JOHAニュースレター第8号

日本オーラル・ヒストリー学会 第4回大会
 第4回日本オーラル・ヒストリー学会大会は、9月23日(土)、24日(日)の両日にわたって東京外国語大学で開かれます。
 本年度は、「戦争と植民地期―オーラル・ヒストリーの視点から」というメイン・テーマを設定してシンポジウムと個人報告分科会を持ちます。その他、オーラル・ヒストリーを用いた幅広いテーマによる個人報告も行われます。オーラル・ヒストリーに関心を持っている方々を広くお誘い合わせの上ご参加下さい。

開催日程:2006年9月23・24日
会場:東京外国語大学外国語学部
〒183-8534東京都府中市朝日町3-11-1

(目次)

Ⅰ 大会プログラム
1.第1日目
2.第2日目
3.会場への交通手段・地図・宿泊施設他

Ⅱ 会員の声

Ⅲ 理事会報告

Ⅳ 事務局便り

Ⅰ 大会プログラム

http://joha.jp/?eid=31

Ⅱ 会員の声

田口詩乃(岡山大学理学部生物学科4回生)
 みなさん、こんにちは。
 私がはじめてJOHAについて知ったのは、昨年夏のことで、中尾先生が講義中に紹介してくださったからです。日ごろやっている研究は生態学です。岡山をはじめ四国、九州、また西表に共通して生存するアナジャコという甲殻類(カニ・エビの仲間)を対象とし、その特性を掴もうとしています。

○生物学科にいる自分がなぜOHに興味をもったか
よくニュース番組やドキュメント番組を見る家庭で育ったため、もともと社会問題などには興味がありました。しかし、それらの問題はマスコミによる取材以外では伝えられることはない、といった限定されたイメージを持っていました。そんな中、マスコミ以外の機関による取材活動があり、それがひとつの学問分野として存在するということを初めて知り、一般の方も多く取り組まれてきたことにも驚きました。また、文書化された資料だけでなく、生きた人間を「資料」として受け止めるという点や、(ここで資料というと、無機的に響いてしまいますが)、問題を国単位や組織単位の大きな枠組みだけではなく、個々の人間からの視点から捕らえるという点が、とても新鮮に映ったのです。
 私が通常やっている実験では、データをとるために固定し、数値をとります。でも、人間は感情があり、知性があり、記憶を持つことで、同じ生き物でもいかに違うものかと体感する日々です。ところが、オーラル・ヒストリーでは、理系とは異なって、多様で単純に数字化出来ないものをそのまま対象とする、そういった点に、魅力を感じました。
 しかし、一番のきっかけは、オーラル・ヒストリーという聞き慣れない言葉に、もともとミーハーな私の好奇心がむくむくっと反応したからといえるでしょう。

○去年の学会の感想
 去年、京都の大会に初めて参加しました。とはいえ、所詮は学部の三回生、生まれて初めての「学会」であったので、とても評価をいえるような経験はありませんが、印象深かったのはそれぞれの発表者に対して議論が活発だったことでで、参加者の意欲に驚きました。

○オーラル・ヒストリーをやり初めて思っていること
 この春、四国で開かれた戦友会に初めて参加させていただき、戦争体験を、経験者から直接、私個人に向かって語っていただきました。なにより驚いたのは、今までどこかで報道され、知っていたことが、目の前にいる人の口から直接聞くとこれほどに説得力が違うものか、ということです。
相手は私の祖父の年代の方で、聴き取りに慣れていない私は、用語の理解からすでに苦労をしてしまいました。そして、当事者本人の目から、表情から、動作から発せられる「想い」のインパクトに戸惑うこともありました。
 この戦友会では、もう会を解散するという話し合いもされていました。参加者が80歳を超える老齢であり、彼らだけで会をまとめている現実は確かに厳しいものがあります。しかし、そういった集まりがあるから、私のような新参者も戦争の話を聞きやすく、また同じ戦争を生き抜いた仲間同士との会話からは、1対1の聴き取りだけでは得られない想いが見えてきます。このような特別な場所が、まだ続いていってほしい、経験者に語り続けてほしいと思います。そのために私になにができるか…。
 語ってくれた方には、どうにかしてもっと多くの人に伝えたい、伝えてほしいと思っている人がいます。聞き取ったものをどうするのか、関わった人々や団体とその後どうつきあっていくのかなど、聞き取りの次の段階も考えなくてはいけないということの重要さに気づきました。

○今後期待することなど
 学会は、直接研究者同士が意見を交わせる数少ない場で、OHの充実に本当に重要だと感じています。しかし、移動に夜行バスなどを用いたり、会場から離れていてもとにかく安いホテルに宿泊したりお金を切り詰めて、私の周りの学生は研究活動をしなければならいのが現実です。生活のためバイトをし、さらに本業の勉強…という生活で、興味をもっていても、お金をはらってまで参加できないという学生もいます。集まるのが学者だけでないというのが、この学会の特色ですし、日本でのオーラル・ヒストリーの発展のためにも、地方開催等により日本全国からもっと多くのオーラル・ヒストリー実践者や興味をもっている人たちが、参加できたらと思います。OH研究者同士がメーリングリスト等で活発に意見交換・情報交換できたらよいのではないでしょうか。
 今年9月に開かれる学会には、今所属している理学部の研究もあり、私は参加できそうにありません。残念でしょうがありません。しかし、直接みなさんの発表を聞けないかわりに、ニュースレターやジャーナルを楽しみにしています。
 これからの皆様のご活躍を願うとともに、いろんな形で交流できますように。

Ⅲ 理事会報告

JOHA第4回理事会 
日時:2006年6月25日(日) 午後1時―午後6時30分
場所:慶応義塾大学三田キャンパス 研究棟7階 法学部第二共同研究室
出席:桜井、酒井、有末、中尾、小林、野本、早川、舛谷、吉田、佐渡(委任状) 蘭(委任状) 欠席 川又
記録:吉田

報告
(1)学会誌創刊号 (編集委員会)
 4月15日に会員に送付。5月中旬に大学図書館、公立図書館に計175冊寄贈。
 20冊、理事の買い取り。慶応大で開催された穂刈氏の会「歴史実践へのまなざし」(11冊) 関東社会学会(1冊)移民学会(30冊)で販売。
 事務局より新入会員に16冊送付。現在残部は50冊(編集委員長)30冊程度(事務局)。

(2)会員入会手続き
 今後は、入会申し込み→理事会で