JOHAワークショップ:私たちの歴史を創造する・私たちの歴史を書く

 日本オーラル・ヒストリー学会では、オーラル・ヒストリーを実践してみようという方々と共に、オーラル・ヒストリー・ワークショップを開催いたします。このワークショップでは、内外のオーラル・ヒストリー・プロジェクトの方法を参考にしながら、自らオーラル・ヒストリー・プロジェクトを立ち上げ、インタビューを通して得られた人々の過去の体験・経験から、歴史と社会を考察し、その成果を様々な様式で発表していきます。
 このワークショップでは、オーラル・ヒストリーが、現在に直接繋がっている過去をインタビューによって聞き、その「記憶」にみられる思い違いや神話的語りを含め、集団や個人によって異なる語りを丁寧に検討・分析していき、社会的な営みの集積である「歴史」に新しい視点を与えるための方法であるという認識を基底にして、歴史の新たな記述に向けて道を開くための努力をしていきたいとおもいます。
ワークショップは、2010年5月から2011年2月まで8回行います。できれば一年間通して参加していただけることが望ましいのですが、一部参加も歓迎いたします。
 第1回は、下記の要領で開催します。皆様ふるってご参加ください。

 JOHAワークショップ(2010年)実行委員

(大城道子、郷崇倫、酒井順子、橋本みゆき、森田系太郎)

日時:5月5日(水・祝日) 13時~16時30分
場所:文京シビックセンター3階会議室A・B

(アクセス)地下鉄の後楽園駅(丸ノ内線、南北線)に直結。春日駅(都営大江戸線、三田線)から後楽園駅方面へ歩いて5分弱。
JR 水道橋から約10分

内容:「オーラル・ヒストリーって何だろう:問題提起とディスカッション」
1.JOHA理事挨拶: ワークショップの趣旨について他
2.ワークショップ全体の概要説明(酒井順子)
3.問題提起(司会:森田系太郎 問題提起:郷崇倫、橋本みゆき、大城道子)
4.参加者の自己紹介とプロジェクトのアイデア紹介

参加申し込み 〆切り 4月末日
申し込み先:橋本みゆき(mieux[at]bf6.so-net.ne.jp)
申し込みの際は、名前・連絡先(メールアドレスまたは電話番号)・会員/非会員の区別 およびワークショップにむけての関心事を書いて申し込んでください。
資料代 会員500円 非会員1000円(当日現地徴収)

(第2回は6月6日(日)、大阪経済法科大学麻布台セミナーハウス〈東京メトロ神谷町駅近く〉での開催を予定しています)

ワークショップ・プログラム(予定)

第1回:オーラル・ヒストリーって何だろう
オーラル・ヒストリーは、民衆史運動なのか、研究方法なのか、それとも一つの学問領域なのか、オーラル・ヒストリーのあり方については様々な意見がありますが、ともあれ、オーラル・ヒストリー・プロジェクトを実践しながら、方法論を鍛えていきましょう。第1回目は、経験者のオーラル・ヒストリー理解を聞き、参加者自身のオーラル・ヒストリー・プロジェクトのアイデアをお互いに紹介しながら、オーラル・ヒストリー実践について、ディスカッションしていきましょう。
第2回:プロジェクトを立ち上げよう
「オーラル・ヒストリー」といわれる研究方法が出現して久しい今日、オーラル・ヒストリー・プロジェクトを立ち上げるためのリサーチ・デザインはどのようにしてつくっていくのでしょうか。参加者のアイデアからプロジェクトとして形づくっていく過程を検討します。また、インタビューに使う機器の使い方についても検討しましょう。
第3回:プロジェクトを持ち寄ろう
参加者は自らのプロジェクト(すでに進行中のもの、あるいはこのワークショップのために新たに企画する小プロジェクト)のリサーチ・デザインを持ちより、その可能性をディスカッションしていきましょう。テーマ、方法、作品化の点で、斬新なプロジェクトを期待しています。
第4回:発見は何?
インタビューをしたからこそ、オーラルだからこそ、出てきた発見は何でしょうか。
第5回:分析方法は?
オーラル・ヒストリー・インタビューの分析方法にはいくつかの可能性が考えられますが、今日のオーラル・ヒストリアンたちはどのような分析方法を採用しているのでしょうか。分析の妥当性を主張する理論を検討しましょう。
第6回:歴史的・社会的文脈に入れて解釈しよう
インタビューから発見されたことをより広いコンテキストに入れると何がいえるのでしょうか。参加者の事例やオーラル・ヒストリーの代表的作品から検討してみましょう。
第7回:多様な作品化
オーラル・ヒストリー・プロジェクトの成果は、必ずしも聞き書き集や論文として発表するだけでなく、多様な発表方法が考えられます。オーラル・ヒストリーからヴィデオ作品を作る、ドラマを作る、展示会を開く、などの可能性を考えましょう。
 第8回:プロジェクトの成果報告会
このワークショップを通して作品化された参加者のプロジェクトの成果を発表します。