラル資料に活路を求める。仏領の邦人社会では小規模店主が主で、なかでも漆商がその中心であった。そこで、漆店で働いていたひとたちへの聞き取りを行ったわけだが、それは資料からは知りえなかった漆取引の流通経路を明らかにすることばかりでなく、とりわけ心象としての日本人社会の形成に役立ったという。湯山さんの専攻が経済史であるためか、オーラル資料は統計資料や文書資料と対等と言うよりは補助的なものと控えめに位置づけられている点が特徴的であったが、この分野でのオーラル史料の可能性を示す先駆け的な報告であった。
 第2の小谷報告は、日本の植民地支配を受けた在米韓国系高齢者移民が自らの人生をどのように振り返るのかを「日本」という場所にまつわる記憶と関係から考察することを目的としたライフヒストリー調査における相互関係性をリフレクティブに報告したものでした。植民地支配の負い目を感じる聞き手と、進んで自らの「身の上話」を日本語で語る韓国系高齢者移民という語り手との独特の日本語空間で進行するライフヒストリー調査であったことを振り返るなかで、語りが生成される場から生まれた「日本」という場所のシンボリックな意味を考察する。そして、語りによって生成された象徴空間は語り手(と聞き手)という主体の意味世界や内的要素にのみよるのではなく、主体をとりまく歴史性、社会関係、イデオロギーなどが関係していることをリフレクティブに考察していく、奥行きが深くて興味深い報告であった。
 第3の小林報告は、タクジ・ヤマシタ(1874-1959)という日系人をとりあげて伝記的な方法としてのオーラルストリーを用いて、マスメディアなどでいわば公的につくられたヤマシタのストリーとは異なるもうひとつの私的なストリーを提示するという、方法論からも野心的な報告であった。では、伝記的方法としてのオーラルストリーとはどのようなものかと言うと、ヤマシタと個人的直接的に接する機会のあった8人のひとたちに、2001年~03年にかけてヤマシタについて語ってもらうという方法がとられた。8人の語りを重ね合わせると、その私的なストリーは重層的で厚みがあり、公的なストリーとは別の側面を表していた。ライフヒストリーは生きているひとへのインタビューを前提としてきた

JOHAニュースレター第2号

【目次】

(1) 日本オーラル・ヒストリー学会第2回大会の案内および報告者の募集
1.日本オーラル・ヒストリー学会(JOHA)第2回大会実施要領
2.発表者募集のお知らせ
3.アート・ハンセン氏、初来日への期待

(2) オーラル・ヒストリー総合研究会の報告

(3) 追悼および著書紹介

(4) 入会手続きのお知らせ

(1) 日本オーラル・ヒストリー学会第2回大会の案内および報告者の募集

日本オーラル・ヒストリー学会第2回大会
2004年9月11日(土)~12日(日)
アート・ハンセン(2003年度米国オーラル・ヒストリー学会会長)を迎えて立教大学にて開催

 今年度の日本オーラル・ヒストリー学会(JOHA)全国大会は9月11~12日の両日、以下の要領で立教大学で開催される運びとなりました。今年はアメリカから2003年度米国オーラル・ヒストリー学会会長のアート・ハンセン氏を基調講演者に迎え、2日間の日程で開催されます。会員による共通論題での発表機会を多く設定する予定ですので、奮ってお申し込みください。
 2日目午後には、アメリカで急速に展開が進むウェッブ上での映像・音声によるオーラルヒストリー・アーカイブの構築に関してのワークショップの開催が予定されており、今後日本での本格的な取り組みが予想されるこの分野の諸課題について、議論が深まることが期待されます。

1.日本オーラル・ヒストリー学会(JOHA)第2回大会実施要領

日時 9月11日(土)午後1時~9月12日(日)午後5時
会場 立教大学池袋キャンパス
東京都豊島区西池袋3-34-1

大会プログラム
9月11日
13:00 開会
13:05 基調講演:アート・ハンセン前オーラル・ヒストリー学会(OHA)会長
14:45~17:00 分科会
18:00 懇親会
9月12日
10:00~11:50 研究実践交流会議+分科会(英語によるセッション有)
12:00 総会
13:30~17:00 オーラル・ヒストリー・ワークショップ
17:00 閉会

参加費
会員 2,000円/学生・院生1,000円
非会員 3、500円/学生・院生2,500円

2.発表者募集のお知らせ
・ 発表内容:専門分野は問わず、オーラル・ヒストリー(聞き取り、聞き書き、ライフストーリー等)の実践、研究成果の発表。
・ 発表時間:一人20分(共同発表も可)
・ 発表者申込資格:日本オーラル・ヒストリー学会の会員に限ります。まだ会員登録がお済みでない方は、申込時にかならず会員登録をしてください。
・ 申込要領:発表予定の方は、氏名・職業・発表題目および必要機材(OHP、VTR、資料提示機等)を明記の上、郵送にてJOHA事務局宛にお送りください。
・ 申込締切:2004年6月15日(火)必着
・ 発表要旨締切:2004年7月15日(木)までに発表要旨を横書きA4一枚にまとめて事務局宛にご郵送ください。そのまま大会当日の資料として印刷します。

3.アート・ハンセン氏、初来日への期待

「オーラル・ヒストリーの発展へ向けて」

 2003年度米国オーラル・ヒストリー学会(OHA)会長のアート・ハンセン氏を、JOHA第2回年次大会にお迎えできることとなりました。ハンセン氏は1970年代初頭から、特に日系アメリカ人強制収容に関するテーマを中心に、数多くのインタビューを手がけ、アメリカでのオーラル・ヒストリー普及に大きな貢献をされてきました。昨年のJOHA設立大会では、OHA会長としてあたたかい声援をくださいました。長年日系人研究に携わりながらも来日の機会がなかったので、夢が実現するのはとても嬉しい、と今回の依頼を快諾してくださいました。
 ハンセン氏は、カリフォルニア州立大学フラトン校で歴史学教授兼Center for Oral and Public Historyディレクターとして、多くのプロジェクトを実践・監修されただけでなく、教育カリキュラムの確立にも尽力されてきました。昨年はじまった全米日系人博物館の「日系レガシー・プロジェクト」では、ウェブ上公開するためのインタビューにも取り組まれています。
 JOHAの皆様へ次のようなコメントをいただきました。
   As a scholar who has spent a large part of the past thirty-two years researching and writing about Japanese American history and culture, aided by conducting tape-recorded interviews with Nikkei, I was thrilled beyond belief to have the Japan Oral History Association invite me to be its keynote speaker for the JOHA’s September 2004 conference in Tokyo. This event will mark my first time visiting Japan, a place that at this point I have merely read about in books, seen in movies, and heard about from family, friends, and colleagues. Since I do not speak, read, or write Japanese, I will definitely be “lost in translation” while in Japan. Still, I hope that in the speech I am to present and the workshop I am to lead at the second annual JOHA conference I can contribute in some modest way to the practice of oral history in Japan and the institutional development of the JOHA. (中略) I look forward to joining forces with the membership of the JOHA in September for a couple of days of spirited interaction that will stimulate our minds and assist us in the formulation of some flexible truths about practicing oral history in an international context.
 大会でのハンセン氏の講演、ワークショップをお楽しみに。(ハンセン氏と日系アメリカ研究に関心のある方はhttp://coph.fullerton.edu/about_jaohp_pg_2.htm をご覧ください。)
(山本恵里子)

(2) オーラル・ヒストリー総合研究会の報告

第五回例会
「イギリス・レスター地域の女性たち」
講師 エディンバラ大学 富田裕子さん

 オーラル・ヒストリー総合研究会では、第五回例会として4月10日、世田谷下北沢のらぷらすで「イギリス・レスター地域の女性たち」と題するエディンバラ大学の富田裕子さんの講演会を行った。
 昨年9月エディンバラ大学で、富田さんとヘレン・パーカーさんが企画運営した日本の女性史に関する国際学会(「Japanese Women : Emerging from Subservience, 1868-1945」今秋、イギリスで報告集を出版予定)が開かれたが、日本からの参加者は3日間の公式日程終了後いくつかの博物館などを見学した。なかでも「ピープルズ・ストーリー」という小さなミュージアムは、スライドを用いたオーラル・ヒストリーを集めており、実に興味深く見学した。
 今回の例会はイギリスから一時帰国した富田さんによる、イギリス・レスター地域におけるオーラル・ヒストリーのケーススタディについてのOHPをつかっての報告だった。レスター大学の中に2001年4月、国の宝くじの収益を基金として「東ミッドランド オーラル・ヒストリー アーカイブ」が設立され、8人のスタッフ、10数人のボランティアによって、レスタシァとラトランド地域における大規模な資料収集が始まったという。新しいプロジェクトのカタログの作成、このプロジェクトを一般の人にも知ってもらうためのさまざまなデ

JOHAニュースレター第1号

第1回設立大会/オーラル・ヒストリー研究交流フォーラム
2003年9月23日中央大学後楽園キャンパスにて開催
オーラル・ヒストリーの可能性に期待を込めて、120余人が参加!

【目次】

(1) 第1回設立大会報告
1.第1回設立大会記念講演
3.設立趣意書
4.分科会報告

(2) 次期大会開催に向けて
1.第2回JOHA大会開催は2004年9月に予定
2.IOHAローマ大会
3.OHA大会はポートランド市にて

(3) 「事務局」便り

(1) 第1回設立大会報告

1.第1回設立大会記念講演
 JOHA第一回設立大会には二人の記念講演者を迎えた。2000年度米国オーラル・ヒストリー学会(OHA)会長でワシントン州立大学バンクーバー校准教授のローリー・マーシエ氏とペンシルバニア州立大学ヨーロッパ研究部長のジャクリン・ギア=ヴィスコヴァトフ氏である。
 マーシエ氏は「歴史叙述にオーラル・ヒストリーを用いる際のさまざまなアプローチについて」と題した講演の中で、アメリカにおけるオーラル・ヒストリーの発展を概観し、歴史叙述に「声を与えた」オーラル・ヒストリーの持つ優位性とその課題を具体例を挙げて解説した。オーラル・ヒストリーの口述性に忠実でありつつ、それを再構成して読者に提供するという前提をふまえて、氏自身の研究や著作に用いられたオーラル・ヒストリーの事例をOHPを用いて発表された。
 また最近の口述史資料を聞き手に音声として提供しようとする、あるいは音声と映像をそのままウエッブ上で公開する、といったアメリカでの新たな動きについても紹介があった。
 マーシエ氏がオーラル・ヒストリーの発展と現状そして課題を包括的に話されたのに対し、ギア=ヴィスコヴァトフ氏は「英国炭鉱ストライキにおけるオーラル・ヒストリー:ジェンダーと世代」と題して、オーラル・ヒストリーを用いた一つのケース・スタディーとして氏の研究論文の一部を朗読された。1984年から 85年にかけての英国での炭鉱ストの際の炭鉱労働者の妻たちへの長期間にわたる聞き取り調査を基にした氏の歴史へのアプローチの情熱が参加者に伝わる発表だった。
 それぞれの講演終了後、参加者との質疑応答が行われ、聞き手と話し手の考え方が根本的に異なる場合のインタビューの取り扱い方といった手法としてのオーラル・ヒストリーの問題点や、時間の経過とオーラル・ヒストリーの内容の変化の関係等について質疑が交わされた。
 またマーシエ氏からは、2004年9月にオレゴン州ポートランド市で開催される次回のOHA全国大会への多くの日本のオーラル・ヒストリー実践者の参加を歓迎するというメッセージと共に、発表論文募集案内が配布された。(吉田かよ子)

2.海外のオーラル・ヒストリー団体、および研究者からのメッセージ紹介
 今回の設立大会には海外のオーラル・ヒストリ―団体や研究者からも数多くのメッセージが寄せられた。
 英国オーラル・ヒストリー協会(OHS)からは事務局長のロバートB.パークス博士から、書面で以下のような祝辞が寄せられた。

 「日本オーラル・ヒストリー学会の皆様、英国オーラル・ヒストリー協会より日本でオーラル・ヒストリー実践活動をしておられる皆様にご挨拶申し上げるとともに、日本オーラル・ヒストリー学会の第一回設立大会の開催をお慶び申し上げます。
 今、日本に全国規模のオーラル・ヒストリー組織を立ち上げるというのは、まさに時を得たことと思います。協働を促し専門的基準を向上させるという皆様の目標が達成されることを祈念いたします。
 私たち二つの組織の間の相互交流が将来にわたって推進されることを期待するとともに、JOHAが国際的なオーラル・ヒストリー運動に大きな役割を果たされることを希望します。
英国オーラル・ヒストリー協会事務局長 ロバートB.パークス」

 またアートA.ハンセン当年度米国オーラル・ヒストリー学会/協会(OHA)会長からも長文の祝辞が寄せられた。紙面の関係でその一部をここに紹介する。

 「・・・過去10年ほどの間に、次第に多くの日本人オーラル・ヒストリー研究者が、OHAの年次大会に参加したり、学会誌『オーラル・ヒストリー・レビュー』(カリフォルニア大学出版)に投稿するようになったことは、私にとってもOHAにとっても、大変喜ばしいことです。それだけに、日本において日本オーラル・ヒストリー学会設立の動きがあると知った時は、興奮しました。歴史やその関連分野の研究がすすんでいる日本でそのような学術団体ができれば、特に国際オーラル・ヒストリー学会などを通して、その分野での議論を深めることができるでしょう。(中略) OHAを代表して、またオーラル・ヒストリーによる日系人研究を主たる専門としてきた一研究者として、このメッセージがJOHA設立を大きく支援するものとして受け取っていただけることを願います。
米国オーラル・ヒストリー学会/協会(OHA)会長 アートA.ハンセン(博士)」

 ハンセン氏の祝辞の中にもある国際オーラル・ヒストリー学会(IOHA)からは、ジャニス・ウイルトン現会長が当日JOHA設立フォーラムに出席された。ウイルトン氏は会場で、JOHA設立に対する期待を熱意を込めて語られ、研究実践交流会議の席では2006年にオーストラリアで開催されるIOHAへの日本人研究者の多数の参加を希望する旨を強調された。その際、学会使用言語として日本語を用いる分科会の設置を検討したいという趣旨の発言もあり、日本人研究者の参加に大きな期待を寄せておられることを実感した。
 また台湾オーラル・ヒストリー界の重鎮呂芳上氏もフォーラムに参加され、祝辞をいただいた。その他、JOHA設立準備委員から口頭でオランダ、シンガポールの研究者からのJOHAへの祝辞が披露された。(吉田かよ子)

3.設立趣意書
http://joha.jp/?cid=1

4.分科会報告

(1) 第1分科会 「地域・生活・ジェンダー」
 第一分科会のコンセプトは、社会学でのオーラル・ヒストリーや歴史学での聞き取り、ジャーナリズムの聞き書きやインタビューの方法論をつきあわせて、オーラル・ヒストリーが従来の社会調査や歴史像にどのような転換を迫っているかを検証し、オーラル・ヒストリーの方法論を模索することであった。
 報告とテーマは、千葉大学教授桜井厚氏「ライフストーリーとジェンダー」、女性史研究者折井美耶子氏「地域女性史と聞き書きー東京地方を中心に」、ジャーナリスト・日本聞書学会運営委員の和多田進氏「ジャーナリズムと聞き書き」である。
 社会学の桜井厚氏は、モデル・ストーリーとして「嫁ぬすみの」に関する男/女のナラティブ分析から、ジェンダーは、性、民族、