JOHAニュースレター第24号

JOHA ニュースレター 第24 号 2013 年6 月30 日
学会ウェブサイト:http://joha.jp

日本オーラル・ヒストリー学会10 周年記念大会(JOHA11)が、2013 年7 月27 日(土),28 日(日)の二日間にわたり、立教大学新座キャンパスにおいて開催されます。今回は、例年の自由報告部会のほかに、記念テーマセッションと記念講演の特別プログラムになっております。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。大会プログラムは本誌3 頁以下をご覧ください。

大会第1 日目7 月27 日(土)
受付開始10:00 新座キャンパス6 号館2 階N623 前
自由報告10:30~12:30
第1 分科会N623・第2 分科会N636
設立10 周年記念大会テーマセッション13:30~17:30 N623
「JOHA10 年いまオーラル・ヒストリーを問いなおす――ヒストリーとストーリーのはざまで」
報告者 石川良子・小薗崇明/コメンテーター 桜井厚・大門正克
懇親会18:00~20:00 
場所:食堂こかげ
大会第2 日7 月28 日(日)
自由報告9:00~12:00
第3分科会N623・第4分科会N636
総会12:15~13:00 N623
昼食休憩及び新理事会13:00~13:50
記念講演会14:00~16:00 N623
「語りがたきを語る(仮)」アーサー・フランク博士(『傷ついた物語の語り手』著者) 通訳有馬斉
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【目次】
Ⅰ.第11 回年次大会(10 周年記念大会)
1.大会プログラム/2.自由報告要旨
Ⅱ.理事会報告
1.オーラル・ヒストリー学会第4 回理事会議事録/2.オーラル・ヒストリー学会第5 回理事会議事録
Ⅲ.事務局便り
1.会員異動/2.2013 年度会費納入のお願い
IV.研究活動報告
V.理事選挙結果の報告
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I.日本オーラル・ヒストリー学会第11 回年次(10 周年記念)大会Japan Oral History Association 11th Annual Conference
1.大会参加についてのご案内

1.大会実行委員会
日本オーラル・ヒストリー学会事務局山田富秋
研究活動委員会委員長小倉康嗣
大会本部連絡先JOHA 事務局までメールにてお願いします。joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp
2.大会会場とアクセス
立教大学新座キャンパス6 号館(N623 スタジオ・N636 シアター)及び2 号館(225,226,227,228)
アクセス:https://www.rikkyo.ac.jp/access/niiza/direction/
○東武東上線(地下鉄有楽町線相互乗り入れ)
利用/「志木駅」下車スクールバス約7 分(運行時間12:30~19:00、運賃無料)、徒歩約15 分
または、南口西武バス利用(清瀬駅北口行または所沢駅東口行・「立教前」下車) 約10分
○JR 武蔵野線利用/「新座駅」下車スクールバス利用約10 分(運行時間7:30~20:00、運賃
無料)、徒歩約25 分または、南口西武バス利用(志木駅南口行き・北野入り口経由・「立教前」下車)約10 分
○スクールバスは土日は本数が少なくなります。
次のサイトで運行情報等ご確認ください。http://www.rikkyo.ac.jp/access/niiza/schoolbus/
3.大会参加費
学会員1,000 円(両日合わせて) 学会員以外一日参加1,000 円両日参加2,000 円
4.懇親会18:00~20:00
7 月27 日(土) 食堂こかげ 一般=4,000 円、大学院生,その他=2,000 円
5.クローク学会本部の225 教室に荷物をお預けください。
6.会員控え室両日とも226 教室です。自動販売機は6 号館北隣学生食堂にございます。
7.トイレ・洗面所は6 号館エレベーターフロア、喫煙所は6 号館南隣5 号館1 階、2 階外にございます。
8.昼食土曜日はキャンパス内の食堂がオープンしています。日曜日は正門右手方向にインド料理、手打ち蕎麦、正門左手に「いなげや」等ございます。
9.宿泊東武トラベル東京が7 月27 日(土)の学会会場近くの宿泊について、本学会会員専用の予約を取り扱っています。下記にアクセスしてご予約ください。他の都内の宿泊先については、各自でお取りください。
http://www.tobutravel.co.jp/fixed_page/oral_history
10.自由報告にてレジュメを用意される方は、50 部程度ご用意ください。万一不足の場合、大会本部ではコピー等致しかねますので、ご了承ください。
11.書店スペースに会員の催物のチラシを置くコーナーを設けますので、希望者はご利用ください。

2.大会プログラム
前日7 月26 日(金) 17:30~ 旧理事会新座キャンパス太刀川記念会館
第1 日目7 月27 日(土) 受付開始 10:00 場所6 号館2 階N623 前
自由報告10:30~12:30
※自由報告は、1 報告につき30 分を予定しています。内訳は報告20分+質疑応答10分ですが、司会の指示にしたがってください。
第1 分科会N623 教室 司会好井裕明
1.技術者教育におけるオーラル・ヒストリーの可能性事例報告:授業の一環として学生が青函連絡船:羊蹄丸のオーラル・ヒストリーに取り組んだ事例( Learning Oral History of “Seikan” Train Ferries, Yotei Maru: AnApplication of the Method of Oral History in Engineering Education)
竹原信也(奈良工業高等専門学校)
2.岐阜県飛騨市「数河獅子」のオーラル・ヒストリー(An oral history of “Sugou-shishi”in Gifu prefecture Hida city)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)
3.オーラル・ヒストリーとアーカイブズ-記憶と証拠資料の事例から(Oral history and archives; based on the case of memory anddocumentary evidence)
嶋田典人(香川県文書館)
第2 分科会N636 教室 司会:倉石一郎
1.父親の家庭回帰の難しさについて?不登校の親の会に参加する父親の語りを中心に(A Study on the difficulties of father in his home:interviews for fathers who attend the association of parents suffering from their child being “Futoko”)
加藤敦也(武蔵大学非常勤)
2.統合失調症の娘を抱える父親のライフ・ストーリー(A Life Story of a Father Who Has a Daughter with Schizophrenia)
青木秀光(立命館大学大学院)
3.移住労働者の語りからみた言語習得:韓国のあるインドネシア人コミュニティにおける事例(Language acquisition as seen throughout narrative of migrant workers:An example of a certain Indonesian community in Korea)
吹原豊(福岡女子大学)

昼食休憩12:30~13:20

午後の部
設立10 周年記念大会テーマセッション13:30~17:30
JOHA10 周年いまオーラル・ヒストリーを問いなおす―ヒストリーとストーリーのはざまで―
場所N623 教室 司会:小倉康嗣(立教大学)、山本唯人(政治経済研究所)
報告者:石川良子(松山大学)「ライフストーリー研究に何ができるか」(仮題)
小薗崇明(専修大学大学院)「オーラル・ヒストリーによる『生きた』歴史の再構築――関東大震災の朝鮮人虐殺における聞き取り調査の聞き取りを通じて」
コメンテーター:桜井厚(元JOHA 会長)、大門正克(横浜国立大学)
タイムテーブル
13:30~13:40 趣旨説明
13:40~14:40 報告:石川さん(30 分)、小薗さん(30 分)
14:40~15:10 コメント:桜井さん(15 分)、大門さん(15 分)
15:10~15:15 フロア参加者の即席グループを構成
15:15~15:30 休憩(客席収納のためいったん会場の外に出ていただきます)、客席収納、グループになる
15:30~15:40 桜井さん・大門さんのコメントに対して、石川さん・小薗さんから一言リプライ(グループでの議論の口火として)
15:40~16:30 車座になってグループで議論(床に座っても大丈夫な服装でおいでください)
16:30~17:30 各グループでの議論の踏まえての全体討論、各登壇者からのコメント、全体総括
開催趣旨
日本オーラル・ヒストリー学会は、今大会で設立10 周年を迎えます。この節目を迎えるにあたり、今期研究活動委員会では「足場論」をおこなうべく、昨年度より大会セッションやワー
クショップを企画してきました。ここにいう足場論とは、日本のオーラル・ヒストリー研究は何をやってきた/やっていくのかという学問としての足場論であり、同時に、それを可能にす
る場としてJOHA が何をやってきた/やっていくのかという学会としての足場論でもあります。
それを実践するために立てた柱が、①オーラル・ヒストリー研究/実践の源流・潮流をたどる、②社会のなかのオーラル・ヒストリー研究/実践について考える、③この10 年の動きがな
んだったのかを確かめつつ、そのさきに何をやっていくべきなのか展望と構想につながる議論に架橋していく、という3 つの柱でした。①は、前大会において、女性史発祥の地である名古屋
で大会が開催されることにちなんで、「日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる――地域女性史の歩みから」と題する記念セッションをおこない、実践的学知としてのオーラル・ヒスト
リーがどのように始まったのか、その原点に含まれていた課題や豊かな可能性を再認識し、そこから得られる示唆について議論しました。②は、郷土博物館が、地域住民を巻き込んだ聞き
書き実践(浦安・聞き書き隊)をとおして人の心を動かし、地域社会を動かしていった取り組みを事例に、「歴史を書き綴る住民たち――地域にとってのオーラル・ヒストリー/オーラル・
ヒストリーにとっての地域」と題するワークショップをおこない、オーラル・ヒストリーの社会性について考えました。
そして今大会では、③をおこないます。JOHAが設立されて10 周年を迎えるなかで、この10年の到達点はなんなのか。それは何をもたらしたのか。そしてそこからさきに何をやっていく
のか。それらを参加者相互でざっくばらんに対話・議論できるような時間にしたいと考えています。
この10 年の動きとして特徴的なことのひとつは、歴史においても複数の現実やストーリーがあり、オーラル・ヒストリーが語り手と聞き手との相互の対話によって共同構築されたもの
だという見方が定着してきたことだといえるでしょう。それはひとつの学問運動であったともいえます。では、それはいったい何をもたらしたのでしょうか。そして、そこから見えてくる課題としてどういうことがあり、そのさきに私たちは何をしていけばよいのでしょうか。それ
らを考えるときに大きな論点として挙がってくるのが、あえて端的に表現すれば、ヒストリーかストーリーか、誰が歴史や現実をつくるのか、といった問題でしょう。
本セッションではこれらの論点とその周辺をめぐり、まず前半で、この10 年の動きの影響を一身に受けてきた若手研究者のお二人(石川良子さん、小薗崇明さん)に、ご自身のフィール
ド経験と絡めてご報告していただきます。そしてそれに対して、この10 年の動きを牽引してきたベテラン研究者のお二人(桜井厚さん、大門正克さん)にコメントをしていただきます。で
すが、これらはあくまで議論の口火であり、むしろメインは後半です。後半では、上記4 人の対話を触媒として、フロア参加者全員で相互に議論をおこないます。即席の少人数グループを
つくり、各グループに分かれてそれぞれに対話・意見交換をおこない、それを全体での議論に反映させていきます。
つまり、登壇者の報告とコメントをじっくり聞くというよりは、議論の前提となる現場・研究を踏まえながら、参加者相互に問題や論点を提示し、JOHA の今後の方向性・課題を浮き彫りにしていくセッションにできればと考えていま
す(上掲タイムテーブル参照)。
議論の口火を切っていただく登壇者は、歴史学と社会学の研究者を中心に構成されていますが、オーラル・ヒストリーへの関わりが歴史学と社会学だけではないことはいうまでもありません。なによりJOHA は、大学の研究者だけでは
ない多様多彩な在野の研究者・実践者が多く参加しているところが大きな特徴であり、強みでもありましょう。グループワークと全体での議論で、さまざま立場の方々のご経験・お考えを、おおいに出し合っていただき、交差させていくことができければと思います。(文責:小倉康嗣)

報告者の報告概要
■石川良子「ライフストーリー研究に何ができるか」(仮題)
ライフストーリー研究では、語り手の語ったことを聞き手とのやりとりを通して構成されるストーリーと捉え、事実や体験の表象そのものとしては受け入れない。したがって、従来の社会調査が主目的としてきた仮説検証や実態把握
は、その目指すところから外れることになる。しかしながら、ライフストーリー研究は何をしようとしているのか、一体何ができるのかということは、いまだ十分に論じられていない。本報告では、報告者が継続している「ひきこもり」
の調査に根ざして、インタビューでの会話の脈絡や聞き手自身の経験を記述すること、また語りを史資料によって裏付ける所謂「脇固め」の作業はライフストーリー研究でどう位置づけら
れるのか、といった点について考察を加える。これを通して上述の問いに対する一定の見解を提示したい。
■小薗崇明「オーラル・ヒストリーによる『生きた』歴史の再構築――関東大震災の朝鮮人虐殺における聞き取り調査の聞き取りを通じて」
私の研究テーマは関東大震災下の虐殺であるが、この分野での聞き取り調査の貢献は大きい。震災から60 年経た頃、各地域の人たち(中学・高校の教員や主婦など)による聞き取り調査で
「実態」解明が進んだからである。特に千葉県は軍隊が近くの村民に朝鮮人を渡して殺害させた事例を明らかにした。しかし90 周年を迎え、当時の体験者からの聞き取り調査が困難になっ
た。この状況下、私は地域(千葉)の聞き取り調査者たちに聞き取り調査をおこなった(『地域に学ぶ関東大震災』2012 年)。そこで感じたのは、豊富で多様な語りが研究報告や文書化され
る際にこぼれ落ちる点が多いことである。聞き手や書き手からこぼれた語りは、すでに歴史学的な手法によって構築された「実態」が大いに関係しており、朝鮮人虐殺研究の場合、当時、
どこで、何がおきたかに関心が寄せられた。この関心では、体験者がいなくなると聞き取りは不可能になってしまう。しかし、直接の体験者以外も朝鮮人虐殺の記憶を受け継いでいる人た
ち(加害地域の人、在日朝鮮人、調査者など)はいて、各自のなかで歴史的な問題は生きている。私の関心はそれぞれの歴史を遡って虐殺は何だったかを考えることであり、そのためのオーラル・ヒストリーの手法について検討したい。

コメンテーターのプロフィール(ご本人からのメッセージ)
■桜井厚
十年一昔というならJOHA に設立準備会からかかわってきた古参である。一貫して歴史的経験への関心をもっており、現在も戦争体験の語りつぎなどの調査研究をおこなっている。JOHA
の場を離れると自分の専門ではほとんどライフストーリーの名称を使っているのは、歴史表象もライフの経験から捉えられるという観点からだが、ライフストーリーにはとくにインタビュ
ーの場における相互行為と語りの共同制作の意味が込められていると思っているからでもある。相互行為は対話に通じ私も「対話」を使うが、ときに対話の強調は、語り手と聞き手の立場性
や非対称性を無化して調査行為に過剰な期待をもたせる危惧をもつ。リアリティとストーリーの対比を越えた次元も含め、報告者や参加者との議論を楽しみたい。
■大門正克
私はJOHA の会員ではあるが、この10 年の活動へのかかわりは薄い。それでも、今回コメントを引き受けたのは、オーラル・ヒストリーをめぐる対話の必要性と機運を感じていたからで
ある。1970 年代末の大学院生以来、私は人に話を聞きながら歴史研究を続けてきた。聞き取り(オーラル・ヒストリー)は紆余曲折をたどり、人に話を聞くということはどういうことなのか
を考えるようになった。今では、「対話」「往還」「双方向」「応答」という言葉を手がかりに語り手と聞き手の関係を考えている。本セッションは、報告とコメントの対話に始まり、参加者相
互の対話、全体での対話というように、対話をくりかえしてオーラル・ヒストリーを問いなおす場である。聞き取りで私が感じている対話や往還は、本セッションのなかでどのように位置
づくのか、今から楽しみにしている。

懇親会18:00~20:00 懇親会費 一般4000円 学生その他2000 円 場所:食堂こかげ

第2 日目7 月28 日(日)受付開始8:40
自由報告:9:00~12:00
第3 分科会N623 教室 司会滝田祥子
1.移動・帰還・「再統合」:インドネシア東南スラウェシ州の元研修生の経験の語りから(Migration, Return, and ‘Reintegration’: Investigated through Narratives on Experiences of Ex-trainees from Southeast Sulawesi Province, Indonesia)
山口裕子(一橋大学)
2.女たちの月明会-植民地女学校出身者のネットワークと人生-(Women’s Getsumeikai-Lives and networks of colonial girls’ schoolgraduates)
藤井和子(関西学院大学大学院)
3.「普通の人として生きる」ことの意味-海外養子として海を渡ったある日本語学習者の語りから-(Meaning of “living as an ordinaryperson”:From the story of a Japanese learner who crossed the ocean as an adopted child.)
鄭京姫(早稲田大学)
4.「表現の自由」対「人権」-ハンセン病を患った元日本兵捕虜をめぐる最近の事例(“Freedom of Expression” Versus “Human Rights”: Recent Incidents Against a FormerJapanese POW with Hansen’s Disease)
山田真美(お茶の水女子大学大学院)
第4 分科会N636 教室 司会八木良広
1.元教師インタビューによる戦後初期コア・カリキュラムの再把握( Re-designing Core Curriculum of the Early Postwar by the Interviews with Former Teachers)
金馬国晴(横浜国立大学)
2.長崎県外海地域のかくれキリシタン-信者が語る信仰と非信者の語る信仰-(The Kakure Kirishitan in Sotome area (Nagasaki):Faith according to the believers and the non beliebers)
小泉優莉菜(神奈川大学大学院)
3.東京大空襲被災者のライフヒストリーと死者に対する罪意識(Survivor’s Guilt and life history of the Tokyo Air Raid survivor)
木村豊(慶應義塾大学大学院)
4.アメリカに住む原爆被爆者のオーラル・ヒストリー( Oral histories of atomic bomb survivors living in the U.S.)
根本雅也(一橋大学)

総会12:15~13:00(選挙結果報告あり) 場所:N623 教室
昼食休憩13:00~13:50

記念講演会14:00~16:00 場所:N623教室
「語りがたきを語る(仮)」アーサー・フランク博士(『傷ついた物語の語り手』著者)
司会塚田守(本学会会長) 通訳有馬斉(横浜市立大学)
第10 回のシンポジム「語りから『いのち』について考えるー聞き難いものを聞き、語り、書くー」では、身近な人、深くかかわった人を失う経験を持ち、人は死と向かい合い、初めて「いのち」について考えるのではないか、残された
者の「失われたいのち」との関わる時、人は「いのち」について語り始め、生きていく意味について考え、いまの自分を再考するのではないかとして、残された者の「いのちについての語り」
について議論するというテーマ設定で行われ、心理学、社会学、そして、看護の現場の視点から、「いのち」について語ることについて議論された。
昨年のシンポジウムを展開するかたちで、学会創設10 周年を記念するシンポジウムでは、病いの語りに関する研究の第1 人者であるアーサー・フランク教授を招聘し「語りがたきを語る」
がテーマとして記念講演していただく。フランク教授は、1991 年にご自身の癌の体験に基づいたAt The Will of the Body(『からだの知恵に聴くー人間尊重の医療を求めて』)を出版し、そ
の後、病いの体験を社会学的に研究した著書『傷ついた物語の語り手』で、日本でも知られるようになった。2010 年には、Letting Stories Breathe: A Socio-narratology を出版し、語りの社会学を理論的に展開している。病いを経験
した「当事者」の視点、語りの社会学的分析、語りに関する理論的議論に関する講演は、会員の皆様にも有益なものになるであろう。(塚田守)

2.自由報告要旨
第1 分科会
1.技術者教育におけるオーラル・ヒストリーの可能性事例報告:授業の一環として学生が青函連絡船:羊蹄丸のオーラル・ヒストリーに取り組んだ事例(Learning Oral History of “Seikan” Train Ferries, Yotei Maru: An
Application of the Method of Oral History in Engineering Education)
竹原信也(奈良工業高等専門学校)
報告者は、所属していた新居浜工業高等専門学校専攻科において開講していた授業「現代社会と法」において、受講生とともに、平成24年度、産官学連携の一環としてシップリサイク
ル研究に参加した。授業の中で、学生と共同して青函連絡船「羊蹄丸」の元船長等の船底ツアーを撮影・録音した。撮影・録音データから口述記録を作成し、動画編集やラベルのデザイン
等も行ってDVD(男たちの羊蹄丸)を作成した。このDVDを学校、新居浜市や元船長等に贈呈した。一連の作業は貴重な技術史・労働史の作成であったし、将来エンジニアとなる学生
が元エンジニアから歴史を学ぶ貴重な体験ともなった。この授業の過程を報告し、成果と課題を検討する。
2.岐阜県飛騨市「数河獅子」のオーラル・ヒストリー(An oral history of“Sugou-shishi” in Gifu prefecture Hida city)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)
岐阜県飛騨市古川町の数河地域には、大宝年間(701‐704)に始まるとされる二人立獅子舞「数河獅子」がある。この芸能については2012年、国際シンポジウム「アポカリプス再訪――
日本、ヒロシマおよび模倣の場」(日本ジラール協会とCOV&R の国際年次大会)において研究発表を行った。そこでは、この芸能の演目「天狗獅子」に天狗を殺害するモティーフが存在する
ことに注目し、その供犠的所作が、江戸期の当地の領土争いにおける「創始的暴力」と共鳴している可能性について、ルネ・ジラールの理論を応用して考察した。本発表では、この研究発
表のために行った現地調査において収集したオーラル・データをより仔細に検討し、この仮説について再考したい。
3.オーラル・ヒストリーとアーカイブズ-記憶と証拠資料の事例から(Oral history and archives; based on the case of memory and documentary evidence)
嶋田典人(香川県文書館)
聞き取り調査において、話し手の語りが、聞き手のもつ従来からの固定概念、歴史上の一般論との聞に矛盾を生じる場合がある。記憶が不鮮明であったり、勘違いであったりして話し手
に誤りがある場合もあるが、アーカイブズ(記録資料)が証拠となり話し手の信用(信頼)が高まる場合もある。もちろん、そのアーカイブズが証拠資料となりうるかの吟味も必要である。
また、アーカイブズの証拠資料はあるが、それを補完するための聞き取りにおいて、話し手が会ったことのない祖父母の世代の事柄をどれだけ伝えているか。世代間を越えた間接的伝聞の
信用(信頼)性についても事例を挙げて報告したい。

第2 分科会
1.父親の家庭回帰の難しさについて?不登校の親の会に参加する父親の語りを中心に(A Study on the difficulties of father in his home:interviews for fathers who attend the
association of parents suffering from their child being “Futoko”)
加藤敦也(武蔵大学非常勤)
本報告では不登校の親の会に参加する父親およびその子どもへのインタビューに基づき、子どもの不登校を経験した際に父親が子どもとの関係で悩むことについての語りに焦点を当てる。父親2 名、不登校当事者であった子ども1 名の語りから、子どもの不登校という局面において
は学校教師などから父親役割の問題が指摘されるために、父親も親としての役割意識に葛藤を覚えること、また子どものケア役割を意識し、親密なコミュニケーションを子どもと図ろうとする意識が生じることを明らかにした。結論として、子どもの不登校は父親に親役割の反省を
促すものであるが、その反省が子どもとのコミュニケーションを円滑にするとは限らないという事態を明らかにした。
2.統合失調症の娘を抱える父親のライフ・ストーリー(A Life Story of a Father Who Has a Daughter with Schizophrenia)
青木秀光(立命館大学大学院)
統合失調症は、約100 人に1 人が罹患するとされる疾患である。しかし、その発症原因や治療方法、予後が不確定であるがゆえに様々な苦悩や葛藤とともに当事者や家族が不安定な生活
を強いられる現状がある。特に、当事者を支えるとされる親はいかなる苦悩や葛藤を生きているのか詳細に記述・分析された研究は少ない。例えば「親亡き後の問題」とカテゴリー化され
るその内実には、いかなる親の思いが存在するのだろうか。本研究では、一人の当事者の娘を抱える父親の生の全体性に接近するとともに、研究者自身と対話的に生成・構築されるインタビューを通してのストーリーを主眼に発表を行う。
3.移住労働者の語りからみた言語習得:韓国のあるインドネシア人コミュニティにおける事例( Language acquisition as seen throughout narrative of migrant workers:Anexample of a certain Indonesian community in
Korea)
吹原豊(福岡女子大学)日本の隣国である韓国では2004 年に海外からの非熟練労働者の受け入れを認める制度(雇用許可制)を導入した。そうした施策も影響して、近年外国人住民の割合が急速に上がり、国
内の各地にエスニックコミュニティが形成されるようになってきた。その代表的なもののひとつがソウル郊外京畿道にある工業都市安山(アンサン)市のキリスト教徒インドネシア人コミ
ュニティである。本発表では、まず安山市を中心に韓国のインドネシア人社会のありようについて簡潔に紹介することにする。そして、次に、韓国において移住労働者の生活世界を構成する
主な要因を抽出し、その機能を彼らの韓国語習得との関わりの中で論じていきたい。なお、その際には韓国語の習得を促進する要因について、少数の成功者の事例に焦点を当てながら、その
語りに注目した考察をも試みたい。

第3 分科会
1.移動・帰還・「再統合」:インドネシア東南スラウェシ州の元研修生の経験の語りから(Migration, Return, and ‘Reintegration’:Investigated through Narratives on Experiences of Ex-trainees from Southeast Sulawesi Province, Indonesia)
山口裕子(一橋大学)
途上国への技術の移転と支援を目的に、日本で「研修」の在留資格が整備され中小企業での外国人の受け入れが開始して20 年余りになる。低賃金単純労働の実態や、制度の背景にあるグ
ローバルな経済格差などは多数の先行研究が指摘してきた。それらを踏まえた上で本発表では、インドネシア東南スラウェシ州で行った実地調査に基づき、当該地域出身の元研修生の送り出
しから帰還後までのプロセスを個々人の経験の語りに注目して考察する。語りの多様性と定型性の特徴を指摘し、単なる制度の「犠牲者」でもなく、また完全に主体的なエージェントとしてでもなく、アイデンティティの揺らぎを経験しながらも帰還先社会に活路を見いだそうとす
る元研修生の「再統合」過程を明らかにする。
2.女たちの月明会-植民地女学校出身者のネットワークと人生-(Women’s Getsumeikai - Lives and networks of colonial girls’school graduates)
藤井和子(関西学院大学大学院)
本報告は、植民地期の朝鮮・群山出身で、戦後、日本に引揚げた人々の同郷会「月明会」を取り上げ、その成立過程に女性たちのネットワークと人生がいかに関与していたかを明らかに
する。敗戦によって引揚げた群山公立女学校卒業生たちは、引揚げ直後には苦しい生活の中にあったが、日韓国交正常化(1965年)の頃には生活も安定し、女学校出身者たちの間で〈手
紙ネットワーク〉が形成されるようになった。そしてそれが同窓会の形成につながった。さらに、このネットワークが次第に女性たちの兄弟をも結びつけ、男子校である群山中学の同窓会
も開かれるようになり、ついには、これら二つの同窓会を母体として同郷会「月明会」が形成されたのである。
3.「普通の人として生きる」ことの意味-海外養子として海を渡ったある日本語学習者の語りから-(Meaning of “living as an ordinary person”:From the story of a Japanese learner who crossed the ocean as an adopted child.)
鄭京姫(早稲田大学)
本報告では、海外養子として海を渡った一人の日本語学習者の「日本語人生」を紹介する。海外で成育する韓国人養子たちは、成育過程でのアイデンティティの葛藤問題、欧米における
海外養子の自殺率の異常な高さへの指摘がある(坪井2010)。語り手もアイデンティティに関する悩みを感じたことも、生きている意味を見失ったこともあったと語る。しかしそれらを乗
り越えた今「普通の人として生きる」ことの希望を物語る。そこには互いが歩み寄ることばの存在があり、人がことばを持つ意味とは何かが語られていた。人がことばをもつ意味とは何か。語り手が語
る「普通の人として生きる」ことの意味を追っていきながら、それらについて考えていきたい。
4.「表現の自由」対「人権」-ハンセン病を患った元日本兵捕虜をめぐる最近の事例(“Freedom of Expression” Versus “Human Rights”: Recent Incidents Against a Former
Japanese POW with Hansen’s Disease)
山田真美(お茶の水女子大学大学院)
報告者は過去20 年にわたり、カウラ事件を生き残った元日本兵捕虜をインタビューしてきた。その中の一人である立花氏(93 歳)は、カウラ収容所に於ける唯一のハンセン病患者である。戦後は病気と捕虜の二重の不名誉から家族を守るため、偽名の立花誠一郎を名乗って現在に至
る。しかし2013 年に出版された3 つの出版物が立花氏のアイデンティティーを危うくしている。3 作のうち2 作はノンフィクションと論文で、立花氏の戦前の勤務先と実家住所をそれぞれ暴露した。残る1 作は芝居台本で、立花氏をモデルとしたと思われるハンセン病患者が登場する。
台本を読んだ立花氏の感想は「全体的にすこぶる不愉快」であった。これら3 つの事例から、表現の自由とハンセン病患者の人権について改めて考える。

第4 分科会
1.元教師インタビューによる戦後初期コア・カリキュラムの再把握(Re-designing Core Curriculum of the Early Postwar by the Interviews with Former Teachers)
金馬国晴(横浜国立大学)
戦後初期、はいまわる経験主義、児童中心主義、したがって学力低下の元凶であると批判されたことで知られるコア・カリキュラム。そうした思想的な把握でなく、当時の元教師に対す
るインタビュー記録をもとに、学校カリキュラムのコアを明確にすべきとした論の定義と意義、問題点などを把握しなおす。例えば、カリキュラム計画は、実践に移すにあたって教師や子ど
もにいかなる課題を課したか、子ども、教師、地域・社会の問題解決の道具としていかに実践され、教師や子どもの内面にいかなる経験を残したか。併せて、戦後教育にふさわしい研究方
法論としてのインタビューについても考えたい。
2.長崎県外海地域のかくれキリシタン-信者が語る信仰と非信者の語る信仰-(The KakureKirishitan in Sotome area (Nagasaki):Faithaccording to the believers and the non
beliebers)
小泉優莉菜(神奈川大学大学院)
かくれキリシタン信仰とは、1549 年にザビエルによって伝えられたキリスト教の信仰が、約250 年に渡る弾圧期の中で徐々にその姿を変化させつつも、現在でもその信仰を伝承している大変特異な信仰である。
今回の研究発表では、外海地域における信仰の現状を示す。これまでのかくれキリシタンにおける研究は「かくれキリシタン」のみを見、その周辺の環境、また、周辺の非信者の心意に
までは言及してはこなかった。そのようなことを踏まえ今回はこの信仰に対して、信者はもちろんのこと、この地域のカトリック信者、及び、元々はかくれキリシタンであったが寺に改宗し
た者が、かくれキリシタンについてどのように考え、語っているのかについて発表したい。
3.東京大空襲被災者のライフヒストリーと死者に対する罪意識(Survivor’s Guilt and life history of the Tokyo Air Raid survivor)
木村豊(慶應義塾大学大学院)
本報告では、東京大空襲被災者のライフヒストリーと死者に対する罪意識について検討することを目的とする。R.リフトンは被爆者による原爆被災時の語りの中に死者に対する罪意識を
見出したが、空襲被災者の語りの中にも死者に対する罪意識を見ることができる。そこでは、空襲被災時だけでなくライフヒストリーにおけるいくつかの出来事が結び付けられることで死
者に対する罪意識が語られている。そこで本報告では、東京大空襲被災者へのインタビュー調査をもとに、大空襲被災者のライフヒストリーの中でいかに死者に対する罪意識が語られてい
るのか検討したい。また同時に、ライフヒストリーの中でいくつかの出来事が結び付けられることについて検討したい。
4.アメリカに住む原爆被爆者のオーラル・ヒストリー(Oral histories of atomic bomb survivors living in the U.S.)
根本雅也(一橋大学)
アメリカにおいて、原爆は戦争に勝利をもたらしたものとして政府により正当化されてきた。一方、冷戦を背景に展開された反核平和運動などは、「ヒロシマ」「ナガサキ」を一種のシンボ
ルとして言及してきた。こうした価値や言説が絡み合う中で、アメリカに居住する原爆の被爆者(在米被爆者)は、それぞれに生活を営んできた。彼らの中には、戦後に留学や仕事のため
に渡米した者もいれば、アメリカに生まれ、日本滞在時に原爆に遭い、戦後に再びアメリカへと戻った者もいる。本発表は、在米被爆者のオーラル・ヒストリーを通じて、彼らが抱える原
爆の諸影響とともに、彼らとアメリカ社会の多様な関わり、そしてその複雑さについて検討する。

Ⅱ.理事会報告
1.第5 期第5 回理事会議事録
日時:2013 年1 月6 日(日)時間:12:30~16:30
場所:立教大学新座キャンパス7 号館三階アカデミックホール
出席者:塚田守、山田富秋、橋本みゆき、河路由佳、折井美耶子、山本唯人、グレゴリー・ジョンソン、小倉康嗣、和田悠、松田凡、仲真人(書記)、舛谷鋭(開催校)
議題
1.前回議事録確認と会議時の書記決定
前回の議事録は改訂版とニュースレター版をすでに承認済みである。書記を仲真人理事にお願いした。
2.会長報告(塚田)
今年度、大会は小規模となったが充実したものだった。Web で会員増を目指したが、期待したほどではなかった。私たちの任期もあと約半年になったが、残りの任期を充実したものとして全うしていきたい。
3.事務局報告(山田)
(1)会員の異動その他
・新規入会と再入会を認めた。
・住所変更が報告された。
(2)来年度開催校決定までの経緯(口頭)
・新旧理事を中心に開催校を探したが、国立大学は会場貸出費用がかさむため、最終的に舛谷会員の勤務校、立教新座キャンパスでの開催となった。また、9 月開催は諸般の事情で難しく、
11 回大会(設立10 周年記念大会)は、7 月28-29日の設定となった。
・また、著名なアーサー・フランク博士がちょうど大会開催期間中に来日(慶応大招聘)することが決定しているので、記念講演者として記念大会に招きたい。しかしそれも今後の交渉いかんにかかっている。
(3)その他(選挙関係、会計年度変更の影響等々)
・理事年度と会計年度がずれている関係で、どのように調整をするかを前理事に問い合わせたところ、他学会でもずれている学会がけっこうあり、大きな問題ではないとの回答を得る。た
だし、理事年度と会計年度のずれがあると、新規に選出された理事会が、常に前年度の予算に縛られることになることが確認された。
・当該年度の会費を納入した会員を選挙権者とするので、会費督促を2 月中旬に実施し、3 月31 日までに納入とする。その際、選挙規定も同封する。選挙規定には4 月末での納入とあるが、
今回の会計年度変更を踏まえて3 月末納入に変更した旨の文書を同封する。選挙と連動して会費の回収を拡大することになった。詳しい選挙日程については10 を参照。
4.会計報告(橋本)
・現在までの中間報告によれば、予備費の減少がいっそう顕著になっている。会費収入、大会参加者、学会誌収入等が見込みを下回り、現状のままでは、費目全体の支払額に10 万円ほど不
足してしまう見込みである。今後、研究活動のワークショップで収入を得ることができれば多少改善されると思うが、どう対処するかアドバイスをもらいたい。以下のような意見がだされた。
・理事改選前に会費督促を行うので、その後の会費収入で多少の収入を得られるのではないか。
・会費を支払っていない会員が半数を超えている現状を改善するのが最優先だろう。
・会費督促の際に学会の財政が危機的であることを伝え、納入を促す呼びかけをする。
・研究活動のワークショップは年度内に予定されていないので、今回の収入はあてにしないでほしい。講演会、学習会等を企画してアピールし、会員の獲得をしたい。保育、幼児教育の分
野で関心を持つ研究者も増えている。また一般市民の会員獲得をねらったワークショップも考えたいが、これは学会の方向性にかかわることでもあるので、今後検討していきたい。
・数年分の学会費を納入すればディスカウントされるという(欧米学会でよく見られる)方法を採用すれば納入が促されるのでは。
・ぎりぎりまで収入努力して、赤字を出さないようにしたい。
5.編集委員会(河路)
(1)第9 号の進捗状況
第9 号の編集日程、募集要項、内容について報告がなされた。広告はインターブックス社が交渉に当たるので、執筆者に関連する出版情報の提供を行うようにしたい。査読の締め切りを
担当者が守ってくれることが、編集作業に寄与するので、ぜひ協力をお願いしたい。
(2)インターブックスとの契約案の検討
学会の全般的財政危機の問題を昨年夏に知り、支出減をめざして編集委員会でもインターブックス社との取り決めを検討した。今回の理事会で承認を得たい。それによって印刷費の大幅減
になる。その結果、JOHA の収入はJOHA 買い取りの300 部のみになる。それ以外の販売分はインターブックスの収入となる。
・電子化についてはすでにインターブックスと取り決めが行われている。著作権のことについても公開の許諾がすでにある。CiNii のダウンロード代はJOHA 収入となる。
・JOHA11 は7 月開催なので、大会時に学会誌の完成が間に合わない。すでに決定しているよう
に、次号からは会員全員に郵送するため、その費用がかかる予定である。
6.広報(川又)
(1)ニューズレター23 号の発行報告
事務局から昨年末に発行した旨の報告あり。今年の学会が7 月末開催なので、次号のニューズレターは6 月末には発行する必要があることを確認した。
次号の担当は松田凡理事になる。
7.研究活動(小倉)
(1)来年度大会のワークショップ案(今年度のテーマセッションにあたるもの)
今年度は5 月に「まちづくりとオーラルヒストリー」を単発ワークショップとして開催。次大会のテーマセッションとして「JOHA10 年、いまオーラルヒストリーを問い直す」のテーマで歴史学、社会学系のベテランと若手の会員に登
壇してもらい、世代間の議論を触媒として参加者の意見交流を図る内容にしたい。社会学では桜井厚・石川良子、歴史学では大門正克を軸に研活で検討を重ねる。担当理事について実務は
小倉理事が当たり、山本理事が補佐という体制でやっていく。基本的には研活全体で取り組む予定。
・この企画として、フロア全体の催しにすると意見交流が広がらないおそれもあるので、従前の実践交流の流れにそって数人のグループに分けてグループワークをするのはどうか。
・大会の中心的な企画でもあるので、グループワークの時間を十分に確保できるように、大会プログラム案を検討したい。次の大会は記念大会でもあるので、テーマセッションは午後1 時
半から5 時半まで時間を確保して実施してはどうか。つまり1 日目の自由報告を10 時半~12時半から実施し、その枠で終了しない場合は翌日に回すことにすると、午後はすべてテーマセ
ッションの時間にさくことができる。
・そうなると一日目の午前中に理事会を開催できないので、金曜日の夕方に開催することになる。これについては学内に宿泊施設と会議場があるので、さっそく予約したい(太刀川会館)。
(2)自由報告の募集アナウンスと締め切り等の日程調整
次回は一般会員の勤務校での開催となるため、プログラム等は理事会で準備することにしたい。
事務局(山田)と研活(小倉)の双方で自由報告の受け付けをする。5 月末に応募を締め切り、事務局と研活でプログラム素案を作成する。司会については理事会で決定する。
8.国際交流委員会(吉田)
今回は欠席で委任状をいただいているが、特に報告はない。
9.設立10 周年記念大会プログラム案の検討
(1)学会大会:2013 年7 月27 日(土)~28(日)、立教大学新座キャンパス(埼玉県新座市)
午後をワークショップだけで使うことに決定した。すると、土曜日の午前中は通常授業があるため、授業とぶつからないように、1 日目午前の第1 分科会と第2 分科会は会場となる教室
を当初予定から変更することにした。ワークショップ会場としては、学内に映画館があり、フロアに車座になって議論をすることもできる。連動して、前日の理事会は太刀川記念交流会館
にて18 時~20 時を予定する。
・学会運営プログラムの作成(事務局案提示)
大会第1 日目7 月27 日(土)
受付開始10:00
自由報告10:30~12:30
第1 分科会・第2 分科会
設立10 周年記念大会テーマセッション13:30~17:30
懇親会18:00~20:00
場所:食堂こかげ一般=4,000 円、その他=2,000 円
大会第2 日7 月28 日(日)
自由報告9:00~12:00
第3分科会・第4分科会
総会12:15~13:00(選挙結果報告あり)
昼食休憩:13:00~13:50
記念講演会14:00~16:00 アーサー・フランク氏(交渉中)
終了後新旧合同理事会
(2)大会シンポジウムについて
たまたまアーサー・フランク氏の来日が学会開催日程と重なることになったので、通常のシンポジウムの役割は、記念テーマセッションに任せることにして、今回はその代わりに記念講
演会にすることで合意した。これから交渉し始めるが、ぜひ実現させたい。フランク氏の講演については、立教大学との共催で一般公開にすれば開催校から後援謝金が出るので、逼迫財政の助けになるだろう。
10.理事選挙日程について
選挙日程:1 月6 日:スケジュール確定。2月8 日:選挙権の確認と未納者に対する会費納入の督促。3 月末までの納入者に選挙権を与える。4 月5 日:投票用紙郵送。4 月22 日:消印
有効で投票を実施する。返信用切手貼付封筒同封。4 月25 日:開票作業、投票状況発表、選出理事会合日程調整。5 月初旬に当選理事を招集し、互選で会長選出、その後、会長が推薦理事
と役職を選任する。
選挙管理委員会は、事務局の山田富秋・事務局幹事の木村知美・一般会員の竹原信也の3 名で構成する。投票用紙の郵送・開票も含め、松山大学で選挙事務を行う。
会計年度が変更されたため、有権者は3 月末までの会費納入者とする。この件は規定の変更が行われていないため、次年度総会で見直しと承認を行う。
・今回2 期務めた理事は山田、河路、松田理事の3 名で、次回は理事の被選挙権はない。なお、2 期重任できない規定は理事のみに適用し、監事はのぞくことが確認された。
・現行の投票用紙の「8 名から3 名を選ぶ」というのが少ないと思われるので、「8 名から8 名」にしてはどうか。これは記入する人数を多くすると、書けないため、空欄になることを防ぐ意
味で3 名にしていることが説明された。この変更点については次回理事会以降の課題とした。
11.その他
・2014 年7 月開催の世界社会学会大会(横浜)のRC 横断セッションのエントリーが1 月15 日までの締め切りである。4 人でエントリーすればセッションを持てるが、JOHA のアピールのた
め、会員に参加を促したい。企画書は塚田会長が作成する。
・司会とコーディネーター塚田守,登壇者:橋本みゆき・山田富秋他
・次回理事会開催日と場所の決定
6 月16 日(日)午後1 時から。自由報告の配置と司会決定等、大会プログラムの検討が中心になる。会場は立教大学池袋キャンパスにする。
※約16:00 に理事会終了後、舛谷会員に新座キャンパスの会場予定教室や懇親会場などを案内していただいた。

2.第5 期第6 回JOHA 理事会議事録案
日時:2013 年6 月16 日(日)
時間:13:00~17:00
場所:立教大学池袋キャンパス12 号館2 階会議室
出席者:塚田守、山田富秋、橋本みゆき、河路由佳、折井美耶子、山村淑子、山本唯人、グレゴリー・ジョンソン、小倉康嗣、森武麿、吉田かよ子、川又俊則、舛谷鋭(大会開催校)
議題案
会長挨拶事務局長の山田富秋が飛行機トラブルにより遅く到着。その間、塚田会長が書記と司会を務める。
1.JOHA11 大会プログラム案の確定
開催校の舛谷鋭先生に出席してもらい、学会前日の理事会と学会当日について打ち合わせを行った。26 日(金)の新旧理事交流会については、理事の誰かが宿泊することで、太刀川記念
交流会館の会議室を使用して、理事会を行う。
コピー機器は基本的にはないので、緊急の場合は何らかの対応をする。
27 日(土)はシアターがメイン会場になる。
大会に出店する書店の取り扱いは大会校になる。
夜の懇親会については、一般=4000 円、学生その他=2000 円にする案が出された。テーマセッションの打ち合わせ6 名には弁当を学会から出すが、他の会議の弁当については参加者が実費を払う。テーマセッション登壇者の小薗崇明氏は非会員だが、今回の企画趣旨を踏まえ、謝礼はださず、懇親会費を無料とする。
28 日(日)の記念講演の打ち合わせについては、学会から弁当を支給する。記念講演会の終了後に、フランク先生を囲んで小規模の懇談会を近隣で行う。
6 月20 日原稿締め切りの学会ニュースレターに間に合うように、学会プログラムを作成する。
テーマセッションについては、タイムテーブルを入れることで参加型の形式を会員に周知させる。その際、コメンテーターの短いプロフィールを書きくわえる。記念講演会については、塚
田会長が講演の趣旨文を作成する。自由報告部会の司会は第一候補と第二候補を立て、交渉は事務局が行うことになった。テーマセッションについての趣旨と司会については別紙。記念講
演について司会は塚田守が行う。
2.事務局より
(1)会員の異動と退会について:新入会員と住所変更について前回理事会からの新規分について報告がなされた。また、会則によれば2 年間学会費未納者は退会になると規定されているが、
09 年度を最後に納入した会員で、自分が未納になっていることを知らなかったケースがあったので、09 年度の該当者11 名については、会費督促を会計が行うことになった。それ以外のケ
ースについては、3 章5 条の自動退会として扱い、名簿から削除することになった。
(2)総会議案:事業報告:事業報告案が整理されていないので、新しいバージョンを再提出することになった。また、会計年度と事業年度を一致させず、会計年度は4 月1 日開始、翌年3 月
31 日締めの年度とし、事業年度は9 月1 日開始、翌年8 月31 日締めとする。これは昨年度の総会においては、明確に決定してはいなかったため、今年度の総会の第一議題として提案する。
3.会計報告
総会議案:今年度決算・来年度予算については、会計から提案された原案の繰越金が少なかったので、会計を改善するために繰越金を20万円ほどにする努力をすることになった。まず
インターブックスと締結した契約によって来年度の予算の学会誌が、600000 円から500,000 になる。さらに昨年の総会で決定した学会参加費を徴収することで、会員参加費=1000 円、非会
員一般=2000 円、非会員学生等=1000 円で、合計120000 円ほどの収入増が見込まれる。この措置だけで繰越金が20 万近くなる。
4.編集委員会報告
この号からインターブックスと契約を結んでから最初の出版になる。10 周年記念号なので、いつもよりも多くの投稿があったが、できあがりの頁数が多いと、契約時の48 万円よりも多く
なるので、今号は2 段組みにして、フォントを小さくしたいという提案が編集委員会からなされた。この方針は賛成多数で決定された。
今回の投稿は力作が多く良い論文が掲載できる。特集なども含めて質のよい論考が多かった。
また自由投稿についても査読者が丁寧にコメントし、著者からのリプライもそれに答えた誠実なものでより良いものになっていた。今回、査読協力者の名前を記載することにした。編集委
員会から提示された目次案について、いくつか修正がなされた。
5.広報
学会案内の広報スケジュール確定。なるべく6 月20 日を目指して原稿を広報に送るように周知徹底した。HP 管理を担当しているカリテスの岡部拓哉さんが転職したそうなので、連絡のあ
った4 月中旬以降、HP 管理がどうなっているのか確認することになった。また、委託契約は保守管理も含んでの契約だったので、中途で管理がなくなった場合にはどうするのか確認することになった。
6.研究活動
5 月にワークショップ、参加人数が20 名ほどだったが、好評だった。報告者の林奈都子氏が地域社会を動かす方法としてのオーラルヒストリーのあり方などについて報告し、示唆的だっ
た。また、学会誌のバックナンバーなども売ることができ、新会員のリクルートの場にもなった。
7.国際交流
現在は世界大会のアナウンスをニュースレターに掲載する程度になっている。学会としては、世界社会学会横浜大会にエントリーする予定である。
8.その他
学会時のPR チラシ配布については、他のチラシと一緒にして配付を許可することになった。報告事項 次期理事選挙結果について報告があった。当選理事の互選の結果、次期の理事会構成もほぼ
固まったことが報告された。
Ⅲ.事務局便り
1.会員異動(2012 年11 月から2013 年6 月中旬まで)
(1)新入会員
金城悟 東京家政大学
横山香奈 大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程
根本雅也 一橋大学大学院社会学研究科博士課程
康陽球 京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程
齋藤紀江 短大講師
井上恵子 筑波大学大学院人文社会科学研究科
高井良健一 東京経済大学
田野綾人 立教大学大学院博士課程
岩間優希 中部大学国際関係学部・人文学部非常勤
小泉優莉菜 神奈川大学大学院博士前期
藤井和子 関西学院大学大学院博士課程
金馬国晴 横浜国立大学准教授
(2)住所変更
張嵐、好井裕明、高山真、酒井アルベルト、武井順介、田村将人、桂川泰典
木村豊、八木良広、石川良子、矢吹康夫、青木秀光、安倍尚紀、内藤直樹
(3)再入会
井上愛美
※連絡先(住所・電話番号・E-mail アドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。

2.2013 会計年度(2013.4.1~2014.3.31)会費納入のお願い
4 月に選挙管理委員会または会計より年会費納入のご案内をお送りしました。早々に納入く
ださった方、ありがとうございます。まだ納入されていない方はお早めにご入金ください。7
月のJOHA11 大会時にスムーズに受付を済ませるためにも、なるべく大会前に納入くださいますようお願いいたします。
4 月に請求書が届かなかった方は、3 年分以上の滞納があるため自動退会扱いになっています。ご不明な点があれば会計までお問い合わせください。なお、再入会はもちろん歓迎です。
■2013 会計年度年会費
一般会員:5000 円、学生他会員:3000 円
年会費には学会誌代が含まれています。次号はJOHA11 大会後、2013 年度会費納入者に発送予定です。
■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ
郵便払込・口座振込控を領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。
学会発行の領収証が必要な場合はお知らせください。
学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、会計担当の橋本みゆき
(電子メール:mieux[at]bf6.so-net.ne.jp)へお問い合わせください。

IV.研究活動報告
1.2013 年度JOHA ワークショップ
2013 年5 月19 日、大東文化会館にて2013
年度のワークショップが開催された。テーマは、「歴史を書き綴る住民たち――地域にとっての
オーラル・ヒストリー/オーラル・ヒストリーにとっての地域」。報告は、浦安市郷土博物館学
芸員(歴史担当)の林奈都子さん。タイトルは、「ハマの記憶を明日へ――浦安市郷土博物館
聞き書き事例報告」である。オーラル・ヒストリーは誰のものなのか。その学知はいかなる性格や位置価をもっているの
か。いわば、学問としてのオーラル・ヒストリーの社会性の問題を、近年の研究活動委員会は
繰り返し議論してきた。2011 年度のオーラル・ヒストリーフォーラムは「学知と現実のはざま」
をテーマに開催された。2012 年の学会大会10周年記念テーマセッションでは、オーラル・ヒ
ストリーの源流の一つであり、戦後日本の民間学として独特の位置を占める地域女性史運動を
とりあげた。今回のワークショップもこうした問題関心の一環にあり、地域の社会教育施設で
ある郷土資料館での地域住民による聞き書き実践をとりあげた。
浦安市は「海苔と貝の町」であった。だが、1958 年に旧江戸川上流にあった製紙工場から
の排水が海に流れ込み、漁場が壊滅的な被害を受ける。浦安の漁業者は抗議のため工場になだ
れ込み、機動隊との乱闘が起きる。これが「黒い水事件」であり、日本初の環境法である「水
質二法」を制定させる契機ともなった。この事件以来、漁獲高は減少する。1965 年から埋め立
て工事が開始、1971 年には漁業権を全面放棄し、漁師町・浦安は歴史の幕を閉じる。
林さんは、「黒い水事件」50 年目にあたる2008 年に、当時を知る人たちを語り手に、地域
の住民たちと聞き書きを始めようと思い立ち、「浦安・聞き書き隊」を郷土資料館の事業として組織する。1 年間、全52 名のライフヒストリーを聞き取り、その
後2 年間かけて2 冊の聞き書き報告書を編集・刊行した。
林さんの報告は、「聞き書き隊」結成までの経緯や活動の実際について紹介した上で、博物館活動としての聞き書きという歴
史実践はどういう経験であったのか、いかなる意味をもっていたのかを明らかにするものであった。
報告は2 時間にわたる濃密なものであり、この場で要約することはできない。そこで、結論の部分を紹介したい。
埋め立て地である浦安で、漁師町であった過去の歴史を語り手と聞き手の共同作業・相互行
為によって掘り起こすことは、「共感」を梃子にしながら、地域社会とそこに生きる人間を、そ
の生きがたさ・時代拘束性を含めて全体的に理解する行為である。地域の歴史を掘り起こし、
それを大切にすることは、一見すると埋め立て地で、歴史が無いように見える場所を、愛着の
ある「郷土」に変えていくことであり、ひいては、自分の人生を歴史的にとらえ返し、大切に
していくことにもつながっていく。つまりは、オーラル・ヒストリー(聞き書き)とは、「人の心を動かす」ものであり、「やさしい地域社会をつくるための知」という性格をもっているという。
そうであればこそ、林さんは、オーラル・ヒストリーを研究者だけのものにしてしまうのは「もったいない!」という。オーラル・ヒスト
リーを地域のなかで多くの市民と共有していく、一般市民がオーラル・ヒストリーを自分のもの
にしていくことが重要なのであり、地域博物館はそうした市民の豊かな学びを支援し、組織し
ていく重要な役割を担っていると結論づけた。参加者は16 名。人数が少なかったため、テーブルをロの字の形にし、参加者の自己紹介か
ら始めた。それが功を奏し、終始、アットホームな雰囲気であり、報告後の質疑応答も活発で
あった。会員外からの参加が多く、地域で活動をしている一般市民の姿が目立った。学会とし
ては、研究者と市民が共同することで拓かれるオーラル・ヒストリーの地平を確認する絶好の
機会であったように思われる。(和田悠)

V.2013/2015 理事選挙投票状況
2013 年4 月26 日、松山大学にて、2013/2015理事選挙(4 月22 日消印有効)の開票作業を行い
ました。投票状況は以下の通りです。
郵送による投票総数: 57
白票による無効投票: 1
被選挙権該当者以外への投票による無効投票:3
3 名以内連記の投票総数: 164
今回は会員投票による選出理事の確定が目的です。5 月11 日に当選理事を招集しました。その結果、2013/2015 理事会構成案が総会で提案されます。以下に関連規定を掲げます。

参考:日本オーラル・ヒストリー学会理事選挙規程(抄)
1.理事会の構成
日本オーラル・ヒストリー学会の理事会は、会員による投票で選出される8名と、投票によっ
て選出された理事による推薦選出者7名以内の15名以内で構成され、選挙年度の総会において承認を得るものとする。
5.選挙管理委員会
選挙管理委員会は事務局長および事務局長が指名する正会員2名で構成される。
7.投票による選出理事の役割
投票によって当選した8名の次期理事は、次期会長候補者を互選し、また残り7名以内の理事候補を投票結果を参考にしながら、選出する。
以上

日本オーラル・ヒストリー学会2013/2015 選挙管理委員会(五十音順) 木村知美、竹原信也、
山田富秋
**************************
JOHAニュースレター第24号
2013年6月30日
編集発行:日本オーラル・ヒストリー学会
JOHA 事務局
〒790-8578 愛媛県松山市文京町4-2
松山大学人文学部社会学科山田富秋研究室
日本オーラル・ヒストリー学会事務局
FAX 089-926-7074
E-mail joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp
**************************

JOHAニュースレター第23号

日本オーラル・ヒストリー学会Japan Oral History Association(JOHA)
JOHA ニュースレター 第23 号
学会ウェブサイト: http://joha.jp 2012 年11 月22 日

《日本オーラル・ヒストリー学会第10回大会 盛況のうちに閉幕》
日本オーラル・ヒストリー学会第10 回大会は、9月8日(土)、9日(日)の両日にわたって椙山女学園大学(愛知県名古屋市)で開催されました。4つの分科会と大会記念テーマセッションでは、いずれも活発な議論が交わされました。大会2日目の午後は、「語りから『いのち』について考える:聞き難いものを聞き、語り、書く」と題するシンポジウムが開かれ、学際的な討議が繰り広げられました。
会員のみなさまに来年度の開催校をお知らせします。今年度の総会時点では東京近辺の開催とだけお知らせして、まだ具体的な開催校は決定していませんでした。このたび前年度学会事務局を担当していただいた舛谷鋭先生の立教大学観光学部(新座キャンパス)にて第11 回大会を開催することに決定しました。また諸般の事情から、例年9 月に開催している学会を、来年度は7 月27 日(土)~28 日(日)の日程で行います。例年より早い開催になりますので、自由報告の募集も1 ヶ月ほど早くなります。
HP 上での募集に注意してください。なお、次の大会は本学会の10 周年記念大会ですので、ふるって報告のエントリーをお願いします。
……………………………………………………………………………………………
【目次】
Ⅰ.学会大会報告
1.大会を終えて/2.第1分科会/3.第2分科会/4.第3分科会/5.第4分科会/6.大会記念テーマセッション/7.シンポジウム
Ⅱ.総会報告
2011 年度事業報告・決算報告・会計監査報告、2012年度事業案・予算案他
Ⅲ.理事会報告
1.第五期第4回理事会
Ⅳ.お知らせ
1.『日本オーラル・ヒストリー研究』/第9号投稿募集/2.国際学会大会のお知らせ/3.会員異動/4.2012 年度会費納入のお願い
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Ⅰ 学会大会報告
1.大会を終えて
2012 年9 月8 日・9 日、椙山女学園大学において第10 回大会を開催しました。東海地区での開催は初めてでしたが、両日含みて56 名(会員46名、非会員10名)の参加ありました。自由報告の4分科会も例年のように活発な議論が行われたことに加え、本大会は第10 回記念テーマセッションを名古屋を発祥の地とする地域女性史のあゆみをテーマとて、「日本オーラル・ヒストリーの源流をたどるー地域女性のあゆみから」を行ない、まさに、オーラル・ヒストリーの伝統について議論が活発に行われた。また、シンポジウムでは、専門を異にするシンポジストの興味深い発表に続き、討論者からの議論も活発に行われ、規定の時間を越えて議論が続づくほどの盛況ぶりであった。
なお、大会開催に際して、東海地区の財団「大幸財団」からの学会補助金をいただくことができ、ほぼ予算通りの決算になりましたことを報告いたし、財団に感謝いたします。(塚田 守)

2. 第1分科会
第1 分科会では、放送メディア史、生活文化史、民俗芸能史にわたる多彩な4 件の研究報告がおこなわれた。
第1 報告の長谷川倫子(東京経済大学)「文献資料散逸の補完としての聞き書き調査――1960年代のラジオ深夜放送を事例として」は、60 年代の終わりに一大ブームとなったラジオ深夜放送が、いかに誕生したのか。それを、報告者自身も熱心なリスナーであった名古屋CBC(中部日本放送)の深夜番組を事例に、その番組の制作に携わったディレクターやDJ へのインタビュー調査や、それによって新たに発掘された資料等にもとづいて、イメージ豊かに報告された。インタビュー調査が、社史には登場しない新たな実情を示す資料発掘の契機となるのと同時に、インタビューをおこなってよかったこととして、送り手の動機がわかったことを挙げておられたのが印象的であった。
第2 報告の廣谷鏡子(NHK 放送文化研究所)「オーラル・ヒストリーが伝えるテレビドラマの黎明期――生放送時代の現場から」では、テレビ初期の「生ドラマ」に関わった人たちのオーラル・ヒストリーから、テレビドラマの歴史が生成していくさまをビビッドに描出された。当初、テレビドラマは「電気紙芝居」と言われ、誰も担当したがらなかった「非エリート現場」であったことや、現在「歴史的」とされているテレビドラマの手法やシステムが、生ドラマゆえの技術的・物理的制約があったからこその工夫によって生み出されたこと、テレビ美術が、生放送のなかでいわば“でたとこ勝負”(これは報告から私なりに感じた印象を言葉にしたものである)で独自に生み出されていった過程など、「正史」ではうかがい知れない3 つの視点が提示され、検証された。
第3 報告の竹原信也(新居浜工業高等専門学校)「別子銅山社宅街(鹿森社宅)における昭和の生活史」では、都市でも農村でもない空間・共同体としての「社宅街」で人びとがいかなる生活をしていたのかを、その先進性に着目されながら、いまはなき別子銅山(愛媛県新居浜市)の山間につくられた社宅街である鹿森社宅の生活経験者へのインタビュー調査と蓄積された史資料から明らかにされた。そこでは、強い一体感と相互扶助の精神、平等性、平和な生活文化が指摘される一方、個々人の心理や行動に強い抑制・統制が働いていた可能性も示唆された。この報告ではとくに活発な質疑応答がなされ、どういう立ち位置からこのフィールドをとらえていくのかや、オーラル・ヒストリーの可能性と限界というところにまで議論がおよんだ。
第4 報告の川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)「神明社神楽の歴史と言説」では、江戸期から伝承されている「神明社神楽」にたいする歴史的・文化的な認識を、伝承者へのインタビューや祭りへの参与観察(総計8 回)、そして文書資料をトライアンギュレーションしながら、その深層から読みなおしていく試みがなされた。これまで神楽は歌舞伎の影響が強いと認識されてきたが、「歌舞伎的」とひとまとめにするには困難な多彩な要素があること、さらにこれまで重要視されてこなかったところにこそ古い要素があることが明らかにされた。芸能伝承者の言説と「実際の歴史」とのあいだの齟齬から、神明社神楽のアイデンティティ構造を深層からあぶりだしていく、静かなパッションを感じる報告であった。
各々の報告への質疑応答や議論が盛んになされ、全体での討論時間がほとんどもてないほどであったが、いずれも、オーラル・ヒストリーにどんな意味や意義があるのかということを、まっすぐに考えさせてくれる報告と議論がなされたと思う。教室いっぱいの参加者で熱気のある分科会となった。(小倉 康嗣)

3.第2分科会
第2 分科会では、医療分野でのインタビュー・データを用いた2 つの研究報告が行われた。
第1 報告の青木秀光会員(立命館大学大学院)による報告「統合失調症の子を抱える親たちの多様性」においては、統合失調症の子を持つ5 名の親(父親3 名、母親2 名)に対し行われたインタビュー調査のデータを、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した成果が報告された。報告者によれば、統合失調症の子を持つ「親の育ち」のプロセスは「発症による混乱」と「第2 の人生の計画とはじまり」から開始され、「地域社会からの偏見」や「資源への不満」等の紆余曲折を経て、「できることへの着眼」や「ともに乗り越える」などの〈親の育ち〉をもたらす。しかしその一方で、「できないことへの着眼」や「再発による落胆」などの〈育ちの阻害因子〉も同時に存在し続け、それらは〈育ち〉を阻害するものとして機能しているという(なお、当日の報告ではインタビュー・データの切片とともに、以上のプロセスを図にした結果図が合わせて配布された)。続く質疑応答においては、インタビュー調査の文脈や背景についての詳細な確認や、経験の「多様性」に関わる問題提起などがなされ、活発な議論が行われた。
第2 報告の竹迫和美会員(国際医療通訳士協会)による報告「米国の医療通訳発展を支えた医療通訳士のオーラル・ヒストリーより」においては、米国の医療通訳士のNPO の創設者等へのインタビュー・データを、活動開始や継続への動機という観点から解釈する試みが報告された。報告者によれば、活動開始・継続の動機に関しては、調査対象者たちの生い立ちや家族、特に親からの影響が大きいとされ、具体的にはボランティア活動にコミットしていた母親からの影響などについての語りが示された。フロアとの質疑応答においては、今回のインタビュー・データの内容と解釈についての確認に加えて、医療通訳士の仕事の内容や位置づけについても様々な議論が行われた。
全体を振り返ってみると、プログラムの変更などもあり、1 部会2 報告という異例のセッションではあったが、その分、各報告において十分な報告時間と質疑応答の時間をとることができ、結果として充実した分科会になったと思われる。いずれの報告も新しい分野に積極的に切り込むものであり、今後ますます本学会で医療・福祉の分野におけるオーラル・ヒストリー研究が盛んになることを期待させる内容であった。(田代 志門)

4.第3分科会
第3分科会では、オーラル・ヒストリーという研究方法について、またその可能性について長年にわたり研究・発信されてきた三人の方々による大変充実した報告と、活発な質疑応答がなされた。
第1報告 山本恵里子「日系人オーラル・ヒストリー・インターネットサイトの利用方法―教育カリキュラムの提言」山本恵里子氏はご自身のアメリカでの体験・実践にもとづき、デジタル化の進行にともなうオーラル・ヒストリーの教育面での積極的利用とその意義について大変説得力のある議論を展開された。日系アメリカ人のオーラル・ヒストリーがいかに多様な方法により活用されているかを詳細に紹介し、いまだ研究レベルにとどまっている日本の現状に対し、教育面での利用形態や効用について具体的に例示された。オーラル・ヒストリーの教育的利用の可能性について、自らが歴史をつくる能動的存在であることを学生が実感し得る機会になること等とし、具体的に検証した示唆に富む報告であった。
第2報告 加瀬豊司「オーラル・ヒストリーの著者性( authorship )をめぐって( Authorship in OralHistory)」
加瀬豊司氏の報告は「オーラル・ヒストリーの著者性」について考察されたものであった。加瀬氏はワシントン,D.C.を中心に行った日系アメリカ人へのインタビューにもとづく論文作成過程で考えられたことを、「著者性(authorship)」を基軸に論じられた。「自分の持っている文化による規定性」―「方法論的拘束」に対して批判的省察を行い、オーラル・ヒストリーという研究方法のはらむ問題について、自らの課題として真摯に取り組んだ報告であった。
第3報告 吹原 豊「移住労働者とその関与者の語りから見た日本語習得の促進要因」
本報告は昨年度に引き続き、茨城県東茨城郡大洗町のインドネシア人コミュニティについての調査にもとづくものであった。吹原氏は7年間にわたり同町に足繁く通い、言語教育の立場から、長期滞在者の日本語習得について調査されてきた。大洗町のインドネシア人コミュニティ成立の背景を検証しつつ、長期滞在者でも日本語能力が低いままの人が大多数であることに気づき、OPI(OralProficiency Interview)を実施したという。報告はこのOPI による調査結果にもとづき、日本語習得の阻害要因や促進要因について考察したものであり、言語教育という分野でのオーラル・ヒストリーの可能性を示す報告であった。
以上、第3分科会の各報告を通じ、方法としてのオーラル・ヒストリーの深化とともに、それが実践的課題と密接に結びつくものであること、及びその可能性をあらためて感じた次第である。(野本 京子)

5.第4分科会
第4 分科会では、3件の研究報告が行われ、約30名が参加した。3 件とも研究対象や手法、報告の焦点が異なっていたが、分科会の最後には、過去の経験をどう聞くか、歴史—資料—語りの関係、「複雑なことを複雑なままに」どう語るかという共通の軸が見えて来たことは分科会全体としての大きな成果であった。
第1報告の金城美幸(立命館大学ポストドクトラルフェロー)『パレスチナ難民問題の歴史記述における文字資料と証言の位置』は,イスラエル建国に伴って離散・難民化したパレスチナ人社会のなかで、難民化の経験(ナクバ)についてどのようなナショナルな歴史記述がなされて来たかを検証するものである。パレスチナ人たちはナショナルな実体が不在であり、パレスチナ人の散逸とともに歴史資料も収奪されてしまった。しかし、1980年代に行われた破壊された村のフォークロア研究「ビレッジ・ブックス・プロジェクト」は失われたものへのノスタルジーの理想化だけでなく、過去の再構成による現在に対する権利主張にもつながって来た。しかし、元々離散しているという状況があり、それらのオーラルヒストリーにどのような集合性を見ていくのかという大きな問題が未解決のままである。質疑応答では、このようなナクバの語りはナショナルなものを超えたグローバルな記憶のあり方として語りの「主観」「客観」性の観点から分析すると大変興味深いという指摘があった。
第2報告の山田真美(お茶の水女子大学大学院)『ハンセン病に罹患した一人の捕虜の目を通じて見たカウラ事件』は、1944年8月5日オーストラリアのカウラ戦争捕虜収容所において1104名の日本人捕虜が集団自決的な暴動を起こし、その結果234名の日本人と4 名のオーストラリア兵が命を落としたカウラ事件で生き残った元捕虜たちに行ったインタビュー調査のなかから、ハンセン病で隔離収容されていたT 氏の体験を分析するものであった。元捕虜たちの約8割は日本に戻ってから自分が捕虜であったことを隠し通して来た。T 氏も差別を避ける為に、姓名も変え「どこの馬の骨ともわからない」男となって暮らして来た。山田氏はそのT 氏に寄り添い聞き取りを行って来たということだが、そのインタビューの実際の語りが今回の報告のなかで紹介されなかったことは大変残念であった。
第3 報告の桜井厚(立教大学)『戦争体験を語り継ぐストーリーの分析』は、 沖縄における平和ガイドという語り継ぐ実践活動において、どのような語りが生み出されているのか、どのように聞かれているのかを語りの内的な構造からアプローチするものであった。日本における戦争の語り継ぎは、個人の記憶をありのままに伝えるのではなく、戦争の悲惨さや平和の強調などのメッセージ性が強く、語り部の語りを聞いた聞き手側の具体的な出来事を聞き取る力を損ねているのではないかという指摘が大変興味深かった。(滝田 祥子)

6.大会記念テーマセッション
従来は「研究実践交流会」という枠だったところを、今回は、研究活動委員会が企画を練り、「第10 回大会記念テーマセッション」として開催した。昨年度、開催されたオーラル・ヒストリー・フォーラムの成果を受け継いで、日本のオーラル・ヒストリー研究は何をやってきたのか、これから何をやっていくのか。日本のオーラル・ヒストリー研究にとってJOHA はどういう場所であったのか、これからどういう役割を担っていくのか。これが本テーマセッションの根本的な問題関心であった。テーマとしては、日本におけるオーラル・ヒストリー実践の一源流である、地域女性史をとりあげた。
報告者は伊藤康子氏(愛知女性史研究会、元中京女子大学短期大学部教員)であり、「地域女性史と聞き書き」と題して報告された。報告の冒頭で伊藤氏は1934年に生まれ、1966年に夫の転勤で名古屋に転居し、名古屋女性史研究会に入会するまでの現代史・女性史のありかたについて、自分史をそこに重ねながら話した。それは、戦後の女性知識人が戦後歴史学、戦後民主主義をどう経験したのかという貴重な歴史的証言ともなっていた。報告の重心は、地域女性史における「聞き書き」とはいかなる経験であったのかという点におかれた。こうした観点から、自らが取り組んできた愛知を中心とする地域女性史の実践について、1977 年に呼びかけて結成された、女性史研究の全国ネットワークである「全国女性史研究交流集会」の歴史やそこでの論争点について、初期の主な地域女性史集団の具体的な作品について、紹介・分析した。伊藤は報告の結びで、「地域女性史は経緯と対等観をもって聞いた女性の生活史を束ね、社会の実像に陽の目を当ててきた」、「聞き書きとはその場に生きる人の力を強めるものである。東日本大震災後の現在、被災地でも聞き書きが始まっている。地域女性史にもやるべきことがたくさんある」と指摘した。伊藤の報告は、地域女性史の歴史的経験を通じて、実践的学知としてのオーラル・ヒストリーの初心を現在に伝えるものであった。また、聞き書きされたものをどう歴史資料として読み解くのか、文献資料とどのように組み合
わせるのか、オーラル・ヒストリーの古くて新しい問題についても具体的な経験から示唆を与えるものであった。
コメントは、「見えない歴史を伝えるために―地域女性史に学ぶオーラル・ヒストリーの可能性」と題して、山嵜雅子会員(立教大学教員)が行なった。自らが行なってきた京都人文学園の卒業生へのオーラル・ヒストリー実践および「練馬女性史を拓く会」の会員としての現在の取り組みを反省しながら、語り手の個人史に立ち入り、それを歴史の表面に出してしまったことにどう向き合うのかという問題や、研究者・調査者と調査される者との関係性(研究者のポジショニングの問題)について論点を提起した。山嵜は地域女性史の経験を「見て、学び、伝える」という実践であると性格づけ、地域の当事者である女性の経験に誠実に寄り添い、その声を構成の世代が受け継ぐという「知の継承」という側面も強調した。
質疑応答は大変活発であった。地域女性史の担い手の性格やその変化、生活者と研究者の関係、フェミニズム・ウーマンリブとの関連、地域女性史という学問を対象化した研究の必要性など、多岐にわたって論点が提起された。地域女性史に関してJOHA で継続的に研究していく必要性があることを意識させられたテーマセッションであった。(和田 悠)

7.シンポジウム
「語りから『いのち』について考える:聞き難いものを聞き、語り、書く」をテーマとして、専門を異にする3 人の報告者の発表を聞いた。このシンポジウムは、身近な人、深くかかわった人を失う経験を持ち、人は死と向かい合い、初めて「いのち」について考えるのではないか、残された者の「失われたいのち」との関わる時、人は「いのち」について語り始め、生きていく意味について考え、いまの自分を再考するのではないかとして、残された者の「いのちについての語り」について議論するというテーマ設定で行われた。
第1 の報告者やまだようこ氏は、『喪失の語り』を書き、残された者がどのように死者とともに生きるかをテーマとしている。本発表では、ご自身の個人的な喪失体験として、幸せ絶頂にあった親友の死について語ることから報告を行った。ナラティヴの機能として「自分自身を持ちこたえる」があることなどを理論的に議論し、不幸な出来事にあった時に活用できる文化的ナラティヴについての議論を展開し、最近日米で起こった不幸な出来事である東日本大震災3.11 とアメリカの同時多発テロ9.11で起こった文化的ナラティヴについて発表した。
東日本大震災3.11 では、「がんばろう、日本」が英国の新聞インディペデント(日曜版)にも掲載され、突然起こった理不尽で国全体を揺るがすネガティヴな出来事を、共同体が集団として乗り越えようとしたと論じた。このことと同じように、アメリカの同時多発テロ9.11 でも、”I love New York”や“We loveAmerica”と合唱が有効に働くのではないかという議論を展開しました。
第2 の発表者佐々木裕子氏は、在宅看護を中心として死に至る人々のいのちを観てきた看護師としての経験を中心として、患者が死と向かい合う中で、本人の「病いの語り」がどうように話され、生きる意味付け行為をしているかについて述べ、身内が死に至る過程での家族や看護師の関わりはどのようなものかについて、看護師としての実践経験について議論した。みずからが関わった具体的な事例に触れながら、死を前にしている人びとが、いのちの最期の段階にあっても示す、「生きることの尊さ・他者にむけられる大きな愛情」の姿を見て、そのことに感動し、深く交わる体験をしていると述べた。そして、看護師が死に行く人々の語りにどのように寄り添い、関わることで、その人びとのいのち・人生の物語を聞くことができるかについても論じた。そして、看護師として、人びとの語りをどのように支え、意味づけをし合い、看護の意味を発見し合う日々を送っているということにも触れられ、話された。
第3の発表者有末賢氏は、「自死の遺族の会」に深く関わり、フィールド調査をしている経験を中心にして、災害でも病気とは異なり、ある日突然、自らのいのちを絶った身近な人に深く関わり残された者の意識について、社会学者の立場から論じた。その本題に入る前に、自らの病気に関わる体験、自死に関わる体験から話され、そのことを語ることの難しさについて述べた。その後、今まで関わった「自死遺族の会」について論じ、自死の衝撃と沈黙について触れながら、自死の特殊性について議論した。また、その遺族たちの自責・自罰の思いなどについての複雑な心理的葛藤として、「後悔」や「取り返しのつかない思い」さらに、「怒り」の相手などについても語った。文章にできないこともあると言いながら、語りにくいことを公開の場で語ることができるが、書くことはできないこともある、という点などについても触れた。そして、最後に癒しと沈黙の関係について述べ、「祈り」と「和解」が今後の課題であると述べた。
指定討論者の山村氏からは、東日本大震災の被害に直接あるいは間接的にかかわるものとしての当事者から、コメントが述べられ、震災の衝撃の大きさについて指摘し、当事者の視点から、「がんばろう、日本」のナラティヴに対する違和感について述べた。また、もう一人指定討論者の清水透氏からも、ドミナント・ストーリーと見なされる「がんばろう、日本」に対する違和感が述べられた。それに対して、報告者のやまだようこ氏から、「がんばろう、日本」は単なるドミナント・ストーリーではなく、人びとを勇気づけるパワフルなナラティヴになる可能性があるというコメントなどがあった。このテーマについて、フロアーからのコメントもあり、活発な議論が行われた。
その熱を帯びる議論を聞きながら、司会者は、いつ議論を止めるべきかのタイミングを待ちながら大幅に時間延長をしてしまった。一般的にシンポジウムは発表者がそれぞれの発表を行い、議論が盛り上がらないものであるが、本シンポジウムは、それぞれの発表者の個人的体験も含む語りなどがあり、立場の異なった視点からの議論が展開されたものであり、閉会後、参加者から「いいシンポジウムを企画してくれました」など、さまざまな評価の高いコメントを聞くことができた。(塚田 守)

Ⅱ 総会報告
日時:2012 年9 月9 日(日)12:15~13:00
場所:椙山女学園大学 国際コミュニケーション棟418 教室
会長挨拶の後、以下の議案が諮られた。
第1 号議案 2011 年度事業報告
2011 年度(2011.7.1~2012.6.30)事業報告について、以下の諸点が報告、了承された。
1.会員の拡大
この年度には新規入会者20 名があった。内訳は一般12 名、学生他、8 名である。HP も昨年12月に従来のブログ形式のHP から新規のHP 管理業者に管理委託した。HP が閲覧しやすくなったので、これによって、さらに会員を増やしたい。
2.第9 回大会の実施と第10 回大会開催
2011.9.10-11 に愛媛県松山大学で第9 回大会が開催された。自由報告21 本の他に、シンポジウム「四国遍路:ピルグリメージとオーラル・ヒストリー」とワークショップ「オーラル・ヒストリーをいかに作品化していくか?」を実施した。また、一日目の午前中に松山城エクスカーションと松島美人原爆写真展を実施した。第10 回大会は椙山女学園大学で開催する。
3.学会誌7 号の発行と8 号の編集
学会誌第7 号を発行し、第9 回大会時に2011年度会費納入済会員に配布した。その他の納入済会員には後日、インターブックス社に依頼して、メール便で送付した。主要な図書館と法人には、辞退連絡がない限り寄贈した。次の学会誌第8 号には、第9 回大会シンポジウムとワークショップについての特集が組まれ、併せて一般公募論文が査読後に掲載される。また、この間今期の編集委員会において、これまで実態と少し離れていた投稿規定と執筆要項を和文と英文で改訂した。会誌販売は、従来通り、インターブックス(株)と、丸善を通じた大学図書館と書店経由の個人販売、およびアマゾンによる個人販売を継続することが確認された。
4.ワークショップの開催
JOHA オーラル・ヒストリーフォーラム「学知と現実のはざま」を前年度の第1 回(7 月開催)から3回にわたって開催した。第2 回は2011 年11 月27日「女性の生に向きあう」、第3 回は2012 年2 月25 日「学知と現実のはざまと当事者研究」のテーマで行った。
5.ニュースレターの発行
ニユースレターはJOHA9 からJOHA10 の間に21 号を発行し、会員メーリングリストによる配布を基本と し、数は少ないが非メール会員には郵送した。
6.ウェブサイトの充実
広報の効果を上げるために、従来のブログ形式のウェブサイトjoha.jp からカリテスに依頼した新しいウェブサイトに移行した。
7.会員相互の交流の促進
事務局管理の会員メーリングリストを通じ、理事会と会員、また会員相互の情報交換を促した。
8.理事の補充
当初編集委員会に入る予定だった山田理事が事務局長になったので、編集委員会にグレゴリー・ジョンソン会員を補充し、理事として就任をお願いした。

第2 号議案 2011 年度決算報告
2011 年度(2011.7.1~2012.3.31)決算報告資料に基づき報告され、了承された。

第3 号議案 2011 年度会計監査報告
監事の有末賢先生と野本京子先生より「会計帳簿、預貯金通帳、関係書類一切につき監査しましたところ、正確で適切であることを認めましたので、ここに報告いたします」と報告があり、了承された。

第4 号議案 2012 年度事業案
2012 年度(2012.7.1-2013.6.30)事業案について、以下の諸点が提案され、了承された。特に来年度から学会大会の参加費を学会員からも徴収することが決まった。
1.会員の拡大と維持
年次大会やワークショップなどの実施を通じ、またこれらの情報を広報することによって、本学会の周知に努め、引き続き会員数の拡大を目指す。また、会員の維持と会費収入確保のため、大会後年内を目途に郵送による入金状況確認と会費納入の督促を行う。
2.第10 回大会の実施と第11 回大会の準備
第10 回大会を2012 年9 月8-9 日の二日間にわたって愛知県名古屋市の椙山女学園大学において開催し、来年度の第11 回大会を9 月中に東京近辺にて開催すべく準備を行っている。開催校が最終的に決定次第、HP や会員ML を通じて広報する。
3.学会誌第9 号の発行
学会誌第8号は、第9回大会シンポジウム「四国遍路-ピルグリメージとオーラル・ヒストリー」と連続ワークショップの特集を組んで発行し、2012 年度会費納入者に大会時配付および、大会後に郵送する。学会誌第9 号には、「第10 回大会記念テーマセッション 日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる」と、シンポジウム「語りから「いのち」について考える」の2 つの特集を組み、査読を通過した一般公募論文とともに、掲載予定である。さらにJOHA の10 年間の歩みについて掲載する。
4.研究会・ワークショップの開催
通例では研究実践交流会となっている枠に今年度の大会は第10 回大会記念テーマセッションを企画したが、JOHA 設立10 周年を迎える第11 回大会も節目となる企画をし、それらと単発ワークショップを連動させて、オーラル・ヒストリーの足場論(日本のオーラル・ヒストリー研究が何をやってきた/やっていくのか、それを可能にする場としてJOHA が何をやってきた/やっていくのか)を議論する場を設定していく。
5.ニュースレターの発行
10 回大会の案内号として第22 号を発行した。今年度は年末に向けて第23 号を発行予定である。配付方法は会員ML に添付して配付し、郵送会員には郵送する。
6.ウェブ情報の充実と改善
カリテスの新しい学会ホームページが稼働し、見やすくなったが、さらに既存情報と新規情報の整備がひつようである。また、学会誌のバックナンバーの目次についても、HP で閲覧できるようにする。
7.会員相互の交流促進
新規会員など会員の異動をニュースレターを通じて会員に周知し、相互の交流に役立てる。また、会員の出版、活動情報についても学会誌での書評やニュースレター等を通じて積極的に共有する。
8.海外のオーラル・ヒストリー団体との交流
国際交流担当理事を中心に、海外のオーラル・ヒストリー団体との交流を促進し、会員に情報提供を行う。主にIOHA 等との具体的な交流体制を今後の検討課題とする。
9.学会発足10 周年記念事業
2013 年が本学会発足10 周年となるため、学会誌の特集号と来年度学会大会を通して記念事業を行う。その際に、この10 年間の本学会の歴史を学会誌に記録として残すことを予定している。
10.財政再建計画
現在、学会の財政が困難な状況にある。財政再建のために種々の方策を試みていくが、まずその一つとして、来年度からは学会員からも参加費一律千円を徴収することを提案する。

第5 号議案 2012 年度予算案
2012 年度(2012/4/1~2013/3/31)の予算案資料に基づき提案され、了承された。ただし、予備費が例年に比べて非常に少ないことなどが指摘され、財政立て直しについて意見を交換した。

第6 号議案 理事の補充について
編集委員会にグレゴリー・ジョンソン会員を補充し、理事として就任することが提案され、了承された。(山田 富秋)

Ⅲ 理事会報告
1.第五期 第4 回理事会
日時:2012 年9 月8 日(土) 10:30~12:30
場所:椙山女学園大学
出席:塚田、山田、河路、橋本、折井、山村、小倉、和田、川又(順不同)
委任欠席:森、仲、和田、松田、吉田、グレゴリー

1.前回議事録確認
・ニュースレター22 号発刊時に第3 回議事録を確認済み。この理事会の書記を川又理事に決定。
2.会長報告
JOHA10 大会開催についての準備状況を報告した。
3.事務局報告
(1)新入会員が1 名、住所変更が1 名あった。
(2)理事・開催時期など
・今期は会計年度が変更となったが、理事年度は現状のままにする。学会大会は開催校事情を考えると例年の9 月1~3 週開催を8 月末開催も視野に入れて検討するのが良い。
・今年は4~8 月のあいだ学会のイベントがなかった。これでは活動が活発に見えない。学会大会と総会が同時なので、他の試みも必要ではないか。
(3)来年度開催校
・京都文教大学での開催はできなくなった。
・大妻女子大学多摩キャンパスを会場として借りる可能性はある。
・その他、横浜市立大学の案も出た。いずれにせよ来年は10 周年なので東京近辺が望ましいことが確認された。
(4)財政立て直し案について
・9 日の総会提案として、来年度から学会員に対して、大会参加費(1,000 円)を一律で徴収することを諮ることにする。非会員は一律一日1,000円(二日参加なら2,000 円)と変更する。
・学会誌について制度改革案が出され、承認された。現在では70 万円近くかかるので、現状の自費出版体制を変え、編集・著作者は学会におき、発行をインターブックスとする(企画出版)。これによってかなりの減額が可能となる。次号の出版に向けて、新しい契約を行うことになった。
・来年度から事務局幹事の事務費用を時間給制にもどす。
・学会誌の著者謹呈冊数は来年度から2 部に変更する。
(5)総会に提出する議案書の検討
・文字等を一部修正をした。
(6)国際社会学会へのエントリー
・国際社会学会が2014 年7 月、横浜で開催される。グループエントリー(アブストラクト)の締切は12 月なので、JOHA として英語セッションを作ることが提案され、学会でプロジェクトチームを呼びかけることになった。
4.編集委員会から
・来年度の学会誌に、初代会長他のエッセイなどや10 年間の年表などを掲載することで今まで貢献してくださったことなどを記録しておきたいとの提案があった。
5.会計から
・今年度年会費は8 月末現在で597,490 円納入された(年会費収入予算の73%)。
・会員は本日時点で288 名(見込みを含む)。このうち2008 年度以降未納は4 分の1 で、ニュースレターのみ受け取っている活動休止状態にある。それを除いた2012 年度未納は103 名で、きっかけがあれば納入すると思われる。未納入者の会費納入を動機づける、活発な学会であることをアピールする企画・働きかけが必要ではないかという意見があった。
6.研究活動委員会から
・以前本学会として調査協力した、質的データ・アーカイヴ化研究会による質的データアーカイヴに関するアンケート調査結果について、12 月に一橋大学でフォーラムを実施する連絡があった。これは近くなったらHP 上で会員にアナウンスする。7.その他 次回委員会日程等理事会は例年2 月だが、話し合うべき議題が出てきたら早めに調整する。

Ⅳ.お知らせ
1.『日本オーラル・ヒストリー研究』第9号投稿募集
論文、研究ノート、聞き書き資料、書評、書籍紹介の原稿を募集いたします。掲載を希望される方は第8号の投稿規定・執筆要項を参照の上、編集委員会まで原稿をお送りください。次号は10周年記念号となります。大会での発表者のみなさんをはじめ、多くのみなさまのご応募をお待ちしています。
締め切り:2013年3月29日(金)消印有効
応募原稿送付先および問い合わせ先は以下の通りです。
日本オーラル・ヒストリー学会編集委員会
〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1 東京外国語大学 総合国際学研究院 河路研究室内
kawajiyu[at]tufs.ac.jp (河路研究室)

2.国際学会大会のお知らせ
2013 年度米国オーラルヒストリー学会(OHA)、および英国オーラルヒストリー協会(OHS)年次大会の
日程、テーマ、発表者募集要項をお知らせします。
なお国際オーラルヒストリー学会(IOHA)の国際大会は隔年開催につき、次年度は開催されません。
各大会の詳細、問い合わせ先は以下をご参照ください。OHA の発表者募集締切は2013 年1月18 日、
OHS は2012 年12 月1日です。奮ってのご参加をよろしくお願いいたします。
(1)Oral History Association (USA) www.oralhistory.org
2013 Annual Meeting Call for Papers
Hidden Stories, Contested Truths: The Craft of Oral History
2013 OHA Annual Meeting October 9 – October 13, 2013
The Skirvin Hilton Hotel Oklahoma City, OK
Deadline: January 18, 2013
Proposal format: For full sessions, submit a title, a session abstract of not more than two pages, and a one-page vita or resume for each participant. For individual proposals, submit a one-page abstract and a one-page vita or resume of the presenter. Each submission can be entered on the web at:
http://forms.oralhistory.org/proposal/login.cfm
The deadline for submission of all proposals is January 18, 2013.
Proposal queries may be directed to: Beth Millwood, University of North Carolina at Chapel Hill, 2013
Program Co-Chair: beth_millwood@unc.edu
Todd Moye, University of North Texas, 2013 Program Co-Chair: moye@unt.edu
Stephen Sloan, 2013-14 OHA President: stephen_sloan@baylor.edu
For submission queries or more information, contact:
Madelyn Campbell, Executive Secretary
Oral History Association Dickinson College, P. O. Box 1773 Carlisle, PA 17013
Telephone (717) 245-1036 Fax: (717) 245-1046 E-mail: oha@dickinson.edu
(2)Oral History Society (UK) www.oralhistory.org.uk
The Annual Conference of the Oral History Society in conjunction with the Centre for Life History and Life Writing Research, University of Sussex
Corporate Voices: Institutional and Organisational Oral Histories
Venue: University of Sussex
Date: Friday 5th – Saturday 6th July 2013
The deadline for submission of proposals is 1st December 2012. Each proposal should include: a title, an abstract of between 250-300 words, your name (and the names of any co-presenters, panelists etc), your
institution or organisation, your email address, and a note of any particular requirements. Most importantly your abstract should demonstrate the use of oral history or personal testimony and be directly related to the history or development of aspects of organisational or corporate history. Proposals should be emailed to the Corporate Voices Conference Administrator, Belinda Waterman, at belinda@essex.ac.uk. They will be assessed anonymously by the conference organisers, and presenters will be contacted early in 2013.(国際委員会 吉田 かよ子)

3.会員異動
(1)新入会員 田代志門 昭和大学
(2)住所変更 田中里奈(新) 池上賢 (新)
◆連絡先(住所・電話番号・E-mail アドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。

4.2012年度会費納入のお願い
いつも学会運営へのご協力ありがとうございます。
本学会は会員の皆様の会費で成り立っています。今年度の会費が未納の方におかれましては、何とぞご入金のほどよろしくお願いいたします。なお、先日発行しました学会誌は、2012 年度会費入金確認後に発送いたします。
■年会費
一般会員:5000 円、学生他会員:3000 円
*昨年度の移行期間を経て、2012年度より会計年度が4月1日から翌年3月31日までとなりました。年会費は12 ヵ月分に戻ります(昨年度のみ9 ヵ月分)。なお年会費には学会誌代が含まれています。
■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票(ゆうちょ銀行にある青色の振込用紙)の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
*従来の記号・番号は変わりありません。
■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ
郵便払込・口座振込の控えで領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。
学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、会計担当の橋本みゆき(電子メール: mieux[at]bf6.so-net.ne.jp)へお問い合わせください。

JOHAニュースレター第22号

JOHAニュースレター第22号

日本オーラル・ヒストリー学会第10回研究大会 (JOHA10)が、2012年 9月 8日(土)、 9日(日)の二日間にわたって、椙山女学園大学において開催されます。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。

【目次】
Ⅰ.第 10回年次大会
1.大会プログラム /2.自由報告要旨
Ⅱ理事会報告
1.オーラル・ヒストリー学会第2回理事会議事録 /2.オーラル・ヒストリー学会第3回理事会議事録
Ⅲ事務局便り
1.会員異動 /2.2012年度会費納入のお願い
**************************************

Ⅰ.日本オーラル・ヒストリー学会第10回大会
Japan Oral History Association 10thAnnual Conference
2012年 9月 8日 (土)・ 9月 9日(日)
会場:椙山女学園大学

1.大会プログラム
第 1 日目 9月 8日 (土)
理事会 10:30~12:00
受付開始 12:00 G階のピロティ
※受付にて9日(日曜日)のお弁当販売を受け付けます。

自由報告 12:30~15:30
第1分科会(417教室)司会 小倉康嗣
1.文献資料散逸の補完としての聞き書き調査―1960年代のラジオ深夜放送を事例として(The interviewees filling up the lost fragments in the historical documents―A case study of the youth radio community emerged in the late 1960’s in Nagoya―)
長谷川倫子(東京経済大学)
2.オーラル・ヒストリーが伝えるテレビドラマの黎明期~生放送時代の現場から~(Oral History Enlightening the Dawn of Television Dramas: Behind the scenes of live drama broadcasting)
廣谷鏡子(NHK放送文化研究所専任研究員)
3. 別子銅山社宅街(鹿森社宅)における昭和の生活史(Life in a copper-mining town “Shikamori” in Bessi Area, Niihama, Japan)
竹原信也(新居浜工業高等専門学校)
4. 神明社神楽の歴史と言説(The history and the discourse of Shinmeisha-kagura)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院)

第2分科会(416教室)司会 田代志門
1.統合失調症の子を抱える親たちの多様性(The diverse lived experience of parents of adult children diagnosed with schizophrenia).
青木秀光(立命館大学大学院)
2.1970年代後半に心臓ペースメーカーを植え込んで職場復帰した男性の働くことの難しさ(Difficulties experienced by a male who returned to work following the implantation of a pacemaker in the late )
小林 久子(藍野大学)
3.米国の医療通訳発展を支えた医療通訳士のオーラル・ヒストリーより(Oral histories of pioneers who shaped medical interpreting history in the United States of America)
竹迫 和美(国際医療通訳士協会)

第10回大会記念テーマセッション 15:40~18:00(418教室)
「日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる――地域女性史の歩みから」
報告 「地域女性史と聞き書き」(仮)伊藤康子(愛知女性史研究会、元中京女子大学短期大学部教授)
コメント 山嵜雅子(立教大学特任准教授、教育学)
司会 和田悠(日本学術振興会)
コーディネイト 山本唯人(政治経済研究所)

開催趣旨:
JOHAが設立されてから、今年で10回目の大会を迎える。JOHAでは、昨年度、開催されたオーラル・ヒストリー・フォーラムの成果を引き継いで、これまでの歩みを振り返り、その足場がどこにあるのかを検証すると共に、この学会が、今後、オーラル・ヒストリーの発展にとって何をなしうるのかを考え合う機会を設けたい。
そこで、本大会では、定例の研究実践交流会に代わる特別企画として、「第10回大会記念テーマセッション」を開催する。
テーマとして、日本におけるオーラル・ヒストリー実践の一源流である、地域女性史のあゆみに焦点を当て、実践的学知としてのオーラル・ヒストリーがどのようにはじまったのか、その原点に含まれていた課題や豊かな可能性を再認識すると共に、そこから、オーラル・ヒストリーの現在の姿を逆照射し、その役割と将来へ向けた可能性を考えたい。
報告者として、1977年、本大会の開催地である名古屋から、女性史研究の全国的ネットワークである「女性史のつどい」の発足を呼びかけ、その後も、名古屋を拠点に、女性史研究を続けてこられた伊藤康子氏をお招きし、「女性史のつどい」が何をめざしたのか、そこでは、どのような女性たちのどのような経験が描かれたのか、方法や残された課題などについて、当事者の立場からご報告いただく。
コメンテーターを社会教育の現場にも関わりながら、近年、京都人文学園についてのご研究をまとめられた、教育学の山嵜雅子氏にお願いする。
当日はフロア参加者も含めて、さまざまな視点・立場から、オーラル・ヒストリーの可能性や今後を語り合う機会としたい。多くの会員、関係者の方々の参加を期待する。

懇親会 18:15~20:15
場所:教育学部 E棟 F19(学食)
一般=4,000円、大学院生=2,500円

第 2 日目 9月 9日 (日)
自由報告 9:00~12:00

第3分科会(417教室)司会 野本京子
1.日系人オーラル・ヒストリー・インターネットサイトの利用方法――教育カリキュラムへの提言(Nikkei Oral Histories on the Internet Can Go a Long Way: Suggested Use in Classroom)
山本 恵里子(移民史研究家・大学講師)
2.オーラル・ヒストリーの著者性(authorship)をめぐって(Authorship in Oral History)
加瀬豊司(四国学院大学名誉教授)
3.移住労働者とその関与者の語りから見た日本語習得の促進要因(Factors, promoting Japanese language acquisition, examined through a narrative of migrant workers and consociates)
吹原 豊(福岡女子大学)

第4分科会(416教室)司会 滝田祥子
1.パレスチナ難民問題の歴史記述における文字資料と証言の位置(Positions of Written Documents and Testimony in the Historiography on the Palestinian Refugee Problem)
金城美幸(立命館大学ポストドクトラルフェロー)
2.ハンセン病に罹患した一人の捕虜の目を通じて見たカウラ事件(Cowra Breakout Seen Through a Prisoner of War Who Suffered from Hansen’s Disease)
山田 真美 (お茶の水女子大学大学院)
3.戦争体験を語りつぐストーリーの分析(Narrative analysis of the wartime experiences conveyed to others )
桜井 厚(立教大学)

総会 12:15~13:00 (418教室)
昼食休憩(受付時予約または持参):13:00~13:45

シンポジウム:14:00~17:00(509教室)
テーマ:語りから「いのち」について考える-聞き難いものを聞き、語り、書く
報告1 「災害のマスター・ナラティヴ-「がんばろう」と“I love New York”」 やまだ ようこ(立命館大学)
報告2 「いのちを支える看護者の語り」佐々木裕子(愛知医科大学)
報告3 「語りにくいこと―自死遺族たちの声」有末賢(慶應義塾大学)

司会 塚田 守(椙山女学園大学)
討論者  清水 透(前学会長)/ 山村淑子(理事、女性史家)
テーマ設定の趣旨:
身近な人、深くかかわった人を失う経験を持ち、人は死と向かい合い、初めて「いのち」について考えるのではないか。残された者の「失われたいのち」との関わる時、人は「いのち」について語り始め、生きていく意味について考え、いまの自分を再考するのではないか。このシンポジウムでは、3つの異なった分野のパネリストがそれぞれの立場から、残された者の「いのちについての語り」について、議論する予定である。
 第1のパネリスト、やまだようこ氏は、『喪失の語り』を書き、残された者がどのように死者とともに生きるかをテーマとしてきた。今回は、東日本大震災3.11のあとの「がんばろう、日本」を、アメリカ同時多発テロ9.11のあとの”I love America”と比較しながら、人は、どのようにして喪失から生成へと変換していくのか、「ナラティヴ(語り・物語)」の働きについて議論する。
 第2のパネリストは、佐々木裕子氏は、在宅看護を中心として死に至る人々のいのちを観てきた看護師としての経験を中心として、患者が死と向かい合う中で、本人の「病いの語り」がどうように話され、生きる意味付け行為に対して関係しているかについて述べ、身内が死に至る過程での家族や看護師の関わりはどのようなものかについて、看護師としての実践経験として、医療における語りの意味について語る。
 第3のパネリスト有末賢氏は、「自死の遺族の会」に深く関わり、フィールド調査をしている経験を中心にして、災害でも病気とは異なり、ある日突然、自らのいのちを絶った身近な人に深く関わり、残された者の意識について、社会学者の立場から論じる。自死の遺族たちは、その死について積極的に語るというよりはむしろ、隠すことが多いと言われている。ただ、同じ経験を共有できる「遺族の会」では、彼らは積極的に語る傾向がある。「遺族の会」で語られる語りとはどのようなものか、それを語る意味などについて論じる。

ご案内
1.発表時間
自由報告:報告30分程度、シンポジウム:報告30分、コメント15分、フロア討論60分
2.会場
椙山女学園大学 星が丘キャンパス
3.大会実行委員会連絡先
〒464‐8662 名古屋市千種区星が丘元町17-3 国際コミュニケーション学部 塚田守研究室気付 電話:052‐781‐5143 E-mail: mamoru[at]sugiyama-u.ac.jp
[入会および会費納入等に関する相談・問い合わせは日本オーラル・ヒストリー学会事務局へ]
4.大会参加費
学会員 無料/学会員以外 一般 2,000円 学生1,000円/シンポジウム参加のみ 無料
5.懇親会
9月9日(土) 教育学部 E棟 F19(学食) 一般=4,000円、大学院生=2,500円
6.自由報告
一発表30分程度とします。発表時間を厳守してください。なお、レジュメを用意される方は、50部程度ご用意ください。万一不足の場合、大会本部ではコピー等致しかねますので、ご了承ください。
7.クローク
学会本部(509教室)に荷物をお預けください。
8.会員休憩室
両日とも415教室。3階の学生控室には自動販売機などがあります。
9.喫煙室
2階のエレベーターの近くの外に「喫煙コーナー」があります。それ以外の場所ではすべて禁煙です。
10.昼食
大会第2日目の昼食については、食堂が日曜日なので、学会参加者は前日に弁当を申し込んでください。申込み者には引換券を渡します。総会の開始時にお弁当と引き換えます。
11.宿泊
基本的には各自で予約してください。地下鉄沿線なら30分以内に大学に着くと思います。比較的近く安価なもの(6,000~7,000円前後)として2つの施設をご紹介します。
1.メルパルクNAGOYA
〒461-0004 愛知県名古屋市東区葵3丁目16−16
052-937-3535
2. ルブラ王山
〒464-0841 愛知県 名古屋市千種区覚王山通8-18
052-762-3105
12.アクセス
椙山女学園大学ウエブサイト:http://www.sugiyama-u.ac.jp/sougou/access.html

2.自由報告要旨
第1分科会
1.文献資料散逸の補完としての聞き書き調査―1960年代のラジオ深夜放送を事例として(The interviewees filling up the lost fragments in the historical documents―A case study of the youth radio community emerged in the late 1960’s in Nagoya―)
長谷川倫子(東京経済大学)
1960年代末における日本のラジオの深夜放送ブームは大きな社会現象となったものの、放送史研究においてもこれを取り扱った先行研究は少ない。2010年から、名古屋の中部日本放送の番組についての資料収集を開始したが、資料の散逸は克服しなければならない課題であった。補完的またはそれ以上の情報提供者となったのは、当時のディレクターとDJたちであった。繰り返しのインタビューによって、社史には登場しない当時の実情を示す貴重な情報の収集が可能となり、放送史、文化史からみた若者向け深夜放送ブームの歴史的な意義についても考察する出発点となった。ここでは、放送におけるパイオニアたちにインタビューを行ったオーラル・ヒストリー研究の事例についての報告を行う。
2.オーラル・ヒストリーが伝えるテレビドラマの黎明期~生放送時代の現場から~(Oral History Enlightening the Dawn of Television Dramas: Behind the scenes of live drama broadcasting)
廣谷鏡子(NHK放送文化研究所専任研究員)
日本のラジオ放送は1925年、テレビ放送は1953年に始まった。放送の歴史はこれまでおもに編年体の資料によって記述・記録されてきたが、それだけでは歴史の本来持つダイナミズムを伝えきれない。放送には実に多くの業種が携わっている。多様な立場の個人によるオーラル・ヒストリーを、既存の文書・映像資料などとつきあわせることで、放送史をより立体的、多元的に再構成できるのではないか。NHK放送文化研究所では、NHK、民放を問わず放送人が旧知の放送人に向けて語った音声・映像記録を始め、650を超える人々の証言記録を保存している。これらを活用し、新たに収録した証言も加えて、放送史の新しい側面に迫りたい。この報告では、テレビドラマの黎明期、なかでもVTRが高額だった「生放送ドラマ」時代に着目し、オーラル・ヒストリーを主な素材に、実際に関わった人たちの「体験」から見えてくる、「正史」が伝えてこなかった新しいテレビドラマ史を提示する。
3.別子銅山社宅街(鹿森社宅)における昭和の生活史(Life in a copper-mining town “Shikamori” in Bessi Area, Niihama, Japan)
竹原信也(新居浜工業高等専門学校)
明治以降、全国各地に“近代的”な社宅街が形成されてきた。そこには企業の合理性の精神、労務管理、福利厚生といった旧来の鉱山集落とは明らかに異なる思想の影響がみられる。近年、社宅街の形成と変遷を明らかにする建築史学的アプローチからの研究が積極的に進められ、その先進性が再評価されるに至っている。その一方で、全国各地で鉱山や炭鉱は閉山しており、社宅街も取り壊されつつある。また、社宅街で生活していた人々も高齢化が進んでいる。本報告では、愛媛県新居浜市の別子銅山(1691-1973)の山間に作られた社宅街(鹿森社宅)の生活文化を、生活経験者の語りから紹介していく。
4.神明社神楽の歴史と言説(The history and the discourse of Shinmeisha-kagura)
川﨑瑞穂(国立音楽大学大学院) 
埼玉県秩父市の白久地域に、江戸期より伝承されている「神明社神楽」という神楽がある。この神楽には歌舞伎の影響があるとされ、伝承者たちもそのような認識で一致しているのだが、神楽を伝承する濱中彌傳冶氏のオーラルデータや、演目の中の特殊な神格「天下土君神」などから神楽の歴史を考察すると、この神楽には「歌舞伎的」とひとまとめにするには困難な、多彩な要素が存在することが判明した。しかも、彼らの重要視しない部分にこそ古い要素があるという興味深い構造を析出することができた。彼らが自身の伝承する神楽について語る内容と、その実際の歴史との間の齟齬をみることで、芸能伝承者の言説と実際の歴史との関係性について論じる。

第2分科会
1.統合失調症の子を抱える親たちの多様性(The diverse lived experience of parents of adult children diagnosed with schizophrenia).
青木秀光(立命館大学大学院)
統合失調症の子を抱える親と一言でまとめても、その生は多様である。多様であるがゆえにどのように親への支援体制を構築すればよいのか困難を極める。現在までに有効な支援方策が提出されていないところには一括りにできない困難さの存在がある。ひとつの手掛かりとして、その多様な親たちの主観的意味世界に接近し、彼ら/彼女たちがいかなる現実と対峙し、それをどのように意味づけているのかを丁寧に解きほぐす試みが必要である。本報告では、5人の親たち(母親2人と父親3人)へのライフストーリーインタビューから明らかになった点を親のジェンダー規範のモデルストーリー、段階論的障害受容言説、慢性的悲哀などから検討したい。
2.1970年代後半に心臓ペースメーカーを植え込んで職場復帰した男性の働くことの難しさ(Difficulties experienced by a male who returned to work following the implantation of a pacemaker in the late )
小林 久子(藍野大学)
心臓ペースメーカー植え込み術の社会的の認知が低い時代に、治療を受けた当事者は、職場で差別待遇と嫌がらせを受けながら仕事を続けてきた経緯があった。本研究の目的は、1970年代後半に心臓ペースメーカーを植え込んで大手企業の職場に復帰した当事者が、職場で体験した苦しみを言語化し、その体験の意味づけに立ち会うことであった。当事者は、会社と産業医は病気を信用しなかったという関係から出発し、やがて組織の判断は納得できるが、精神的に最も苦しいのは同僚からの差別であることに気づいていく。自己の役割を考え、希望を持って会社の中で生き抜いてきた当事者の、体験の意味を考えたい。
3. 米国の医療通訳発展を支えた医療通訳士のオーラル・ヒストリーより(Oral histories of pioneers who shaped medical interpreting history in the United States of America)
竹迫 和美(国際医療通訳士協会)
米国には世界最大最古の医療通訳士のNPOがある。そのNPOの創設者、歴代の会長および医療通訳発展に寄与してきた医療通訳士らのオーラル・ヒストリーを聴いた。報告者が医療通訳士である利点を生かし、アクティブ・インタビューの手法で特に内発的動機に焦点を絞ってインタビューした。語りをテーマ分析した結果、彼らが、NPOの創設および代表としてリーダーシップを取って来た内的動機に、生い立ちや家族、特に親の存在が大きくかかわっていることが明らかとなった。また、1990年代以降英語でコミュニケーションがとれない移民や難民出身の患者が急増し、医療通訳のニーズが顕著となったにもかかわらず、職業としての社会的認知度が低く、待遇も司法通訳と比べて低かったことに対して、彼らがアドボカシーのために立ち上がったことも明らかになった。

第3分科会
1.日系人オーラル・ヒストリー・インターネットサイトの利用方法――教育カリキュラムへの提言(Nikkei Oral Histories on the Internet Can Go a Long Way: Suggested Use in Classroom)
山本 恵里子(移民史研究家・大学講師)
オーラル・ヒストリーは1990年代頃からデジタル録音・録画の進歩とインターネットの普及によって、新たな域に達した。Quiet Americansと呼ばれていた日系アメリカ人たちは、1970年代からその重い口を開き始めていたが、このデジタル化の波にのり、インタビューのデジタル・アーカイヴ化とインターネット上での公開が進んだ。インタビューに応じる日系人は、実名と顔・声が載ることも辞さず、自らの声はアメリカ社会の歴史だと自負する。このようなリソースを日本の教育に積極的に用いることで、我々は学生の日系人史への興味を深めるとともに、オーラル・ヒストリーになじませることが可能になってきた。ここではDiscover NikkeiやDenshoなどのサイトを授業に利用し、学生にアクティヴな学習をさせるカリキュラムを提言したい。
2.オーラル・ヒストリーの著者性(authorship)をめぐって(Authorship in Oral History)
加瀬豊司(四国学院大学名誉教授)
聞きとり場面でオーラル・ヒストリアン(H)の視点と対象者(N)の内面はどう関わるのだろうか。Nの語りの編集(増幅、縮小、省略等)も念頭に置き、それを解釈・記述する際、著者Hの認識からくるその著作は“真実”なものとして描かれるだろうか。今回著者の視点形成している暗黙の前提に批判的省察(reflexivity)を加える事により、日系アメリカ人2世史への“再訪問”(含住込みインタビュー等参与観察)をNとの「異文化間コミュニケーション」として自覚する。このため著者の日本文化的視点に方法論的拘束を意識しつつ、2世の意味世界をオーラル・ライフ・ヒストリーの手法によってPh.D. Dissertationの形で作品化(craft)したエスノグラフィーを使ってみる。
3.移住労働者とその関与者の語りから見た日本語習得の促進要因(Factors, promoting Japanese language acquisition, examined through a narrative of migrant workers and consociates)
吹原 豊(福岡女子大学)
2005年から7年間にわたって、茨城県にあるインドネシア人コミュニティでのフィールド調査を続けている。調査の主な目的は移住労働者の日本語習得の実態とそれを取り巻く要因を明らかにすることである。日本語習得の実態把握に際して、比較的大規模でありかつ中心的に行ったのはOPI(Oral Proficiency Interview)による口頭能力の評価であり、結果として日本語習得が概して初級レベルにとどまっていることが分かったが、ごく一部に中級者の存在も確認された。本報告では中級者のうちで移住労働者自身とその関与者である日本人を対象に聞き取りができたものを中心に取り上げ、双方の語りをもとに日本語習得の促進要因について考察した結果を紹介したい。

第4分科会
1.パレスチナ難民問題の歴史記述における文字資料と証言の位置(Positions of Written Documents and Testimony in the Historiography on the Palestinian Refugee Problem)
金城美幸(立命館大学ポストドクトラルフェロー)
パレスチナ難民問題はパレスチナ/イスラエル紛争における重要課題の一つである。パレスチナ難民の発生の主要原因は、1948年、イスラエル国家独立を目前とするなか、ユダヤ人がパレスチナのアラブ系住民に対する追放作戦を実行したことである。その後の周辺アラブ諸国のパレスチナ侵攻も失敗し、以降、イスラエルとアラブ諸国との間で包括的な和平が結ばれないままであり、パレスチナ難民の要求である故郷への帰還も実現していない。
 本報告では、イスラエル建国に伴って離散・難民化し、一部はイスラエルの軍事占領下に置かれているに至ったパレスチナ人社会のなかで、パレスチナ難民問題についてのナショナルな歴史記述がどのように構築されてきたのかを検討する。イスラエル人歴史家たちは、国家アーカイヴ史料に基づいて「実証研究」であることを自己主張することによって、証言を活用するパレスチナ人の歴史記述を排除してきた。本報告では、このようなパレスチナ人社会の状況のもとで進められてきた難民化の経験についてのオーラル・ヒストリー・プロジェクトの意義と課題を検討する。
2.ハンセン病に罹患した一人の捕虜の目を通じて見たカウラ事件(Cowra Breakout Seen Through a Prisoner of War Who Suffered from Hansen’s Disease)
山田 真美 (お茶の水女子大学大学院)
1944年8月5日、豪州のカウラ第十二戦争捕虜収容所において1104名の日本人捕虜が集団自決的な暴動を起こし、その結果、234名の日本人と4名のオーストラリア兵が命を落とした(カウラ事件)。筆者は1990年代半ば以来、暴動を生き残った捕虜のもとを訪ねては事件発生の経緯とその周辺問題についてインタビュー調査を続けてきた。そのなかの一人である元陸軍兵士のT氏は、カウラ収容所到着と同時にハンセン病が発覚し、2年以上にわたって一人用のテントに隔離された人物である。そのためT氏は暴動に巻き込まれることなく、一部始終を至近距離で見た唯一の目撃者となった。日本人でありながらハンセン病ゆえに日豪両国から疎外されたT氏へのインタビューからカウラ事件とその周辺問題を再考察したい。
3.戦争体験を語りつぐストーリーの分析(Narrative analysis of the wartime experiences conveyed to others )
桜井 厚(立教大学)
戦争体験を語りつぐ実践は、体験者とともに非体験者よってもおこなわれている。その際、語り伝えようとするために語り手はさまざまな工夫や戦略をこらしている。わかりやすい例としては、物語の時空間の枠組みを聞き手の「いま・ここ」へリンクさせる操作がある。そうした語りの特性を分析すると共に、それを聞き手がどのように聞いているかについても併せて考察をくわえたい。

Ⅱ.理事会報告
1.オーラル・ヒストリー学会第2回理事会議事録
日時:2012年2月6日(月) 13:00~16:20
場所:東京外国語大学本郷サテライト7階会議室
出席者:塚田 守、山田 富秋、橋本 みゆき、河路 由佳、森 武麿、山村 淑子、小倉 康嗣、折井 美耶子、山本 唯人、川又 俊則、松田 凡、吉田 かよ子 以上12名
議題
1.事務局報告
(1)新入会員紹介ほか 新入会員3名、再入会1名(会員異動を参照)
(2)学会誌のバックナンバーの販売
現在バックナンバーについては、丸善とアマゾンに委託販売している。丸善については年度末決算に合わせて、こちらから請求し、入金してもらう。
(3)HPの移管状況
当初予定では、カリテスという会社に依頼して、昨年末に移管を完了する予定だったが、2月現在、まだ完了していない状況が報告された。
(4)会員向けアンケート協力について
質的データ・アーカイブ化研究会による科研アンケート(質的データの管理・保存
に関するアンケート)について、JOHAとして共催はしないが、主旨に賛同し、会員に協力をお願いすることになった。会員名簿については慎重に管理する。
2.会計報告
(1)会費収入について
会費年度の変更期ということもあり、やや半端な額が振り込まれているケースがあった。来年度の請求時に割り引いて請求する予定である。2011年度収入としては納入者183名のうち80名程度が見込まれる。
(2)委員会の旅費について
理事会については交通費半額を支払うことは前回の理事会で確認済み(ただし勤務先大学から旅費が支給される場合は除外)だが、委員会開催時の交通費についても同様にすることが合意された。
(3)寄付金について
寄附収入という項目を設け、これを定職のない人の地方開催の学会大会参加時の旅費補助に活用する。これは理事会の内規として事務局が文章化する。
3.編集委員会報告
(1)予算について
学会誌出版の予算額の枠内で編集される分には問題はないが、特集、フォーラム、投稿論文のページ数のバランスを考慮する必要がある。8号に向けて依頼する文字数も減らす方向で調整することになった。
(2)広告について
学会誌の広告については、各出版社に知り合いの理事が依頼してきたが、今回は事務局が引き続き依頼するとともに、他の知り合いの出版社も紹介してもらう。
(3)G.ジョンソン氏の理事就任について
就任が了承された。
(4)英文の執筆要項について
ジョンソン氏に依頼することになった。
(5)バックナンバーの保存について
バックナンバーの保存方法については、事務局長が保持するのは限界がある。CiNiiで読めるのであれば多く保存する必要はない。確認の上、印刷部数を再考する必要がある。
(6)短文書評について
以前、自著や他の会員の著書の紹介として短文紹介というコーナーがあった。次回から学会活動を活発にするため、このコーナーを復活させることになった。
(7)その他
学会誌の購入希望に対応するため、HPにバックナンバーの目次を掲載する等の案内を行っていく。
4.広報委員会報告
(1)NL21号の発行は昨年の12月8日に完了した。22号は大会プログラムを入れたものになる予定である。大会案内について、会員ML及びWeb上で見られない方には、大会案内を入れ、自由報告の募集の案内も同封することを事務局に依頼した。
(2)HPについては移行が完了していない。
7.研究活動委員会報告
大会時の研究実践交流会について、次回は第10回記念大会ということで、通常の会員の交流を目的とした研究実践交流会ではなく、テーマセッションとすることが合意された。テーマは提案の通り、名古屋で第1回女性史の集いが開かれたことに鑑み、呼びかけ人であった伊藤康子氏に話題提供をお願いし、オーラル・ヒストリー研究/実践の源流・諸潮流をたどることを主旨とする。地域の実践グループと研究者との交流、および新たな会員獲得という意味も大きいことが確認された。
5.国際交流委員会報告
第10回のシンポジウムの内容が決まれば、各国際学会に連絡してHPにのせてもらうなどしたい。
6.今年度大会のシンポジウム企画
テーマは、「聞き難いものを聞き、語り、書く:『いのち』について考える」
登壇者は、やまだようこ氏、佐々木裕子氏、有末賢氏。司会は塚田守氏、コメンテーターは、山村淑子氏と清水透氏に依頼する。
7.次回理事会は6月24日(日)に開催予定。

2.オーラル・ヒストリー学会第3回理事会議事録
日時:2012年6月24日(日)13:15~17:00
場所:東京外国語大学本郷サテライト5階会議室
出席者:塚田守、山田富秋、橋本みゆき、河路由佳、グレゴリー・ジョンソン、山村淑子、仲真人、小倉康嗣、和田悠、折井美耶子、山本唯人、川又俊則 以上12名
1.開催校(塚田会長)と研究活動委員会から年次大会の準備状況について
・第10回大会案について、昨年度大会を参考にプログラムを作成した。今回はやや発表予定が少なめなので、議論の時間を多めにできる。
・学会員外の大会参加費が2,000円なので、それに見合う分の報告要旨集(発表者一人400字程度)を配布したいという開催校の提案に対して、発表のエントリー時に発表者に長い要旨の提出を要請していないので、今年度は無理であること、また、予算措置が伴っていないことで、来年度以降の課題とした。
・会員外シンポジスト・講演者の謝金と交通費
会員以外のシンポジウム登壇者や学生アルバイト謝金に対して名古屋市の「大幸(たいこう)財団」の助成金を申請したので、それを謝金の一部に充てることにした。シンポジウムでは2名、テーマセッションでは1名が該当する。会員外の登壇者の交通費に関してはJR換算で学会から支給される規定がある。今回は緊縮財政なので、昨年度実績と同じ額の大会開催校補助を準備している。
・大会参加費について;従来と同じ、学会員以外の一般2,000円、学生1,000円とする。
・懇親会;40人で懇親会の予算を組んだ。
・発表者の報告レジュメのコピーについて
シンポジウムやテーマセッションの登壇者については、レジュメコピーは大会本部で行うが、自由報告者のコピーは各自で用意する。
・日曜日の昼食について、大会一日目に弁当の引換券を購入してもらい、購入者に翌日配布する。
・分科会の司会
司会については、なるべく理事以外の方に司会を頼む方向性が確認された。7月中旬位までに確定する。
・分科会の報告時間
今年は報告者が少なかったので、1つの分科会に3時間取ることができた。そのため、発表時間は一人30分とし、質疑応答と議論の時間は司会者にまかせることにした。この点は大会プログラムをMLに流し、HPに掲載する時に明示することにした。
・テーマセッション
第10回記念テーマセッション名古屋で最初に女性史を開拓した伊藤康子氏に講演してもらい、それに山嵜雅子(会員)がコメントするかたちにする。タイトルは「日本のオーラル・ヒストリーの源流をたどる-地域女性史の歩みから」HP掲載の際に、地域の女性史に関心を持つ人々に参加を呼びかける。
2.事務局報告(山田)
(1)会員異動報告新入会員報告
一名については理事会の場で入会申請書を回覧して承認した。前回理事会から7名が新入会し、再入会が一名、ご逝去された会員が一名である。
(2)新入会員の承認手続きについて
今後の承認手続きとして、入会に必要な条件(入会申込書と会費の入金)が整えば、MLにUPし、自動承認にすることに決定した。特別な問題が生じた時だけ承認のお願いをする。
(3)学会誌委託販売の一本化について
現在、丸善、アマゾン、インターブックスの3社に委託販売を依頼しているが、これは一本化せず、現行の通り3社の委託販売を継続することが決定された。
(4) アンケート調査
JOHAへの協力の依頼があった質的データ・アーカイヴ化研究会による科研アンケート(質的データの管理・保存に関するアンケート)は、2月に実施されたが、結果に関しては追って報告の予定であるとのことである。
(5)HPの移管状況
カリテスの新しい学会ホームページが稼働し、見やすくなったが、旧HPから新HPへの自動移動を可能にする。また、旧情報がいまだに掲載されているので、それをアップデートする。
(6)総会で発表する事業報告案について
例年の総会次第を元にして、資料内容の確認と検討を行った。特に各種委員会について事業報告案に足す活動等があれば、大会一週間前をめどに案を事務局長まで知らせることにした。来年度事業案として設立10周年の企画をする必要があることが話し合われた。ちなみに10周年記念大会は京都文教大学を第一候補として予定する。
3.会計報告
今年度は会計年度が3月末に変更になり、9ヶ月になったため、この9ヶ月の決算について橋本理事が説明を行った。この決算報告に対して、繰越金を食いつぶすような運営は不安であること、また、繰越金が減少している理由として、事務局補助費予算化と印刷費の高騰が影響しているのではないかという意見があった。来年度予算案について、かなり財政的に厳しい状態であることを確認した。滞納者に会費納入を促すことと、会費値上げや学会大会参加費の徴収、あるいは、有料の公開講座などによる財政再建策が必要であることが意見としてだされた。
4.編集委員会報告
学会誌編集の作業として、2つの特集、書評、投稿論文ともに順調に進んでいることが報告された。
次回の理事会は、学会大会1日目9月8日午前10:30から

Ⅲ.事務局便り
1.会員異動  (非掲載)
 連絡先(住所・電話番号・E-mailアドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。
2.2012年度会費納入のお願い
いつも学会運営へのご協力ありがとうございます。本学会は会員の皆様の会費で成り立っています。2012年度の年会費納入状況は、6月末現在3分の1ほどです。納入を先送りしていらした方は、なるべく9月のJOHA第10回大会前に郵便振替等でご入金ください。大会時の受付をスムーズに行うためにも、よろしくお願いいたします。
■年会費
一般会員:5000円、学生他会員:3000円 
*昨年度の移行期間を経て、2012年度より会計年度が4月1日から翌年3月31日までとなりました。年会費は12ヵ月分に戻ります(昨年度のみ9ヶ月分)。なお年会費には学会大会参加費・学会誌代が含まれています。
■ゆうちょ銀行からの振込先
口座名:日本オーラル・ヒストリー学会  
口座番号:00150-6-353335
*払込取扱票(ゆうちょ銀行にある青色の振込用紙)の通信欄には住所・氏名を忘れずにご記入ください。
*従来の記号・番号は変わりありません。
■ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む際の口座情報
銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:019
店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
預金種目:当座
口座番号:0353335
カナ氏名:(受取人名):ニホンオーラルヒストリーガツカイ
郵便払込・口座振込の控えで領収書に代えさせていただきます。控えは必ず保管してください。
*学会会計全般について、またご自身の入金状況を確認したい場合は、会計担当の橋本みゆきへお問い合わせください。

JOHAニュースレター21_3

(3)理事会報告

1.第四期 第8回理事会

日時:2011年6月25日(土)13-17時

場所:立教大学5号館1階第二会議室

出席:清水、桜井、酒井、小林、有末、山田(書記)、松田、河路、舛谷(順不同)

委任欠席:滝田、好井、野本、倉石、中尾

1.議事録確認

 その場において承認された。他に何か指摘があれば個々にメールで事務局長に連絡する。確定した議事録は会報に掲載する。

2.会長、会長補佐報告

 震災対応:事後承認という形で、被災地域の会員の自己申請によって今年度(2011)会費を免除する。ウェブに掲載した。他の学会から迅速でしっかりした対応であるという高い評価をもらった。

3.事務局報告

(1)震災対応

実際には3名の方から申請があった。一人の方はシンガポールOHC複製資料の破損も報告されていた。他に立教大学の大学院生会員と千葉県の会員が申請した。次期理事会に対して、今後どのように継続するかの判断を申し送る。

(2)理事選挙後の新旧理事の引き継ぎについて

大会1日目の11時開催予定の理事会に新理事も入ってもらって、新旧引き継ぎ会議も行い、新理事会は大会2日目の午後5時から6時まで行う予定。

(3)理事選挙

6月末が選挙〆切で、選挙実施中である。5通ほど住所不明で戻ってきている。会費納入を直前に行って届いた住所なので、チェックする必要がある。7月3日頃に開票し、上位8名の方を決定し、会長を互選してもらう。選挙権がある会員は、規定通りだと4月末会費納入だが、今年度会計年度を変更したので、5月20日までの会費納入に修正して対応したが、今回限りとしたい。

 また、学会発表と学会誌投稿それぞれの〆切時期について、年度の変更があり、当年度の会費納入のチェックが難しくなったので、前年度(3月末まで)の会費納入があれば、発表資格と投稿資格ありとすることにしたい。ただし、論文投稿者には、会誌発行までに今年度会費を払うよう注意を喚起する。学会誌は大会開催時に発行し手渡しもするので、学会発表者には大会時までか、その場で今年度会費を払うようにお願いできる。

(4)新旧理事会引き継ぎ内容について

-新入会員の承認は全員のOKメールがなくても、反対がなかったということで承認する慣習をとってきた。

-入会を承認してから会費を払うという後払い方式は取らない方が良いのではないか。最初に入会希望者に会費を払ってもらい、後から承認する形式にした方が、現実的に会員確保につながる。

-2年以上未納者は退会になる。しかしそのときに警告をする。今回の警告で20数名、退会者が出てきた。現在230名の会員数。300名会員が超えると、事務局外注も視野に入れた方が良い。

-新理事体制について、今回の新規定選挙は重任理事が外れ、過去からの引き継ぎが難しくなる恐れがあるので、上位8名の選出理事会合の際、現会長、会長補佐、それに選挙管理委員が冒頭のみ陪席し、新しい理事体制の組み方についてアドバイスする。

-国際関係について。学会誌や学会ニュースの英語チェックを担っていた会員が退会されたので、後継候補を挙げる必要がある。会議の終わりに候補者が推薦された。

-メールで連絡のあった、ドイツの研究者と有末理事が連絡をとることになった。今後、こうした外部からの問い合わせについては、理事会に確認の上、応答が可能な内容の場合は広く会員に募ることも考えられる。

-理事会でのスカイプやテレビ会議使用については決定せず、次期に申し送る。

-理事会の地方開催については、これまで多くの理事が関東在住だったので、東京にしていた。今後は経費削減になるようなかたちで開催場所を考えてはどうか。現在、理事会交通費は往復実費マイナス5000円でお願いしている。東京以外の大会実施時の理事会が分散化の第一歩となる。

4.編集委員会報告(有末)

 昨年の学会のシンポジウム「ジェンダー史とオーラルヒストリー」を特集1にし、特集2として連続ワークショップ登壇の6人に原稿依頼した。6月末原稿締め切り。酒井先生に英語論文3本をチェックしてもらった。投稿論文は7本あったが、査読をパスしたのは2本のみである。今回は査読結果が分かれ、第三査読にまわったケースがあった。書評は3冊についてお願いしている。

 査読プロセスについては、会員にある程度透明化して伝えることが必要である。公平なプロセスであることを会員に周知する。編集後記に投稿本数と採択本数を報告し、採択可能になるような問題点を投稿者に説明することは必要である。また、困難ではあるが、実際の編集委員会を今後はもっと多く開催してほしい。

 日頃、会員の出版情報についても会員に周知させるような方法があったほうが良いのではないか。今後はニュースレターに会員の出版情報も掲載するようにする。学会大会記録については、ニュースレターとウェブに載っている。次号から大会の実施プログラムを学会誌に載せることにする。

 シンポジウムについては、必ず発表内容を学会誌の原稿にするので、開催校が録音を担当する。録音データは次年度編集委員会に送付する。

5.会計報告(酒井)

 学会費の達成率は約7割。通信費が予算の十万円では足りない。連続ワークショップでの謝金がけっこうかかった。来年度予算は今年度理事会が作成し総会で提案する。今後は会員数の7割実績で会費収入を見積もり、来年度は選挙がないので、郵送費は少なく見積もる。

 今年度の大会から学会補助として15万円から20万円に増額し、大阪からの非会員登壇者には旅費と宿泊費を支給することにする。

 ワークショップの企画者の予算枠は今回をきっかけとして作った方が良い。研究活動委員会が旅費の一部について支援することにする。今年度の企画者会員には、新幹線で換算した往復交通費を補助する。ワークショップの予算については、今後は受付アルバイト代は支払わないことにする。

6.研究活動委員会

 学会当日の運営とプログラムについて調整する。学会運営マニュアルを事務局から大会校に送ってもらう。各部会の司会の選定方法として、大会参加を促すため、理事以外の会員をまず第1候補とすることになった。推薦された一般会員の都合が悪い場合に、代替候補として理事が司会にあたることにする。司会候補者として、以下の方々が推薦された。事務局と確認の上、大会開催校の理事が依頼のメールを送る。

 研究実践交流会については担当会員から7月中旬までに企画を提出してもらう。

7.ワークショップ

 7月30日に大阪経済法科大学においてワークショップを、企画者中心に行う。全体の年間計画は決まっておらず、開催前にそれぞれ企画する。学知と非学知のはざまについて議論していきたい。今年は参加者間の議論が活発である。

8.広報委員会

 7月15日に委員会を開き、ニュースレター原稿の締め切りにする。また、ニュースレター送付が遅れる場合には、学会主催のエクスカーションと弁当予約、それに周辺ホテル案内を先に学会員にメールで一斉配信することになった。

 学会案内リーフレットについては、日本生活学会のパンフレット等を参考にして、原案を作成する。

9.国際交流委員会

 中尾理事からのメールを代読。IOHAから震災へのお悔やみがあった。

10.次期大会開催校

 横浜市立大学、椙山女学園大学、京都文教大学、立教大学新座キャンパスが次期候補として挙げられた。

11.その他

 吉田かよ子会員から翻訳出版予定のRecording Oral Historyの推薦文を現会長に書いてもらえないかという依頼があり、了承した。

2.第四期 第9回理事会

日時:2011年9月10日(土) 11時~12時25分

場所:松山大学8号館853

出席:清水、桜井、酒井、小林、野本、中尾、山田、河路、舛谷(順不同)

委任欠席:滝田、有末、好井、倉石、松田

1.前回議事録確認(舛谷)

国際交流について、IOHA次回大会の補足があった。

2.会長、会長補佐報告(清水、桜井)

二年間の理事会活動への労いが述べられた。

3.事務局報告(舛谷)

-会誌バックナンバーの販売可否が諮られ、大会時に限り、前々号以前号を1000円で販売することになった。

-引継準備状況について報告があった。

-総会資料が提示され、確認した。

4.会計報告(酒井)

-総会資料が提示され、確認した。

5.編集委員会報告(舛谷代)

-例年通り大会に合わせた7号刊行が報告された。プログラム確定版については次号からの掲載としたい。

6.広報(小林)

-学会パンフ(日本語版)が完成し、披露された。今後広報に活用する他、学会ウェブでもダウンロード可能にしたい。今後改定の際はロゴや写真を工夫するとよいだろう。

7.研究活動(山田、桜井、酒井)

-松山大学でのJOHA9について、自由報告のエントリー数が例年より多かったことが報告された。エクスカーションを学生ボランティアガイドによって実施した。大会の広報について、地元の状況に詳しい開催校を中心に、事務局、広報が協力することが確認された。

8.国際交流委員会報告(中尾)

リーフレットの幅広い活用が提起された。IOHAの次回大会状況報告と、JOHAでの英語分科会の復活やスペイン語等その他言語への展開が求められた。

9.依頼伝達

-新旧理事引継会合を懇親会後に予定している。

3.第五期 第1回理事会

日時:2011年11月6日(日)13:00~16:30

場所:東京外大本郷サテライト4F研修室

出席者:塚田・山田・小倉・河路・仲・橋本・松田・山本・山村・吉田・川又(順不同)

1.前回議事録確認

 なし。議事録作成の書記決定(川又)。

2.会長報告(塚田)

 各理事の自己紹介と各種委員会委員長・役割分担確認。

3.事務局報告(山田)

(1)JOHA9の大会報告

・参加者65人(非会員15人、会員50人)。地方開催だが、盛況だった。

・エクスカーション(9人)は初の試みだが好評だった。

・会場で実施した広島の写真展も参加者が多かった。

(2)理事会出張旅費支給規則改訂

・現状「JR往復-5000円」の支給は、現在の会計状況から困難。

・まず1年間「『早割』等実費領収書の半額支給」へ変更する。

(3)ML運営とHP運営の引き継ぎ

・ML運営を前事務局長から引き継いだ。編集委員会・理事会のMLは稼働中。

・ブログ形式のHP更新は今期、広報へ移管(事務局と広報で情報共有)。

(4)事務局作業のアルバイト

・前期時間給でアルバイト代支給(平均月1万円程度だった)。→事務局の作業を依頼する大学院生へ「事務局幹事」として月1万円支給する。

(5)会則附則

・ゆうちょ銀行の口座維持(担当会計変更)のため、会則は変更せずに、ゆうちょ銀行口座手続きのためにのみ、附則(役員)に、今期の会長・事務局長・会計の個人名・住所を入れた。

4.会計報告(橋本)

(1)JOHA9の決算報告

・大会運営費は予算内。学生謝金を会場校に負担していただいたことが大きい。

(2)会費納入

・今期会費収入40万円予算で現在16万円程度の入金。11月・来年4月に督促したい。→11月にMLで全体に告知、3月に郵送で新年度分と併せて督促する。

(3)新入会員

・会費納入簿リストで新入会員の確認(MLにて承認済)。

・入金のみの方に申請書を要請している。

5.編集委員会(河路)

(1)『日本オーラル・ヒストリー研究 第8号2012』ついて

・特集1は学会シンポジウム(山田事務局長がとりまとめ)。送り先は河路委員長へ。

・特集2は今年度のワークショップ企画である「学知と現実のはざま」というテーマのフォーラムにする(小倉委員がとりまとめ)。

・書評は2冊ほど予定する。

・投稿原稿は3月末締切。ブログHPへすぐにアップする。12月NLにも掲載。

・英文校閲はグレゴリー・ジョンソン委員が担当する。

6.広報(川又)

・会員獲得のHPを対外的顔として、トップページの部分を作った方が良い。

・固定ページの充実(投稿規定やこのページを見ればわかる部分が現在はない)。

・安価で作成する業者を各理事で探す。

・ニュースレター担当分担確認。

・21号目次案確認(12月刊行予定)。

・twitterとFacebookは活用できる人が理事におらず、検討課題。

7.研究活動(小倉)

・年次大会とワークショップ中心の活動。

・JOHA10周年を迎えるにあたり「足場論」をする。→学問・学会上の成果の検討、会員数を増やすことを意識した研究活動にする。

・ワークショップは、実際の「作品」をじっくり議論。委員4人で進めるが会員に個別に協力要請も行う。

・研究実践交流会(年次大会)は、次回大会の名古屋は、女性史発祥の地ということを踏まえた企画を検討する。

8.国際交流委員会(吉田)

・2012年度の主要国際学会(OHA、OHS)の情報提供をNLへ掲載。

・JOHA大会詳細を決定次第、3団体(OHA、OHS、IOHA)へ広報予定。

9.その他

(1)次回学会大会

・2012年9月8日(土)・9(日)、椙山女学園大学星が丘キャンパス(愛知県名古屋市)。

・シンポジウムテーマ「語り難いことを語る、聞く、書く」(仮)、パネリスト3名を予定。

 「いのち」の問題を扱うテーマとして、東日本大震災に関する報告の提案があり、このシンポに関連させることを検討することになった。

(2)依頼伝達

次回理事会開催日と場所の決定。2012年2月下旬から3月上旬とし、場所は東京にする。

これまでに次期大会プログラムを確定する。

(4)お知らせ

1.『日本オーラル・ヒストリー研究』第8号投稿募集

http://joha.jp/?cid=6

2.国際学会大会のお知らせ

http://joha.jugem.jp/?eid=192

3.会員異動

(略)◆連絡先(住所・電話番号・E-mailアドレス)を変更された場合は、できるだけ速やかに事務局までご連絡ください。

4.2011年度会費納入のお願い

JOHAニュースレター21_2

(2)総会報告

日時:2011.9.11(日)12:15-13:00

場所:松山大学 8号館844

会長挨拶の後、以下の議案が議された。

第1号議案 2010年度事業報告

2010年度事業報告(2010.7.1-2011.6.30)について、以下の諸点が報告、了承された。

1.会員の拡大

 年次大会の開催、連続ワークショップの開催等を通じ、引き続き会員数の拡大をはかった。会員の入会は、入会申込書の事務局への送付と会費の納入を確認した後、メールや会合時の理事会承認によって完了する。入会連絡に代え、大会時の会誌発行から3月末までの当年度入会者にはメーリングリスト登録と会誌が送付され、4月以降から大会までの次年度入会者にはメーリングリスト登録のみ行われる。入会申込書はjoha.jpからダウンロードが可能である。会員数は大会前9月1日現在で274名を数え、会計年度切替に伴う確認や滞納による退会規定の準用にも関わらず、昨年同期に比べると17名の増加だった。

2.第8回大会の実施と第9回大会開催の準備

 第8回大会を2010.9.11-12に立教大学新座キャンパスで開催した。9.12にはシンポジウム「ジェンダー史とオーラル・ヒストリー」を実施し、「保苅実写真展」を併設した。9.11には連続ワークショップ第4回「発見は何?」を研究実践交流会として、両日に亘って自由研究報告を3分科会で実施した。

 2011.9.10-11に愛媛県松山大学で開催される第9回大会シンポジウムテーマ等について話し合い、会場校の担当理事山田富秋氏を中心に開催準備を進めた。

3.学会誌6号の発行と7号の編集

 学会誌第6号を発行し、第8回大会時に2010年度会費納入済会員に配布した。その他の納入済会員には後日メール便で送付した。主要な図書館には、辞退連絡がない限り寄贈している。

 学会誌第7号には、第8回大会シンポジウムと連続ワークショップについての特集が組まれ、併せて一般公募論文が厳正かつ慎重な査読の後に掲載される。

 会誌販売は丸善を通じ主に大学図書館と書店経由で個人へ、アマゾンを通じて個人へ販売される他、大会時に特別価格での販売を予定している。

4.ワークショップの開催

 会員相互の研究交流の促進を図るため、初の試みとなる連続ワークショップ「私たちの歴史を創造する・私たちの歴史を書く」を2010年5月から2011年2月にかけて開催した。なお、酒井理事を中心に実行委員を会員から公募した。成果については、登壇者を中心に会誌7号に掲載した。後継企画については実行委員を再編成し、「オーラル・ヒストリー・フォーラム」として実施を検討している。

5.ニュースレターの発行

 ニュースレターはJOHA8からJOHA9の間に18-20号を発行し、会員メーリングリストによる配布を基本とし、非メール会員には例外的に郵送した。

6.ウェブサイトの充実

 当学会の情報を一元的に閲覧できるよう、ウェブサイトjoha.jpの充実をはかった。上記ニュースレターから個人情報を除いて一括掲載を行ない、新カテゴリーを加えた。引き続き、英語情報をFacebook内johaページに掲載し、ウェブ記事と伴に学会ツイッターjoha_twitにタイトル投稿した。

7.会員相互の交流の促進

 事務局管理の会員メーリングリストを通じ、理事会と会員、また会員相互の情報交換を促した。なお、メーリングリスト掲載情報は基本的にjoha.jpに全文、joha_twitにタイトルが転載される。

8.震災対応

 被災地域の会員の自己申請によって3名の2011年度会費を免除した。

9.選挙管理委員会の設置

 2011.9大会総会で現理事会が任期満了となるため、事務局長および正会員2名による選挙管理委員会を設置し、会則6-3および選挙規定に基づき、6.30締切で3名連記の郵便投票を実施した。

第2号議案 2010年度決算報告

2010年度決算報告資料に基づき報告、了承された。

第3号議案 2010年度会計監査報告

吉田監事より、「会計帳簿、預貯金通帳、関係書類一切につき監査しましたところ、正確で適切であることを認めましたので、ここに報告いたします。」と報告があり、了承された。

第4号議案 2011年度事業案

2011年度事業案(2011.7.1-2012.3.31)について、以下の諸点が報告、了承された。

1.会員の拡大と維持

 年次大会や連続ワークショップなど、主催行事の実施を通じ、またこれらの情報を以下様々な方法で広報することによって、本学会の周知につとめ、引き続き会員数を拡大する。また、会員の維持と会費収入確保のため、大会後年内を目途に郵送による入金状況確認を行う。入会申込書はjoha.jpからダウンロード可能だが、ウェブの入力フォーム設置なども検討したい。

2.第9回大会の実施と第10回大会の準備

 第9回大会を2011.9.10-11の二日間に亘って愛媛県松山大学で開催し、第10回大会を2012年秋に愛知県名古屋市・椙山女学園大学で開催予定である。

3.学会誌第7号の発行と第8号の編集・発行

 学会誌第7号を発行し、2011年度会費納入者に大会時配布および、大会後にメール便送付する。学会誌第8号には、第9回大会シンポジウム「四国遍路-ピルグリメージとオーラル・ヒストリー」についての特集とワークショップについての特集、および査読を通過した一般公募論文を掲載予定である。引き続き会員をはじめとするオーラル・ヒストリーについての書籍の書評を短文、書評論文を問わず積極的に掲載して行く。会誌の充実と国際化をはかるため、国内外の専門家によるエディトリアルボードの設置を継続して検討する。会誌への主に出版社からの広告についても、理事を中心に積極的に開拓していく。

4.研究会・ワークショップの開催

 オーラル・ヒストリーの実践への理解と会員相互の研究交流を促進するため、連続ワークショップの経験を活かし、本学会主催、公募による実行委員会実施の「オーラル・ヒストリー・フォーラム」を開催する。また、会員が企画・運営するワークショップ、特に若手研究者の活動についても奨励し支援する。

5.ニュースレターの発行

 ニュースレターを大会前後各1回と新年度頃の計3回程度発行し、会員メーリングリスト添付を基本として配布し、主な内容をjoha.jpに転載する。

6.ウェブ情報の充実と改善

 引き続き学会ドメインjoha.jpを維持し、ウェブサイトの充実をはかるとともに、掲載情報のタイトルをtwitter: joha_twitへ転載する。本邦におけるオーラルヒストリー活動史のアーカイブとしても、本会設立前後の状況について、会員から提供された情報を元に記録・蓄積する。ウェブ上に英語化した情報を増やし、Facebook英語ページへ転載し、グループページの内容を充実させる。学会リーフレット等のデータを活用し、ポータルページを設ける等、専属担当者を再検討してデザインの改善を図る。

7.会員相互の交流促進

 新規会員など会員の異動をニュースレターを通じて会員に周知し、相互の交流に役立てる。メーリングリストによる会員間の情報交換を活発にし、外部からの情報も広報委員を中心に吟味し、理事会のみならず会員と共有する。会員の出版、活動情報についてもニュースレター等を通じて積極的に共有する。

8.海外のオーラル・ヒストリー団体との交流

 国際交流担当理事を中心に、海外のオーラル・ヒストリー団体との交流を促進し、会員に情報提供を行う。主にIOHAやOHA等との具体的な交流体制を今後の検討課題とする。

9.学会リーフレットの作成

 本学会の広報を目的とした学会リーフレットを作成し、印刷版の主催行事や関連学会での配布や、joha.jpでの電子版の提供を開始する。

第5号議案 2011年度予算案

2011年度予算案資料に基づき報告、了承された。

第6号議案 2011/2013 理事選挙報告

2011/2013 理事選挙報告について、以下の通り、報告された。

 2011年7月6日、立教大学にて、2011/2013理事選挙(6月30日消印有効)の開票作業を行いました。投票状況は以下の通りです。

郵送による投票総数: 63

白票による無効投票: 1

3名以内連記の投票総数: 172

日本オーラル・ヒストリー学会 2011/2013選挙管理委員会(五十音順)

野本 京子・舛谷 鋭・矢吹康夫

 なお、会員投票は選出理事の確定が目的で、選出理事による会長の互選および推薦理事の選出が行われ、2011/2013理事会構成原案が以下の通り総会提案され、承認された。

理事会(第五期)

<任期 2011年大会後から2013年大会まで>

会長塚田 守

事務局長山田 富秋

会計橋本 みゆき

編集委員長河路 由佳

委員森 武麿

委員山村 俶子

委員仲 真人

研究活動委員長小倉 康嗣

委員和田 悠

委員折井 美耶子

委員山本 唯人

広報委員長川又 俊則

委員松田 凡

国際交流委員吉田 かよ子

監事

有末賢・野本 京子

(舛谷 鋭)

JOHAニュースレター21_1

日本オーラル・ヒストリー学会第9回大会盛況のうちに閉幕

 日本オーラル・ヒストリー学会第9回大会は、9月10日(土)、11日(日)の両日にわたって松山大学(愛媛県松山市)で開催されました。5つの分科会と研究実践交流会では、いずれも活発な議論が交わされました。大会2日目の午後は、「四国遍路-ピルグリメージとオーラル・ヒストリー」と題するシンポジウムが開かれ、学際的な討議が繰り広げられました。

 来年度の大会は、2012年9月8日(土)、9日(日)に椙山女学園大学星が丘キャンパス(愛知県名古屋市)で開催される予定です。会員の皆様の、積極的なご参加をお待ちしております(次回のニュースレターは、学会大会概要を掲載して8月頃の刊行を予定しております)。

【目次】
(1)学会大会報告

1.大会を終えて 2.第1分科会 3.第2分科会 4.第3分科会

5.第4分科会 6.第5分科会 7.研究実践交流会 8.シンポジウム

(2)総会報告

2010年度事業報告・決算報告・会計監査報告、2011年度事業案・予算案・理事選挙報告・理事構成案

(3)理事会報告

1.第四期 第8回理事会 2.第四期 第9回理事会 3.第五期 第1回理事会

(4)お知らせ

1.『日本オーラル・ヒストリー研究』第8号投稿募集

2.国際学会大会のお知らせ

3.会員異動(略)

4.2011年度会費納入のお願い

(1)学会大会報告

1.大会を終えて

 2011年9月10・11日、松山大学において第9回大会を開催しました。四国の松山という場所での開催は初めてでしたが、両日含めて65名(会員50名、非会員15名)の参加者がありました。地元愛媛の地域女性史のメンバーの参加もあり、自由報告の各分科会、ならびにワークショップとシンポジウムにおける議論も盛況でした。この大会では故松重美人氏の「ヒロシマ」写真展も同時開催され、原爆投下直後の貴重な写真が展示されました。

 今回の企画として、大会一日目の午前中に城山エクスカーションを行い、松山市観光ボランティアガイドの先導で9名の参加がありました。また、懇親会での地ビールと郷土料理も楽しんでいただけたようです。なお、松山大学から大会開催費の一部を援助していただいたため、ほぼ予算通りの決算となり、ほっとしております。参加された会員のみなさまのご協力に感謝いたします。(山田富秋)
2.第1分科会

 第1分科会では、4件の研究報告が行われ、20名ほどが参加した。4件とも戦争体験を語り継ぐことに焦点を当てた研究で、1件は日中戦争に参戦した元日本兵へのインタビュー、3件は沖縄県南風原町をフィールドとした語りの継承についてであった。

 第1報告の張嵐(日本学術振興会外国人特別研究員)『戦争体験を語る・伝えるという実践―日中戦争体験の語りから見る』は、元日本兵へのインタビューで、若い日本人学生が質問できた、たとえば靖国参拝の有無など、聞き手である張自身が「聞きたいこと」を尋ね得ないもどかしさを、「聞き手である私が持っている先入観、構え、そして、日中戦争に関するモデルスートリー」がライフヒストリーを聞く妨げになっていた、と気付き、「こうした先入観を排除し、インタビューに臨みたい」とする。オーラルヒストリアンなら体験したことのある実践上の悩みに共感すると同時に、インタビュアーのエスニシティが意識せずしてインタビュー時の身構えを引き起こしがちであることがわかり、「構え」からの自由がどのようにもたらされ結果に反映されるのか、今後に期待したい。

 第2、第3、第4報告は沖縄県南風原町をフィールドとした連続した内容である。

第2報告:桜井厚(立教大学)『戦争体験を語り継ぐ―沖縄県南風原町の実践から』は、沖縄戦終盤において有数の被災地となった南風原町での13年間に亘る町内の戦争に関する聞き取り調査終了後に、その調査を生かす形で「平和ガイド」が組織化された経緯が述べられた。現在NPO法人として活動する南風原平和ガイドは沖縄戦当事者では無い。中心当事者ではない者が「体験を語り伝えることができるのか」という素朴な問いには、戦争体験は「身内でも伝えられていない」という複雑な現実があり、「語り継ぐことをどう捉えるのか」という「語り伝え」の根本を改めて問う事に繋がった。

 第3報告の石川良子(日本学術振興会特別研究員)『「南風原平和ガイドの会」の実践』は、第2報告を受け、南風原陸軍病院壕の管理・案内のために結成された平和ガイドの会の活動がまちづくりとタイアップしていく様子を、初代会長である男性の語りから紡ぎだし、まちづくりと関わらせることで、さまざまな属性をもった人々が平和ガイドに参加、継承関係が豊かに広がる様子が伝えられ、第1報告の問い「語り継ぐことをどう捉えるのか」への南風原での実践に基づく答えがなされたように思う。

第4報告の八木良広(小田原看護専門学校)『沖縄戦の「死」の語り伝え』では、67年たった今でも発掘される沖縄戦の遺骨について、「遺骨は単なるモノではなく、人の死そのものである」という立場が述べられ、「沖縄戦で掘り返すべきは、「死体」ではなく「死」である」として、それらの「死」が語り伝えられる様子が述べられた。語りべは言語をあやつる人間のみに限定されないという視点に、戦争考古学とオーラルヒストリーの結びつきの可能性を感じると同時に、遺骨を慰霊の対象としてきた沖縄の風習とどのように折り合いをつけ、発掘現場そのものを「死者の語り」として継承がなされていくのか、関心をそそられた。

第1分科会の報告全般を通して、次のようなことを感じた。1つは、町行政とNPOという行政公認の市民団体との協同は、関係性に上下が生じることで語り伝える実践に影響がでる懼れはないのか。2つはまちづくりと関わった平和ガイドの活動が観光客と結びついて脚光を浴びがちである一方、町内の学校の平和学習との連携はどのように語られているのか。3つは、行政の取り組みは首長の交代等で活動の未来に不安定要素を伴う。町民との不断の草の根の結びつきが重要となると思われるが、語りの中で意識されているのか。司会者としては、進行に手間取り後半の報告者には平等に発表時間を確保することができなかったことを反省としたい。(大城 道子)

3.第2分科会:「病い」を語るということ

 第2分科会では、さまざまな疾患をもつ人びとの生活世界に焦点を当てた4題のライフヒストリーが報告された。結婚前に自らの意志で優生手術を選択したアルビノの当事者、統合失調症の子とともに31年間を歩んできた母親、1970年代初頭に心臓ペースメーカーを植え込んだ女性たち、ハンセン病療養所で長年生活してきた入所者。発表者は当事者、医療者、研究者と立場はさまざまであったが、いずれも深い洞察力で切りこんだ発表であった。発表者は以下の通りである。

『優生手術経験の語り難さ:アルビノ当時者のライフストーリーから』(矢吹康夫:立教大学大学院)

『精神障害者の子を抱えて生きる、ある母親の生活史』(青木秀光:立命館大学大学院)

『1970年代初頭に心臓ペースメーカーを植え込んだ女性たちの働く事の難しさ』(小林久子:藍野大学)

『ハンセン病療養所におけるサバイバーズ・ ギルト』(木村知美:松山大学大学院)

 遺伝性疾患、慢性疾患、障がい、感染症といった疾患は、単に医療ケアの対象としてだけではなく、長い間、社会の偏見(stigma)と差別(discrimination)に晒されつづけてきた。このような歴史的文脈のなかで、生活者として「病い」を語ること、その語りに耳を傾け聴くこと、語りの意味を分析することは、決して容易な作業ではない。社会と病いの葛藤から距離を置いた研究者という立場に、安穏と居続けることができなくなってしまう。研究を深めるにつれて、差別と偏見を生み出してきた社会の一員としての関わりに研究者自身が直面することになるからである。また、当事者あるいは医療者として関わっている研究者は、自らの当事者性が問われ、あるいは医療者としての限界性を問われ、二重の負荷を担うことになる。「病い」を語るオーラル・ヒストリー研究とは、パンドラの匣を開いてしまう振舞いなのかもしれない。

 大会が開催された愛媛県松山市は、病いに臥せながら自己の身体と精神を写生した『病牀六尺』を書いた俳人正岡子規が育った土地でもある。この不思議なえにしを契機として、日本のオーラル・ヒストリーの発展のなかで、保健医療分野の研究が蓄積されていくことを期待したい。(中村安秀)

4.第3分科会

本分科会では、戦争の時代を生きた人々を対象とした若手研究者による四つの研究報告が行なわれた。いずれも時間をかけてインタビュー調査を重ねてきた厚みのある研究から得られた知見をそれぞれの切り口で報告する充実した内容であった。

 最初の発表、三田牧(日本学術振興会特別研究員)「記憶の合わせ鏡:日本統治下パラオにおける「他者」の記憶」は、日本統治下パラオで暮らした「日本人」(その半数は沖縄出身者。朝鮮、台湾の出身者も含まれていた)、パラオ人、その他のミクロネシア人が、日本内地人を頂点とする階層社会において互いの姿をどう見ていたかという観点から口述資料を整理して示した。

 2番目の森亜紀子(京都大学大学院)「委任統治領南洋諸島に暮らした沖縄出身移民:1910~1924年生まれの人々の経験に注目して」は、上記のパラオを含む「南洋群島」(ミクロネシアの島々に対する日本統治時代の総称)において主要労働力として積極的に招致された沖縄出身移民の口述資料から、南洋群島に暮らした沖縄出身移民の多様性と全体像を描き出そうとした。

 3番目の小林奈緒子(島根大学)「戦争体験の受容と地域社会:元兵士のオーラル・ヒストリーより」では、先の戦争において兵士として従軍し、戦後シベリヤに抑留され、中国の戦犯教育を受け、帰国後島根にて中国帰還者連絡会山陰支部の事務局を長く務めた人の口述資料から、当事者が受容した戦争体験がその後どう変化したのか、またそうした経験を、地域社会がどのように受け止めたのか、あるいは彼らが地域社会にどんな影響を与えたのかが報告された。

 最後の発表、木村豊(慶応大学大学院)「空襲で焼け出された人の戦後生活:都市から地方への移住をめぐって」では、北海道に渡った東京空襲被災者へのインタビュー調査をもとに、都市空襲被災者の地方移住と戦後生活、戦災と移住の記憶の現在について発表された。

戦後66年が過ぎ、戦争の時代を生きた人々から直接話を聞くことは難しくなりつつあるが、当時の若者、そして子どもだった人々への調査はなお大きな可能性を湛えていることが、本分科会の報告からはよくわかり、今こうした研究にとりくむことの重要さをフロア全体で確認、共有することができた。また、自由討論の時間を比較的多くとることができたため、フロアと発表者、また発表者間の質疑応答のみならず意見交換ができたのも収穫であった。それぞれの個の経験である口述資料を歴史的文脈の中でどう解釈してゆくかなどが話題となった。(河路由佳)
5.第4分科会

 本分科会は、ほかの分科会と比べてあまり統一が取れていたとは言えない。とはいえ、各報告は水準の高いものばかりで、多くのことを学ぶことができた。

 (1)酒井朋子(東北学院大学)「移行期社会における記憶と歴史――和平条約後の北アイルランドにおける」

 最初の報告者の酒井朋子氏は、長年北アイルランドの紛争をめぐる語りについて研究をされてきた研究者である。本報告は、「移行期社会」をキーワードにイギリス領北アイルランドに住み、長期紛争を経験した当事者たちのライフ・ストーリーを扱っている。とくに夫の殺害に関する妻の語りとその後何年もしてから明かされる真実をめぐる分析は強く印象に残った。トランスクリプションの分析におわらないで、生の語りを参加者に伝えるという方法は、わたしたちがあたかもインタビューの場にいるかのような臨場感あふれるものであった。たいへん力強く、また感銘的な報告であった。オーラルヒストリーにおいては、書かれた史料からでは見えてこなかった事実を明かすだけでは不十分で、そのときの語り口そのものを提示するということが一般的になってきていると思われるが、今後は語り自体をAV機器を使って再生するという方向に向かうことになるのであろうか。

(2)水谷尚子(中央大学兼任講師)「在外ウイグル人への口述史収集をめぐる諸問題:中国新疆からの政治亡命者・経済移民者を訊ねて」

 本報告は、予定されている報告の前編ということで、ウイグル人とはだれか、というきわめて根本的な問いから始まった。彼らは20世紀前半に幾度か独立国家建設を試みるが、現在は中国領域内の「少数民族」と位置付けられている。水谷氏はここ数年、中国政府と対立し政治亡命したウイグル人を訪ね、中央アジアやトルコ、欧米などで口述史収集調査を行っている。本報告はそのような収集をめぐる問題やデータについてのたいへん力強い報告であった。政治的に周縁化されて世界中に散った人々に会い、かれらの歴史を丹念に掘り起こすというオーラルヒストリーの原点を思い起させる報告であった。

(3)吹原豊(福岡女子大学)「滞日インドネシア人社会の成立と現況:当時者および関与者の語りを中心に」

 吹原氏の報告は 茨城県の大洗町に住む、400人近いインドネシア人が対象である。かれらは1992年からこの町に流入し、研修生を中心とする中国人労働者と勢力を2分している。ほとんどはインドネシア・スラウェシ島北部出身者であり、吹原氏自身、当地での長期滞在経験があるため、大洗町に住むインドネシア人の世界を、歴史的かつ空間的に描くことに成功していた。今後の移民研究の範ともなる発表であった。暴力や弾圧が主題であった酒井報告や水谷報告のときと異なり、会場は笑いに包まれていた。

 (4)山口裕子(一橋大学大学院)「歴史語りの「真実さ」をめぐって:インドネシア東部の小地域社会における複数の対抗的な「ブトン王国史」」

山口氏の報告は、旧ブトン王国領における地位の異なる二つの村落の人たちが語る王国史についての分析である。ひとつは王族貴族の子孫から、もうひとつは平民からなる村である。前者の語りは政府から公定史として承認され、正統な歴史として位置づけられている。これに対し平民たちは自村こそが王国の起源地だという「真実の歴史」を語る。山口氏は、実証主義的な手法で「真の歴史」を求めたり、反対に両者の歴史を言説として認めたうえでその差異を論じたりするという方法から距離をおいて、語る文脈となる人々の生活世界を考慮することを主張する。この報告もまたオーラルヒストリーのこれからの方向を示唆するものとして評価したい。(田中雅一)

6.第5分科会

第5分科会では、5つの報告と白熱した質疑応答が展開された。日本語訳書が公刊されたばかりのV.Yow著『オーラルヒストリーの理論と実践』(インターブックス社)の論点を引きつつ、司会者が前もって提示したのは、オーラルヒストリーの次の特徴である。オーラルヒストリーは、語りを聞きとって研究を深める方法的営為でありながら同時に、そうして収集した記録そのものがアーカイブとしての価値を持っている。5つの報告を横断する論点として、記録を公開するときの範囲(特定研究者⇔ウェブ上)、記録を残す目的、対象範囲 (過去⇔現在)が最終討論の対象となった。

青木麻衣子氏(北海道大学)・伊藤義人氏(藤女子大学)による第1報告は、現地調査に基づく「オーストラリア木曜島の最後の日本人ダイバー藤井富太郎」である。戦後の現地日本人の強制帰国のため、木曜島の先行研究には空白が生じている。戦前・戦後を架橋して日系二世にあたる子孫のオーラルヒストリーから、個人史と全体の歴史との両方に焦点を当てた報告がなされた。

第1報告は、金森敏氏(松山大学非常勤講師)による「女性社内企業家の語り」である。報告者は、これまで「英雄物語」に近かった社内企業家のモデルストーリーに対して、モデルストーリーの「構え」に着目して、その変化、抵抗する語りを析出した。これは、経営学において一般化と特殊事例をどのように扱うか等の論点とも関連する。成功例・失敗例など、経営学においてオーラスヒストリー(アーカイブズ)を残す意義が議論となった。

第3報告は、新井かおり氏(立教大学大学院)による「アイヌの歴史はどのように書かれねばならなかったか?」である。1960年代後半まで、アイヌは、客体化された過去となり、滅びゆく者としての倭人の世界観の範疇から抜け出るものではなかった。これに対して、1970年代以降のアイヌの権利回復を目指す運動の当事者の一人として、アイヌ自身の声やその他の1次資料を収集したのが、貝澤正『二風谷』(にぶたに)である。(貝澤家文書の整理・調査に当たった)報告者による長期の聞き取りに裏打ちされた情報提供者への深い配慮と慎重な姿勢、またそこから垣間見える「生々しい声」には、強いインパクトが感じられた。

第4報告は、川又俊則氏(鈴鹿短期大学)「男性養護教諭へのインタビューとアーカイヴをめぐって」である。まず、いわゆるピンクカラー職業のなかの男性、「元」養護教諭を対象とした点をめぐって、討論が広がった。ジェンダーの観点からは啓蒙的な研究、マイノリティとしての男性養護教諭の観点からはナレッジマネジメントのような研究として意義深く、興味深い着眼点である。また、調査のアーカイブ化についての戦略が議論となった。

第5報告は、塚田守氏(椙山女学園大学)による「個人のホームページ上でのライフストーリーのアーカイヴ化の可能性」である。報告者は、ロバート・アトキンソン氏が1988年に設立したライフストーリーセンターをモデルに、ライフストーリー文庫~きのうの私~を代表として運営している。(1)「人生の物語」の収集・一般公開によって、何かを感じ、学ぶ機会を提供する。(2)様々な人々が自分の「人生の物語」を書くきっかけとなる。(3)研究者によるライフストーリー研究の交流の場となる、という三点を目的として掲げている。編集方法や運営等の舞台裏が惜しみなく情報提供され、フロアを交えた議論が尽くされた。(安倍尚紀)
7.研究実践交流会

今回の研究実践交流会は、「オーラル・ヒストリーをいかに作品化していくか?」と題して、参加者の経験や意見の率直な交流を重視した参加型でおこなった。

JOHA年次大会は今回で第9回を迎え、来年は第10回という節目を迎えることになる。その間、オーラル・ヒストリー研究は、生活史研究やライフストーリー研究、ナラティブ論、言説分析などといった質的調査研究の議論と重なり合いながら、声の複数性や文脈性、語り手と聞き手の共同制作性(相互行為性)や聞き手(調査研究者)の立場性、語りの現在性やそれを限界づける語りえなさの問題など、認識論的・方法論的議論が一定程度蓄積されてきた。

しかしながら、それらを生かした記述や作品化のしかたという点では、個々に悩みながら試行錯誤している状態で、真正面から議論したり、率直に意見交流をする場が意外に設けられてこなかったように思う。また一部では、認識論的・方法論的議論ばかりをくりかえし問うことが、結果的に「閉塞感」につながってはいないかという声も聞かれるようにもなった。肝心の羊羹をおいしく切って味わいたいのに、切るナイフばかり研いでいても先には進めない。そこで、具体的に羊羹を切っていくうえでの、つまり作品化するうえでの悩みや葛藤などを吐露し、共有し、どうすればよいかをセルフヘルプ的に考える場をもとうではないか、というのが今回の研究実践交流会のねらいであった。

会ではまず、学術論文色のもっとも強い博士論文「戦後日本社会における被爆者の『生きられた経験』――ライフストーリー研究の見地から」を書き上げたばかりの八木良広さんと、4年前に博士論文を『ひきこもりの〈ゴール〉――「就労」でもなく「対人関係」でもなく』(青弓社)として書籍化され、さらに次回作の刊行を模索されている石川良子さんに、上記の意見交流や議論の口火として短い話題提供をしていただいた。

八木さんからは、博士論文はあくまで学術的な論文スタイルをとる必要があるが、論文調では対象者のライフを適切に表現できないと思い、執筆時には読み物風の文体も意識したこと。自分自身が漸次作品化していくなかで発見し気づいていったプロセスをも入れ込むために、これまで作品化した個々の論文を連結させるのではなく改めて書き下ろしたこと。それらの経験から、さまざまさ制度上の制約があるなかで、業績づくりのためではなく、対象者のライフを厚く記述していくためにはどうすればよいのかといった問題提起がなされた。

石川さんからは、発信することが研究者の役目であり、「読んでもらってなんぼ」ではないか。その際、誰に読んでもらいたいか、いつ出版するか、どう書くか等が鋭く問われてくること。読み物風じゃないと書けないことがあり、そこにもっと積極的な学問的意味があるのではないか、そしてそれをちゃんと書かなければならないのではないか。つまるところ、自分にとって学問するとはどういうことなのかを抜きには発信できないといったことなど、「社会のなかのオーラル・ヒストリー」にかかわる問題提起がなされた。

その後、6つのグループに分かれて、話題提供者のお二人から提示された悩みや課題・考えていることを触媒にして、参加者自身が抱えている悩みや課題・考えを吐露したり、あるいはそれに対して創意工夫したことなどを新たに付け加え、経験談なども交えながら、どうすればよいかを話し合う時間をもった。そして、それぞれのグループでどんな意見が出たか、グループごとに発表していただき、参加者全体で共有した。

オーラル・ヒストリーは誰のものなのか。経験を位置づけるのに大きな物語・理論的枠組みはいらないのか。読まれることは大事だが「消費」されてしまってよいのか。オーラル・ヒストリーはスキマ産業であり、スキマ産業ならではの強みが学問のありかたを揺り動かしていくのではないか。技術的なところで対抗するのではなく、資料の「無」をどう扱うかなどオーラル・ヒストリーの実質的なところで対抗すべきではないか。他方で、査読に通るように書かなければならない我々院生は?等々といった率直な意見が次々に出され、「いかに学術的であるか」というところで悩んでいる人がこんなに多いとは!といった感想も出た。

学問・学術とは何なのかといった根本的なところまでさかのぼり、自由闊達な本音の議論がなされ、またそれがセルフヘルプ的なコミュニケーションを展開させることになったように思う。このような、参加者が個人的な課題などを気軽に話し合い、多くの参加者の声を出していく研究実践交流会のような場は、オーラル・ヒストリーという学問の足場を築いていくために、今後ますます重要になっていくのではないかと強く感じた。(小倉康嗣)

8.シンポジウム

 四国で初めて開催される大会ということで、四国遍路をテーマにオーラル・ヒストリーとの接点を探るシンポジウムを行いました。

まず愛媛大学の「四国遍路と世界の巡礼研究会」の代表を長年務められた内田九州男先生に現在の遍路のスタイルの歴史的な定着過程について実証的に説明してもらい、次に大阪大学の川村邦光先生に、ゼミ生と一緒に四国遍路を行った経験にもとづいて、生者と死者との語らいという遍路の一面について報告してもらいました。本学会の小林多寿子先生からはアメリカの日系インターンメントの収容所を巡るピルグリメージと四国遍路の共通性と違いについて報告をいただきました。

その後、元会長の清水透先生から、マウンテンバイクによる四国遍路を行った経験から、明確に言語化できない宗教的体験として、四国遍路の意味づけがありました。本学会の川又俊則先生からは、各報告者について非常にていねいな要約とコメントがありました。

結論として、確かに伝統となり習慣化した遍路の中にも、個人的体験と宗教性をつなぐ何らかの超越的な回路があることが示唆され、実り多いシンポジウムであったと評価できます。(山田富秋)

JOHAニュースレター20号

 日本オーラル・ヒストリー学会第9回研究大会(JOHA9)が、2011年9月10日(土)、11日(日)の二日間にわたって、松山大学において開催されます。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。

【目次】
(1) 第9回年次大会
1.大会プログラム
2.自由報告要旨
(2) 第17回国際オーラル・ヒストリー学会への参加を!
(3) 本年度ワークショップ「オーラル・ヒストリー・フォーラム」スタートしました!
(4) 理事会報告
(5) 事務局便り
1.会員異動
2.2011年度会費納入のお願い

(1) 日本オーラル・ヒストリー学会第9回大会

1.大会プログラム

http://joha.jp/?eid=174

2.自由報告要旨

第1分科会
(1)張嵐(日本学術振興会外国人特別研究員)・桜井厚(立教大学)
戦争体験を語る・伝えるという実践
 敗戦後65年余が経過し、日本では戦争の実体験を持たない人びとがほとんどとなる。しかし、戦争体験の記憶を風化させまいとする活動は、さまざまな形で行われている。ここでは、日常の場で求められて戦争体験を子どもたちや身近な人びとに語っている人びとに注目する。かれらの体験は満州での兵士体験であったり、子どもの頃の空襲体験であったりするが、それをどのように今日、戦争を知らない世代に語ろうとしているのか。本報告は、個人的記録(日記、手紙、自分史、写真など)を補助的に用い、戦時を中心にその前後を含めた歴史的出来事を体験した人びとの語りをもとに、戦争を知らない私たちに伝える実践に焦点を当てる。かれらが今、戦争体験の何をどのように語っているのか、さらに、何を伝えようとしているのか、について考察する。

(2)桜井厚(立教大学)
戦争体験を語り継ぐ――沖縄県南風原町の実践から
 沖縄県南風原町は、太平洋戦争時には重要な軍事的拠点とされ沖縄戦では住民の42%もの人が犠牲となった。南風原町は、戦後いち早く「非核平和の町」宣言をし、「南風原陸軍病院壕」を戦争遺跡として全国発の町文化財に指定(1990)したり、町内の戦争体験を収集する戦災調査、南風原文化センター常設展示や平和学習事業の取り組み、また平和ガイドの育成などをとおして、住民と一体になって戦争体験を継承する活動を精力的に行ってきた。これらの活動にかかわる町職員や平和ガイド参加者の語りをもとに戦争体験を語り継ぐ実践の意味を南風原のローカルな世界と関連づけて報告する。

(3)石川良子(日本学術振興会特別研究員)
「南風原平和ガイドの会」の実践
 「南風原平和ガイドの会」は、2007年に一般公開された南風原陸軍病院壕20号壕の管理・案内のために結成された。2009年にNPO法人化されてからは町内全体にガイドの範囲を広げ、字ごとのマップ作りや「総合ガイド」の養成に取り組んでいる。まず、このような事業方針を打ち出した経緯・背景を、ある中核メンバーの語りから明らかにする。この人は「たとえ壕があっても人が集まってこなければ平和ガイドは成立しない」と考えているようだが、沖縄戦を語り継ぐという実践にとって「まちづくり」という視点を取り入れることは、単なる人集め以上の意味を持ちうるのではないか。このことを他のメンバーの語りも交えて考察する。

(4)八木良広(小田原看護専門学校)
沖縄戦の「死」の語り伝え
 沖縄県では、66年経た現在に置いても人びとの生活圏から不発弾だけでなく遺骨が頻繁に出土される。南風原町においても出土されるのは各壕の発掘調査時や公園整備の際など時と場合を問わない。掘り出されるのはその人の最期の瞬間そのままの「死」(北村毅)である。一般的には、「死」の発見は、困難であるものの身元の特定やその後の遺族の割り出しにつながり、実際取り組んでいる団体や個人は存在するが、語り伝えるという文脈で「死」の意味を捉えようとする試みがある。それはどういうものであろうか。報告では、対象者の語りからその内容を明らかにするとともに、「死」をめぐる現代的状況についても見ていく。

第2分科会
(1)矢吹康夫(立教大学大学院)
優生手術経験の語り難さ:アルビノ当時者のライフストーリーから
 アルビノとは全身のメラニン色素を作れない常染色体务性の遺伝疾患である。私が継続しているアルビノ当事者へのインタビュー調査では、問題経験を聞きたがっている調査者のストーリーが相対化され、「困ったことはなかった」「差別されたことはない」という語りにたびたび出くわす。 しかし一方で、結婚や出産の話題になると、「やっぱり」という言葉に続けて否定的な経験が語られることがある。そこでは、全体主義的で強制的な旧来の優生学は明確に否定されるが、かといって自発的で個人本意の修正優生学に対しては容認とも否認ともとれない曖昧な語りが展開される。本報告では、結婚前に自らの意志で優生手術を選択したアルビノ当事者(70代・男性)のライフストーリーを主に検討し、優生手術経験の語り難さを確認するとともに、既存の優生学的言説に回収されないような新しい語りの可能性を模索したい。

(2)青木秀光(立命館大学大学院)
精神障害者の子を抱えて生きる、ある母親の生活史
 精神障害者の子を持つ親は、様々な苦悩とともに生きている。精神疾患(特に統合失調症)は青年期に好発する。親たちは、子どもが将来巣立ち、第2 の人生を考え始める時期にある。そのような時期に、自らの子が精神疾患を発症するところに中途障害の困難さがある。また、精神疾患発症時の知識のなさ、症状の不可解性、周囲を含む自らの偏見、親亡き後の不安、これまでの子育てへの後悔、等々多くの負荷要因も存在する。そのなかで生きる家族は、どのような思いで日々を生活しているのだろうか。本報告では、統合失調症の子とともに31年間歩んできた、ある母親のライフストリーを提示することで、彼女の主観的意味世界に接近することを目的とする。

(3)小林久子(藍野大学)
1970年代初頭に心臓ペースメーカーを植え込んだ女性たちの働く事の難しさ
 近年、心臓ペースメーカーの社会的認知は高く、公共の場での電磁波障害にも配慮がある。障害者1級の承認は、医療費免除の社会的恩恵を受けている。しかし、1970年代初頭の日本で、「障害者手帳をもったら、嫁にも行けない」と医師に言われた3人の女性たちは、病気を隠して働き、病気が発覚して解雇され、2年毎の器械の電池交換と同時に転職するという歴史を生きてきた。彼女らが仕事を通して抱いた“みじめさ”と“後ろめたさ”の思いは、医療を取り巻く社会の変化によって、今に語り継がれることはない。そこで、当時

JOHAニュースレター20号

 日本オーラル・ヒストリー学会第9回研究大会(JOHA9)が、2011年9月10日(土)、11日(日)の二日間にわたって、松山大学において開催されます。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。

【目次】
(1) 第9回年次大会
1.大会プログラム
2.自由報告要旨
(2) 第17回国際オーラル・ヒストリー学会への参加を!
(3) 本年度ワークショップ「オーラル・ヒストリー・フォーラム」スタートしました!
(4) 理事会報告
(5) 事務局便り
1.会員異動
2.2011年度会費納入のお願い

(1) 日本オーラル・ヒストリー学会第9回大会

1.大会プログラム

2.自由報告要旨

第1分科会

第2分科会

第3分科会

第4分科会

第5分科会

(2) 第17回国際オーラル・ヒストリー学会への参加を!

http://joha.jp/?eid=170

(3) 本年度ワークショップ「オーラル・ヒストリー・フォーラム」スタートしました!

 昨年度の連続ワークショップは、実行委員の方々の企画力やご努力もあって、大学人だけではなく、郷土史家や市民研究者、ドキュメンタリーを制作しているジャーナリスト、社史を作成したいと参加されていた方など、幅広く多彩な方々が参加され、たいへん活気がありました。私は、第4回の話題提供者として呼んでいただいたのを機にこのワークショップに参加させていただくようになったのですが、やはり多様なアクターによって民主的に歴史や記憶を構築していくところにオーラル・ヒストリーの可能性があるのではないか、そしてそういうことを平場で率直に議論し共有できる「場」がJOHAワークショップなのではないか、と感じました。今年度のワークショップの企画運営委員となった皆さん(下記)も、同じような思いだったようです。
 そこで、今年度はとくに「オーラル・ヒストリー・フォーラム」と銘打って、さまざまな立場の参加者同士で「愚直」な議論を交わすことを重視したいと考えました。迷いや戸惑いのようなものも率直にさらけ出せる、正直なコミュニケーションをベースにして、オーラル・ヒストリーは人間と社会にどんな働きかけをするのか。手法だけにとどまらないオーラル・ヒストリーの学問的・実践的意味・意義とは何か。そういったことを議論し、深めていく場にしていくことができればと願っています。
 今年度も複数回のフォーラムを開催し、担当の企画運営委員が毎回持ち回りでコーディネートする運営となりますが、フォーラム全体を貫くテーマとして「学知と現実のはざま」を掲げました。オーラル・ヒストリーに向き合うとき、私たちが共通して直面するのがこの問題ではないかと思ったからです。それは、生活知と学知の乖離として感受されることもあるでしょうし、報告書や論文、著書、ドキュメンタリーなどに作品化するときの戸惑いや悩みとして感じられることもあるでしょう。学知・運動・当事者の「はざま」で葛藤したり、ききとりをしながら「自分はいったい何者なのか」というジレンマにさいなまれる場面も少なくないと思います。また、3.11の大震災は、「学知と現実のはざま」を根底からから問うているようにも思えます。
 この「はざま」には、イデオロギーや運動、あるいは大小さまざまなコミュニティの解釈枠組や、写真や映像などの多様なメディアも介在し、さらに重層的で錯綜した様相を呈しているといえるでしょう。しかしながら、こういった「はざま」に胚胎するさまざまな問題こそが、既存の枠組を革新したり、新たなコンテクストを生成していくのであり、それがオーラル・ヒストリーの創造性の源泉でもあろうかと思います。とはいえ、オーラル・ヒストリーのこういった側面を正当に位置づけ、生かし、評価していく場はそれほど共有されていないようにも感じます。
 そこで、上述のようなさまざまな立場の参加者同士の正直なコミュニケーションから始め、「学知と現実のはざま」に胚胎する悩みや問題を吸いあげていく「場」をまずはつくっていこうではないか、というのがこのフォーラムのねらいです。昨年度のワークショップは、参加者が各々プロジェクトを遂行していくという目的もありましたので、議論の時間だけをゆっくり・たっぷりとるということが難しい部分もあったように思います。そこで今年度は、昨年度のワークショップの精神を引き継ぎながら、とくに議論(コミュニケーション部分)に力点を置こうということで「フォーラム」としました。それは、先日おこなわれたフォーラム第1回のプログラムにも反映されています。
 門出となるフォーラム第1回は、企画運営委員の木村豊さんと清水美里さんのコーディネートのもと、「市民運動とのかかわりのなかで」というセッションテーマで開催されました(なんとその日は、はからずも清水透・JOHA会長のバースデーと重なり、縁起のいい門出となりました!)。
 オーラル・ヒストリー実践・研究のなかで、市民の集まりや市民活動とどのようなかかわりかたが可能なのか。長年その模索をされてきた八木良広さん(話題提供題目「『平和』『核兵器廃絶』と被爆者の生きられた経験のあいだ――被爆者へのライフストーリー研究の見地から」)と山本唯人さん(話題提供題目「学知/ことばの生まれる場所――東京大空襲・戦災資料センターの試みから」)に話題提供をしていただきました。二つの話題提供をめぐる質疑応答を口火にして、それらと参加者自身が抱えている悩みとを交差させた議論を趣旨に、5つのグループに分かれてグループ・ディスカッションを1時間ほどおこない(話題提供者のお二人には、各グループを回って議論に加わっていただきました)、グループ・ディスカッションで議論になった論点を出し合って全体討論をさらに1 時間ほどおこないました。
 お二人の話題提供が、ご自身をまな板の上に乗せるような率直な、そしてまさしく「学知と現実のはざま」をめぐる刺激的なお話だったこともあり、予定時間を大幅にオーバーするほどの白熱した議論が展開されました。
 秋に開催予定のフォーラム第2 回は、「女性史」をセッションテーマとした企画を練っているところです。多様な背景の方々の多くのご参加をお待ちしています。また、第3回の企画についてはまだ白紙状態です。フォーラムの企画運営委員会は自由に加われるオープンな自治組織ですし、持ち込み企画大歓迎ですので、われこそは!と思う方、どうぞ気軽に

JOHAニュースレター第19号

 日本オーラル・ヒストリー学会第8回大会
盛況のうちに閉幕
 日本オーラル・ヒストリー学会第8回大会は、9月11日(土)、12日(日)の両日にわたって立教大学池袋キャンパスで開催されました。3分科会と研究実践交流会ではいずれも活発な報告や議論が交わされました。大会二日目、午後からは「ジェンダー史とオーラル・ヒストリー」と題するシンポジウムが開かれ、熱心な討議が繰り広げられました。
来年度の年次大会は、2011年9月に松山大学(愛媛県松山市)で開催される予定です。会員のみなさまの積極的な参加をよろしくお願いいたします。(「お知らせ」をご覧ください)。

【目次】
(1) 第8回大会報告
1.第8回大会を終えて
2.第1分科会
3.第2分科会
4.第3分科会
5.シンポジウム
6.研究実践交流会(ワークショップ第4回)
7.保苅実写真展

(2) 第7回総会報告

(3) 理事会報告

(4) ワークショップ案内

(5) お知らせ
1.第9回大会について
2.第7号投稿案内
3.国際交流委員会より
4.会計報告および会費納入のお願い
5.会員の異動


(1) 第8回大会報告
1.第8回大会を終えて
 第8回大会は、2010年9月11日(土)、12日(日)の両日にわたって、立教大学池袋キャンパスにおいて開催されました。1日目は、1分科会のほかに研究実践交流会が開かれました。研究実践交流会は例年、参加者が自由に発言できる貴重な機会になっていますが、今回は、4月からはじまった連続ワークショップの一環(第4回)として、オーラル・ヒストリーにおける「発見は何?」をテーマに活発な議論がなされました。2日目は、午前中は2分科会が行われ、午後にシンポジウム「ジェンダー史とオーラル・ヒストリー」が開かれました。本学会は設立当初から女性会員の割合が多く、その点からも待ち望まれたテーマであったと見られ、フロアを含めて充実した討論がなされました。
 また、大会開催に並行して受付のある1階フロアにおいて「保苅実

JOHAニュースレター第18号

 日本オーラル・ヒストリー学会第8回研究大会(JOHA8)が、2010年9月11日(土)、12日(日)の二日間にわたって、立教大学池袋キャンパスにおいて開催されます。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。
※大会に併せて「保苅実写真展」を7号館1階ロビーにて開催します


【目次】
(1) 第8回年次大会
1.大会プログラム
2.自由論題報告要旨
(2) 「保苅実写真展 カントリーに呼ばれて」のご案内
(3) オーラルヒストリーと演劇・ダンスについて――「ガラスの仮面」を思いつつ
(4) ワークショップ報告
(5) 理事会報告
(6) 事務局便り
1.会員異動
2.2010年度会費納入のお願い


(1) 日本オーラル・ヒストリー学会第8回大会

1.大会プログラム
http://joha.jp/?eid=111
第4回ワークショップ「発見は何?」
http://joha.jp/?eid=115

2.自由報告要旨
第1分科会
http://joha.jp/?eid=121
第2分科会
http://joha.jp/?eid=122
第3分科会
http://joha.jp/?eid=123


(2) 「保苅実写真展 カントリーに呼ばれて ~オーストラリア・アボリジニとラディカル・オーラル・ヒストリー~」のご案内
http://joha.jp/?eid=113


(3) オーラルヒストリーと演劇・ダンスについて――「ガラスの仮面」を思いつつ
  先だって、アメリカの学生、18歳のアンソニー君が、日本で一人芝居を行った。15分で、7名の人間を演じ分けるというものだ。想像できるだろうか? 小道具は椅子ひとつ、そして、衣裳も目の前で着替える。――ブラックアウト(暗転)も何もない。彼の、しかし、その迫真性は、英語で演じられているにも関わらず、みる物を引き寄せる強い力があった。演じた後の感想には、『引き込まれた』『英語は全部わからないのに、その感情が押し寄せてきた』とあった。戦争に関わるものではあるが、戦争の悲惨さを感じる者もいれば、「自分は20歳を過ぎて、いったい、彼と比べて何をやっているんだろう」と自問する感想も多かった。
 その迫真性には、理由がある――と、二度みた私は思う。彼は、14歳の時、「ゴーストソルジャーズ」という、『バターン死の行進』という、アメリカ人捕虜(また捕虜問題か、と思わないでほしい)の体験記を母から与えられた。「僕らはなんで歴史のことを知らないんだろう?」「僕らはなんでこういう事を語りあわないんだろう?」その本にあらわれる中尉がたまたま、近所に住んでいた。彼と彼の家族はインタビューに出向いた。それから彼は、紹介される元捕虜に電話し、幾人かの話のオーラルヒストリーを元に、この劇(寸劇というには重すぎ、深すぎる)を作ったと言う。彼に、それを演じ続ける理由を聴くと「自分が演じ始めてから、幾人もの元兵士・元捕虜に会った。彼らの目をみたとき、<これは二度と繰り返されてはならないことだ>とアンソニーは深く思ったのだと言う。彼が、それらの生きたお爺さんたちの話を聴いたこと、直接、その人々に会って話を聴いたことが、この劇の迫真性を高めているのは確かである。
 日本でも、この夏、戦争を扱った演劇やテレビドラマが放送された。NHKの『ゲゲゲの女房』でも、終戦記念日後の一週間は、水木しげるを演じる役者が、ボルネオでの経験を語るものだった。だが――その迫真性には二つの違いがある。一つは、映像を通した「作品」であること。アンソニーのそれは、彼の若さもあって、元捕虜の往時を思わせる。実際、この演劇をみたアメリカ人兵士やその遺族は胸を揺さぶられ涙しているのを私もアメリカで見た。受け継ぎ、演じる人間が「なまもの」である事が、その迫真性を増しているのだ。水木しげるの役を演じる俳優が、ボルネオで悲惨な目に遭った日本兵士に会ったかどうかはわからないので、ここではその点はおくとする。
 この直前に、チェコでの国際IOHA大会では、「語る」ことをバレエにした作品もあった。練習風景しか目にできなかったが口をいましめられた踊り手が、次第に自由になっていく、そんな作品だった。英国のオーラルヒストリーソサエティでも、現在進行中のオーラルヒストリープロジェクトに参加している若者が、演劇を披露した――ヴィクトリア&アルバート美術館で演じるにはかなりショッキングなので、九月のJOHA大会での報告までのお楽しみとして置いておくとしよう。オーラルヒストリーの成果をまとめるにはいくつもの方法がある。日本では論文、ドキュメンタリーが大勢を占める。だが、アンソニーの劇のような、生々しくかつ、迫力のある「再表現」の仕方もある。初めてアメリカの大会に出た時も、最後が演劇である事に驚いたものだ。オーラルヒストリーの豊穣性と多様化の一環として、日本でも試みられてもよいのではなかろうか。聴いた人、あるいは聴かれた記録を読んだ人が、演劇や踊りにしていくことは可能だ。演歌や琵琶語り、能や狂言でも可能であろう――いやこれらの芸術とて、一部は、大本はオーラルヒストリーだと考えることさえできる。今後の、日本のアートシーンとオーラルヒストリーとのセッションを期待したい。
(文責 中尾知代)


(4) 2010連続ワークショップ報告
 2010連続ワークショップでは、「私たちの歴史を創る、私たちの歴史を書く」は、参加者が受け身の拝聴者としてではなく、それぞれの小プロジェクトを持ち寄り、自らのオーラル・ヒストリー経験を基にして、研究調査実践の過程で生じる諸問題について具体的に議論していくことを目指した。ここで、「私たちの歴史」という表現を用いたのは、単一の歴史を強制するという意味ではなく、又その逆に、「歴史は私たちの数だけ複数ある」という歴史相対主義を意味したわけでもない。「私」という政治的主体が協同しあえる可能性を求めて、という意味を込めて「私たち」という表現を用いた。さらに、個人としての「私たち」の経験の総体としての歴史事象の説明に、私たちの視点や働きかけを取り込んでいこうという希望を示した。
 2009年12月に発行されたJOHAニュースレター16号でワークショップ実行委員を募集し、2010年3月に5人の実行委員(大城道子、郷崇倫、酒井順子、橋本みゆき、森田系太郎)が集まって概要を定め、これまで3回のワークショップを開催してきた。第1回(5月5日)は、「オーラル・ヒストリーとは何か」をテーマに掲げ、ワークショップ実行委員が話題提供者として(大城道子:沖縄県内自治体編纂地域史専門員、郷崇倫:横浜市立大学大学院、橋本みゆき:立教大学兼任講師)問題提起をし、参加者もそれぞれのオーラル・ヒストリー観を交換した。