『日本オーラル・ヒストリー研究』18 号原稿募集 及び 投稿規定

論文、研究ノート、聞き書き資料、書評、書籍紹介の原稿を募集いたします。投稿希望者は学会ホー ムページで公開されている最新版の投稿規定・執筆要領を参照の上、以下の編集委員会メールアドレス まで原稿をご送付ください。投稿に関するお問い合わせも下記アドレスまでお願いいたします。提出原 稿は査読審査を経たのち、6 月下旬ごろに掲載の可否が決定します。

募集期間:2022年2月20日(日)~3月5日(土)
※〆切が 17 号から 2 週間早くなります。お間違えのないようお気をつけください。 ※メールの送信ミスや誤配の可能性があるため、募集期間を設けています。余裕を持ってご送付いただ きますようお願いいたします。
○ 問合せ・応募原稿送付先:joha.editors(at)gmail.com( (at) 部分を@に替えて送信してくださ い。)

投稿規定・執筆要領最新版を熟読のうえ原稿を作成するようにお願いたします。投稿規定・執筆要領に 従っていない原稿は受理できません。

『日本オーラル・ヒストリー研究』投稿規定

投稿者は投稿規定・執筆要領を熟読のうえ原稿を執筆してください。また、最新版を学会ホームページに 掲載しているので、必ず確認してください。投稿規定・執筆要領に従っていない投稿は受理しません。

  1. 投稿は会員に限ります。まだ会員でない方は、投稿する前に入会の手続きを済ませてください。なお、 入会申込書の受理・会費の納入確認をもって入会手続きは完了します。
  2.  投稿原稿は原則として日本語か英語によるものとします。
  3. 投稿は下記のカテゴリーで未発表のものとし、それぞれ規定の文字数で執筆してください。なお、表題、英文要旨(論文のみ)、見出し、図表、注、文献リスト等も文字数に含みます。
    1. ・論文 16,000字〜28,000字以内
    2. ・研究ノート 18,000字以内 ※研究の中間報告、予備的考察や試論、研究の着想など、論文の形式には収まらないけれども発表する意義があるもの。 ・聞き書き資料、実践報告、研究動向(国内外・回顧と展望)、資料紹介、書評論文等 18000字以内※編集委員会が適当と判断したものも、受け付けます。
    3. ・図書紹介 2,000字以内 ※会員の自著紹介を歓迎します。また、非会員の著書も歓迎します。(英語論文に関しては執筆要綱を確認、その他は編集委員会に確認してください。)
  4. 論文の英文要旨は 200 語未満とします。英文の表題と要旨については、希望者には掲載決定後に編集 委員会を通じ、校閲作業を依頼します。ただし、この作業にかかる費用は投稿者の自己負担とします。
  5. 原稿は、執筆要領にしたがって、MS Word による横書きとします。審査用の原稿は、Word ファイルお よび pdf ファイル両方のデータを下記の編集委員会のメールアドレスまで電子メールに添付して送付 ください。原稿のファイル名は「投稿の日付け_投稿者氏名(ローマ字表記)」とします。 例)20220301_johataro.doc
  6. 投稿者は別ファイルに、氏名、郵便番号と住所・電話番号、メールアドレス、所属機関と電話番号、 投稿のカテゴリーを明記し、電子メールに添付してください。ファイル名は「投稿者」の氏名(ロー マ字表記)とします。例)johataro.doc
  7. 投稿原稿は原則として査読審査を経て、編集委員会が掲載の可否を決定します。また、審査は匿名で 行います。したがって、「拙著」「拙稿」などの表現や、研究助成、共同研究者への謝辞など、執筆者 と所属機関が特定できる情報は審査用原稿に記載してはいけません。ただし、掲載決定後に送ってい ただく完成原稿で修正・追記することができます。
  8. 本誌に掲載された論文等は、原則として本誌発行 1 年後に電子公開します。掲載原稿の著作権の一部 (複製権・公衆送信権)を、日本オーラル・ヒストリー学会に譲渡していただきます。著書などに転 載する場合や、機関リポジトリ等へ電子データを搭載する場合には、必ず本会の許諾を得てください。
  9. 当該論文の抜刷は、別途、有料にて制作可能です。ただし、50 部単位とし、抜刷の希望者は、初校返 送時に編集委員会に申し出てください。

原稿送付先: 日本オーラル・ヒストリー学会編集委員会

joha.editors(at)gmail.com

日本オーラル・ヒストリー学会編集委員会 酒井朋子・佐野直子・椙本歩美・米倉律・山田富秋

投稿規定・執筆要領_18号

理事会(第10期)

<任期:2021年9月から2023年大会まで>

会長:佐々木てる
事務局長:佐藤量
会計:李洪章

編集委員長:佐野直子
編集委員:酒井朋子
編集委員:椙本歩美
編集委員:山田富秋
編集委員:米倉律

研究活動委員長:安岡健一
研究活動委員:蘭信三
研究活動委員:大門正克
研究活動委員:清水美里
研究活動委員:謝花直美
研究活動委員:和田悠

広報委員長:野入直美

監事:赤嶺淳
監事:小林多寿子

日本オーラル・ヒストリー学会第19回大会のご案内

日本オーラル・ヒストリー学会第19回大会(JOHA19)を下記の要領で開催いたします。
今大会は、昨年度に引き続き新型コロナウィルスの感染拡大にともない、オンラインでの開催となります。至らない点も多々あるかと思いますが、ご理解をいただければ幸いです。

日本オーラル・ヒストリー学会 第19回大会
Japan Oral History Association 19th Annual Conference

開催日:2021年9月5日(日)
開催方法:Zoomミーティング(要事前申し込み)
下記URLから事前登録をお願いします。登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZIud-qvqjIvH9TqDiXxTwvVIEuueLbERpra

別途、会員宛にZoomミーティングアドレスをお伝えします。また、総会などの確定情報についても、随時、会員メーリングリストならびにJOHAホームページで更新していきます。

参加費:無料

大会に関してご不明な点がございましたら、下記までお問い合わせください。
問合せ先:joha19(at)ml.rikkyo.ac.jp

1.大会プログラム
2021年9月5日(日) 9時20分~16時40分 オンライン開催(Zoomミーティング)

9:20 開会 開催校挨拶

9:30〜11:30 自由報告部会 (Zoom上で2つのセッションが同時進行)
第1分科会 「震災・難民」 司会:滝田 祥子(横浜市立大学) 報告要旨
・王 石諾「福島原発事故経験者としての在日中国人の女性のライフヒストリー」
・佐久川 恵美「『徹底的に絶望する』ところから福島原発事故を捉える-福島県会津若松市における不安を語り合える場づくりを通して-」
・林 貴哉「在日ベトナム系移住者の生活の中でのことばをめぐる経験」
・沼田 彩誉子「神戸生まれタタール移民2世と1950~1960年代イスタンブル―『理想の国民像』の相対化を目指して」
第2分科会 「戦争・植民」 司会:人見 佐知子(近畿大学) 報告要旨
・伊吹 唯「地域社会によるオーラル・ヒストリーの継承の可能性と限界―『下伊那のなかの満洲』の事例から」
・木川 剛志「戦後混乱期横須賀に生まれた混血児のライフストーリーを描いたドキュメンタリー映画の学術的意味について」
・山本 唯人「戦争体験の継承とフィクション物語―『余白』の文脈形成機能に注目して」
・橋場 紀子「韓国人被爆者の語りから、多様な『被爆者像』を考える」

12:00〜13:00 総会

13:30〜16:30  シンポジウム兼研究実践交流会「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」概要

16:30〜16:40 閉会 会長挨拶、開催校より

JOHA19 シンポジウム兼研究実践交流会「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」

JOHA19 シンポジウム兼研究実践交流会
「東日本大震災被災地域住民の語りと聴いて伝える活動」

◎プログラム
司会:小林多寿子(研究活動委員)
●趣旨説明とスピーカー紹介 橋本みゆき(研究活動委員)
●語りの現場からの報告(各20分)
1.青木淑子 「語り人活動の意義と活動を通して描く富岡の未来」
2.坂口奈央 「復興の中の葛藤、苦悩──地域の語りと生活者の論理」
3.小林 孝 「伝承館が語り伝えたいこと」
●コメント(各20分)
・関根慎一:報道の立場から。福島の被災地域の複合的な全体状況を見渡して。
・大門正克:研究者として。東日本大震災被災地でのフォ―ラム開催の経験をふまえて。
●報告者およびコメンテーターとフロアの質疑応答(15分)
●休憩
●研究実践交流会(45分)
・手順の説明・グループ分け(グループは主催者が割り振ります)
・ブレークアウトセッション
・全体で発表
●閉会

◎趣旨
東日本大震災から10年。被災各地において、複合的な被害や防災にかんする学術調査研究、復興まちづくり実践が重ねられてきた。しかし地域社会としての自律性回復や住民の生活再建は、むしろこれからが本番である。とりわけ、原発事故によって長期にわたる住民避難を余儀なくされた地域は、今なお段階的帰還の過程にある。そうした地域で、地域に思いを寄せて住民の語りを聴き、調査研究や実践に関わってきた人びとがいる。その「語り」は、当該地域に対する外部からの内在的理解を助け、また地元の復興に資することができるだろうか。
本企画は、被災地における語ること・聴くことへの関心から立ち上げた。しかし震災に話題を限定することなく、さまざまなフィールドで研究・実践するJOHA会員・参加者が、経験したことを共有し意見交換することを通じて、互いに学び合う機会としたい。
そこでまず、福島県富岡町・双葉町、岩手県大槌町で、住民(避難者や地域外参加者を含む)に語ってもらう活動に取り組んできた3つの実践報告をうかがう。そしてこれを受けて2人のコメンテーターに、震災をめぐって語ること・伝えることの現状についての話題提供と、それぞれの視点からの示唆をいただく。これらを触媒として、大会参加者は、各自のインタビューや発信活動の経験や思いをもちより、小グループに分かれて語らう。たとえば、現地の人々やその語りにどう関わろうとしているか。現地で聴くおもしろさあるいは逆に難しさを感じた経験。生活史をもとに発信することにより地域に還元したい/懸念されるのはどんなことか。そのケースに特有なのか、それとも語りに広くみられる事柄なのか。実践・研究交流するなかで、参加者それぞれの出発点・現在地・向かう先が少し明るく照らされる機会になれば、幸いである。

問合せ先:研究活動委員会(橋本みゆき、5522825(at)rikkyo.ac.jp)

◎スピーカーのプロフィール
・青木淑子さん
NPO富岡町3.11を語る会 代表
もと福島県立富岡高校校長。語る会で多彩な活動を展開するほか、さまざまな団体と連携。
・坂口奈央さん
JOHA会員、日本学術振興会PD(国立民族学博物館)
論文に、「漁業集落に生きる婦人会メンバーによる行動力とその源泉 : 遠洋漁業に規定された世代のライフヒストリー」東北社会学研究会『社会学研究』105: 33-60 (2021)など。
・小林孝さん
東日本大震災・原子力災害伝承館副館長。県職員としてさまざまな部署を歴任。
・関根慎一さん
朝日新聞記者。大震災後、特別報道部や政治部等で原発関連の取材に携わる。2019年から福島総局員。
・大門正克さん
JOHA会員、早稲田大学教育・総合科学学術院特任教授(歴史学)。著書に『語る歴史、聞く歴史 : オーラル・ヒストリーの現場から』(2017、岩波書店)、共著に『「生存」の東北史: 歴史から問う3・11』(2013、大月書店)、『「生存」の歴史と復興の現在 : 3・11分断をつなぎ直す』(2019、大月書店)ほか。9月下旬に陸前高田フォーラムを開催予定。

【第2分科会】「戦争・植民」報告要旨

【第2分科会】「戦争・植民」
司会:人見 佐知子

「地域社会によるオーラル・ヒストリーの継承の可能性と限界―『下伊那のなかの満洲』の事例から」
伊吹 唯(熊本保健科学大学保健科学部共通教育センター/医学検査学科助教)
本研究では、長野県飯田市において市民が発足させた「満蒙開拓を語りつぐ会」(以下、「語りつぐ会」)によって行われた中国帰国者への聞き取り活動を再評価することを目的とする。「語りつぐ会」の活動とその成果として刊行された全10集の聞き取り集は、地域社会における歴史実践、市民による歴史の継承の取り組みとして評価されてきた。本報告では、「語りつぐ会」の活動終了からおよそ10年が経過したこともふまえつつ、「語りつぐ会」以外の中国帰国者への聞き取り活動(例えば、中国帰国者支援・交流センターによるものなど)を参照しながら、「語りつぐ会」による活動とその成果の特徴や意義を再検討し、残された課題についても検討することを目指す。

「戦後混乱期横須賀に生まれた混血児のライフストーリーを描いたドキュメンタリー映画の学術的意味について」
木川 剛志(和歌山大学観光学部教授)
発表者(木川剛志)のもとにFacebookを通じてメッセージが届いた。「木川信子を知っていますか?」。送り手はアメリカに住む女性で、彼女の母は1947年横須賀に混血児として生まれ、1953年に養子縁組で渡米した。日本名は木川洋子、その実母の名前が信子だった。同じ名字のKigawaであれば何か知っているのではと、実際には無関係の木川剛志にメッセージは送られてきた。発表者はこの縁から木川信子の消息を探すために横須賀を調査し、住民から話を聞き、洋子が養子縁組に至った当時の歴史背景を聞く。そして、洋子の66年ぶりの帰国を支援し、その模様をドキュメンタリー映画に収めた。このドキュメンタリー映画の学術的意味を探る。

「戦争体験の継承とフィクション物語―『余白』の文脈形成機能に注目して」
山本 唯人(法政大学大原社会問題研究所)
本報告では、東京大空襲体験者の半生を描いた演劇作品『魚の目に水は映らず』(2019年3月上演、作・演出きたむらけんじ)を題材に、戦争体験の継承に、フィクションとして創作された物語作品が果たす役割について検討する。リクール=小林多寿子の議論をもとに、体験の継承を、「語り」に媒介された世代間の学習的な解釈の過程と捉えると共に、フィクション物語における「余白」の文脈形成機能に注目したイーザーの読書行為論を参照し、フィクション物語が提示する仮説的文脈を、適切な批評や関連資料の収集と結び合わせることで、戦争体験理解の充実につながる可能性を指摘する。

「韓国人被爆者の語りから、多様な『被爆者像』を考える」
橋場 紀子(長崎大学多文化社会学研究科博士課程)
植民地下の広島・長崎で被爆し、戦後、朝鮮半島に帰国したものの60年余り被爆者援護の枠外に置かれた韓国人被爆者に関する先行研究は少ないが、本報告では、最晩年まで被爆体験を語らず、韓国南部に暮らし100歳で亡くなった姜正守さんご夫婦の証言に焦点をあてる。市民活動の記録やジャーナリストらの報道などでは、韓国人被爆者は「恨(ハン)」の思いを一生、持ち続けたとされてきた。しかし、本報告ではその通説とは異なる韓国人被爆者像が存在することを明らかにする。具体的には2人がこれまで沈黙を守った経緯やその理由に関する「語り」、他の韓国人被爆者との語りの相違点に注目する。姜さん夫妻の被爆体験は、他の韓国人被爆者と異なり植民地政策への批判はなく、広島における生活への思い出などが多く含まれる。一方で、被爆者が語っていないこと、あるいは聞き手に伝わっていないことの存在を改めて示し、被爆体験や植民地下での朝鮮半島出身者の生活の多様性を表そうとするものである。

【第1分科会】「震災・難民」報告要旨

【第1分科会】「震災・難民」
司会:滝田 祥子

「福島原発事故経験者としての在日中国人の女性のライフヒストリー」
王 石諾(大阪大学人間科学研究科・博士後期課程)
東日本大震災及びそれに起因する福島原発事故は、特に現地に住む人々に甚大な被害もたらし、10年経った現在においてもそれに関する議論は盛んである。報告者は福島県に現地調査を行った際、現地の在日中国人の中で、国際結婚で移住してくる中国東北地方出身の女性が圧倒的に多いことに気づいた。彼女らの語りに耳を傾けることを通じて、故郷に留まらない理由、日本語を話せず移住してくる記憶から、福島原発事故の経験、日中の境界にさまよう内面的な動きまで、戦争歴史の残響及び予測不可能な災害事故のリスクを織りなすライフヒストリーを感じ取った。本報告は、こうしたマクロな歴史描写で見逃されがちな移住者女性の視点から、個々人から捉える災害リスクを描写する試みである。

「『徹底的に絶望する』ところから福島原発事故を捉える-福島県会津若松市における不安を語り合える場づくりを通して-」
佐久川 恵美(同志社大学大学院 博士後期課程)
東京電力福島第一原子力発電所の事故は10年目を迎え、避難、健康影響、廃炉といった課題が山積するなか、復興政策がすすめられている。復興政策において、原発事故や放射線被ばくによる健康影響への不安は払しょくする対象であり、人々を苦しめているのは放射線そのものではなく、知識不足から生まれる偏見・差別だと説明されている。不安を語ることすら憚れる状況下で、福島県会津若松市に暮らしているAさんは「徹底的に絶望するところから、この局面に立ち向かわないと」と語った。本報告では、「徹底的に絶望する」という言葉に込められたものを考察し、不安を語り合うことのできる場づくりをとおして、福島原発事故に遭っている自分たちにとっての「現実」を捉えようとする営みを明らかにする。

「在日ベトナム系移住者の生活の中でのことばをめぐる経験」
林 貴哉(立命館大学授業担当講師)
本発表では、難民として来日したベトナム系移住者を対象に、当事者の視点からことばをめぐる経験を明らかにする。定住開始前に実施される日本語教育が短期間であることに加え、定住開始後に日本語を学ぶ機会も限られていた。そのため、学齢期を過ぎてから定住生活を開始したベトナム系移住者に関しては、日本語習得の不十分さが問題点として指摘されてきたが、これは、暗黙裡に日本語母語話者が規範とされている等、ホスト社会からの視点にとどまっていた。本発表では、ベトナム人集住地域での参与観察や半構造化インタビューの結果をもとに、ベトナム系移住者の経験を分析することで、移住者にとっての生活の中における言語の意味づけを理解することを試みる。

「神戸生まれタタール移民2世と1950~1960年代イスタンブル―「理想の国民像」の相対化を目指して」
沼田 彩誉子(東洋大学アジア文化研究所客員研究員)
1917年ロシア革命を機に、ヴォルガ・ウラル地域から旧満洲、朝鮮半島、日本へ避難したテュルク系ムスリムがいた。彼ら「タタール移民」は、戦前日本の大陸政策における「イスラーム工作」に取り込まれたことで知られる。本発表ではまず、従来の研究で看過されがちだった第二次世界大戦後の時期について、トルコや北米へと移住した彼らが、複数の「故郷」を創出したことを示す。次に、神戸出身の女性に焦点を当て、幼少期にイスタンブルへと渡った彼女が、移動によって生じた経験を参照軸に、移住先社会を相対化する姿を描きだす。ただ一つの場所との結びつきを想定しない/できない極東生まれの2世は、「理想の国民像」を拠り所に移民の善悪を判断する社会的多数派とどう向き合うのか。歴史のうねりと交差しながら揺らぐ国民概念を、2 世の視点から位置づけることを目指す。

『なぜ戦争体験を継承するのか――ポスト体験時代の歴史実践』刊行記念シンポジウムのご案内

『なぜ戦争体験を継承するのか――ポスト体験時代の歴史実践』(蘭信三・小倉康嗣・今野日出晴編著、みずき書林)刊行記念シンポジウムを開催します。

戦後76年、世界情勢が激変するなか、〈あの戦争〉を体験した当事者なき時代を迎えつつあります。
そのようななか、戦争体験の継承は可能なのでしょうか。そもそも私たちはなぜそれを継承しなければならないのでしょうか。
このような問題意識のもと、戦争体験の継承をめぐる歴史実践の意味を問い直したのが『なぜ戦争体験を継承するのか―ポスト体験時代の歴史実践』です。
そこで、世代も専門も多様な論客が登壇し、本書の意義と限界を論じます。
皆様方のご参加をお待ちしております。


日時 2021年7月11日(日)13時30分〜17時
開催方法 オンライン
参加申込み締切:7月7日(水)
申込み方法:申込フォームから必要事項を入力してお送りください。
問い合わせ:kaken25245060[at]gmail.com
※ [at]を@に差し替えてください。

プログラム(敬称略)
13時30分 開会の挨拶 蘭信三(大和大学/上智大学)
13時35分 コメント 山本昭宏(神戸市外国語大学)、村上陽子(沖縄国際大学)、福間良明(立命館大学)、廣川和花(専修大学)、吉田 裕(一橋大学/東京大空襲・戦災資料センター)
15時30分 リプライ 小倉 康嗣(立教大学)、今野日出晴(岩手大学)、各執筆者
16時10分 総合討論
16時55分 閉会の挨拶 今野日出晴(岩手大学)

司会
山本晶子(慶應義塾大学大学院)・蘭信三

主催:科学研究費研究班「東アジアのポストコロニアルを聞き取る」(研究代表・蘭信三)
共催:戦争社会学研究会、日本オーラル・ヒストリー学会、科学研究費研究班「もの、語り、アート、宗教にみるトラウマ体験の共有と継承」(研究代表・田中雅一)
みずき書林 https://www.mizukishorin.com/

JOHA第19回大会 開催日程・形態の変更について

新型コロナウイルス感染拡大による影響について今後の見通しが立たないことを受け、9月4日・5日に青森公立大学を会場にハイブリッドでの開催を予定していたJOHA第19回大会開催の可否を理事会で慎重に協議した結果、日程を9月5日(日)の1日のみとし、開催形態をオンラインとすることを決定いたしましたことをご報告申し上げます。
大会プログラムや参加方法などについての詳細は、確定次第、会員メーリングリストならびにホームページでご連絡いたします。
末尾になりましたが、みなさまのご健康をお祈り申し上げます。

JOHA会長 赤嶺淳
大会開催校理事 佐々木てる
研究活動委員長 橋本みゆき