2.オーラルヒストリーにおける実践と実務の相克:個人の視点から・・・加藤直子(総合研究大学院大学先導科学研究科)
3.日本におけるオーラルヒストリー資料のアーカイブズ・・・平田光司(総合研究大学院大学先導科学研究科)
4.オーラスヒストリーと映像の論理--映像人類学の事例から-- ・・・村尾静二(総合研究大学院大学学融合推進センター)
5.”Recording Oral History” and Beyond--デジタル・オーラルヒストリーの今日的課題・・・吉田かよ子(北星学園大学短期大学部)
かつて論争を巻き起こした「フィールドワーク」の如く、学術的な意味において、日本におけるオーラル・ヒストリーの理論は、2000年以降、徐々に体系化されつつある。ただし、「技法」という一点においてすら、いくつかの流派に分かれて、独自の路線が模索されているように見える。社会学・人類学、歴史学、ジャーナリズムなど、さまざまな既存分野のディシプリンと重なっていることもあるが、個々の研究者の共通基盤となりうる体系的な理論・方法論が議論の途上にあることも大きな原因として考えられる。
そこで、「輸入学問」との謗りを十分自覚しながらも、学問的な意味で「オーラルヒストリー」が成熟している英語圏の先行研究に目を向ける必要が出てくる。この意味での最新の成果にValerie Raleigh Yow著『Recording Oral History』(2005)がある。本セッションの報告者のうち4人は、本書の翻訳チームである。報告者らはSTS/物理学、計量社会学//組織行動論、社会史/アメリカ研究、情報社会学/学説史と様々なバックグラウンドを持ってオーラルヒストリー研究に携わっている。ここに映像人類学の新進気鋭の研究者を加え、それぞれのフィールド、あるいは日本の独自性にもとづいた報告と討論をおこないたい。