オーラル・ヒストリー・フォーラム「現実と学知のはざま」 第1回(7/30)のご案内

◇◇オーラル・ヒストリー・フォーラム「現実と学知のはざま」◇◇
◆第一回セッション:「市民運動とのかかわりのなかで」のご案内◆

昨年度のワークショップを引き継ぎ、本年度はオーラル・ヒストリー・フォーラムとして再出発いたしました。第一回は、清水美里と木村豊がコーディネーター兼司会を担当させていただき、「市民運動とのかかわりのなかで」というテーマでセッションを行います。
オーラル・ヒストリーには、市民の集まり、市民運動とのかかわりのなかで発展してきた側面があります。しかし、そうしたオーラル・ヒストリーを実践・研究するうえでは、市民の集まり、市民運動とのかかわり方をめぐって、様々な迷いや苦悩を抱えることとなるのではないでしょうか。
そこで、本セッションでは、市民の集まり、市民運動とのかかわりのなかで、「現実と学知のはざま」に立つお二人に話題提供をお願いしました。一人は、原爆被害者団体の人びとに対する聞き取り調査をもとに研究を進められている八木良広さん、もう一人は、市民運動の進展の中で設立された民間の資料館である東京大空襲・戦災資料センターで主任研究員をされている山本唯人さんです。
そして、本セッションでは、お二人の報告をもとに、私たちは、オーラル・ヒストリー実践・研究のなかで、市民の集まり、市民運動と、どのようなかかわり方が可能なのか、じっくりと時間をかけてディスカッションを行いたいと思います。当日は、参加者の皆様と率直な議論を交わすことが出来ればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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●日時:7月30日(土) 14時~18時
●場所: 大阪経済法科大学 東京麻布台セミナーハウス 中研修室
     http://www.keiho-u.ac.jp/research/asia-pacific/access.html
●参加費:一律500円
●スケジュール
   13時30分  開場
 14時  開会 趣旨説明:小倉康嗣
 14時10分 話題提供 司会:木村豊
  1.「平和」「核兵器廃絶」と被爆者の生きられた経験のあいだ―被爆者へのライフストーリー研究の見地から
    八木良広【小田原看護専門学校兼任講師】
          話題提供(30分)・質疑応答(20分)
  2.ことば/学知の生まれる場所  ―東京大空襲・戦災資料センターの試みから
    山本唯人【(財)政治経済研究所付属東京大空襲・戦災資料センター主任研究員】
          話題提供(30分)・質疑応答(20分)
 16時  グループ ディスカッション(50分)
 17時  全体討論(60分) 司会:清水美里
 18時  閉会
*閉会後、同会場内で軽食を準備し懇親会を行います。(会費:1000円程度)
 人数確認のため、参加可能な方はご一報いただけると幸いです。
*事前申込み・お問い合わせは中原逸郎(1nnnnnnn[at]z5.keio.jp)までお願いします。
 メールアドレスの[at]の部分を@に替えて送信してください。
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 ●全体コンセプト(回覧済)
先日、昨年度のワークショップ実行委員会を引き継いだ今年度の新体制が決まりました。下記のとおり、4月に開かれた企画会議に参加した全員が企画運営委員となり、同時にそれぞれの役割分担をすることになりました。どうぞよろしくお願い申しあげます。2011年度も、担当の企画運営委員が毎回持ち回りでコーディネートする運営となりますが、私
が企画運営委員の元締め役を仰せつかりましたので、代表してご案内申しあげます。
今年度もワ
ークショップを複数回開催する予定ですが、とくに今年度は「オーラル・ヒストリー・フォーラム」と銘打って、さまざまな立場の発表者・参加者同士で率直な議論を交わすことを重視したいと考えています。迷いや戸惑いのようなものも率直にさらけ出せる、正直なコミュニケーションをベースにして、オーラル・ヒストリーは人間と社会にどんな働きかけをするのか。手法だけにとどまらないオーラル・ヒストリーの学問的・実践的意味・意義とはなにか。そういった
ことを議論し、深めていく場にしていくことができればと願っています。
そこで、そのようなコミュニケーションや議論のよすがとするために、各回のフォーラム全体を貫く最大公約数的なテーマを掲げたいと思います。そのテーマとは、「学知と現実のはざま」です。
オーラル・ヒストリーに向き合うとき、私たちが共通して直面するのが「学知と現実のはざま」という問題ではないかと思います。それは、生活知と学知の乖離として感受されることもあるでしょうし、報告書や論文、著書、ドキュメンタリーなどに作品化するときの戸惑いや悩みとして感じられることもあるでしょう。学知・運動・当事者の「はざま」で葛藤したり、ききとりをしながら「自分はいったい何者なのか」というジレンマにさいなまれる場面も少なくないと思います。また、このたびの大震災は「学知と現実のはざま」をいかに埋めていけばよいのかを、根底からから問うているようにも思えます。
この「はざま」には、イデオロギーや運動、あるいは大小さまざまなコミュニティの解釈枠組や、写真や映像などの多様なメディアも介在し、さらに重層的で錯綜した様相を呈しているといえるでしょう。しかしながら、こういった「はざま」に胚胎するさまざまな問題こそが、既存の枠組を革新したり、新たなコンテクストを生成していくのであり、それがオーラル・ヒストリーの創造性の源泉でもあろうかと思います。とはいえ、オーラル・ヒストリーのこういった側面を正当に位置づ
け、生かし、評価していく場はそれほど共有されていないようにも感じます。
そこで、専門研究者に限らないさまざまな立場の発表者・参加者同士の正直なコミュニケーションからはじめ、「学知と現実のはざま」に胚胎する悩みや問題を吸いあげていく場をまずはつくっていこうではないか、というのがこのフォーラムのねらいです。
「学知と現実のはざま」――そこに、オーラル・ヒストリーならではの学問的・実践的意味・意義の鍵があるのではないでしょうか。それをみなさまと一緒に議論し、探究していくことができればと願っています。
フォーラム当日は、参加者全員で率直なコミュニケーションができるよう、議論の時間をたっぷりとった段取りでと思っています。どうぞご期待ください。(小倉康嗣)
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        オーラル・ヒストリーフォーラム企画運営委員
    荒沢千賀子、小倉康嗣、木村豊、酒井順子、清水美里、中原逸郎、
        橋本みゆき、前田沙織、宮崎黎子、八木良広。
                (以上、五十音順)