JOHAニュースレター20号

 日本オーラル・ヒストリー学会第9回研究大会(JOHA9)が、2011年9月10日(土)、11日(日)の二日間にわたって、松山大学において開催されます。みなさま、お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。

【目次】
(1) 第9回年次大会
1.大会プログラム
2.自由報告要旨
(2) 第17回国際オーラル・ヒストリー学会への参加を!
(3) 本年度ワークショップ「オーラル・ヒストリー・フォーラム」スタートしました!
(4) 理事会報告
(5) 事務局便り
1.会員異動
2.2011年度会費納入のお願い

(1) 日本オーラル・ヒストリー学会第9回大会

1.大会プログラム

2.自由報告要旨

第1分科会

第2分科会

第3分科会

第4分科会

第5分科会

(2) 第17回国際オーラル・ヒストリー学会への参加を!

http://joha.jp/?eid=170

(3) 本年度ワークショップ「オーラル・ヒストリー・フォーラム」スタートしました!

 昨年度の連続ワークショップは、実行委員の方々の企画力やご努力もあって、大学人だけではなく、郷土史家や市民研究者、ドキュメンタリーを制作しているジャーナリスト、社史を作成したいと参加されていた方など、幅広く多彩な方々が参加され、たいへん活気がありました。私は、第4回の話題提供者として呼んでいただいたのを機にこのワークショップに参加させていただくようになったのですが、やはり多様なアクターによって民主的に歴史や記憶を構築していくところにオーラル・ヒストリーの可能性があるのではないか、そしてそういうことを平場で率直に議論し共有できる「場」がJOHAワークショップなのではないか、と感じました。今年度のワークショップの企画運営委員となった皆さん(下記)も、同じような思いだったようです。
 そこで、今年度はとくに「オーラル・ヒストリー・フォーラム」と銘打って、さまざまな立場の参加者同士で「愚直」な議論を交わすことを重視したいと考えました。迷いや戸惑いのようなものも率直にさらけ出せる、正直なコミュニケーションをベースにして、オーラル・ヒストリーは人間と社会にどんな働きかけをするのか。手法だけにとどまらないオーラル・ヒストリーの学問的・実践的意味・意義とは何か。そういったことを議論し、深めていく場にしていくことができればと願っています。
 今年度も複数回のフォーラムを開催し、担当の企画運営委員が毎回持ち回りでコーディネートする運営となりますが、フォーラム全体を貫くテーマとして「学知と現実のはざま」を掲げました。オーラル・ヒストリーに向き合うとき、私たちが共通して直面するのがこの問題ではないかと思ったからです。それは、生活知と学知の乖離として感受されることもあるでしょうし、報告書や論文、著書、ドキュメンタリーなどに作品化するときの戸惑いや悩みとして感じられることもあるでしょう。学知・運動・当事者の「はざま」で葛藤したり、ききとりをしながら「自分はいったい何者なのか」というジレンマにさいなまれる場面も少なくないと思います。また、3.11の大震災は、「学知と現実のはざま」を根底からから問うているようにも思えます。
 この「はざま」には、イデオロギーや運動、あるいは大小さまざまなコミュニティの解釈枠組や、写真や映像などの多様なメディアも介在し、さらに重層的で錯綜した様相を呈しているといえるでしょう。しかしながら、こういった「はざま」に胚胎するさまざまな問題こそが、既存の枠組を革新したり、新たなコンテクストを生成していくのであり、それがオーラル・ヒストリーの創造性の源泉でもあろうかと思います。とはいえ、オーラル・ヒストリーのこういった側面を正当に位置づけ、生かし、評価していく場はそれほど共有されていないようにも感じます。
 そこで、上述のようなさまざまな立場の参加者同士の正直なコミュニケーションから始め、「学知と現実のはざま」に胚胎する悩みや問題を吸いあげていく「場」をまずはつくっていこうではないか、というのがこのフォーラムのねらいです。昨年度のワークショップは、参加者が各々プロジェクトを遂行していくという目的もありましたので、議論の時間だけをゆっくり・たっぷりとるということが難しい部分もあったように思います。そこで今年度は、昨年度のワークショップの精神を引き継ぎながら、とくに議論(コミュニケーション部分)に力点を置こうということで「フォーラム」としました。それは、先日おこなわれたフォーラム第1回のプログラムにも反映されています。
 門出となるフォーラム第1回は、企画運営委員の木村豊さんと清水美里さんのコーディネートのもと、「市民運動とのかかわりのなかで」というセッションテーマで開催されました(なんとその日は、はからずも清水透・JOHA会長のバースデーと重なり、縁起のいい門出となりました!)。
 オーラル・ヒストリー実践・研究のなかで、市民の集まりや市民活動とどのようなかかわりかたが可能なのか。長年その模索をされてきた八木良広さん(話題提供題目「『平和』『核兵器廃絶』と被爆者の生きられた経験のあいだ――被爆者へのライフストーリー研究の見地から」)と山本唯人さん(話題提供題目「学知/ことばの生まれる場所――東京大空襲・戦災資料センターの試みから」)に話題提供をしていただきました。二つの話題提供をめぐる質疑応答を口火にして、それらと参加者自身が抱えている悩みとを交差させた議論を趣旨に、5つのグループに分かれてグループ・ディスカッションを1時間ほどおこない(話題提供者のお二人には、各グループを回って議論に加わっていただきました)、グループ・ディスカッションで議論になった論点を出し合って全体討論をさらに1 時間ほどおこないました。
 お二人の話題提供が、ご自身をまな板の上に乗せるような率直な、そしてまさしく「学知と現実のはざま」をめぐる刺激的なお話だったこともあり、予定時間を大幅にオーバーするほどの白熱した議論が展開されました。
 秋に開催予定のフォーラム第2 回は、「女性史」をセッションテーマとした企画を練っているところです。多様な背景の方々の多くのご参加をお待ちしています。また、第3回の企画についてはまだ白紙状態です。フォーラムの企画運営委員会は自由に加われるオープンな自治組織ですし、持ち込み企画大歓迎ですので、われこそは!と思う方、どうぞ気軽に