【第1分科会】「震災・難民」報告要旨

【第1分科会】「震災・難民」
司会:滝田 祥子

「福島原発事故経験者としての在日中国人の女性のライフヒストリー」
王 石諾(大阪大学人間科学研究科・博士後期課程)
東日本大震災及びそれに起因する福島原発事故は、特に現地に住む人々に甚大な被害もたらし、10年経った現在においてもそれに関する議論は盛んである。報告者は福島県に現地調査を行った際、現地の在日中国人の中で、国際結婚で移住してくる中国東北地方出身の女性が圧倒的に多いことに気づいた。彼女らの語りに耳を傾けることを通じて、故郷に留まらない理由、日本語を話せず移住してくる記憶から、福島原発事故の経験、日中の境界にさまよう内面的な動きまで、戦争歴史の残響及び予測不可能な災害事故のリスクを織りなすライフヒストリーを感じ取った。本報告は、こうしたマクロな歴史描写で見逃されがちな移住者女性の視点から、個々人から捉える災害リスクを描写する試みである。

「『徹底的に絶望する』ところから福島原発事故を捉える-福島県会津若松市における不安を語り合える場づくりを通して-」
佐久川 恵美(同志社大学大学院 博士後期課程)
東京電力福島第一原子力発電所の事故は10年目を迎え、避難、健康影響、廃炉といった課題が山積するなか、復興政策がすすめられている。復興政策において、原発事故や放射線被ばくによる健康影響への不安は払しょくする対象であり、人々を苦しめているのは放射線そのものではなく、知識不足から生まれる偏見・差別だと説明されている。不安を語ることすら憚れる状況下で、福島県会津若松市に暮らしているAさんは「徹底的に絶望するところから、この局面に立ち向かわないと」と語った。本報告では、「徹底的に絶望する」という言葉に込められたものを考察し、不安を語り合うことのできる場づくりをとおして、福島原発事故に遭っている自分たちにとっての「現実」を捉えようとする営みを明らかにする。

「在日ベトナム系移住者の生活の中でのことばをめぐる経験」
林 貴哉(立命館大学授業担当講師)
本発表では、難民として来日したベトナム系移住者を対象に、当事者の視点からことばをめぐる経験を明らかにする。定住開始前に実施される日本語教育が短期間であることに加え、定住開始後に日本語を学ぶ機会も限られていた。そのため、学齢期を過ぎてから定住生活を開始したベトナム系移住者に関しては、日本語習得の不十分さが問題点として指摘されてきたが、これは、暗黙裡に日本語母語話者が規範とされている等、ホスト社会からの視点にとどまっていた。本発表では、ベトナム人集住地域での参与観察や半構造化インタビューの結果をもとに、ベトナム系移住者の経験を分析することで、移住者にとっての生活の中における言語の意味づけを理解することを試みる。

「神戸生まれタタール移民2世と1950~1960年代イスタンブル―「理想の国民像」の相対化を目指して」
沼田 彩誉子(東洋大学アジア文化研究所客員研究員)
1917年ロシア革命を機に、ヴォルガ・ウラル地域から旧満洲、朝鮮半島、日本へ避難したテュルク系ムスリムがいた。彼ら「タタール移民」は、戦前日本の大陸政策における「イスラーム工作」に取り込まれたことで知られる。本発表ではまず、従来の研究で看過されがちだった第二次世界大戦後の時期について、トルコや北米へと移住した彼らが、複数の「故郷」を創出したことを示す。次に、神戸出身の女性に焦点を当て、幼少期にイスタンブルへと渡った彼女が、移動によって生じた経験を参照軸に、移住先社会を相対化する姿を描きだす。ただ一つの場所との結びつきを想定しない/できない極東生まれの2世は、「理想の国民像」を拠り所に移民の善悪を判断する社会的多数派とどう向き合うのか。歴史のうねりと交差しながら揺らぐ国民概念を、2 世の視点から位置づけることを目指す。

『なぜ戦争体験を継承するのか――ポスト体験時代の歴史実践』刊行記念シンポジウムのご案内

『なぜ戦争体験を継承するのか――ポスト体験時代の歴史実践』(蘭信三・小倉康嗣・今野日出晴編著、みずき書林)刊行記念シンポジウムを開催します。

戦後76年、世界情勢が激変するなか、〈あの戦争〉を体験した当事者なき時代を迎えつつあります。
そのようななか、戦争体験の継承は可能なのでしょうか。そもそも私たちはなぜそれを継承しなければならないのでしょうか。
このような問題意識のもと、戦争体験の継承をめぐる歴史実践の意味を問い直したのが『なぜ戦争体験を継承するのか―ポスト体験時代の歴史実践』です。
そこで、世代も専門も多様な論客が登壇し、本書の意義と限界を論じます。
皆様方のご参加をお待ちしております。


日時 2021年7月11日(日)13時30分〜17時
開催方法 オンライン
参加申込み締切:7月7日(水)
申込み方法:申込フォームから必要事項を入力してお送りください。
問い合わせ:kaken25245060[at]gmail.com
※ [at]を@に差し替えてください。

プログラム(敬称略)
13時30分 開会の挨拶 蘭信三(大和大学/上智大学)
13時35分 コメント 山本昭宏(神戸市外国語大学)、村上陽子(沖縄国際大学)、福間良明(立命館大学)、廣川和花(専修大学)、吉田 裕(一橋大学/東京大空襲・戦災資料センター)
15時30分 リプライ 小倉 康嗣(立教大学)、今野日出晴(岩手大学)、各執筆者
16時10分 総合討論
16時55分 閉会の挨拶 今野日出晴(岩手大学)

司会
山本晶子(慶應義塾大学大学院)・蘭信三

主催:科学研究費研究班「東アジアのポストコロニアルを聞き取る」(研究代表・蘭信三)
共催:戦争社会学研究会、日本オーラル・ヒストリー学会、科学研究費研究班「もの、語り、アート、宗教にみるトラウマ体験の共有と継承」(研究代表・田中雅一)
みずき書林 https://www.mizukishorin.com/

JOHA第19回大会 開催日程・形態の変更について

新型コロナウイルス感染拡大による影響について今後の見通しが立たないことを受け、9月4日・5日に青森公立大学を会場にハイブリッドでの開催を予定していたJOHA第19回大会開催の可否を理事会で慎重に協議した結果、日程を9月5日(日)の1日のみとし、開催形態をオンラインとすることを決定いたしましたことをご報告申し上げます。
大会プログラムや参加方法などについての詳細は、確定次第、会員メーリングリストならびにホームページでご連絡いたします。
末尾になりましたが、みなさまのご健康をお祈り申し上げます。

JOHA会長 赤嶺淳
大会開催校理事 佐々木てる
研究活動委員長 橋本みゆき

JOHAシンポジウム「戦争体験に関わる「二次証言」の可能性」のご案内

6月27日(日)に、「戦争体験に関わる「二次証言」の可能性-福井県の歩兵第三六聯隊に所属した一農民の体験を事例に考える-」というテーマでシンポジウムを、オンライン研究会方式で開催します(歴史学研究会現代史部会・同時代史学会と共催)。参加申し込みの方法と企画内容の詳細は以下をご確認ください。

日本オーラル・ヒストリー学会シンポジウム
戦争体験に関わる「二次証言」の可能性
-福井県の歩兵第三六聯隊に所属した一農民の体験を事例に考える-
(共催:歴史学研究会現代史部会、同時代史学会)

◆企画の趣旨
日本オーラルヒストリー学会では、このたび戦争体験に関わる「二次証言」の可能性をめぐるシンポジウムを企画しました。
その趣旨は、タイトルに明記してありますように、戦争体験に関する「二次証言」の可能性を考えたい、というところにあります。ただし、ここでいう「二次証言」という表現は、当事者ではない人が当事者から聞いたことを伝える証言という意味で、あくまで仮称として用いるものであり、証言としての価値の軽重を意識して用いるものではありません。戦争体験者(特に出征経験者)が自らの体験を直接語ることが次第に困難になりつつある昨今、その近親者などによる戦争体験を語り継ぐ活動が注目されつつあります。そのような活動の意義と可能性について、基調講演とシンポジウム形式の討論という二部構成の企画で考えたいというものです。
具体的には、福井県の鯖江に衛戍していた歩兵第三六聯隊に所属して、中国に出征した山本武さん(1913~1984)の戦争体験を取り上げます。山本武さんの戦争体験と、武さんが書き残された陣中日記と回顧録は、吉見義明さんのご著作『草の根のファシズム』(東京大学出版会、1985年)や、2000年に放映されたNHKの番組「ETV2000 シリーズ太平洋戦争と日本人 第5回 一兵士の従軍日記 -祖父の戦争を知る-」で取り上げられました。そして現在は、武さんのご子息である山本富士夫さんと山本敏雄さんによって、武さんの体験を語り継ぐ活動がなされています。
今回のシンポジウムでは、山本富士夫さんと敏雄さんをお招きして、実際に武さんの戦争体験を語り継ぐ基調講演をしていただきます。そして、その語り継ぐ活動の意義と可能性について、現代史やオーラルヒストリーに詳しい研究者(吉見義明さん、中村江里さん)にコメントしていただき、さらに企画担当者である能川泰治委員からのコメントも加え、全体討論を通じて理解を深めていきたいと思います。どうぞ奮ってご参加ください。

日時:2021年6月27日(日)13:00~17:00
【注記】
このシンポジウムは昨年6月に開催する予定でしたが、新型コロナウィルス感染拡大のために延期することにしたものです。今度はオンライン研究会方式で開催することになりしました。参加希望者には事前登録をお願いします。

会員・非会員を問わず参加費無料

参加登録方法
参加を希望される方は、下記申し込みフォームから事前登録をお願いします。申し込みフォームには、①お名前、②メールアドレス、③ご所属、④参加のきっかけ(シンポジウムのことを何でご存知になったか)を登録していただきます。登録しないと当日は参加許可されません。また、シンポジウムの前日に関係資料をお届けする予定ですので、なるべく6月25日(金)の17時までに申し込み手続きを完了させてください。
事前参加申し込みフォーム ←ここをクリック

Zoomの使用方法については、zoomの利用について案内をご確認ください。

問い合わせ先
日本オーラル・ヒストリー学会の研究活動委員会・能川泰治 (ysnogawa[at]staff.kanazawa-u.ac.jp)
※ [at]を@に変えて送信してください。

“>

JOHA19(第19回学会大会)報告エントリー募集

 2021年度のJOHA第19回大会の自由報告部会(個人報告/共同報告/テーマセッション)の報告者募集のご案内です。

 JOHA第19回大会は、9月4日・5日に青森公立大学で、現在のところ対面・オンライン併用のハイブリッド開催を予定しております。
 大会の詳細は、大会プログラムが確定する7月頃に決定次第、メーリングリストで会員のみなさまにお知らせするとともに、ウェブサイトに掲載します。
 ただし今後の新型コロナウィルス感染拡大の状況によっては、再調整の可能性があります。
 開催方法について検討していた関係で報告募集の開始が例年よりも遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。ふるってのご応募お待ちします。

◎第19回日本オーラル・ヒストリー学会大会
・日時:2021年9月4日(土)〜5日(日)
・会場:青森公立大学
 〒030-0196 青森市大字合子沢字山崎153番地4
・自由報告部会は9月4日(土)午後前半と5日(日)午前の見込み。ほかに総会・シンポジウム・研究実践交流会など。

◎自由報告(個人報告/共同報告/テーマセッション)報告者募集
〇個人報告および共同報告は、報告20分・質疑応答10分(合計30分)で構成されます。
〇テーマセッションは、150分間(上限)の時間枠で設定できます。1人あたり報告時間は20分を目安とします。全体の時間配分・報告者人数・報告順・コメンテーターは、コーディネーターが調整してください。
・募集期間:2021年4月16日〜6月1日
・報告を希望する会員は申込用紙に各項目を記入のうえ、下記の応募要項に従ってお申し込みください。
・オンライン報告/現地報告の選択肢があります。お申し込み時に選んでください。詳しくは後日打ち合わせます。

【応募要項】
◆申し込み資格
申込時点でJOHAの会員であること、および2021年度会費納入済みであること。
(会費納入のご案内、振り込み用紙は4月中に郵送いたします)

◆申し込み手続き
1.申込用紙に記入し、メール添付で、必ず下記2アドレス両方宛にお送りください。
申込用紙(個人報告・共同報告テーマセッション
−JOHA事務局・矢吹康夫(joha.secretariat[at]ml.rikkyo.ac.jp)
−研究活動委員会委員長・橋本みゆき(5522825[at]rikkyo.ac.jp)
※迷惑メール防止のため[at]としております。実際のメール送信では[at]の部分は@を入力してください。
※折り返し、事務局より受付の返信をします。返信がない場合は、ご面倒でもお問い合わせください。

2.メールで連絡できない方は、申込用紙をJOHA事務局へ郵送してください。受領連絡が必要な場合は返信用ハガキを同封してください。
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
立教大学社会学部 矢吹康夫宛
日本オーラル・ヒストリー学会事務局

◆申込締め切り
6月1日(火)(必着)

◆問い合わせ先:日本オーラル・ヒストリー学会事務局
JOHA事務局・矢吹康夫 (joha.secretariat[at] ml.rikkyo.ac.jp)

理事会(第9期)

<任期:2019年9月から2021年大会まで>

会長:赤嶺淳

事務局長:矢吹康夫

会計:上田貴子

編集委員長:石川良子
編集委員:今野日出晴
編集委員:佐野直子
編集委員:塚田守
編集委員:根本雅也

研究活動委員長:橋本みゆき
研究活動委員:小林多寿子
研究活動委員:能川泰治
研究活動委員:安岡健一
研究活動委員:山本恵里子

広報委員長:野入直美

大会校理事:佐藤量(任期 2019年9月~2020年大会まで)
大会校理事:佐々木てる(任期 2020年9月〜2021年大会まで)

監事:岩崎美智子
監事:倉石一郎

日本オーラル・ヒストリー学会第17回大会(JOHA17)のご案内

日本オーラル・ヒストリー学会第17回大会(JOHA17)が2019年9月7日(土)、8日(日)の2日間にわたり横浜市立大学において開催されます。お誘い合わせのうえ、ふるってご参加ください。
報告要旨などの詳細は、順次アップロードしていきますので、いましばらくお待ちください。

日本オーラル・ヒストリー学会 第17回大会
Japan Oral History Association 17th Annual Conference

開 催 日:2019年9月7日(土)、8日(日)
開 催 場 所:横浜市立大学金沢八景キャンパス(〒236-0027  横浜市金沢区瀬戸22-2)
・会場は、キャンパス内YCUスクエア(報告、シンポジウム等)といちょうの館(懇親会)で行われます
交通アクセス:京浜急行線「金沢八景駅」下車徒歩5分、シーサイドライン「金沢八景駅」下車徒歩7分
交通アクセスとキャンパスマップ
大会参加費:会員 1,000円、非会員 一般:2,000円、学生他:1,000円
懇 親 会 費:一般 4,000円、学生他 2,000円
大会時託児サービスを実施します。詳細は こちら をご確認ください。

大会に関してご不明な点がございましたら、JOHA 事務局までお問い合わせください。
E-mail: joha.secretariat(at)ml.rikkyo.ac.jp
※ [at]を@に差し替えて送信してください。

大会プログラム

大会プレ企画 9月6日(金)
中村高寛監督、陳天璽さんと一緒にヨコハマの歴史を歩く、味わう、語る
詳しくは こちら
9月3日追記 大会プレ企画は、定員に達しましたので、申込受付は終了しました。

第1日目 9月7日(土)
10:00 受付開始 @ピオニーホール(YCUスクエア1階)前ロビー

10:30〜13:00 映画『禅と骨』(中村高寛監督、2017年)上映会 @ピオニーホール

【監督紹介】
中村高寛さんは、1975年横浜生まれ。松竹大船撮影所でキャリアをスタートさせた後、北京電影学院でドキュメンタリー映画の手法を学ぶ。帰国後、中国人ドキュメンタリー映画監督李纓氏の撮影助手を務める。『ヨコハマメリー』が監督第1作。今回上映の『禅と骨』は第2作目。DVD化されていない作品のため、実践交流会で話題を提供していただく前に上映することにした。

【作品解説】
1918年に横浜でアメリカ人実業家の父と新橋芸者の母の間に生まれたヘンリー・ミトワの93年の人生をその複雑さ、滑稽さ、胡散臭さ、愛おしさを包み隠さずに作品にした。1923年に横浜で関東大震災を経験し、1940年には単身渡米。日米開戦後すぐに自ら志願して日系人強制収容所で過ごす。アメリカ国籍を放棄するが、帰還船に乗ることを拒否しアメリカに留まる。戦後はロサンゼルスで順風満帆な生活を築いていたが、突然1961年日本に帰国。京都嵐山天龍寺で禅僧になり、古都の文化人や財界人に囲まれて悠々自適の晩年を過ごすとおもいきや、80歳を目前に突如「赤い靴」の映画を作りたいと中村監督を彼の夢に巻き込むことになる。
この作品は、ヘンリー・ミトワの人生を観客に伝えるために、ドキュメンタリー+ドラマ+アニメ+時代背景や制作過程を解説したパンフレットというジャンルを縦横無尽に駆け巡る手法をとった。縦軸には横浜の近現代史の流れと日米関係、とりわけ第二次世界大戦の日系アメリカ人強制収容所体験が暗い影を差す。横軸には家族や友人との関係が彼の人物像を際立たせるように配置されている。一人の人生を歴史軸に据え、かつ、人間関係の網目の中に位置付けることは、オーラルヒストリーの正統的な手法である。本作品は、全部で9つの章に分かれている。

13:00 – 15:30 自由報告部会
第1分科会(戦争)@YCUスクエア4階401 報告要旨
・竹原 信也「移動する女性の体験が意味すること~済南の日本人居留地、満州・錦州での生活経験と八路軍従軍看護婦経験を有する女性のライフ・ヒストリー~」
・四條 知恵「ろう者の原爆の語り」
・那波 泰輔「1980年代のわだつみ会における加害者性との向き合い——1988年の規約改正に着目して」
・福田 真郷「沖縄県の在日米軍基地における「黙認耕作」」

第2分科会(仕事)@YCUスクエア4階403 報告要旨
・中原 逸郎「芸の発信−京都上七軒北野をどりの創成を中心に−」
・三浦 優子「海外駐在員女性配偶者の生活の中の両義性―語りからの考察」
・島田 有紗「高齢者労働力化と就労当事者の経験――高齢自営漁師たちの出漁実践と語りを事例に」
・八鍬 加容子「語り始めた「ホームレス」の人々―『ビッグイシュー日本版』「今月の人」誌面分析から」

16:00〜18:00 研究実践交流会(開催校企画)@ピオニーホール
作品化の手法:伝えること、伝わること、共有すること
【司会】滝田祥子
【発題者】中村高寛 「横浜をめぐる近現代史の聞き取りのドキュメンタリー映画化をめぐっての模索:『ヨコハマメリー』『禅と骨』そしてその先へ」
【趣旨】
研究実践交流会の目的は、オーラルヒストリーの実践をめぐり大会参加者同士が自分自身の研究実践の内容を共有し、今後の研究を続けていく上で有用な気づきを得やすい場をつくることにある。
JOHA2019年春季シンポジウム『ビジュアルオーラルヒストリーの可能性と現在』と実践ワークショップ『作品と現地をつなぐ』の流れを受けて、今回は<作品化>の局面に焦点をあて、聞き取りやオーラルヒストリーインタビューを作品化するときに、1)伝えていくための工夫はどのようにしているのか、2)作品化したあとに実際に伝わったのは何か手応えはあるのか、3)過去の記憶を共有することの難しさと可能性とはなにか、の3つの問いについて議論していきたいと考えている。
まず、前半は中村高寛監督をおむかえし、対話形式でこれまでの作品化のプロセスで苦労した点、工夫した点、成功した点、失敗した点、これからチャレンジしようと思っている企画などについてお話を伺う。実際の映像のダイジェストを見せていただきながら、膨大なビジュアルデータや収集した情報をどのようにして選択し作品に落とし込んでいくのか、など監督自身のドキュメンタリーの手法を明らかにしていく。前作『ヨコハマメリー』が、自分自身を語らぬメリーさんをめぐる様々な人の記憶から伊勢佐木町という<現地>の一つの時代を描いたのに対して、2作目の『禅と骨』では、メリーさんに負けず劣らずユニークな人物を目の前にしてその人の人一倍複雑な人生を理解することをその人自身の語りを主軸に描いている。前者は撮れてしまった映画で、後者は監督が確信的に撮った映画だと言われたこともあるようだが、その違いはどのようにして生まれ、そのことは監督自身の作品化をめぐる手応えにどのような影響を与えているのだろうか。
後半は、ワークショップ形式で、参加者の方々の作品化(論文、本、映像、など)実践を共有し、先に挙げた3つの問いについて考えを深めていきたいと企画している。最後に全体で共有し、中村監督からコメントをいただくことにする。

18:30〜20:30 懇親会 @いちょうの館

9月8日(日)
9:00 受付開始 @ピオニーホール(YCUスクエア1階)前ロビー

9:30〜12:00 自由報告部会
第3分科会(移民)@YCUスクエア4階401 報告要旨
・孫夢「「留学(さ)せざるを得ない」-当事者のライフストーリーから中国の教育現実を解明する」
・山崎 哲「「あなたの名」を知らぬ者は生活史をどう語るか -ある中国帰国者3世への聞き取り事例から-」
・竹田 響「在日コリアンの国境を越えた親族の繋がり―朝鮮半島の南北に離散して暮らす親族との「再会」に着目して―」
・仙波 梨英子「在日フィリピン人の第二世代のオーラルヒストリー:アートを通じた表現活動から考察する」

第4分科会(メディア)@YCUスクエア4階403 報告要旨
・林 貴哉「在外ベトナム人コミュニティにおける声の発信:米国のベトナム語メディア関係者の語りから」
・澁谷 由紀「ベトナム戦争期のジャーナリスト/諜報員の語りと現在:『ファム・スアン・アン―名前のとおりに生きた男』とその関連書籍をめぐって」
・石井 育子「ラジオドラマ史にみる脚本制作の変遷についての1考察」
・西村秀樹・小黒純「社会派TVドキュメンタリーの成立過程の研究、戦争の加害と被害をめぐる『記憶の澱』の研究」

12:05〜13:00 総会 @ピオニーホール

13:00〜14:00 特別イベント @ピオニーホール
科研費改革の背景と動向 (田中雅一JOHA研究活動委員会委員長)

14:00〜17:30  シンポジウム @ピオニーホール
〈見えないもの〉のオーラル・ヒストリー
【司会】田中雅一(国際ファッション専門職大学)、橋本みゆき(立教大学)
【趣旨】
幻覚や幻聴、夢、心霊現象、超常現象といった目に見えないものは、しばしば当事者たちの生に大きな影響を与える。たとえば、災害や戦争で亡くなった者が夢に現れ、遺言を残したり、自らの進むべき道に何か示唆を与えていたり、過去の夢が「虫の知らせ」であり予言・予知であったと認識していたりする。しかし、いかにそれが当事者たちにとってリアリティのあるものとして存在していても、目に見えないものは虚構であるかのように受け止められることも多い。
このシンポジウムは〈見えないもの〉のオーラル・ヒストリーに関連する研究に取り組む人々をパネリストとして招き、その意義や方法について議論する。私たちは〈見えないもの〉に対してどのようにアプローチし表現することができるのか。そして〈見えないもの〉に着目することで〈見える〉ようになるものとは何なのか。
〈見えないもの〉はオーラル・ヒストリーの実践にも深く関わる。インタビューにおいて、相手が自分の経験した幻覚や超常現象を話すとき、私たちは戸惑ったり疑ったりするかもしれない。一方、彼・彼女らが家族や仕事について話をしてもそれを疑うことはほとんどないだろう。だが、その対象者が過去に体験したいずれも、私たちにとっては〈見えないもの〉でもある。〈見えないもの〉のオーラル・ヒストリーを考えることは、フィクションとノンフィクション—虚構と現実—の境界を問い直すことにもつながることになるだろう。 (文責 研究活動委員会・根本雅也)
【報告】
・金菱清(東北学院大学)幽霊と夢のナラタージュ―東日本大震災の〈いまはむかし〉
・北村毅(大阪大学)平和学習とシャーマニズムの接点―あるガマにおける日本兵の「亡霊」をめぐって
・根本雅也(日本学術振興会)幻覚の口述史―ある被爆者の憎しみと赦しの物語り
【コメント】有薗真代(龍谷大学)、村上陽子(沖縄国際大学)