JOHA14 大会プログラム

日本オーラル・ヒストリー学会 第14回大会 プログラム概要(簡略版)
Japan Oral History Association 14th Annual Conference

*大会プログラム(当日配布用)ご入用の方は「JOHA14program_2nd ver.」をクリックしてください。

開 催 日:2016年9月3日(土)~4日(日)
開催場所:一橋大学佐野書院
如水会百周年記念インテリジェントホール(一橋大学国立西キャンパス)
交通手段:JR中央線国立駅南口より徒歩約10分。
一橋大学佐野書院アクセスマップ
http://www.econ.hit-u.ac.jp/~coe-res/paper_doc/sano.pdf
一橋大学国立キャンパスマップ
http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html
参 加 費:会員 1,000円(2日通し)、非会員 一般:2,000円(1日参加1,000円)
学生他:1,000円(1日参加500円)
開催校理事:小林多寿子、赤嶺淳、平井和子
学会事務局:佐々木てる、研究活動委員会委員長:蘭信三、会計:中村英代

自由報告者へのお願い
〇自由報告は、報告20分・質疑応答10分(合計30分)で構成されています。
〇配布資料の形式は自由です。会場では印刷できませんので、各自50 部ほど印刷し、ご持参ください。
〇各会場にパソコンを準備しておりますので、ご利用の場合、USB メモリ等にプレゼンテーションのデ ータをお持ちください(ご自身のPC 等をご使用の場合、RGB ケーブル接続のみでUSB などの接続 方式には対応しておりません。必要な方は変換アダプター等もご準備ください。念のため資料を保存 したUSB メモリ等もご持参ください)。動作確認等は各分科会の開始前にお願いいたします。会場 担当者にご相談ください。

参加者へのお知らせ
〇会員・非会員ともに両日の受付をお願いいたします。参加にあたって事前申し込みは必要ありません。
〇昼食はJR 国立駅および一橋大学周辺の食堂等をご利用いただくなど、各自でご用意ください。なお、 会場近辺にコンビニはありません。佐野書院会場内には飲料自販機もありませんので、国立駅周辺で 事前に購入して来場されることをお薦めします。
〇大きな荷物を佐野書院1階ロッカールームに一時置くことができますが、スタッフが常時しておりませんので貴重品は各自管理をお願いいたします。

※保苅実写真展同時開催※
9月3日~4日
会場:一橋大学佐野書院ロビー
*保苅実写真展のポスターはこちら(hokari_photo)をクリックしてください。

※懇親会のご案内※
9月3日(土) 18:00~20:00
会 場:一橋大学佐野書院 第一室(ブッフェ形式)
参加費:3,000円、学生その他1,500円
(お支払いは受付時、および、懇親会会場受付でお願いいたします。)

 

第1日目 9月3日(土)
12:00       受付開始

13:00~15:30    自由報告
第1分科会(一橋大学佐野書院会議室)  司会:橋本みゆき・大門正克
1-1 芸能享受心性の合目的性
川崎瑞穂(国立音楽大学)
1-2 かくれキリシタン信仰における「伝説」に関する一考察-長崎県を事例として-
小泉優莉菜(神奈川大学)
1-3 陸前高田市立第一中学校避難所で「福祉避難室」はいかにして成立したか
-高齢者を支援した被災者たちの語りから
齋藤公子(立教大学)
1-4 薬草、ARV、バイアグラ-北部タイ農村におけるHIV/AIDSの薬剤誌
日野智豪(東京福祉大学)

第2分科会(一橋大学佐野書院第1室)  司会:石井 弓・倉石一郎
2-1 調査対象者と同じ属性を有することによる調査の困難
徳安慧一(一橋大学)
2-2 海外調査で得られたデータ分析の妥当性
山崎晶子(一橋大学)
2-3 日中通訳者のオーラルヒストリーから見る通訳規範意識とその形成要因
平塚ゆかり(順天堂大学)
2-4 女性研究者が「男性の経験」を語ることの困難
関根里奈子(一橋大学)
2-5 アウシュヴィッツのガイドたち-オラリティと感情労働の視点から
田中雅一(京都大学)

15:45~17:45  シンポジウム (一橋大学佐野書院会議室)
保苅記念シンポジウム――いまあらためて「保苅実の世界」を探る

一橋大学は日本におけるオーラルヒストリー研究のメッカだ。これまで数々のオーラルヒストリアンを生みだしたが、なかでも伝説的な存在となっている保苅実の存在は光を放っている。そこで、一橋大学でJOHA第13回大会を開催するにあたって、若き保苅が学び、歴史学をこえる新たな道標となるような「保苅実の世界」を培った国立キャンパスにおいて、「いまあらためて保苅実の世界を探る」シンポジウムを開催する。
保苅実の『ラディカル・オーラル・ヒストリー』(2004)をめぐっては、その学説史的な意義、方法論的な可能性、そして保苅実の生き方としての歴史実践等々についてこれまでも論じられてきた。しかし、保苅没後12年が経った本年、しかも「歴史研究にとってのオーラルヒストリー」を今次の共通課題とするにあたり、その記念碑的な研究が培われた一橋大学において、「保苅実の世界」が今どのように読みつがれるのかをJOHAが問い直すのは絶好のタイミングであろう。
登壇者としては、歴史学者として市民の手紙や日記や回想録といったエゴ・ドキュメントに着目して新たな歴史学を切り拓く松井康浩さん(九州大学)、語りや記念碑や表象を素材に歴史社会学や戦争社会学を切り拓く野上元さん(筑波大学)に登壇をお願いし、JOHAの若手を代表して被爆経験のライフストーリーを深める八木良広さん(愛媛大学)が登壇し、それぞれの立場から保苅実の世界を論じる。司会は一橋大学の小林多寿子さんが務める。

司会:小林多寿子(一橋大学)
第一報告 原爆被害の歴史実践と対話の可能性―保苅実への応答として
八木良広(愛媛大学)
第二報告 歴史が聞こえてくること-方法的ラディカリズムと歴史への愛
野上元(筑波大学)
第三報告 実証主義とテクスト主義を超えて-歴史研究者は保苅実から何を得たか
松井康浩(九州大学)

18:00~20:00
懇親会(一橋大学佐野書院 第1室)

 

第2日目 9月4日(日)
9:00        受付開始

9:30~12:00     自由報告
第3分科会(一橋大学佐野書院第1室)  司会:人見佐知子・山田富秋
3-1 社会の周縁を調査する上でのリスク評価と回避法確立の重要性
大島 岳(一橋大学)
3-2 「科学」というちっぽけな銃を片手に僕たちは<語られる人生>に挑む
-犬死しないために、フィルター理論からみるライフストーリー論再考
田野綾人(立教大学)
3-3 1960年代70年代の沖縄をめぐる人類学・民俗学の周辺
猪岡叶英(大阪大学)
3-4 スタッズ・ターケルの作品の意義について
栗木千恵子(中部大学)

第4分科会(一橋大学佐野書院会議室)  司会:佐藤 量
テーマセッション:「満洲の記憶」とオーラルヒストリー
解題 「満洲の記憶」とオーラルヒストリーを問うということ
佐藤 量(立命館大学)
4-1 帰国邦人団体の会報から見る戦後日本の「満洲の記憶」
:安東会会報『ありなれ』の分析を中心に
菅野智博(一橋大学)
4-2 満洲国軍陸軍軍官学校の朝鮮人
:「日系」として入校した唯一の朝鮮人・金光植の語りから
飯倉江里衣(東京外国語大学)
4-3 満鉄留魂碑建立をめぐる紛糾と満鉄魂の顕彰について
湯川真樹江(学習院大学)

12:05~13:00
総会(如水会百周年記念インテリジェントホール(一橋大学国立西キャンパス))

14:00~17:00
シンポジウム(如水会百周年記念インテリジェントホール)
日本軍「慰安婦」問題とオーラル・ヒストリー研究の/への挑戦

日本におけるオーラル・ヒストリー実践の底流には、アジア・太平洋戦争や「大日本帝国」の植民地にかかわる様々な経験への振り返りがあった。その系譜は日本オーラル・ヒストリー学会に引き継がれ、2003年の学会発足以来、戦争・植民地に関するオーラル・ヒストリー実践は促進されてきた。しかし、本学会が今日まで十分に引き受けてこなかった課題がある。その一つが、アジア・太平洋戦争に伴う同地域に拡がる日本軍「慰安婦」問題である。
1990年代以降、日本軍「慰安婦」問題をめぐる日本国内の論争の過程はいくつかの時期に区分されよう。近年、研究や運動のグローバルな展開、日韓両国政府の動きや歴史認識をめぐる対立の激化などに伴い、国内の議論はいっそう混迷を深め、この論争は新たな局面を迎えているといわれる。オーラル・ヒストリー研究に期待される役割も、それとともに変化し、歴史修正主義的な否認言説への応戦にとどまらない貢献が求められるようになっている。同時に、日本軍「慰安婦」問題を通じてオーラル・ヒストリー研究やその方法論もまた、批判的な検討が迫られている。
そもそも、本問題は韓国人元「慰安婦」の名乗り出(1991年)によって社会問題化され、その「証言」が争点の一つであった。そこでは、オーラル・ヒストリー研究は大きな役割が期待されていたにもかかわらず、本学会の主要課題として取りあげられることはなかった。
このような経緯で、私たちは本学会において日本軍「慰安婦」問題に正面から挑んでみることにした。本パネルでは、韓国、フィリピン、日本における多様な事例を、聞き取り、裁判資料、テクストを用いた広義のオーラル・ヒストリー実践を通して検討していく。この挑戦は、オーラル・ヒストリー研究の可能性を拓くとともに、日本軍「慰安婦」問題や戦時性暴力をめぐる研究のさらなる深化を可能とするだろう。

司会 平井和子(一橋大学)
趣旨説明 日本軍「慰安婦」問題とオーラル・ヒストリー研究の/への挑戦
山本めゆ(日本学術振興会特別研究員(津田塾大学))
第一報告 韓国の「慰安婦」聞き取り作業の歴史ー「証言集」を中心に
山下英愛(文教大学)
第二報告 フィリピン・セブにおける日本軍性暴力―BC級裁判資料を中心に
岡田泰平(静岡大学)
第三報告 日本人「慰安婦」被害者のテクストを読む
ー城田すず子さんの資料に注目して
木下直子(日本学術振興会特別研究員(大阪大学))
コメント一 佐藤文香(一橋大学)
コメント二 成田龍一(日本女子大学)